2016年予算議会
予算議会を終えて
2016年4月1日 日本共産党福岡市議団
福岡市の2016年予算議会が3月25日閉会しました。
高島市長が提案した6年目の予算案は、安倍政権に追随しつつ、財界優遇と従来型大型開発路線を加速させ、その財源づくりに市民生活を切り捨てる、史上最悪のものでしたが、自民、公明、みらい、市民クラブ、維新などが賛成して成立しました。日本共産党市議団は市長を厳しく追及し、論戦を通じて3つのことが浮き彫りになりました。
安倍政権追随と財界いいなりの高島市政
1つは、高島市政の安倍政権追随と財界いいなりぶりの深刻さです。
星野美恵子団長が代表質問で追及したのに対し、市長は戦争法の違憲性について認めず、また消費税10%への増税も容認して市民に押し付ける態度を示しました。原発再稼働、TPPについても市民に多大な影響を及ぼすにもかかわらず、「国が判断すること」「動きを注視する」というまさに他人事でした。市長自身が議会外で「アベノミクス効果で税収の伸び日本一」と礼賛しているのに、議会では「アベノミクスの評価を一自治体が行うことは適当でない」と局長に答弁させるという破たんぶりがあらわになりました。
わが党は、高島市長が「ふくおかNEXT」「圧倒的福岡時代」を掲げて推進しているウォーターフロント大改造構想や「天神ビッグバン」の無謀な開発路線を批判すると同時に、その財界いいなりのおおもとにある仕掛けを暴露しました。5年前の市長就任直後に、七社会をはじめ福岡財界が名を連ねる「福岡地域戦略推進協議会」(会長は麻生泰九経連会長、高島市長も副会長の一人)が設立され、これが事実上福岡市政を牛耳るブレイン・司令塔となっています。この司令塔がすでに2年前に天神など都心改造の絵を描いており、そのまま実行しているのが高島市長です。さらに市長自身が、規制緩和こそ「行政が行使すべき権限」などと完全に財界の代弁者となっています。
従来型の不要不急の大型開発も推進され、人工島推進予算は新年度155億円(立地交付金含む)、高島市長6年間合計で860億円にのぼります。土地を買った企業に投げ渡す立地交付金は今後の予定を含め173億円に達する異常さです。新たな大型開発として都市高速道路の人工島延伸(292億円)、福岡空港延伸(500億円)が時間短縮効果はほとんどないのに強行されようとしています。こうした計画にわが党は反対しました。
「成長」「好循環」論の破たん
2つは、高島市政の「都市の成長と生活の質の向上の好循環が動き始めた」論が破たんしたことです。
高島市政のもとで大企業が儲けを1・5倍に伸ばす一方、労働者の所得は逆に減少した――わが党の追及に対し、市長は都合のよい数字を並べて反論を試みましたが、「成長」したのは大企業だけで、格差と貧困が広がり、トリクルダウンの考えに立った「人も企業も呼び込む」路線は行き詰まって大失敗したことが論戦で明らかになりました。こうした事実をかくし、「成長の果実を子どもと高齢者へ」とウソの看板をかかげて市民犠牲・切り捨て路線をさらに進める市長を批判し、転換を求めました。
子どもの貧困で論戦、通院無料の修正案
3つは、市民の立場から堂々と論戦した日本共産党の値打ちが光ったことです。
政治の重要課題となっている貧困問題にどう立ち向かうかが論戦の焦点となりました。福岡市の子どもの貧困率は23・6%とほぼ4人に1人と深刻です。ところが高島市長は貧困打開どころか、就学援助基準を引き下げて4月から1700人を対象から外して1人当たり7万4000円も奪い取ること、長年続けられてきた生活保護世帯への下水道料金減免を根拠もなく廃止して年数万円の負担増を押し付けること、高齢者乗車券と敬老金カットをねらうことなど、貧困にある子どもと高齢者にとんでもない仕打ちを強行しようとしています。わが党は市民の声を突き付けて論陣をはりました。
国政も揺るがしている保育所待機児問題では、福岡市でも4月からの入所が決まっていない子どもが第一次発表時点で2400人もいることが明らかになりました。わが党は、認可保育所の新設を本気で取り組まず詰め込みなどでごまかしてきた福岡市の姿勢を批判しつつ、保育の緊急の手立てを取ることと保育士の抜本的賃上げを要求しました。
子ども医療費助成については、市長の提案が通院費助成に「自己負担」(医療機関ごとに3歳~就学前は毎月600円、小学生は1200円)導入という改悪を含み、対象拡大も小6までにとどめたものだったため、わが党は自己負担導入の中止、中学3年まで完全無料化のための修正案を他会派に呼びかけて3会派共同で提案しました。この修正案に市民から歓迎の声が寄せられましたが、自民、公明、みらい、市民クなどはまともな意見も述べずに反対し、否決してしまいました。6万超の署名にこたえてがんばったのはどの党かが浮き彫りになりました。
介護職の賃上げ求める意見書など可決
「スクールソーシャルワーカーの配置に関する予算増額を求める意見書」「介護職員の処遇改善を求める意見書」(以上2件、共産党立案)、「児童虐待防止対策の抜本的強化を求める意見書」「奨学金制度の充実等を求める意見書」(給付奨学金など)のすべて全会一致で可決されました。
予算議会後、福岡市民クラブ(民進党系)と社民市政クラブが合流して統一会派を組み、9名の単独第3会派になりました。
日本共産党市議団は今年度も高島市政を徹底追及し、市民と共同して要求実現に全力をあげるとともに、夏の参院選での勝利・躍進を勝ち取るため奮闘します。