2015年9月議会
「戦争展」の市後援拒否問題、夏休み短縮問題を追及
2015年9月11日 中山いくみ議員の一般質問
日本共産党の中山いくみ市議は福岡市議会の一般質問で、「戦争展」の市後援拒否問題、夏休み短縮問題などをとりあげ、髙島市長の姿勢をただしました。
福岡市はこれまで3年連続で、市民団体が夏に開いてきた「平和のための戦争展」の後援をしてきましたが、今年度、「特定の主義主張に立脚している」として後援を拒否しました。
市は展示予定の漫画家の作品の中に消費税や原発に反対する表現があったことを問題にしていますが、中山市議は「漫画は文化芸術の1ジャンル。その表現への介入は『芸術活動を行う者の自主性尊重』を定めた文化芸術振興基本法に反し、表現の自由を侵すものだ」と追及しました。
また、ジョイント企画で講演する吉岡九大教授の「基本的立場」が「脱原発」であることを拒否の理由にしていることについても、「展示そのものでなく、発言と思想を裁くものだ」と追及。市が後援した他の講演会では、南京大虐殺・慰安婦・日本の侵略の歴史的事実を否定する発言をくり返してきた作家(百田尚樹氏)が講演者であるにもかかわらず、市はその「基本的立場」を調べあげることはしていないことをつきつけ、吉岡氏の場合と比べて「きわめて不平等な扱いではないか」とただしました。
さらに「特定の主義・主張」とは「国論を二分する問題の一方の立場に立つこと」だと総務企画局長が述べたことについて、中山市議は例として「憲法を守る」「マイナンバー制度を活用する」などは「特定の主義・主張」にあたるのかとただすと、局長は「判断できない」などとしてまともに答えられませんでした。
中山市議は、「安倍政権に都合の悪いことは切り捨てる。こんな恣意的なやり方で名義後援を拒否することは許されない」と批判。対応の是正と「戦争展」関係者への謝罪を求めましたが、市長は「適切な対応がなされた」などと開き直りました。
市は学力向上のために来年度から市立小中学校の夏休みを短縮、一部の土曜日に授業を行い、時間数を増やす計画を示していますが、中山市議は文科省の調査でも学力調査と授業時間の多い・少ないは「単純な関連性は認められない」とされていることをあげつつ、市教育委員会がいう「学力」は財界が求める「グローバル人材」の育成だとを指摘。英語教育の偏重や全国学力テストでの競争過熱をあおるものだということを明らかにしました。
夏休み短縮は子どもの権利条約に定める「子どもの余暇・休息の権利」を奪うものであり、「子どもの意見表明権」を尊重してすべての子どもから意見を聞くべきだと迫りました。また、教職員の多忙化をいっそうひどくするもので、教職員の7割が反対していると追及。短縮を撤回し、35人学級の完全実施やスクールソーシャルワーカーの増員、学校予算の増額などにとりくむよう求めましたが、教育長は夏休み期間の「見直しによる学力向上を推進する」と、あくまで夏休み短縮をごり押しする姿勢を示しました。
この他、髙島市長が進めるクルーズ船・観光客の大量の呼び込みによって、市内の観光バスがいちじるしく不足し、市内の小中学校の子どもたちが行く自然教室の送迎バスが足りず現場が大混乱している問題、戦争法案をめぐる市長の態度などをとりあげました。