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2015年12月議会
2015年12月議会 意見書について
- LGBTなどの性的マイノリティへの理解と社会環境整備の促進を求める意見書(案)
- 「LGBTなどの性的マイノリティへの理解と社会環境整備の促進を求める意見書案」に対する賛成討論
- 国立大学の運営費交付金削減に反対する意見書(案)
- 「国立大学の運営費交付金削減に反対する意見書案」に対する賛成討論
- 沖縄県名護市辺野古における米軍新基地建設の中断を求める意見書(案)
- 「沖縄県名護市辺野古における米軍新基地建設の中断を求める意見書案」に対する賛成討論
- 安全保障関連法案の強行採決に抗議し、法の廃止を求める意見書(案)
- 「安全保障関連法案の強行採決に抗議し、法の廃止を求める意見書案」に対する賛成討論
- 高齢者の消費者被害を防止・救済する実効的な法制度の実現を求める意見書
LGBTなどの性的マイノリティへの理解と
社会環境整備の促進を求める意見書(案)
一人一人の人間の性自認や性的指向は、実に多種多様であり、社会の中には、異性愛者のほかにも、いわゆるLGBTと呼ばれる人々などの性的マイノリティもいます。民間企業の調査によると、これらの人々は、日本の人口の約7.6%を占めるとも言われており、性的マイノリティに対する差別を解消し、その人権を保障することは、喫緊の課題です。
欧米などでは、パートナーシップ制度に関する法整備など、性的マイノリティの人権を守り、社会的地位を向上させるための取組が進められています。
日本でも、平成16年7月に、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、今年の4月には、文部科学省から「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の通知が、各都道府県・指定都市の教育委員会等へ出されました。また、東京都渋谷区でいわゆる「パートナーシップ条例」が今年の4月から施行されるなど、差別の解消に向けて、ようやく国や自治体が第一歩を踏み出しましたが、いまだ当事者の置かれた状況は厳しいものがあります。就労や住宅への入居など、性別や性自認、性的指向を理由とした日常生活におけるあらゆる差別を無くし、生き方の多様性を認め合える社会にすることが求められています。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、次の事項について早急に検討の上、実施されるよう強く要請します。
- 性別記載を必要としない公的文書から性別記載欄を削除するとともに、性同一性障がい者に関する法整備を行うこと。
- 公営住宅、民間賃貸住宅への入居や継続、パートナーが入院し手術を行う場合の面接権や同意権の問題など、同性のカップルが共に生活する際に被る不利益を解消するための手立てを講ずること。
- 欧米などに倣って、パートナーシップ制度に関する法整備を行うこと。
- 学校教育において、性的マイノリティへの理解を深め、性の多様性を尊重し、全ての人間が、自分らしく生きられる社会の在り方について認識を深められる教育を重視すること。
- 社会教育などに、性的マイノリティに関する教育を位置付け、理解の促進を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、
文部科学大臣、厚生労働大臣、内閣官房長官宛て
議長名
(否決。共産党立案、市民ク、社民、緑ネットが賛成)
「LGBT等の性的マイノリティへの理解と社会環境整備の
促進を求める意見書案」に対する賛成討論
2015年12月22日 堀内 徹夫 議員
私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております、意見書案第17号、LGBTなどの性的マイノリティへの理解と社会環境整備の促進を求める意見書案に賛成し、討論を行います。
日本国憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」と明記し、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めています。これはどんな人でも人間らしく、安心して、幸福にくらす権利があることを宣言したものです。
一人ひとりの人間の性的指向や心の性は、実に多種多様です。社会のなかには、「異性愛者」のほかにも、LGBTと呼ばれる人たちもいます。Lはレズビアン、女性同性愛者。Gはゲイ、男性同性愛者。Bはバイセクシュアル、両性愛者。Tはトランスジェンダー、いわゆる性同一性障害など心と体の性が一致しなかったり違和をもったりする人です。これらの人びとは、「性的マイノリティ」と総称されます。性的マイノリティの占める割合は、日本の人口の約7.6%、950万人とも言われています。
一方、日本をはじめとして、社会の中には、いまだに性的マイノリティへの誤解や偏見が根強く存在します。そのもとで、自分の自然な性的指向や心の性を否定的にとらえ、強い疎外感や社会不信、自己否定の気持ちにかられる人もいます。こうした人たちも、同じ一人の人間として、堂々と「自分らしさ」を主張でき、個性豊かに暮らせる社会をつくることが求められています。
