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議会報告

2018年12月議会

2017年度決算に対する反対討論

 

私は、日本共産党市議団を代表して、2017年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第139号ないし142号、145号、146号、148号、149号、151号、153号ないし163号について認定することに反対し討論を行います。


2017年度は、朝鮮半島でアメリカ・北朝鮮の間の緊張が高まり、もし戦争となれば核兵器の使用も考えられ、福岡市民をふくめ数十万人の一般市民が犠牲となりかねない事態が生じました。安倍政権は平和のために動くのではなく、「戦争法」を発動させ、米国にしたがう戦争準備に勤(いそ)しみました。

また、森友・加計学園疑惑で新事実が次々と発覚し、公文書の改ざんも明らかとなり、民主主義の根幹がゆらぐ重大な問題に発展しました。

安倍政権のすすめる大企業優遇の政策によって、大企業は史上最大の利益をあげ、内部留保は400兆円を超えるまで積み上がり、一握りの超富裕層の資産は安倍政権の5年間で3倍にもなる一方で、働く人の実質賃金は年額で15万円減り、実質消費支出は20万円減りました。安倍政権の5年間で、格差が拡大し、貧困が悪化したのであります。

このような中で、市長は市民の命を守るために、戦争準備をやめ、平和解決に努力するよう日本政府に要求すること、また、公文書の改ざんなど、民主主義の大もとが揺るがされていることを重くみて、市民を代表して国に対して徹底解明を強く迫ることが地方自治体として求められてきました。そして、何よりも、地方自治法に定められた「住民の福祉の増進」のために、国の悪政から市民の防波堤になる役割を果たすべきでした。

しかし、高島市長は、朝鮮半島の危機に対して平和解決を求めず、森友・加計学園疑惑や公文書改ざんでも徹底解明を要求することは一切ありませんでした。そして、国の悪政に対して髙島市長が行ったのは、悪政の防波堤となる地方自治体の役目を投げ捨て、安倍政権に追随して、大型開発や規制緩和をすすめ、市民の暮らしをいっそう貧しくすることでした。

2017年度決算には、その特徴がはっきりと示されています。

破綻した人工島事業など従来からのムダな開発に加え、時間短縮効果のない人工島や福岡空港への都市高速道路の延伸、ウォーターフロント地区の再整備、外国クルーズ船受入のための岸壁整備、「天神ビッグバン」関連への税金投入などといった、新たな大型開発に税金を注ぎ込んでいます。

その結果、地方債現在高と債務負担の合計である将来負担は普通会計ベースで、高島市政発足時の2010年度と2017年度を比べて実に約60億円増えたのであります。

他方で、過去最悪となった保育所の未入所児童、要支援者の介護保険外し、障害者の福祉乗車証の廃止決定など、市民生活への冷たい切り捨てが行われました。

髙島市長は、大型開発や規制緩和をすすめれば都市の成長が起こり、その果実が市民にもたらされると言ってきましたが、実際には市内の法人企業の所得は市長就任前と比べ1.6倍にもなり、市内に本社を置く地元大企業の内部留保は1兆円も増え3兆2627億円に達したのに対し、市民の賃金・俸給や家計の可処分所得は就業人口や総人口の増加にもかかわらずマイナスになっているのであります。年収300万円未満の低所得者層は市内世帯の半分近くを占め、その数も率も高島市政になって増大しました。結局、高島市政2期8年で「都市の成長と生活の質の向上の好循環」は起きず、「福岡が元気になった」どころか、成長の果実は一握りの大企業と大金持ちだけのものとなり、市民は貧しくなってしまいました。そのことが厳然たる数字となって示されたのであります。

このような決算諸議案をわが党はとうてい認定することはできません。

次に、わが党が反対する諸議案のうち、主な問題についてその理由を明らかにしておきます。


第一に、大型開発と規制緩和の問題です。

ウォーターフロント地区の再整備に2017年度2億6261万円、外国クルーズ船受入のための岸壁整備などには10億3626万円をつぎ込んできました。破綻した人工島事業に113億円を投入するとともに、時間短縮効果のない人工島や福岡空港への都市高速道路の延伸には約800億円の事業費を見込み、2017年度も75億円の事業費を投じています。

「天神ビッグバン」関連では2017年度に約10億円が使われ、旧大名小跡地周辺の容積率を最大800%に緩和する条例改定が行われました。これは都市計画法第75条が定める「市町村は、都市計画事業によつて著しく利益を受ける者があるときは…当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる」という規定に真っ向から反し、緩和で恩恵を受ける企業がなんの社会還元もせずに甘い汁を吸うだけのものだと言わねばなりません。

国家戦略特区による空港アクセスバス運行についての規制緩和では、市長の知り合いの企業、いわば「お友達」を優遇した疑惑が持たれました。議会審議の中で、この企業の法令違反が明白になっても、市はなんの改善もしようとせず、「お友達」優遇の姿勢が浮き彫りになりました。


