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議会報告

2016年12月議会

2015年度決算諸議案に対する反対討論

2016年12月14日 倉元達朗市議

私は、日本共産党市議団を代表して、2015年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第142号ないし145号及び147号ないし153号、155号、157号ないし163号並びに166号について反対討論を行います。

周知のとおり、昨年度、安倍政権は国民の強い反対世論を無視し、立憲主義を壊して、安保法制=戦争法を強行し、憲法が禁じる海外での武力行使を可能にして「戦争する国」づくりへと突き進むと同時に、沖縄への米軍新基地建設の押し付け、環太平洋連携協定・TPPの秘密協議、無責任な原発再稼働など、民意に反する暴走政治をいっそう推し進めました。アベノミクスのもとで、手厚い応援を受けた大企業は2年連続で史上最高の利益を更新した一方、労働者の実質賃金は3年間でマイナス5%となるなど、格差がますます拡大し、若者にも高齢者にも子育て世代にも貧困が広がる深刻な事態となったのであります。

本来、地方自治体の役割は、住民の生活と福祉を守ることであります。国の悪政に対し、市民の立場からきっぱりモノを言い、市民生活を守る防波堤となること、また、市民の暮らしと中小企業・業者の営業を支える景気対策で地域経済を活性化させることこそ求められています。

ところが、高島市長の昨年度決算を見ると、安倍政権と一体となって大企業応援のアベノミクスに追随し、「アジアのリーダー都市をめざす」「人と企業を呼び込む」などと言って、ムダづかいの大型開発と規制緩和路線に大きく踏み込み、さらに、その財源づくりのために「行革」を口実にした市民負担増と福祉・教育の切り捨てを次々と強行したというのが、最大の特徴となっています。福岡市版アベノミクスとして高島市長が推進する「グローバル創業・雇用創出特区」は、外国企業の呼び込みと創業促進を口実に、雇用など様々な市民を守るルールを壊す規制緩和を進め、また「天神ビッグバン」などと称して大規模なまちこわしを進めるものに他なりません。人工島事業の破たん救済に毎年100億円以上もつぎ込み、無謀なウォーターフロント再整備の具体化を進め、福岡空港の第2滑走路計画、500億円もかける都市高速道路の空港延伸もあわせて、これほどの大規模なプロジェクトを複数同時に推進したのは高島市長だけであります。

高島市長は「都市の成長と生活の質の向上の好循環が動き始めた」などと強弁していますが、市内大企業の税収が1.5 倍になる一方で市民の平均給与収入や市民一人あたりの家計の可処分所得がマイナスになっているというこの間の経済指標で明らかなように、「都市の成長」論は根拠がなく神話に過ぎないことが明白になりました。西鉄など福岡財界7社会が描いた構想を忠実に実行し、大企業の成長を応援する市政を続ければ生活の向上どころか貧困と格差は広がる一方であります。

市債残高は減少傾向にあるとはいえ、3会計合計で2兆3,796億円、市税収入の8年分以上もあり、市民一人あたりで政令市最悪水準の147万円と、本市の借金財政は依然として深刻です。高島市長の開発路線のもとで、数年後には市債残高が増加に転じる危険があります。

いまなすべきことは、大企業ばかり儲ける経済政策ではなく地元中小業者を応援すると同時に、暮らしと福祉対策、教育施策を拡充するなど家計を直接あたためて、地域でお金が回る循環型の経済対策に取り組むことであります。そうすれば税収も増え、さらにムダづかいの大型開発をやめれば、借金を増やすことなく必要な社会保障の財源を確保することが可能になります。こうした市民生活最優先の行財政運営へと抜本的に転換すべきであります。

以上述べてきたように、2015年度決算は、ムダな大型開発と財界奉仕の規制緩和で、財政破たんの道をひらく一方、福祉、教育の削減と行政責任の放棄など市民に冷たい内容が基調となっており、わが党はこのような決算諸議案を認定することはできません。


