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議会報告

2017年12月議会

2016年度決算諸議案に対する反対討論

2017年12月12日 綿貫英彦市議

私は、日本共産党市議団を代表して、2016年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第172号ないし175号、177号ないし179号、181号、182号、184号、186号ないし193号、196号について反対討論を行います。


2016年度は、安倍政権のもとで安保法制、いわゆる戦争法の施行により憲法違反の新たな「駆け付け警護」の任務が付与され、自衛隊が南スーダンで「殺し・殺される関係」になげこまれました。また、経済の面ではアベノミクスの推進により、大企業の内部留保は史上最高の403兆円にも達する一方で、実質賃金と家計消費の低下が続きました。国民の家計の可処分所得はまったく伸びず、格差と貧困が深刻な状態のもとで、安倍政権は社会保障費の自然増分の削減を強行したのであります。また、国民の多くの反対を無視し、原発再稼働をおしすすめ、熊本地震が起きた後も住民の不安をよそに川内原発を停止させず、さらに玄海原発3・4号機の審査を合格させました。

このような中で、地方自治体に求められたことは、国の悪政から住民のくらしを守る、防波堤の役割を果たすことでした。

ところが、髙島市長が行ったのは、それとは正反対に、安倍政権に追随して、憲法破壊や原発再稼働を容認するとともに、大型開発や規制緩和といった大企業応援・暮らしのルール破壊をすすめ、他方で市民犠牲の「行財政改革」を押し付けるという政治でした。

2016年度決算には、この逆立ちした政治の特徴が如実に表れています。

歳入面では、国の法人税減税による税収空洞化の影響が現れ、本市でも法人市民税収が前年度比8億円減りました。全会計の市債の年度末残高は2兆3435億円に達し、市民1人当たりの借金額は政令市でもワースト3の状況となっています。

歳出面で見ると、全国最悪クラスの借金を積み上げたまま、破綻した人工島事業、効果のない人工島・福岡空港への高速道路延伸、大企業のもうけづくりのためにまちを壊す「天神ビッグバン」やウォーターフロント地区の再整備など、ムダな大型開発と規制緩和を推進しており、異常というほかありません。

他方で、市民の暮らしを守る分野での歳出については、生活保護世帯の下水道使用料の減免制度廃止や、高すぎる国民健康保険料の介護分の引き上げなどを強行し、過去最悪の保育園未入所児童の放置、高倍率のままになっている市営住宅の新設を拒否し続けるなど市民の暮らしを痛めつける中身になっています。にもかかわらず、暮らしを守るために基金を活用することもなく、逆に昨年度から178億円も積み増しています。

このような決算諸議案をわが党はとうてい認定することはできません。


次に、わが党が反対する諸議案のうち、主な問題についてその理由を明らかにしておきます。

第一に、大型開発と規制緩和の問題です。

市長は、破綻した人工島事業に148億円を投入するとともに、ほとんど時間短縮効果のない人工島や福岡空港への都市高速道路の延伸に約800億円の事業費を見込み、2016年度も40億円の事業費を投じました。

大企業のもうけづくりに数千億円もかかるとされているウォーターフロント地区の再整備には、2016年度1億5811万円がつぎ込まれています。地元商店への経済効果がまったく認められないクルーズ船受入関連整備などにも12億円が使われました。

さらに、この年度には「天神ビッグバン」第1号として、「クリエイティブなグローバルトップ企業を福岡に呼び込むため」などというふれこみで、天神1丁目南ブロックに福岡地所株式会社による「天神ビジネスセンタープロジェクト」が動き出し、また、水上公園を事実上つぶして、西鉄に土地を貸す形でつくられたレストランが2016年にオープンしました。こうした「天神ビッグバン」のプロジェクトは、天神地域に大量の人を呼び込んで、渋滞、避難スペース不足、地価上昇による住民・中小業者追い出しなどの弊害をもたらす、容積率の緩和と結びついたものです。

「民泊」の問題でも、市長は違法「民泊」への調査も対策もまともに行わず、それどころか安倍政権に追随し、この年度には市民が住むマンションと「民泊」との混在を認め、フロントの義務付けをなくすなど、市旅館業法施行条例の規制緩和を行いました。違法「民泊」が横行する中で今年は女性に対する暴行事件まで発生し、違法「民泊」を野放しにしてきた市長の責任はまことに重いと言わねばなりません。

また、髙島市長は、国家戦略特区を使って「スタートアップ法人減税」や公園を潰しての保育所建設を開始し、安倍政権のすすめる法人税減税、保育の規制緩和の先兵としての役割を買って出たのであります。さらに「雇用労働相談センター」における「解雇指南」に続き、現在「給料前借り」特区を提案し、労働基準法の労働者保護規定の破壊を目論んでいます。

国家戦略特区の規制緩和を利用した空港アクセスバスの運行事業は、2016年度に事業者の選定が行われましたが、市長の「お友達」と言われる事業者が選定されたプロセスは、提案から認定まで1か月も満たない異例のスピード審査であり、不自然極まるものでした。加計学園疑惑よろしく、国家戦略特区が権力者の「お友達」である特定企業を儲けさせる利権の場にすぎないことが浮き彫りになりました。

