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議会報告

2016年6月議会

6月議会反対討論

2016年6月22日 ひえじま俊和議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第125号ないし129号、133号に反対し、討論を行います。


まず、議案第127号、福岡市介護予防・日常生活支援総合事業の実施に関する条例案についてです。

本議案は、要支援1・2の方を対象に、これまで全国一律に介護予防給付で提供されていた訪問介護と通所介護という2つのサービスについて、市町村が実施する、新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」に移行させるための条例案です。

訪問型サービスについて、もともと支援が必要な高齢者の家事援助は、家政婦の仕事とは違い、残っている身体機能を向上させるために、いっしょに調理をしたりしながら、心身の介護度の進展状況などを見守るという大事な役割がありました。

しかし、新たに設けられる「生活支援」では、対応職員は専門職であるヘルパーの資格を不要として身体介護と切り離し、掃除・買物・調理・洗濯などへの支援だけを引き受けるものになります。これでは、ヘルパーとしての専門性の視点が失われ、利用者の微妙な変化に気づかず、状態が悪化していく恐れがあります。

通所型サービスについても、機能訓練指導員などの専門職の指導のもとに利用者1人あたり3平方メートル以上が必要という基準がありましたが、新しい「生活支援」サービスでは、この基準をなくし、明確な基準のないスペースに利用者を押し込んで、専門職でもない人が指導することになります。専門的視点のない体操やレクリエーション指導は、効果のない非科学的なものになったり、状態の悪化や事故につながる危険もあります。

わが党は議案質疑の中でこのような点をただしましたが、当局からは、こうした懸念を払拭する明確な答弁は得られませんでした。

しかも、訪問型も通所型も、利用者の負担が「3割引」になることをうたい文句にして利用者を「安上がり」なサービスへ誘導しようとしています。また、事業者への報酬も同様に「3割引」にされてしまいます。このように、今回の議案は髙島市長が「費用の効率化」を掲げて、安倍政権の介護保険改悪に追随したものに他ならず、高齢者や事業者を苦境に追い込むことは明らかです。このままでは要支援の人の中から、必要な介護サービスから巧妙に排除される人が生まれる、「保険あって介護なし」という状況が生じかねません。

したがって、わが党は、安上がりで無責任な「総合事業」を介護サービスに持ち込む本議案に反対いたします。


次に、議案第133号、埋立造成地の処分についてです。

今回議案は、人工島みなとづくりエリアの2.1ヘクタールの港湾関連用地について、公募の結果、株式会社松岡に分譲することを決定するためのものであります。

市は、今回の分譲額は27億円で、2012年3月の見直し計画の設定単価9万7000円を上回る額、約12万9975円で売却できたと自慢しています。

しかし、実際には27億円の半分近くの13億2000万円もの金額が、立地交付金として松岡に渡されることが判明し、松岡が支払う額は実質13億8000万円、平米単価に直すと6万6432円にすぎないことが審議の中で明らかとなりました。すなわち立地交付金という市民の税金を原資とする公金を投入して、ようやく「売れた」という体裁をとったにすぎません。

みなとづくりエリアは、計画に対し実績が20億円余も下回る状況になっています。さらに、今回分譲では、土地の鑑定価格は平米単価9万6900円とされ、高島市長になって見直した2012年の計画の基準単価9万7000円を、早くも割りこむ事態となりました。

これらの事実は、高島市長の人工島事業の破綻を端的に示すものであり、わが党は立地交付金という市民の税金を使って進出企業に土地を安売りする本議案を認めることはできません。


次に、議案第128号、福岡市農業委員会の選挙による委員の定数等に関する条例等の一部を改正する条例案についてです。

本議案は、安倍政権の農業委員会法の改悪によって、農業委員会の委員が公選制から市町村長による選任制に改められたことにともなうものです。

複雑な歴史・利害が積み重なった農地をどう利用するかは、農業者が一番よく知っています。だからこそ農業者による公選制に大きな意義がありました。ところが、今回の法改悪は、公選制の廃止、定数の大幅削減に加え、農民の地位向上や意見の建議を法律から削除してしまっており、農地の番人である農業委員会の役割を後退させ、農地の最適化、すなわち流動化と集約化だけを行う行政の下請機関に変質させるものに他なりません。福岡市でも公選制の廃止を望む声などは農業者から全く上がっていないことが審議の中で明らかになっています。

よって、農業委員会制度を骨抜きにする法改悪と一体の本議案に賛成するわけにはいきません。

以上でわが党の反対討論を終わります。

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