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2017年12月議会
12月議会を終えて
2017年12月20日 日本共産党福岡市議団
福岡市の12月議会が20日閉会しました。
◆髙島市長の規制緩和・大型開発路線と厳しく対決
今議会では髙島市長の規制緩和・大型開発路線が厳しく問われました。
国家戦略特区での規制緩和を利用した空港アクセスバス事業をめぐり、星野美恵子市議が一般質問で取り上げ、市長の「お友達」と言われる業者が異例のスピード選定された問題を9月議会に続いて追及しました。審議の中で、正式決定前に業者が自分に決まったかのような挨拶を特区の会議で行っていた事実や、市が選定事業者の財務状況を調査さえしていない実態などが浮き彫りになりました。
民泊についても、髙島市長は違法民泊の実態調査も根絶対策も取ろうとしていません。安倍政権が進めた民泊新法はこうした違法民泊を合法化しかねず、条例をつくって旅館業法並みの規制をするよう、わが党は一般質問で求めましたが、市長は応じませんでした。市民クラブからも条例制定を求める質問がありました。
市長は旧大名小跡地周辺の容積率緩和の条例改定も提案し、わが党は「天神ビッグバン」の「西の玄関口」として財界の開発要求にそって巨大ビルの林立をまねき大名地区(中央区)の町並みを壊すものだと批判し、議案の撤回を求めました。
さらに、ウォーターフロント地区の開発に関連して、市長は博多駅と同地区を結ぶ「ロープウェイ構想」を打ち上げましたが、わが党はムダづかいとして批判し、与党や無所属議員からも委員会審議の中で疑問の声が上がりました。
こうした市長の規制緩和・大型開発路線のもとで、市内の大企業の内部留保や法人企業所得が大幅に増えながら、市内雇用者報酬や家計の可処分所得は減るなど、一部の大企業だけが栄え、市民は貧しくなった実態が、わが党の一般質問で明らかになりました。
◆市政の重大問題なのに市長が責任を取らない実態が明らかに
今議会では、市全体に関わる大問題を、起案から決裁まで市長が一切関わっていないかのような体裁で責任逃れをしている実態が倉元達朗市議の一般質問で明らかになりました。
ミサイル想定訓練は子どもや民間企業を巻き込む大規模なもので、安倍首相が国会で言及までしましたが、文書上の起案は係長、決裁は局長でした。
屋台問題をめぐるフジテレビの番組に、報道中止を要求しているかのような抗議を行い、さらにBPO(放送倫理・番組向上機構)に訴えてテレビ局側を牽制するなど、市長の気に入らない報道をしたメディアに圧力をかけた問題についても、起案は課長、決裁は部長とされ、市長は関与していないということになっていました。
姉妹都市である釜山市に対しても、日本軍「慰安婦」像が日本総領事館前に設置されたことについて福岡市側が「協議」という名で、釜山市に事実上の撤去圧力を9回も加えていることが判明しました。長年の姉妹都市関係を破壊しかねない大問題でしたが、これについても市長は関与せず総務企画局長が行なっていることになっていました。
これらの重大問題に市長が関与していないなど到底考えられません。市民から強い批判の起きそうな仕事の責任を、部下に押しつけるやり方は絶対に許されません。
◆市営住宅の民間企業管理、南部中継所の廃止の議案などに反対
髙島市長は今議会に39件の議案を提出し、日本共産党は27件に反対しました。
綿貫英彦市議が議案質疑に立ち、中央区・南区にある市営住宅の保守の管理業務などを住宅供給公社から民間企業にかえる議案については、公的責任を投げ捨てて大企業のもうけ口にするものだと批判しました。
新青果市場の人工島への移転統合にともなってつくられた南部中継所は、小売業者などの要望にもとづいて設置され、事前に必要な商品を仲卸業者に連絡して購入する中継点となる施設ですが、市長は同所を廃止する条例改定を提案しました。市側は小売業者の実態も要望も調査せず、改善の手立てを取らずに廃止を打ち出したことが明らかになりました。
わが党は、これらの議案の撤回を求めましたが、市長は拒否しました。
討論で、ひえじま俊和市議が臨海清掃工場の設備更新の契約議案をとりあげ、そもそも過大なごみ処理計画にもとづくうえに、過去に同工場建設の談合で排除された日立造船を選定し癒着・腐敗をそのままにするものだとして同議案に反対しました。また、市職員の給与の条例改定案についても引き上げ幅が小さすぎるとして反対しました。
◆意見書が1件も議会に提案されない異例の事態に
今議会でわが党は国民健康保険の国庫負担引き上げや米軍板付基地の早期返還を求める意見書案を2件立案しましたが、「国庫負担引き上げはタイミングが悪い」「いま基地返還を求めると米軍を刺激してしまう」などの意見が自民・公明から出され、提出するなら反対する動きを示しました。わが党は、客観的には与党を含め一致できる課題であると説得しましたが、与党側は譲ろうとはしませんでした。わが党は否決させるわけにはいかないとの判断で取り下げましたが、その結果、今議会では意見書の提案・採択が1件もないという異例の事態となりました。意見書の提出は地方自治法が定める議会の意見表明権の行使であり、その権利の不行使は市民の切実な要求の実現に背を向けるものです。
この他、わが党は市民と行った学校施設調査(学校ウォッチング)にもとづいて赤坂小・草ヶ江小(中央区)の施設問題を質問でとりあげ、改善が一部実現することになりました。
長住中央公園の「早期再整備」「ソフトボール専用球場の多目的広場としての存続」などを求める請願を「採択すべき」とする提案が本会議にかけられましたが、住民の自主的・自治的な解決を、じっくり時間をかけて行うべきであり時期尚早であるという立場から、反対しました。