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議会報告

2017年12月議会

12月議会反対討論

2017年12月20日 ひえじま俊和市議

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第220号ないし228号、230号および231号、233号ないし241号、243号、245号ないし250号に反対し、討論を行います。

まず、議案第235号、「福岡市中央卸売市場業務条例の一部を改正する条例案」についてです。

今回の議案は、2016年2月に旧青果3市場を人工島へ統合移転することにともない設置された南部中継所について、利用がなくなったとして廃止する条例案であります。

旧青果3市場の統合移転に、小売業者などから「ガソリン代などの経費がかさみ、時間もかかる」などの不安の声があがり、「営業の継続には中継所が必要だ」とする要望が高まりました。その結果、市は小売業者のために、事前に必要な商品を仲卸業者に連絡して購入してもらう機能などを持たせた中継所を設置せざるをえなくなりました。

ところが、市は小売業者の要望や営業実態などをまともに調査することもせず、設置された中継所に対する不満などをよく調べて改善する対策もなんら行わず、ただ「利用が減ったから」廃止を提案したということが我が党の質疑によって明らかになりました。それどころか、“新青果市場が非常にいいものだから、みんな行くようになった”などと開き直るありさまです。

質疑で明らかになったように、もともと市場に登録していた589人の業者のうち1割以上にあたる72人が減った事実、さらに、顧客や市民のために遠くの人工島まで出かけ、赤字覚悟でコストや時間を負担している業者の実態を調べようともしていない事実を、まったく覆い隠した、許しがたい答弁と言わねばなりません。

人工島事業の破綻救済で新青果市場を統合移転し、そのツケを小売業者に負わせる、本議案にわが党は反対します。


次に、議案第245号ならびに246号、「市営住宅に係る指定管理者の指定について」です。

本議案は、2018年度以降の、中央区と南区とに設置されている市営住宅の管理業務の一部について、公募型の指定管理者制度を試行的に導入するとして、選定の結果、中央区で株式会社東急コミュニティー、南区で日本管財・西鉄ビルマネージメント共同事業体を指定管理者として指定するものです。

市営住宅については、2005年度の管理委託制度の開始から、その後の指定管理制度への移行後の現在に至るまで民間営利企業を採用することなく、一貫して福岡市住宅供給公社に業務を委託してきました。

単に住宅を利潤追求の場とする民間市場と異なり、市営住宅は公営住宅法が定める「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与」することが目的であり、管理業務もこの視点が貫かれるはずのものです。

公営住宅の保守管理や緊急・小口の修繕においては、住民の要望や実態をていねいに調べ、トラブルがからめば当事者の意見にじっくりと耳を傾けることが必要になります。時間もコストもかかり、利潤を度外視することもありうる仕事です。もうけ仕事では絶対に務まりません。

本会議でわが党がこのことを指摘すると、住宅都市局長は、民間企業に任せる利点として「アンケートでの改善ができる」などと答えました。アンケートにもとづく改善は公社ではできないのか、全く説明がつかない答弁であります。

結局「人件費で2%程度の縮減が見込める」としているように、管理コストの縮減は人減らしに直結し、それはサービスの低下につながるものだと言わざるを得ないのであります。

選定にあたっての配点を審議の中でただすと、140点満点中、経営能力は40点と最大限に考慮され、地場であるかどうかは10点しかないことが判明しました。新しい中小企業振興条例で定めた「中小企業者の受注の機会の確保に努める」という観点もありません。要するに、大企業にはじめから有利な配点基準にして、大企業のもうけ口を作ってやろうということではありませんか。

このように、市営住宅管理における公共性を投げ捨てて、大企業のもうけ口をつくるだけの本議案を認めることはできません。


次に、議案第236号、「福岡市地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。

本議案のうち、中央区の大名2丁目地区の地区計画については、今回の改定で建築物の最高限度を550%に引き上げ、さらに地区計画での取り組みに応じて250%を加算し、最高で800%にまですることができるものです。

このような規制緩和を行えば、大名のまちに巨大ビルが林立することになり、住民からは「空の見えない街になる」という不安が出されています。そうなれば、140年の歴史を持つ旧大名小学校に象徴される歴史と文化の香り、また、小さな店舗がたくさん並ぶ生活感あふれる活気が失われてしまう恐れがあります。さらに、住民が求めている旧小学校の運動場と同等の広場の確保や、保育園などの建設は、巨大ビル群と開発の前に、なおざりにされてしまう危険もあります。

わが党はこうした問題点を議案質疑の中で高島市長に突きつけましたが、市長は付加価値の高いビルを形成するなどと露骨に推進の姿勢を示し、住民の不安に対しても住民との約束を「より確実に担保するために条例を変える」などと事態を正反対に描く答弁に終始しました。

しかし、これまでの議会審議の中で明らかになったように、保育園については「必ず設置」する施設として扱うことを市側は頑なに拒み、広場についても地域住民の拠点となるのではなく、外からの観光客がごった返す中での単なるオープンスペースに変質させられる危惧がぬぐえません。だからこそ、住民は不安に感じ、市との約束を明確にさせる請願の運動に取り組み、市議会でも採択されたのであります。

大名地区を「天神ビッグバン」の「西の玄関口」として位置づける財界の思惑を具体化し、外からの呼び込みと開発の場とすることによって歴史と文化と生活感とがあふれる大名の街を壊す、本議案をわが党は認めることはできません。


