トップ > 議会報告 > 2016年12月議会> 12月議会の反対討論

議会報告

2016年12月議会

12月議会の反対討論

2016年12月22日 ひえじま俊和議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第189号ないし201号、および203号ないし205号、207号ないし212号、216号ないし222号、224号ないし228号、233号、234号、ならびに237号ないし239号に反対し、討論を行います。


まず、議案第189号、一般会計補正予算案についてです。

今回、港湾改修費の中央ふ頭地区岸壁改良工事等として11億5,500万円の直轄工事負担金が計上されております。これは、大型クルーズ船を中央ふ頭に同時に2隻着岸できるようにするためとして、岸壁を幅20メートル、長さ140メートルにわたって延伸するもので、岸壁建設だけで国費を含めた総事業費は23億2,000万円にものぼる大型公共工事であります。また、クルーズ船対応として地行浜の公園をつぶして新たにバス駐車場を公共整備する予算も計上されています。

わが党は議案質疑で、クルーズ船が同時に2隻入港する場合でも箱崎ふ頭を使用して「お断り」せずに対応ができており、新たな岸壁整備は必要ないこと、そもそも外交や経済の動向に強く影響される外国クルーズ船の寄港回数が今後も増え続ける見通しはないことについてただしました。しかしながら、高島市長は「大幅な機会喪失が生じている」などと事実に反する答弁を行い、あくまでもクルーズ頼みの姿勢を変えようとしていません。

この間指摘されているように、クルーズ船による地元経済効果は極めて限定的なものであり、とくに商店街など中小零細業者の仕事を増やすことには何も役に立っていないこと、それどころかバス不足や交通渋滞など市民生活に影響をもたらしていることなど、問題だらけであります。結局、外国クルーズ船の一時的な増加を口実にして、中央ふ頭の新たな埋め立てとウォーターフロント再整備を前に進め、ゼネコン・マリコン、大企業の儲けづくりをしたい、こんな高島市長の財界奉仕は許されません。身の丈を超えるクルーズ船呼び込みはやめて、新たな岸壁整備などは中止すべきです。

また、都心部のまちづくり推進として、天神明治通り地区の地下通路の整備補助3億6,000万円の追加補正が計上されています。これは、「天神ビッグバン」の一環として、福ビルやその東側の新しく建つビルの地下フロアーと接続させる「地下街」を造るもので、総事業費16億円のうち8億円を国と市が負担するものです。このような西鉄や福岡地所などに便宜を図る公金投入は許されません。

したがって、わが党は一般会計補正予算案に反対します。


次に、議案第238号、埋立造成地の処分についてです。

今回議案は、人工島のまちづくりエリアのセンター地区の約6万7,000平方メートルを約72億円で特定目的会社に売却するものです。博多港開発工区部分とあわせて7.5ヘクタールに大型の商業・ホテル複合ビルが建設される計画です。この間、人工島の土地売却は大幅な単価引き下げで売れば売るほど赤字が膨らむ最悪の事態となっておりますが、今回も平米単価は10万8,000円と当初計画を大幅に下回っております。さらに、本市は同会社に対して企業立地交付金の人工島特別枠として30億円もの税金を投げ渡そうとしています。雇用も正規か非正規か分からず、特定目的会社に関わる民間企業と銀行の儲けのために市民の税金を投入するなど認められません。

したがって、破たん救済の税金投入とセットの人工島土地処分にわが党は賛同できません。


次に、議案第203号、グローバル創業・雇用創出特区推進条例案、および議案第205号、市税条例改正案、ならびに議案第204号、地方活力向上地域における本社機能の整備促進条例案についてです。

特区推進条例案と市税条例改正案については、国家戦略特区の企業優遇策として、「先進的なIT」など5分野について、市内で創業した企業に対し5年以内の法人市民税法人税割を全額免除することが柱となっています。また、いわゆる本社誘致条例案については、本社機能を市内に移転した企業を対象に、建物などの固定資産税を1年目はゼロにするなど3年間にわたり大幅減免するものです。

わが党は、これらの企業減税によって、一部のグローバル企業や大企業の系列会社だけに減税することになるのではないか、企業誘致が進む効果も正規雇用拡大の効果もないのではないかと質しましたが、当局は否定できませんでした。また、一部企業に対する減税がなぜ「税源のかん養」になるのかについて、明快な答弁はありませんでした。グローバル企業や大企業を応援してやれば地域経済が活性化するというのは幻想であり、地元中小企業・零細業者はビジネスチャンスが広がるどころか逆に仕事を奪われることになりかねません。さらに、不安定・低賃金の非正規雇用を増やすことになるのは、この間の事実がすでに証明しています。結局、安倍政権が「世界で企業が一番活躍しやすい国」を掲げて狙っている法人税減税への道を開く先兵としての役割を、高島市長が買って出たということに他なりません。さらに、特区推進条例案には、特区による規制緩和の対象となる企業に対し、市が「情報の提供その他の必要な支援を行う」ことも盛り込まれており、市長が気に入る企業に何でも支援できる根拠を条例化することは認められません。