次に、わが党が反対する諸議案のうち、主な問題についてその理由を明らかにしておきます。


第1は、「行革」の名で福祉切り捨てと市民負担増を進めたことであります。

高島市長が策定し実行してきた「行財政改革プラン」は、103項目にわたって歳出削減などをねらったものですが、その多くは福祉、医療、教育、文化など市民サービスを切り捨て、また市民の負担を増やすものです。昨年度、生活保護世帯の下水道料金減免制度の廃止を決定し、今年6月分から実行され、3億4000万円もの新たな負担増が押し付けられましたが、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を奪ったもので、決め方も根拠も何の道理もありませんでした。生活保護受給者に対する無理な就労指導や、病院や薬を選ぶことさえ認めない医療扶助削減によって、人権を傷つけていることは問題です。また、市立幼稚園は保護者負担が比較的軽く、幼児教育のニーズにこたえているにもかかわらず、市教委が「役割は終わった」などといって全て廃園する決定を、関係者や地域の切実な願いを踏みにじって強行しました。市営渡船志賀島航路の経費削減と称して地域住民の反対の声を押し切って大岳渡船場を廃止しました。

さらに、低所得の家庭の子どもが対象となる就学援助についても、国の通知の趣旨に反して生活保護基準の引き下げに連動させて基準を改悪し、千数百人もの児童生徒をはじき出しました。これらに見られるように、本来であれば行政が手を差し伸べなければならない生活困窮の市民や地域住民、子どもたちを狙い撃ちし、切り捨ての対象にしたのが高島市政なのであります。

行革プランの狙いは、市民犠牲の上に生み出した財源を大型開発や呼び込み誘導策へ振り向けることに他なりません。市長は来年度、新たな「財政運営プラン」を策定しようとしていますが、開発行政のムダづかいは「聖域」にしながら、市民には「受益者負担」、「効率化」と言って、高齢者乗車券や敬老金の縮小・削減など、高齢者いじめをたくらむことは許されません。また、人口が増えている中でのこれ以上の公務員削減、非正規への置き換えは市民サービスのいっそうの低下を招くものです。


第2は、福祉と社会保障の充実を願う市民に背を向けたことであります。

国民健康保険については、本市の国保世帯の平均所得が約87 万円、所得200 万円以下の低所得者がその約86%を占める中、所得233 万円の3 人世帯で約42 万円、122 万円の1 人世帯で約20万円など、異常に高い保険料が「払いたくても払えない」事態を生み出し、保険料滞納世帯が国保世帯の20.4%にのぼっています。その最大の問題は、一般会計繰入金の法定外繰り入れを、昨年度決算で12億円も減らしたことにあります。治療費が窓口全額自己負担となる「資格証明書」交付世帯9,130 世帯に加え、期限を区切った「短期証」の発行が2万6,002 世帯と、実に滞納世帯の62.4%にも上る全国最悪となる中、受診を我慢して重症化・死亡するなど許されない悪循環を引き起こしています。

介護保険についても、市民税本人非課税世帯でも年額69,256 円など高すぎて悲鳴が上がっています。サービス給付は極端に抑制し、特別養護老人ホームの待機者は約5,000 人にのぼり、老老介護や家族の介護離職を生み出すなど、まさに「保険あって介護なし」の実態は深刻です。国の介護報酬減額などによる事業所廃業も相次ぎ、また介護労働者の低賃金状態を改善する市独自策もありません。

後期高齢者医療制度の高い保険料、減らされ続ける年金も高齢者を苦しめています。障害者福祉の施策は他都市と比べて遅れた水準にとどまったままです。地域の高齢者が買い物難民となっているのに、生活交通の確保の取り組みはまったく足りていません。民生委員の活動費について国が増額の措置をしたのに据え置きました。また、低所得者の入居希望が多いにもかかわらず、市営住宅を増やさない態度は問題です。高齢者や障害者、ひとり親家庭に対する負担軽減のため、公共料金等の福祉減免の創設が求められるところですが、市長は拒否しています。貧困の広がりが社会問題となっていますが、本市は貧困の実態調査さえ行っていないのであります。こうした弱者に冷たい姿勢を改め、福祉と社会保障の充実、貧困対策の強化を図るべきであります。


