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2020年4月臨時議会
請願「ナイト産業への補償について」への賛成討論
2020年5月1日 綿貫英彦市議の議案質疑
私は日本共産党市議団を代表して、ただ今議題となっております2年請願第13号、「ナイト産業への補償について」に賛成して、討論を行います。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、市民生活に重大な影響が及んでいます。とりわけ、所得が低く貧困にあえいでいる人には大きな打撃となっております。
昨日経済振興委員会で本請願についての審査が行われた際、請願者は冒頭に次のように述べました。
「中洲のナイト産業というと眉(まゆ)をひそめる方もいますが、そこで働いている人たちは、幼い子を抱えたシングルマザーなど生活のために一所懸命な方ばかりです」。
「風俗店に従事する女性たちは、シングルマザーであったり、親の借金を返済するため等様々な事情を抱え、やむなくこの仕事をしている人が多いのが実情です。もちろん貯金に回す余裕などありません。そのような事情を抱えた女性たちが、世間に対する後ろめたさを感じながら感染リスクを承知の上で、生活のために身を削って働いているのが実情です。私のもとには、女性たちから、泣きながら『生きているのが辛い、どうすれば楽に死ねるかな?』『リストカットをした』という相談が毎日のようにたくさん寄せられています」。
――このような訴えでした。
性風俗産業で働いている人たちは、もっとも保護や手立てが必要であるにも関わらず、これまで公的な制度から締め出され、政治の光が当てられてきませんでした。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための学校臨時休業に伴い厚生労働省が新設した助成金で、風俗業などで働く人たちが対象外とされていたために、「職業差別だ」という非難の声が国民の多くから沸き起こり、厚生労働省がこの方針の見直しに追い込まれたのは、つい先日のことであります。この見直しは、学校の臨時休業だけでなく、事業所が業績悪化をした場合に支給される雇用調整助成金にも適用されることになりました。
このような差別が公的な制度のあちこちに残され、現在のような緊急時にはその差別がこうした人たちを苛(さいな)んでおります。
今回、請願では、ナイト産業に対して休業の補償などの給付、とりわけ働く人に対する給付を国や市に求めております。現在、福岡市の休業支援や国の持続化給付金は事業者に対するものであり、働いている女性への直接給付ではありません。
また、先ほど述べた雇用調整助成金についても適用されにくい現状があります。
風俗店で働く女性スタッフの多くが業務委託契約に基づく完全歩合制となっています。そのため、接客数がゼロであれば、店に待機していても、その日の報酬はゼロとなります。
業務委託契約といえば、建設業でいうところの一人親方のようなもので、女性スタッフひとりひとりが個人事業主という扱いとなります。こうした場合、彼女たちは雇用調整助成金を受けることもできません。また、個人事業主にも支給される持続化給付金についても風俗業は対象からも除外されており、受け取ることができません。
事業所への公的な融資についても、国・市ともに性風俗業は対象から外されており、事業所を通じて女性たちにお金が渡るルートも塞がれているのであります。感染拡大を防止する立場からパチンコ業が国の融資対象として新たに認められたことと比較しても、あまりに不公平です。これらの業界は国や市に納税しています。税金だけは納めさせておいて、給付や融資からは締め出すというやり方は、およそ許されるものではありません。
さらに、彼女たちが、社会福祉協議会の緊急小口貸付などの制度を利用するにしても、手渡し日払いのため、源泉徴収票や給料証明書などの収入を証明する資料がなく、事実上これらの制度の利用ができません。
感染拡大を防止し、市民生活を守らねばならないというこの非常時に、さまざまな理由をつけて性風俗にたずさわる女性たちを差別する現状を変えなくてはなりません。
私ども日本共産党は、綱領でジェンダー平等社会の実現を掲げ、女性の独立した人格を尊重し、女性の社会的、法的な地位を高めることをうたっております。もっとも苦しみ、光の当たってこなかった女性を緊急に支援するために、本請願を採択することを強く訴えるものであります。
以上で、請願第13号に対する賛成討論を終わります。