第二に、市民いじめのニセ「行革」の問題です。

2017年度は「行財政改革プラン」の後継プランである「政策推進プラン」「行政運営プラン」「財政運営プラン」が始められました。

敬老金は廃止され、新しい市民いじめ計画では公園・市民センターの駐車場料金の値上げ、生活保護世帯の病院通いや服薬へのしめつけなどが打ち出されたのであります。

中でも許しがたいのは、高齢者乗車券についての廃止・削減の検討が始められたことでした。2017年度は810万円で、凸版印刷に対してその検討の業務委託がなされています。この成果物である報告書には、現在交付されている高齢者乗車券は4年後に廃止され、かわりにインセンティブ、つまり「ごほうび」で釣るポイント制度に移行するシミュレーションが明記されていました。

高齢者乗車券の削減中止を求める市民の署名が約4万筆集まり、市長選挙で大量の棄権票、対立候補の善戦ぶりに驚いた高島市政は、市長選挙直後の請願審査で、制度について「10年、30年先はわからないが、当面事業を継続する」と答えざるを得なくなったのであります。


第三に、社会保障、福祉についてです。

高すぎる国民健康保険料は、介護分を除けば引き下げされませんでした。年所得200万円以下の低所得世帯は86.3%にもおよび、保険証の取り上げ、すなわち資格証明書の発行は政令市の中で2番目に多くなっています。

生活保護については、安倍政権が基準を大幅に切り下げ、市として特に捕捉率を上げる努力をしなかったにも関わらず、保護世帯数は過去最多の3万3662世帯になっており、市内で貧困が広がっていることがわかります。

介護保険については、要支援の利用者の多くを介護保険給付から外して、市の総合事業にして事業所への報酬を大幅に減らしてきました。その結果、本市で119事業所が事業から撤退し、必要な介護が受けられない、いわゆる「介護難民」が生じています。また、制度発足当初と比較して保険料が2倍になっていたにもかかわらず、引き下げの手立ては一切とられず、高すぎて払えない人が厳しいペナルティによって、ここでも必要な介護が受けられなくなっています。

障害者の福祉乗車証の3年後の廃止が決められ、そのプロセスに入ったのも2017年度からであります。廃止までの3年間の経過措置の間についても、障害の程度の軽い人から取り上げたり、重度の人でも所得制限を持ち込んだり、約3000人への交付を切り捨てる大改悪を強行しました。


第四に、保育や子育て、教育についてです。

保育については2017年度当初の待機児童が89人、未入所児童は1812人と過去最悪になりました。今年度も未入所児童数は1471人と高止まりしたままになっています。

学校の大規模改造に使う校舎等整備費、修繕に使う校舎校地等維持補修費は老朽化などが進んでいるにも関わらず、ほとんど増えていません。その結果、危険箇所や老朽箇所は長い順番を待たねば改善されないところが数多く残されています。髙島市政になって一度も拡充されていない少人数学級は2017年度においても広がりませんでした。


第五に、中小企業施策、経済・雇用対策についてです。

中小企業については、2017年度から全面改定された振興条例がスタートしましたが、融資などを除いた中小企業対策関連費は1億4079万円と、一般会計のわずか0.01%にとどまったうえ、条例に「小規模企業者への配慮」が定められたにもかかわらず、いまだに地元の小規模企業への福岡市の発注額・割合について、市は統計さえ取ろうとしていません。

髙島市政は地域経済を元気にする住宅リフォームへの助成制度の創設は拒否し続けました。また、地元の中小企業への発注率が高い生活に密着した公共事業には背を向けています。例えば、市営住宅の新築は2017年度も1件もなく、応募倍率で12.8倍、単身の高齢者・身障者だけ見ると39.8倍にもなっています。

雇用についても、わが党が提案したブラック企業規制条例の制定をしませんでした。


第六に、平和・民主主義に関する施策についてです。

2017年に核兵器禁止条約が結ばれましたが、日本政府は条約への参加に背を向けています。わが党は市独自に政府に対して条約の締結をするよう迫るべきだと市長に求めましたが、高島市長は頑なにそれをやろうとしませんでした。


第七に、交通や住環境をめぐる施策についてです。

福岡空港への民間委託が決められ、これに懸念をもった議会から福岡市の公的関与を強めるために空港への出資が議決され、条例案が採択されたにもかかわらず、市長はこれを拒否しました。それどころか、市議会議員への介入工作を行い、再議によって議会の決定をひっくり返したのが高島市政でした。委託を請け負う企業は、将来的に福岡空港の発着を4割増やすなどと言っており、騒音などの影響から福岡市が関与する必要性はますます高まっています。市の関与を後退させたままの決算は問題があります。


以上、2017年度決算の問題点を見てきましたが、本市が自治体としてなすべきことは、大型開発・規制緩和の経済政策ではなく、地方自治法第1条が定める通り「住民の福祉の増進」の任務にとりくみ、暮らしと福祉対策、教育施策を拡充するなど家計を直接あたためて、地域でお金が回る循環型の経済対策に取り組むことであります。そうすれば税収も増え、さらにムダづかいの大型開発をやめれば、借金を増やすことなく必要な社会保障の財源を確保することが可能になります。こうした市民生活最優先の行財政運営へと抜本的に転換することが求められています。


以上を述べて、わが党の反対討論を終わります。


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