これらの一連の政策が示したものは、大企業や特定の企業だけがもうかる大型開発と規制緩和によって、福岡市を「アベノミクスの実験場」とする髙島市長の姿勢であります。

髙島市長は、こうした路線をすすめれば都市の成長が起こり、その果実が市民にもたらされると言ってきましたが、実際には市内の法人企業の所得は市長就任時から1.4倍にもなり、市内の大企業の内部留保は1年で3339億円も積み増して、2兆6139億円に達したのに対し、市内雇用者報酬は減り、給与所得者1人あたりの平均給与収入も実質で年額15万円も下がったのであります。まさに、富み栄えたのは一部の大企業だけ、市民はますます貧しくなりました。

そして、七隈線延伸工事における博多駅前道路の陥没事故が起きたのが、この決算年度でした。繰り返される陥没事故からまともな教訓も引き出さず、事前の専門家の委員会では工事の方法をめぐってさんざん警告をされていたにもかかわらず、市は早く・安上がりにするようにミスリードし、ついにあの大事故を引き起こしました。自らの責任を忘れ「はらわたが煮え繰り返る」と放言した市長の無責任ぶりに多くの市民が呆れ返ったのは記憶に新しいところです。


第二に、「行財政改革プラン」による市民いじめの問題です。

これまでに、同プランによって合計で490億円もの市民サービス切り捨てと市民負担増がおしつけられ、プランの計画期間の最終年度である2016年度の決算においても、猛威を振るいました。

生活保護世帯の下水道使用料の減免制度は、多くの反対の声を踏みにじって同プランにもとづいて廃止が強行され、2016年8月から使用料の取り立てが始まっています。

また、プランがうたう「生活保護適正化」の名目で、現場では無理な就労指導が横行するとともに、「病院を替えろ、行く回数を減らせ」「後発薬を使え」など、専門知識もないケースワーカーが介入して受給者の人権を侵す事態が引き起こされています。

日本中の自治体が生活保護の切り下げに連動させないように就学援助を守ったのに対して、福岡市は大幅な基準の切り下げを行い、2016年度に初めてその影響が現れ、前年度に比べて1256人も認定数が減る形で、低所得の家庭が援助から排除されることになったのであります。

プランで示された「個人給付から事業への転換」という名で、福祉切り捨てが準備され、2016年6月に策定された「保健福祉総合計画」の「『配る福祉』から『支える福祉』へ」というスローガンのもとに、新たな切り捨て路線が始められました。障害者にまともに周知せずいわば「だまし討ち」をするような形で福祉乗車証の縮小・廃止が決定され、「インセンティブ」という名の「ごほうび」をつけて高齢者に分断を持ち込むこととセットで高齢者乗車券の縮小の検討も開始されたのであります。また、地域のボランティア頼みでの移動支援のモデル事業もこの年度にスタートしています。条例で、「多年にわたり社会の進展に寄与してきた高齢者に対し…敬老の意を表わし、その福祉の増進を図ることを目的とする」と定められた敬老金は、この年度を最後に、冷酷に打ち切られました。

こうした福祉切り捨て路線は市長のすすめるムダな大型開発の財源づくりであるとともに、「インセンティブ」や「支える福祉」の思想に見られるように、安倍政権と財界のすすめる、新自由主義的な社会保障解体路線の先取りに他なりません。


第三に、社会保障、福祉についてです。

髙島市政は決算審議でのわが党の追及に対して、「社会保障費を増やしている」などと「自慢」しましたが、2016年度の普通会計決算に占める民生費の割合は20政令市の中では14位でしかなく、高齢化や貧困化が進む中で、全国の努力にくらべてむしろ立ち遅れているのが本市の現状です。

格差と貧困の拡大を防止し、中間層の疲弊の克服のために努力することが本市にも求められましたが、2016年度決算ではその責任を投げ捨てたと言わざるを得ません。

国民健康保険については、加入世帯の86%以上が年所得200万円以下、世帯の年平均所得が73万円しかなく、20政令市の中でも16位と低い水準になっています。市長は負担軽減のための一般会計からの法定外繰入を当初予算から1億円以上も余らせたままにして、国保料の介護分の引き上げを強行し、一人当たりの保険料は2000円も増える結果となりました。全世帯に占める国保証のとりあげ、すなわち資格証明書の発行は、全国の政令市でワースト3になっています。

介護保険については、特別養護老人ホームの整備がすすまず、利用申込者は2194人にも及びそのほとんどは入所できずにいますが、市側は要介護3未満の高齢者は無視して2016年度は300人分しか整備しませんでした。それなのに、「施設は足りている」とうそぶいた上に、調査票が回収できなかった人を「入所を希望した人の数」から外すなど、施設整備で待機者をなくすのではなく、待機者の「帳面消し」に血道をあげる始末です。

生活保護については、本市の保護世帯数は3万3610世帯と過去最多となり、貧困の深刻化が示されましたが、保護費は国の切り下げの影響もあって前年度比で16億円も減るとともに、髙島市長は本市の貧困の実態を調査することさえ拒んでいます。ケースワーカー1人当たりの平均担当世帯数も再び100世帯を超え、国の推奨水準となる80世帯をはるかにオーバーし、十分な対応ができないままになっています。