したがって、法人市民税の免除など税の公平性をゆがめ、一部企業を特別扱いする特区推進条例案などに、わが党は反対します。


次に、議案第207号、建築物における駐車施設の附置条例改正案、および議案第208号、自転車等駐車場の附置条例改正案についてです。

これは、天神などの民間ビルに設置が義務付けられている駐車場の台数を一定の条件を満たせば減らすことができるようにするものです。駐輪場についても、店舗などへの設置義務の基準を改悪しようとしています。

当局は、ビル建て替えに伴い附置義務台数が増えれば都心部への自動車の流入が増え交通渋滞をひどくするなどと説明しますが、そもそも「天神ビッグバン」として30棟もの民間ビルを建て替えて床面積を1.7倍にするなどという計画をやめれば、新たな交通渋滞の心配はなくなります。また、放置自転車が減ったから附置義務を軽減するというのは道理がありません。結局、ビル建て替えにあたってできるだけ多くの収益を得たい大企業から要求されて規制緩和をしてやるだけです。このような財界いいなりの市政は改めるべきであります。

したがって、わが党は駐車場と駐輪場の附置義務の緩和に反対致します。


次に、議案第211号ないし229号の公の施設の指定管理者の指定19件についてです。

わが党は、市民共有の財産である公の施設は直営を基本にするよう要求してきました。公共施設の管理運営を数年交替で民間営利企業に委ねれば、儲け道具に変質させるとともに、市民サービスの低下、個人情報の漏えいの危険、現場労働者の非正規化・賃金カットなどが懸念されることを指摘し、見直しを求めてきました。しかしながら、今回提案されている19件のうち14件が民間営利企業を指定管理者に指定するものであります。とくに、南体育館、博多体育館、博多市民プール、南市民プール、早良市民プール、城南市民プールの6つのスポーツ施設の指定管理者に選定されたのは西鉄グループ企業であります。一方で、公益財団法人福岡市スポーツ協会は非公募とされた中央体育館を除き今回すべて外されました。

委員会審議でわが党は、指定管理者の変更に伴って現場労働者の雇用や賃金水準が守られる保障があるのかと質しましたが、把握さえしようとしない当局の態度は許されません。そもそも、選定基準の審査で「経費削減の努力」を企業に求めること自体、賃金カットを誘導するものに他なりません。地域交流センターは、社会教育と自主活動の場を市民に提供する施設であるにもかかわらず、今回の選定基準に、市長お気に入りの「にぎわいの創出」という視点を持ち込んだことも、管理運営のあり方を恣意的にゆがめるものであり問題です。

したがって、公募という競争原理の導入によって公的団体を排除し、公共施設を儲け道具に変質させる、西鉄など大手企業を指定する諸議案にわが党は反対致します。


次に、議案第209号、学校職員の給与条例改正案、および議案第210号、県費負担教職員の給与負担等の権限移譲に伴う関係条例の整備についてです。

指定都市の市立小中学校と特別支援学校等の教職員の人事権は市にありながら、その給与等は県費負担となっている、いわゆる「ねじれ」を解消し、教育行政に関する権限と責任の一致を図るため、来年4月から県費教職員の指定都市への権限移譲が実施されます。これにより、教員配置を市の裁量で決定できるようになり、少人数学級を拡充する条件が広がるなど、教育環境の改善が期待されます。本市においても、教育現場で苦労している教職員が安心して働けるよう、労働条件も教育環境も改善する必要があります。

総務省は、この権限移譲に伴って現場に混乱を招かないよう通知を出しております。これに従えば、少なくとも現状維持が求められます。

ところが、本市教育委員会は給与水準の引き下げは行わない一方で、その他の労働条件は本市の制度に合わせるとして、通勤手当や校長手当、懲戒処分、休暇制度について、多くの点で現行と比べて引き下げ、改悪をしようとしています。これが実施されれば、例えば特急や高速道路を利用して遠距離通勤している人の通勤手当が大幅に減ること、校長の退職手当が最大で60万円の引き下げとなることなど、不利益をこうむる教職員が生まれることになります。また、病気休暇の有給期間を現行の最大180日から原則90日に短縮することは厳しい内容です。さらに、懲戒処分の減給と停職については高島市長のもとで厳罰化された本市職員と同じ内容に合わせるものとなっています。

したがって、教職員の労働条件等の改悪を含む内容となっている関係議案に、わが党は反対致します。


以上で、わが党の反対討論を終わります。


>>>「2016年12月議会」トップへ戻る

>>>「議会報告」一覧ページへ戻る

政策と活動
議員の紹介
トピックス
議会報告
市議会ニュース
リンク
お問い合せ

↑上へ