2017年予算議会
市長は地下鉄陥没事故の総合的解明を、貧困対策へ家賃補助・市営住宅新設を
2017年3月8日 綿貫英彦市議の補足質疑
福岡市の予算議会で、日本共産党の綿貫英彦市議が補足質疑を行い、地下鉄陥没事故の問題、福岡市の住宅政策について取り上げました。
地下鉄工事にともなう博多駅前道路の陥没事故では、2010年の検討委託の時点ではシールド工法だったものの、「事業期間の短縮」「建設費を安くする工夫」の視点で報告書が出され、これを受けて2011年の構造計画検討の委託報告ではナトム工法が提言されました。綿貫市議は、市が安上がりで工事期間の短縮という枠をはめたためにナトム工法が採用されたのではないかと追及しました。
また、事故前日にトンネル内圧力計測データが基準を超える異常値を示していた問題では、大成建設JVと市との契約では計測・報告体制があいまいで、異常が放置されていた実態を暴露。市長は事故が起きて3ヶ月もたってからこうした状況を「新聞で知った」などと他人事のように記者会見で述べている問題を取り上げ、原因究明に対する市長の「無関心」ぶりが浮き彫りになりました。
綿貫市議は、原因究明を国の第三者委員会に丸投げするのではなく、ナトム工法の是非や、契約内容の適切さ、市長が「早く・安く」を煽ってきた問題など、総合的に解明する責任が市長にあるとただしました。
また、事故から4ヶ月も経つのに事故被害にあった企業・個人への損害賠償の支払いがほとんど進んでおらず、被害者が苦境に立たされている実態を紹介。直ちに損害賠償を行うよう迫りました。
髙島市長は原因究明については「第三者委員会にお願いしている」と国任せの姿勢に終始。損害賠償については「誠実かつ速やかに」などと実態を偽る答弁を行いました。
住宅政策について綿貫市議は、月収が18万円の母子家庭で、子どもが中学生になり部屋が必要になったため家賃が月6万5000円のアパートに引っ越したケースを紹介。生活費部分が生活保護費以下になってしまい、PTA会合後の懇親会を断ったり、服や食費を切り詰めている実態を明らかにしました。
また、綿貫市議は、非正規の保育士から聞き取りを行い、家賃を払えば生活ができないために、ある園では単身者全員が実家暮らしをしているケースを取り上げました。
綿貫市議は、高島市政の住宅政策には憲法25条がうたう生存権を保障する視点がないことを批判し、「貧困対策や若者の自立支援として、家賃補助を」「市営住宅の新築を」と市に迫りました。
市長は「民間住宅市場全体で対応する」「市営住宅は建て替えを進める」と述べるのみで、家賃補助や市営住宅新設には触れず、「国や他都市の動向を踏まえ総合的に検討する」と答弁するにとどまりました。