第3は、保育・教育・子育て支援を後退させ、現場に困難をもたらしたことです。

共働きしなければ生きていけない世帯が増えるなか保育需要がますます高まり、保育所に入れなかった未入所児童は昨年度当初1,532人にのぼったものの、保育所の新設は不十分でした。詰め込みや認可保育所新設以外の手法に頼る高島市政のやり方は破たんしています。公立保育所を減らしたこと、民間営利企業の参入を進めたことも、保育の質の観点からみて問題です。保育士の処遇に直結する保育協会補助金5億円については、当初、予算化していたにもかかわらず、補正までして問答無用にカットしたやり方はまさに異常でした。誇りとやりがいを持って働く保育士の低すぎる給与を抜本的に引き上げる手だてをとるとともに、保育所を大幅に新設して、詰め込みやマンモス園の解消を図りつつ、待機児をなくすよう対策を急ぐべきです。

教育費については、一般会計のわずか7.04%にとどめたために、用務員配置を縮小し、老朽化や破損した施設の改修が先送りされ、少人数学級の拡充もせず、劣悪な教育環境を放置しました。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置も必要な水準に達していません。「世界に羽ばたく人材育成」などとして英語教育をことさら強調し低学年に拡大するなど、発達段階を無視するやり方は教育の目的から逸脱するものであり、市長の政策を教育に持ち込み歪めることは許されません。また、図書館については本市の人口当たり図書館蔵書数が政令市最低レベルとなっています。教育予算を大幅に拡充すべきです。

子どもの医療費助成については、市長が昨年度拡充を検討したものの、無料だった3歳から就学前までの通院費を1医療機関あたり毎月600円の窓口負担の導入という制度後退を決定し、今年10月から実施され、子育て世代の怒りを買っています。18歳までの子どもの居場所として欠かせない児童館は本市にたった1か所しかないのに、建て替えられた中央児童会館が商業ビルの一部に押し込められてしまったことはまさに異常です。

子どもの権利条約に基づき、子どもの貧困を打開し、すべての子どもの健全な発達を支えるため、行政の役割をしっかりと果たすべきであります。


第4は、国家戦略特区をテコに財界奉仕の大型開発と規制緩和でまちこわしを推進したことです。

高島市長が力を入れる「天神ビッグバン」については、高層ビルへの建て替えを促進させるとして容積率緩和などのサービスを決めました。しかし、床面積を1.7倍にする目標を掲げ、人と企業をこれまで以上に天神に集中させることは、地震などの防災上も、公共インフラ整備の点からも無理があります。その公共整備の第一弾として「東のゲート」、水上公園に、法と条例をねじ曲げ、本来なら建てることができない規模のレストラン施設を建て、事実上公園機能をなくしてしまいました。平米単価わずか900円で西鉄に貸してボロ儲けを保障したのであります。さらに、「西のゲート」の大名小学校等跡地では、運動場規模の広場や校舎の一部を保存するという住民と市長との正式な約束に責任を持たず、開発業者に丸投げしたプランを公募し、西鉄グランドホテルの巨大化プランも明らかになりました。このような住民無視、異常な財界・西鉄いいなりの開発計画は許されません。天神ビッグバンは、交通渋滞、避難場所の減少、地価高騰による住民や商店追い出しなど、市民の命と暮らしを脅かすとともに、地下通路の設置や新たな天神通線の整備等々への公費の投入で市民に莫大な借金を押し付けるものであり、直ちに中止すべきです。

ウォーターフロント再整備については、中央ふ頭の埋め立て延伸と大型クルーズ船対応岸壁の整備、初めて運営権方式を導入する第二期展示場や新たなホールの建設、それらを結ぶ道路の付け替えなどを推進し、民間企業からの開発プランを募集しました。民間提案には統合型リゾート、すなわちカジノ構想も含まれています。このウォーターフロント再整備に一体どれほどの税金を投入するのか、市民に一切明らかにしないまま、「MICE施設が足りない」「にぎわい」が大事などと適当な理由を付けて突き進むのはまったくの無謀という他ありません。