次に、議案第250号、「臨海工場基幹的設備更新工事請負契約の締結について」です。

本議案は、臨海清掃工場において基幹的設備が老朽化したとして、設備の更新工事を行うもので、日立造船株式会社が受注し、契約金額は約60億円に及びます。

もともと臨海工場の「設置目的」について、市は「福岡市の人口増、都市化の増大等を踏まえ、このままではごみ処理量がパンクをするということで、増設をお願いしている」と当時議会で答弁しています。これ自体が、大量生産・大量消費・大量廃棄・大量焼却を前提としたごみ処理計画に基づくものであり、許されるものではありませんでしたが、さらに市は燃やすごみの量が足りなくなって計画の破綻があらわになると、臨海工場へ大野城・太宰府両市からのごみの持ち込みを行うようになったのであります。これは、一般廃棄物の区域内処理原則にも違反し、東箱崎の住民との約束も踏みにじるものでした。

同工場の焼却炉建設工事をめぐっては、談合が行なわれていたことが発覚し、日立造船など5社は損害賠償として20億8800万円余の返還を行い、本市から指名停止処分を受ける事件を起こしています。

このような一連の経過を見れば、そもそも臨海工場自体が必要のない施設だったのに、大量焼却を前提とした過大なごみ処理計画にもとづいて、あえて大企業の仕事づくりをしたのではないかという疑念が市民から沸き起こってくるのは当然です。実際、日立造船は当初のプラント建設からその後の修理・工事、そして今回の設備更新まであわせると、合計406億円もの仕事を手に入れることになります。

ところが髙島市長は、日立造船は前述の談合事件の当事者であり、指名停止処分も受けたことを知りながら、今回もまた同社を選定しました。

福岡市は、臨海工場の工事受注が腐敗や癒着の温床となってきたとする市民の批判を意識して、今回特命随意契約ではなく一般競争入札の方式を取らざるを得ませんでしたが、ふたを開けて見れば見積もりの段階から日立造船だけしか参加してこないという、事実上特命随意契約と変わらぬ結末でした。

議案の審議では、今回のやり方に様々な課題があったことを環境局長でさえ認めざるをえず、「はじめから日立造船ありき」の出来レースを市が準備したのではなかったのかという疑惑は深まりました。市側は過去の本市の環境局長が日立造船の顧問に天下りしたことを今回の委員会審議でも認めたように、市民からは本件に対して癒着・腐敗に厳しい目が向けられており、そのことを直視するなら、抜本的に条件を見直して入札・契約をやり直すべきだと考えます。

よって、わが党は、本議案には賛同できません。


次に、議案第220号、「平成29年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)」のうち、給与費等の減額に関する予算補正、議案第233号、「福岡市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」、および関連する諸議案についてです。

議案第220号にかかわる部分については、期末勤勉手当を0.1ヵ月分引き上げるものですが、本給などがこの間連続的に削減され、今年度までに平均年間給与が1999年度と比較すると年額71万円も引き下げられてきたことを考えれば、今回の期末勤勉手当の引き上げは「雀の涙」ともいうべき増額にすぎません。今議会では教職員の給与の引き上げも提案されておりますが、一般職職員と同様にあまりにも引き上げ幅が小さいと言わざるを得ないものです。

また、議案第233号は、人事委員会の勧告にそって、一般職職員の扶養手当の額の改定などをおこなうものです。

一般職職員の子どもの扶養手当は若干引き上げられるものの、配偶者の扶養手当が半分以下に減らされるものとなっており、打撃を受ける世帯が少なくありません。福岡市では子育て世帯のうち子どもの数が2人以下の世帯は8割を占めており、例えば課長以下で、専業主フのパートナーがいて子どもが2人の場合では、子どもの扶養手当は7000円増額になりますが、配偶者の扶養手当は8500円減額になるので、合計で1500円のマイナスになります。子どもがいない家庭、1人だけの家庭ではさらに減額は大きくなります。

職員からは「妻が月8万円、年103万円を越えない範囲でパートに行っているが、扶養手当が減らされたら、そのぶん働こうにも税控除が受けられない」という困惑の声が上がっています。

委員会審議の中で、わが党は民間企業での扶養手当の動向・実態などをただしましたが、総務企画局はこの減額について、“国の人事院勧告にならった”とするだけで、扶養手当を切り下げるまともな論拠を示すことはできませんでした。

よって、わが党は、職員の給与等に関わるこれらの諸議案には賛成できません。


次に、議案第243号、「天神ふれあい通り自転車駐車場に係る指定管理者の指定について」です。

本議案は、天神ふれあい通り自転車駐車場の管理にあたって、特定非営利活動法人「タウンモービルネットワーク北九州」を指定管理者に指定するものです。

本市の自転車駐車場条例第15条では、「市長は、指定管理者を指定しようとするときは、規則で定めるところにより公募するものとする」と原則を定めていますが、本件は高島市長がこの原則を破って、わざわざ同条項の「ただし、特別な事情があると市長が認める場合は、この限りでない」という例外規定を使い、非公募で「タウンモービルネットワーク北九州」を指定しようとしているのであります。

これまで同団体は天神一帯の5か所3926台分もの公共駐輪場について指定管理者として指定されていました。その上さらに、今回なぜ条例の原則をやぶって公募もかけず、同団体にのみ委ねるのか――わが党は、条例の定める「特別な事情」、また施行規則に定める「一体的に管理する…合理的な理由」の詳細を尋ねましたが、道路下水道局長は具体的な根拠を示すことができず「今回はやむを得ない」と述べるだけでした。

委員会審議では、天神の実態をよく知る地場の業者でなく北九州市の事業者を選んだことや、実績のあるシルバー人材センターを排除するような指定をしていることに、わが党以外の議員もふくめ疑問の声が上がりました。

こうした疑問に市が答えないままでは、わが党は本議案に賛成するわけにはまいりません。

以上をもちまして、わが党の反対討論を終わります。


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