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議会報告

2019年9月議会

9月議会反対討論

2019年9月24日 綿貫英彦議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第63号、65号ないし71号、73号ないし77号、80号、85号、87号ないし90号に反対し、討論を行います。


議案第74号「福岡市子ども・子育て支援法施行条例の一部を改正する条例案」、議案第75号「福岡市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案」、議案第76号「福岡市立保育所条例の一部を改正する条例案」、議案第77号「福岡市第3子優遇事業の実施に関する条例の一部を改正する条例案」について述べます。


今回の一連の改定は、先の国会で成立した「改定子ども・子育て支援法」にもとづいて、10月から実施される幼稚園や保育園の保育料を原則無料にするとされる、いわゆる幼保「無償化」に伴い、市の関連条例などを改定するものです。


そもそも今回のいわゆる「無償化」は、対象年齢を3歳から5歳にまで限定し、0歳から2歳までについては生活保護世帯や住民税非課税世帯のみに絞り込んでいます。「保育が無償化された」と言われても、0歳から2歳までの子どもを預け、引き続き毎月1万4000円から8万3000円の保育料に苦しんでいる家庭にとっては、全く実感はありません。


加えて、審議の中で3つの問題が明らかとなりました。


第一は、今回の措置が消費税増税を財源としているために、無償化どころか子育て層が負担増になっているという問題です。


とりわけ生活保護世帯や住民税非課税世帯は、現在でもすでに保育料は無料になっています。他方で、総務省の家計調査によると年収200万円以下の2人以上の世帯では消費税が10%に上がることによって、年間2万2000円の負担増となります。子育ての経済的負担の軽減を最も切実に望んでいるこの階層には、いわゆる「無償化」の恩恵は全くなく、消費税増税の負担だけが新たに押し付けられるのです。


わが党はその影響について質しましたが、本市として何の手立ても調査も行おうとしていないことが明らかになりました。


第二の問題点は、給食のおかず代である副食費についてです。


これまで保育料に含まれていた副食費が保育料から外されて実費徴収となります。金額と徴収は園ごとにまかされており、初めは月額4500円が目安だと報じられましたが、実際には平均5377円にも及ぶとされています。教育こども委員会の審議の中では8000円という実例も紹介されました。これ自体が子育て世代には大きな負担になります。また、人手不足に苦しむ保育園側にとっても請求と徴収は新たな事務負担となり、払えない世帯への取り立てを園が行うことになります。これは保護者と保育園の間に新たな紛争のタネが持ち込まれることになりかねません。


そもそも給食を通じた食育は、保育指針にも定められている通り、保育の重要な柱であり、これを保育料の対象外とする、すなわち保育とは見なさないとすることは重大な問題が生じます。保育であるからこそ所得に応じた負担、つまり応能負担となっていた保育料に含まれていたわけですが、これを実費徴収とすることで、単なる商品やサービスと同じ、応益負担に根本から変えてしまうことになります。このようなことを認めれば、保育のための遊び道具の費用や冷暖房費まで応益負担にされかねません。


わが党のこうした問題点の指摘に対して、市長は具体的な反論もなく、国に副食費の徴収をやめるよう求める気もなく、市として独自に新たな負担増を軽減する姿勢もありませんでした。


第三の問題は、企業主導型保育についてです。


今回のいわゆる「無償化」は、企業主導型保育に通う家庭も対象になります。企業主導型保育は、もともと保育士の資格を持った職員が半分でいいなど、大幅な規制緩和がされており、経営体としても子どものことを考えずに突然撤退をするなど、重大な問題が指摘されてきました。


この企業主導型保育をめぐって福岡市を舞台に補助金の詐取事件が起きましたが、逮捕されたコンサルタント会社社長が関与した同系列の保育園では、非常にずさんな経営が行われていたことが、現場の園長・保育士・保護者からの告発でわかりました。


開園までまともにおもちゃや絵本もそろえない、施設の電話代も払わず電話やWi-fiが止まる、保育士の給与は数ヶ月払われないなど、異常な状況でした。それを現場の職員たちが必死でカバーして子どもたちの保育をつないできたのであります。


ところが、福岡市はこうした企業型保育に独自に補助金も出し、立入検査もしているというのに、この施設のここまでひどい実態をつかむことさえできませんでした。調理室に至っては、ワイングラスや大型冷蔵庫など、明らかに保育園の調理室ではなく、設置企業のレストランの厨房として使われていたことがわが党の調査で判明しました。子どもたちには給食は一度も出されず、ずっと業者弁当でした。見ただけですぐわかることが、なぜ立入調査と銘打っている公の調査を二度も行いながら全く見抜けないのか、不思議に思うのは当たり前であります。


本市の立入調査は形だけのずさんなものではないかと質したのに対し、こども未来局長は「適切に実施している」「違反してない」「基準を満たしている」と何も問題がないかのように開き直りました。高島市長は、安倍政権のお先棒を担いで、本市でこの企業主導型保育の旗振り役をしてきましたが、チェック項目さえこなせば目の前でどんなにひどい事態が起きていても知らん顔というのではあまりにも無責任ではありませんか。


わが党は、今回「無償化」の対象になるという企業主導型保育施設についても、立入検査の強化などを求めましたが、市長は全く応じませんでした。これでは児童福祉法に定められた本市の保育に対する責任は到底果たせません。


以上の3点を踏まえれば、今回の一連の議案に賛同することはできません。


多くの子育て世代が求めている、幼児教育・保育の真の無償化のために、子育て世代を直撃する消費税増税を財源とすべきではありません。10月からの消費税増税を中止するとともに、内部留保が449兆円と過去最高を更新した大企業に対し中小企業並みに税金を払わせるなど、大企業・富裕層への応分の負担を求めることで財源を生み出すよう国に迫ることを強く求めておきます。また、副食費も無償にする自治体が全国で100を超える勢いで広がっており、本市でも新たな負担増が生じないよう独自の手立てをとることを、あわせて求めておきます。


以上をもちまして、わが党の反対討論を終わります。


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