人工島事業は昨年度、新青果市場整備と企業立地交付金を含め218億円もの事業費を投じ、人工島推進予算は高島市政の6年間の累計で977億円に達しました。市長は土地分譲が順調に進んでいるかのように宣伝していますが、その実態は、建設単価さえも下回る単価引き下げと、立地交付金のサービス付きでようやく売却しているにすぎず、また、全体の4割もの土地を市と住宅供給公社が税金・公金で買い取っているのであります。立地交付金としてほぼ無条件で42社に投げ渡す税金は合計218億円にもなります。人工島への都市高速道路の延伸、新体育館や野鳥公園などの公共整備、住宅開発への補助金303億円も破たん救済の税金投入に他なりません。完全に破たんした計画にしがみつき、必要のない土地を造り続け、破たん救済に何でもかんでも税金を投入するやり方はきっぱりやめるべきです。

あわせて、九州大学箱崎キャンパス跡地や青果市場跡地、学校跡地など貴重な公共用地を安易に民間に丸投げするやり方は許されず、住民の要望にこたえて公的利用を最優先にしたまちづくりを求めるものであります。


第5は、経済対策が中小企業応援でなく「呼び込み」型に偏重していることです。

市内の企業の98.7%、働く人の72%が中小企業であり、地域経済の根幹を担っています。ところが、高島市長の経済対策は市外や外国から企業や人を呼び込むことばかりで、昨年度決算を見ても、創業支援に2億6,000万円、企業立地促進に25億円、観光・集客に20億円もあてた一方で、中小企業対策費はプレミアム付き商品券事業の10億円を含めてわずか11 億8,000万円にとどめました。長年地域に根差し住民の生活を支えてきたものの、アベノミクス不況や消費税増税で苦しむ中小企業・業者が元気になり、営業が続けられる展望が持てるようにしなければ、真の地域経済活性化にはなりません。そのためには市民の所得を増やし、市内でお金を使うことこそ求められます。他都市で実施され、効果を発揮している、中小企業・業者への個別聞き取り調査、住宅リフォーム助成制度、公契約条例などが求められていますが、市長は拒否し続けています。

また、非正規雇用など不安定・低賃金の労働者が増えるなか、本市における正規雇用を増やす取り組みはほとんどありません。ブラック企業・ブラックバイトをなくすための市独自の対策を行うとともに、使用者側に立った指導をしている雇用労働相談センターは廃止すべきです。


第6は、民主主義と平和の問題で市長がとった態度についてです。

高島市長は昨年も大規模な政治資金パーティを開いて3,300万円余の収益をあげ、就任後の5年間の大小17回の政治資金パーティで財界関係者などから得た政治献金は約1億4,000万円にものぼります。市政を歪める財界との癒着関係はきっぱり断ち切らなければなりません。

また、昨年度、「平和のための戦争展」に対し「特定の主義主張」などとレッテルを貼って名義後援を拒否しましたが、今年は新たな要綱を作り、他ではしていない「検閲」まがいの調査をもとに、主催団体に対して「虚偽の申請をした」と一方的に決めつけ、後援を取り消した上に今後3年間後援しないと通告したやり方は異常であります。表現の自由、民主主義を踏みにじって反省のない市長の態度に、わが党は断固抗議するものです。

同和事業が集結し一般事業へと移行したにもかかわらず、本市がいまだに続けている部落解放同盟福岡市協議会への2400 万円もの補助金の支出と特別扱いも認められません。

2015年は終戦・被爆70周年の年でしたが、平和行政の予算と取り組みは不十分だったと言わなければなりません。博多港引揚げの史実を後世に伝え、戦争の悲惨さと平和の大切さを教えるため、常設の平和資料館を本市も設置すべきであり、また、平和首長会議に参加する本市として、核兵器廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」の運動に取り組むべきです。


以上で、わが党の反対討論を終わります。


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