障害者福祉についても、65歳になるとそれまでうけてきた障害者サービスではなく介護保険による給付に強制的に移行させられる問題の解決や、重度障害者入院時コミュニケーション支援事業やガイドヘルパーによる移動支援の改善は、当事者の切実な願いにもかかわらず、ほとんど前進しませんでした。手話言語条例を求める請願についても、2016年度の審査の場において市側は消極的な姿勢を示し続けました。


第四に、保育や子育て、教育についてです。

保育については、2016年度当初の待機児童が73人、未入所児童は1608人にも及んだものの、これを解消するための保育所新設の抜本的手立てを打たず、小規模保育や保育ママを多少増やすだけで「お茶を濁す」対応に終始しました。また、保育協会に交付してきた保育士の処遇改善の補助金は削ったままにしました。保育園に入れない子をなくそうという気持ちがまったく見られない、市長の後ろ向きの保育政策の結果、今年度当初には、ついに未入所児童が過去最多の1812人に膨れ上がるという事態に陥りました。

教育については、決算に占める教育費の割合は、県からの教員給与の移管分を除けば、史上最低クラスの6%台のままになっています。教育にお金をかけない姿勢の結果、現場のアンケートでも教育効果の高いと評価されている少人数学級の実施・拡大は、小学4年生までで止められたままになり、学校給食調理の民間委託や、「拠点校方式」という名目での学校用務員のリストラなどがこの年度も進みました。

また、教員採用を長年抑制し2016年度は前年度よりもさらに減らしたために、今年度当初で28人、2学期になっても23人の欠員が生じ、教育行政としての基本さえも実行できない事態に陥りました。髙島市政がインフラ整備もしないまま呼び込みと人口膨張の政策を続けた結果、1000人を超える事実上の過大規模校は市内で8校も生じています。


第五に、中小企業施策、経済・雇用対策についてです。

中小企業については、2016年度に中小企業振興条例の全面改定の手続きが行われたにもかかわらず、中小企業対策関連費は1億7727万円と、一般会計のわずか0.02%しかありません。

暮らしに役立つ身近な公共施設の建設や維持補修などの小規模の工事は、大型公共事業に比べて雇用効果が高いことは政府も答弁で認めています。しかし、髙島市政は地域経済を元気にする住宅リフォームへの助成制度の創設は拒否し続ける一方で、「財政運営プラン」において、公共施設の維持更新の費用を、社会保障と並べて「やっかいもの」扱いしています。例えば2016年度末の水道施設の耐震化率は60%、下水道施設は66%にとどまっています。市営住宅の新築は2016年度も1件もなく、応募倍率で11倍、単身の高齢者・身障者だけ見ると32倍で高止まりしています。学校施設についても、わが党は市民団体とともに学校ウォッチングを続け、施設の老朽化や危険箇所を毎年指摘して改善要望を伝えてきましたが、2016年度の学校施設の修理に使う「校舎校地等維持補修費」は前年よりも減らされ、現場は改善の長い順番待ちをしています。

雇用については、2016年度は厚労省が「労働基準関係法令違反に係る公表事案」、いわゆる「ブラック企業」リストを発表し、福岡市では大成印刷、株式会社正信(まさのぶ)、山本建創(けんそう)が企業名を公表され、若い人を使い捨てにするいわゆる「ブラック企業」は福岡市でも深刻な問題となっていますが、髙島市長はこうした「ブラック企業」を規制する条例の制定には背を向けています。


第六に、平和・民主主義に関する施策についてです。

2016年には、市民団体が開いた「平和のための戦争展」について、「特定の主義主張に立脚している」などとして市が名義後援取り消しと「3年間は後援しない」という重い制裁まで科す事件が起こりました。市民の自主的な活動を萎縮させ、表現の自由を脅かすものであり、断じて許すことはできません。

また、「博多港引揚げに関する資料収集を再開し、保管場所の設置や大々的な展示会を実施してほしい」という体験者の切実な訴えに市長は背を向け、非核平和都市宣言や核兵器廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」を市として推進することについても、拒んだのであります。

在日コリアンなどの人間としての尊厳をおかす不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは本市でもくり返され、多くの良識ある市民が心を痛めていますが、髙島市政は実効ある対策の手立てをとらず、事実上こうした言動を放置してきました。


以上、2016年度決算の問題点を見てきましたが、本市が自治体としてなすべきことは、「大企業ファースト」の経済政策ではなく、地方自治法第1条が定める通り「住民の福祉の増進」の任務にとりくみ、暮らしと福祉対策、教育施策を拡充するなど家計を直接あたためて、地域でお金が回る循環型の経済対策に取り組むことであります。そうすれば税収も増え、さらにムダづかいの大型開発をやめれば、借金を増やすことなく必要な社会保障の財源を確保することが可能になります。こうした市民生活最優先の行財政運営へと抜本的に転換することが求められています。


以上を述べて、わが党の反対討論を終わります。


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