2015年6月議会
反対討論
2015年6月30日 熊谷敦子議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第134号及び136号、137号、140号、141号、159号並びに160号に反対し、討論を行います。
まず、議案第141号、福岡北九州高速道路公社の道路の整備に関する基本計画の変更に係る定款の変更についての認可申請についてです。本議案は、本市が計画する都市高速1号線の香椎浜から人工島へ直結する延伸部分について、道路公社の基本計画に付け加える定款変更を国土交通大臣に認可申請するためのものです。
この都市高速延伸についてはもともと、人工島までわずか数分程度の時間短縮にしかならないにもかかわらず、2.5kmの4車線道路を250億円もかけて整備する必要はまったくなく、まさに「無用の長物」に他なりません。人工島事業の破たんを穴埋めするために市民の反対を押し切って強行移転した、こども病院や青果市場への道路アクセスの向上などという言い訳は市民の理解を得られるものではありません。
しかも、わが党の質疑によって、事業主体も本市の事業費負担額も何も決まっておらず、1日3,000台増えるという計画も何の根拠もないことが明らかになりました。こうした計画を突き進めば、事業費を利用料金で回収できる見通しもなく、結局250億円の事業費のほとんどを本市が持つことになりかねず、市民の税金で負担させられることは必至であります。人工島の破たん救済のムダづかいに他ならない都市高速延伸のための本議案にわが党は反対するものです。
次に、議案第160号、介護保険条例改正の専決処分についてです。本議案は、法施行令改定に伴い、65歳以上の第1段階の保険料の引き下げを4月に専決処分したことの承認を求めるものです。
高すぎる介護保険料を引き下げることは当然のことであります。ところが、今回専決処分の内容は、生活保護や老齢福祉年金受給の人、課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下の人である第1段階の保険料を、引き下げたとはいえ年額27,702円も課すものです。しかも、この4月から、基準額で年額約5,000円、段階によっては12,000円もの値上げであります。
多くの高齢者は年金が減る一方、高い介護保険料や国保料、後期高齢者医療保険料の負担に苦しみ、医療も介護も給付を抑制させられるなど、ひどい切り捨てが強行されています。介護保険料の重い負担に耐えられず滞納した高齢者に対し、サービス利用料をいったん全額自己負担させ償還払いとする厳しいペナルティーが本市でも332人に及んでいることが明らかになりました。こうした中、本市が一般会計繰り入れを拒否して高齢者に負担増を押し付けることは許されないのであります。
したがって、高すぎる介護保険料は高齢者が払える水準へと抜本的に引き下げるべきであり、わずかに引き下げるだけの今回専決処分に賛同することはできません。
次に、議案第140号、科学館条例案についてです。
現在の少年科学文化会館を廃止し、六本松九大跡地に整備する新たな福岡市科学館には民間ビル賃借・PFI手法を導入し、子ども専用の文化ホールをなくすなどの計画に対し、市民から懸念や見直しを要求する声が上がり、わが党も追及してきましたが、市長はこうした声を無視し、今回条例案を提案したのであります。
条例案は、科学館の管理に指定管理者制度を導入することを定め、市長はこれに基づきPFI事業者の選定を進めようとしています。当局は、PFI手法の導入によって、より良質かつ効率的なサービス提供、一括発注による効率化、リスク分担による安定した運営などが期待できると説明しますが、15年間で103億円余の事業費の債務負担行為を予定しており、指定管理者となる民間企業の儲けを保障してやるのが真の狙いであります。商業施設との複合整備も、科学館を営利目的へと変質させる道を開くものです。公共施設としての公平・公正な運営や個人情報の厳密な管理が行われる保障は何もなく、行政責任を放棄するものだと言わなければなりません。
また、一定期間で事業者の変更があり得る指定管理者制度では、専門的知識が求められる職員でありながら、その労働環境が不安定にならざるを得ず、子どもたちの健全育成と文化教養の向上をめざす施設として相応しくありません。また、市当局から職員に対する業務指示が偽装請負となる懸念もあります。問題のある指定管理者制度の導入はやめるべきであります。
条例案によると、入館料を中学生、小学生、4歳以上の幼児からも取ることになっていますが、本市の博物館、美術館、動物園、少年科学文化会館のプラネタリウムもすべて中学生以下「無料」となっていることと比べても、こうした料金設定は認められません。ここにも、子どものための施設を金儲けの道具としか見ない姿勢が表れています。
したがって、子どもたちが気軽に来ることができず、大企業のボロ儲けの道具へと変質させる内容の科学館条例には、わが党は賛同できません。
なお、設置されるホールについては、演劇、室内楽等の音楽会、映画上映等に対応する計画となっています。要求水準書案によると、座席数は少年文化ホールの半分以下の300席にとどまりますが、音響性能、舞台構造、舞台機構、照明、舞台音響、バックステージについて、演劇などに適切に対応できるようにすることとされており、子どもたちが文化に触れ、表現活動に取り組める場として、市民、関係者が納得のいく内容となるよう強く要求するものです。
次に、議案第134号、一般会計補正予算案のうち、福岡空港関連の自動車専用道路に係る調査費2,200万円についてです。市当局の説明によると、福岡空港国内線旅客ターミナルへのアクセス改善などの取り組みとして本市と県、道路公社の3者が合意したとのことですが、合意文書に「福岡空港の滑走路増設にあわせ」と明記されています。
第二滑走路建設は、既存ストックの有効活用などを踏まえれば必要性がなく、1,800億円もの公金をつぎ込むのはムダづかいであり、わが党は反対してきました。こうした滑走路増設と一体に都市高速延伸を推進することは認められません。
次に、わが党が賛成する議案のうち、議案第142号、香椎副都心公共施設新築工事請負契約の一部変更など、工事請負契約変更に係る諸議案について意見を述べます。
今回議案は、賃金と物価の水準の上昇に伴い契約価額を変更するものです。賃金水準の上昇については、公共工事設計労務単価が全国平均で4.2%、福岡県で4.8%上昇しました。低賃金を強いられている建設労働者の処遇を改善するため、今年1月の国土交通省通知「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」の通り、公共工事の現場で働く労働者に適切な賃金を保障することは、労働者の生活を安定させ、後継者への技術継承を促進し、また公共工事の品質の向上にも寄与するものです。本市が行う公共工事においても労賃の引き上げは当然であります。
設計労務単価の引き上げに伴い、市長は同様の通知を関係業界団体に出しているにもかかわらず、現場からは「賃金が上がっていない」という声が上がっています。しかも、下請け業者に設計労務単価が徹底されているかについて市当局はまったくチェックしていません。わが党が調査に入った現場でも、本来17,300円でなければならない労務単価が16,000円に据え置かれている事実を確認しました。このように、市長の通知は現場で守られていないのが実態です。
したがって、わが党は、下請け業者を含めて適正な労賃を確保するよう点検・指導を強め、公共工事の現場で働く労働者の処遇改善のための抜本的手立てを講じるよう求めるとともに、公契約条例を早急に制定するよう提案するものであります。
以上でわが党の討論を終わります。