2017年予算議会
福岡空港の民間委託やめよ、就学援助は不十分であり増額を
2017年2月20日 中山いくみ市議の議案質疑
福岡市の2月議会が始まり、2017年2月20日、日本共産党の中山いくみ市議が福岡空港の民間委託化に関わる新たな基金をもうける条例案、就学援助を増額する補正予算案について議案質疑を行いました。
福岡空港の民間委託にむけて、第三セクターである福岡空港ビルディング株式会社(空ビル)が解散することを受け、福岡市は出資を引き揚げます。新しくできる新会社は、空港ビルとともに滑走路やエプロンの管理なども引き受けるようになります。福岡市は、引き揚げた株の譲渡で得た約63億円のうち、8億円近くを新たに設置する「福岡空港未来基金」に積み立て、空港周辺の「振興と活性化」に使うとしています。
中山市議は、これまでも空港周辺対策は行われてきたのに、新たな基金を設けて具体的にどのような対策を行うのかただしましたが、港湾空港局長は「滑走路増設など環境変化に対応するため」と述べながら、具体的な対策事業を答えることはできず、経過や設置目的の不透明さが浮き彫りになりました。
また、中山市議は、「空港事業は、土地の確保も日頃の運営も市民の協力によって成り立っており、福岡市民の財産だ」と強調。「それなのに、今回の民間委託は、市として出資を引き揚げて、九電・西鉄・JR九州・九電工などに丸ごと投げ渡し、空港全体を財界のもうけ道具に変質させる」と厳しく批判しました。
さらに、福岡空港で東亜建設工業が滑走路の地盤改良工事で液状化防止の薬液データを改ざんし、「震度6強の地震が起きた場合、滑走路が液状化し、運航できなくなる恐れ」が国から指摘されている事実を示し、民間まかせでは公共性や安全性が脅かされる危険を警告しました。
中山市議は民間委託の中止、運営への市の公的責任を果たすこと、基金条例案の撤回を迫りましたが、市長は、基金については「地元の強い要望」と述べて固執するとともに、民間委託についても「民にできることは民に任せる」と無責任な答弁に終始し、強行する態度を変えませんでした。
就学援助については、入学準備金の単価を国が倍に引き上げたことにともなって、福岡市でも小学校は2万470円から4万600円、中学校は2万3550円から4万7400円に増額するものです。
中山市議は「一歩前進」としつつも、ランドセル、学習机、文具、体操服、上靴など実際に必要なものの価格を調査した結果、小学生で7万円前後必要になること、中学生では制服を含めて9万1518円かかるとする、市内中学校の入学説明資料を示して、「今回の改定では到底足りないのではないか」として、さらなる増額を提案しました。
また、福岡市教育委員会としてクラブ活動を教育の一環として「重要」だと位置づけ、教育計画の中で、経済状況にかかわらず能力や可能性を「最大限伸ばすことができるように取り組む」としているのに、クラブ活動費を就学援助の対象としていないことを追及。年間数万円かかるために、クラブ活動をやめていく現実をつきつけて、対象に追加するよう求めました。
市教委が国の通知に反して生活保護基準の引き下げに連動して就学援助を切り下げた問題では、今年度1250人も認定者が減ったことが質問で判明。市教育委員会はその影響の調査さえしていないこともわかり、直ちに調査をして連動前に戻すよう要求しました。
教育長は増額も項目追加も拒否。保護基準との連動も「適切」と冷たく切り捨てる答弁をしました。
議案質疑では、福岡空港の民間委託化に向けて新たに設けられる基金について、自民党が同条例案の見直しを要求。市民クラブ、緑・ネット、無所属市議からも疑問を呈する質疑が続く異例の状況となりました。