2018年予算議会
予算議会を終えて
2018年4月2日 日本共産党福岡市議団
福岡市の予算議会が3月28日閉会しました。高島市長は66件の議案を提出し、わが党は48件に反対しました。
市長の新年度予算と市政運営方針は、ロープウェイ構想に見られる大型開発・規制緩和、高齢者乗車券の縮小検討にあらわれた社会保障解体を特徴として、安倍政権の暴走政治に追随する役割を鮮明にしたものでした。綿貫英彦市議は代表質問で大型開発・規制緩和路線をやめ、市民の暮らしを応援する予算へと組み替えるよう提案しました。
◆ロープウェイ構想の需要根拠がないことが明らかに
星野美恵子市議は総会質疑でウォーターフロント地区再整備に関わって、同地区と博多駅・北天神を結ぶロープウェイ構想について取り上げ、100億円もかかると言われているのに市長が「私の夢」だと言って需要の確かな根拠のないまま進めようとしているとして、構想の中止を求めました。また、「借金が減った」という市長の宣伝とは逆に、大型開発が市財政を圧迫し、前期に比べ借金(市債と債務負担行為の合計)は30億円も増えていることが明らかになりました。
国家戦略特区の規制緩和を使った空港アクセスバス事業で、行政処分に相当する法律違反や事業採算の危うさが生じており、中山いくみ市議は総会質疑でただしましたが、市はその監督は「国の仕事だ」とする無責任な姿勢に終始し、特区事業を使って市長の「知り合い」を優遇している疑惑は深まりました。また、G20にともなう財務相会議の福岡市誘致について、莫大な費用・負担がかかるのに、まともな検証も報告もなく市長が勝手に進めたと批判し、開催地を辞退するよう求めました。
◆社会保障の解体攻撃に反撃――高齢者乗車券の縮小やめよと主張
市長は「税金で全てを解決するのはもう古い」と言って、高齢者乗車券の見直しを検討していますが、縮小に反対する署名運動が広がっています。この問題では代表質問に続き分科会審査でも倉元達朗市議が、縮小せず拡充するよう求めました。
安倍政権と髙島市政のもとで子どもの貧困が深刻な状態にあります。熊谷敦子市議は市が依然として貧困率を公表せず、貧困削減目標も設定しないことを批判し、家賃補助など市の直接支援の充実を提案しました。
介護保険料を制度当初の1.8倍に値上げする市長提案に対し、堀内徹夫市議は、寄せられた市民アンケートの声を紹介し、保険料の引き下げ、負担の軽減などを要求しました。また、安倍政権が過労死レベルの残業基準を認める大改悪をしようとする中で、市内の大企業の半分以上がその基準を超える労使協定を結んでいることがわが党の調査で判明しましたが、市は容認する姿勢を示しました。
教育をめぐっては、教員の長時間・過密労働を解消するために、わが党は「一斉学力テスト」などの不要な業務を削減することや授業時間数の見直しを提起し、教員の抜本増、少人数学級の拡大を要求しました。また、市長の開発政策で人口が膨張するもとで、西区の西都小学校では学校・学童保育がパンク寸前だと告発し、学校の分離新設や開発規制を求めました。
このほか、認可保育所の抜本増と保育士の処遇改善、消費生活センターの営利企業への委託、水道排水管の耐震化促進、市長の出張問題などについて質問しました。
◆国保料据え置き、性的少数者のパートナーシップ制度などが実現
わが党は米朝間の戦争を危惧し、代表質問でもその平和解決を求めてきましたが、3月になって米側から史上初の米朝首脳会談が提案されました。この動きをわが党は歓迎し、危機打開につながることを強く願うものです。
国民健康保険の「都道府県単位化」が強行され、全国で保険料の値上げが起きる中で、福岡市ではわが党の論戦と市民の世論の前に据え置きとなり、介護分は引き下げを実現することができました。保険料は依然として高すぎる水準にあり、引き続き引き下げへ全力をあげます。また、わが党は予算要望や質問で性的少数者のための条例制定を求めてきましたが、新年度からパートナーシップ宣誓制度が創設されました。中高校の部活補助指導者の報酬減額に対して、今議会で党派を超えて批判の声が上がり、市教育委員会は見直しを表明せざるをえなくなり、新年度は従来通り日額3800円を確保することができました。
わが党は学生アンケートに基づいて「ブラックバイト」の調査と対策を昨年福岡労働局に要望していましたが、同局が調査に動き出し、今年3月に調査結果が公表されました。
これらは第一歩であり、大もとの解決に引き続き取り組みます。
◆日米地位協定の抜本的改正を求める意見書が全会一致で可決
わが党も提案会派になった、日米地位協定の抜本的改正を求める意見書、介護・福祉従事者の処遇改善などを求める意見書が全会一致で可決されました。
わが党は障害者の強制不妊手術の被害者補償や有期雇用の無期転換ルールの徹底を求める意見書案を2件立案し、ひえじま俊和市議などが提案理由の説明を行いましたが、自民・公明・みらいなどが反対し否決されました。市民の願いに背を向ける態度は許せません。
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安倍政権のもとでの公文書改ざんが発覚し、「安倍内閣は総辞職せよ」という声が広がっています。高島市長は安倍政権をかばって「総辞職を進言する立場にない」と言いましたが、歴史の流れに背く未来のない立場であり、日本共産党市議団は野党と市民の共闘をすすめ、憲法改悪の阻止をはじめ政治を変えるために全力をあげる決意です。