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議会報告

2016年12月議会

創業特区推進条例案と法人税減税の撤回を。
身の丈に合わないクルーズ船受入をやめよ

2016年12月14日 熊谷敦子市議の議案質疑

熊谷敦子議員

2016年12月14日、福岡市の12月議会が始まり、日本共産党の熊谷敦子市議が法人税減税など国家戦略特区を推進する条例案やクルーズ船着岸の岸壁延伸工事のための補正予算案について、議案質疑に立ちました。


高島市長は、国家戦略特区を活用し福岡市で創業した企業を支援するとともに、法人市民税の法人税割分を5年間全額免除する条例案を提案しました。

市は減税による創業の増加数見込みを答えることができませんでした。企業アンケートでも「税制の優遇措置」を「海外投資決定のポイント」とする意見は1割にも達しません。熊谷市議はこれらを踏まえ、減税しても創業は増えないと指摘。また、特区推進で経済が活性化するかのように言う市の言い分に対して、髙島市政による特区の規制緩和のもとで、市内の非正規雇用が増え労働者の所得は伸びていない実態、創業と同時に廃業も多い事実を突きつけました。

さらに、今回の支援対象が「先進IT」など5分野のみに限定されていることを示し、例えば資本金1000万円の企業で1000万円の年所得がある場合、国の法人税と市の法人市民税で合計65万6400円も減税してやるなど税制上のいちじるしい不公平を招くことを明らかにしました。

熊谷市議は、今回の法人税減税やグローバル企業支援がすでに失敗が明らかになっているアベノミクスの先兵としての役割を果たすものだと批判し、条例案を撤回するよう迫りました。市長は条例案を「全国的にも画期的」などと自画自賛して、推進姿勢をあらわにしました。


市長は大型クルーズ船が中央ふ頭に2隻同時着岸できるようにするため、岸壁を140m延長する工事を行うための11億円の補正予算案を提案しました。国費を含めた事業費は23億円になります。

熊谷市議は、中国などの外国クルーズ船需要は政治・経済情勢で大きく変動し、長期的な見通しがないこと、国内各都市で激烈な寄港競争が始まっていることなどを指摘。さらに、現状でも2隻同時着岸は5回に1回程度しかなく、すでに箱崎ふ頭を活用しているので十分対応できており、不足は生じていないことも明らかになりました。

市は「クルーズ船寄港により59億円の経済波及効果」などと答弁しましたが、クルーズ観光客が市内の地元商店などでどれくらい買い物をしているのかというデータを市は示すことができませんでした。さらに、地元商店街の代表を入れなかった「クルーズ船受入関係者協議会」の設立総会でさえ「経済効果は薄い」との意見が出されています。熊谷市議はこうした実態を質問で示し、「クルーズビジネスの経済効果」なるものは、東京や中央の大資本に持っていかれ、地元には恩恵どころか負担だけが押しつけられている実態を浮き彫りにしました。

他方で、クルーズ船にともなう観光バスが市内で大渋滞を引き起こし、また、バス不足を生じさせている問題については、市の対策にもかかわらず解消されていない事実を指摘。

熊谷市議は、「身の丈にあった受け入れをすべきだ」として、今回の追加補正をやめるよう市長に求めました。市長はクルーズ船寄港について「大幅な機会喪失が発生している」などと答え、野放図な受け入れ路線にしがみつきました。

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