欧米などでは性的マイノリティを保護し、その人びとの性的人権を守り、社会的地位を向上させるための施策の整備がすすんでいます。たとえば、同性同士の共同生活を事実上、夫婦同様のものとして公認し、権利を保証する「登録パートナーシップ法」などを制定している国は、ドイツ、フィンランド、イギリス、フランスなど世界各国に広がっています。我が国においても、今年11月から、同性カップルを公認する制度が、東京都渋谷区と世田谷区で始まり、同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行するなどができるようになり、また、文京区では、2013年から性的指向や心の性による差別禁止を明記した条例を施行しています。
今日、これまで努力されてきた「性的マイノリティ」の人々の人権保障にむけた国際的な流れは、国際世論を動かしてきました。それが、国連人権理事会の決議として、性的マイノリティへの暴力行為や差別に対して、人権擁護の取り組みを求め、長期にわたる各国の関係者の努力で国連決議という形に結実しました。その決議には日本政府も賛成してきています。
課題は、日本も含めた具体的な取り組みです。根深い偏見の存在、LGBTの人々への差別や人権侵害を克服するために、草の根での活動も大きくなってきています。
本市においても、性的マイノリティへの理解を深めることを目的としたパレードや集会が開かれ、LGBT当事者と支援者、家族や友人、さまざまな国籍の人たちが「誰もが自分らしく生きられるように」「LGBTに平等な権利を」といったメッセージボードを持ち、天神の街を歩きました。
また、学校現場でも、南区高宮中学校では、LGBTを授業でも取り扱う中で、生徒一人一人の思いを自由に書いた一言カードに、「人はそれぞれだよ」とか、「あなたの思い応援するよ」と書いて廊下に張り出し、生徒の理解を深める取り組みを行っています。
性的マイノリティ当事者や支援者によって発足した「LGBT法連合会」は、LGBTが直面する困難の解消や差別の禁止を定めた法律(「LGBT差別禁止法」)案を発表しています。法案は、教育、雇用、医療、公共サービスなどさまざまな場面で、性的指向および心の性を理由とする差別の解消に向けて、国や行政機関による施策の策定と事業者の取り組みなどを義務付けています。さらに、差別を受けた人への支援体制の整備を求めています。そして、超党派の国会議員でこの3月に発足した「LGBT議員連盟」に、法の制定を働きかけています。
性的マイノリティ当事者たちが、自分を肯定的に受け止められず苦しんできた声に、私たちは、耳を傾けなければなりません。性別や性自認、性的指向を理由とした、就労や住宅入居などのあらゆる差別をなくし、生き方の多様性を認め合える社会が求められています。未成年の子どもがいることで、性別を変更できない現状もあります。また、性同一性障害の適合手術には数百万円がかかるなど、当事者の負担は深刻です。保険適用に性同一性障害をくわえ、手術などのできるクリニックの拡充が求められています。
学校現場では、当事者の子どもたちが孤立感や自己否定などに苦しみ、7割がいじめ被害にあい、3割が自殺を考えたという実態調査もあります。性的マイノリティに対する正しい知識が、まだ教育関係者に不足している問題点も指摘されています。教師を含めたおとなの理解と取り組みが重要です。
性的マイノリティの人権が保障される社会は、これまで、こうしたくびきに縛られてきた人たちにとって、生きやすい社会のはずです。日本共産党は課題として掲げた事項を一つひとつ前に進める決意を申し上げまして、私の賛成討論を終わります。
国立大学の運営費交付金削減に反対する意見書(案)
財務省は、本年10月26日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会財政制度分科会において、国立大学で、国からの運営費交付金に依存する割合と自己収入の割合を同じ割合とすることを目標として、運営費交付金を大幅に減らし、減額分は大学が自己収入を増やして賄う、という方針を提案しました。国立大学は、今後15年間で運営費交付金を1,948億円減らされる一方、自己収入を2,437億円増やすことが求められることになります。
国立大学の自己収入の中心は、学生から集められる授業料です。仮に運営費交付金の削減による減額分を授業料の値上げだけで賄うとすれば、文部科学省の試算では、15年後には授業料が現在の年間約54万円から93万円程度と2倍近くに上がり、現在公表されている私立大学の授業料の平均額約86万円を上回ってしまいます。そうなれば、国立・公立・私立大学の授業料値上げの連鎖が引き起こされる可能性が考えられます。
経済協力開発機構の調査で日本は、国内総生産に対して国や地方自治体による教育機関への公的支出の占める割合が、比較可能な加盟32力国中で最下位です。そうした中、既に日本の大学は、主要国の中でも高額な授業料になっており、教育費負担が国民に重くのしかかっています。また、日本が批准した「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)第13条2(c)、いわゆる高等教育の漸進的無償化条項に照らしても、これ以上の授業料の値上げや運営費交付金の削減は理解しがたいものです。
財務省の提案に対し、「国立大学が壊滅的な機能不全に陥り、結果として我が国に将来にわたり計り知れないほど大きな損失を与えかねない」として、九州の2つの大学を含む国立6大学の学長が連名で強く反対する声明を出しました。こうした動きは、各大学の経営協議会の学外委員を務める地方財界人や首長、著名人らによるものも含め、本年12月4日時点で、25の大学にまで広がっています。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、国立大学に対する運営費交付金の削減を行われないよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、文部科学大臣宛て
議長名
(否決。共産党立案、市民ク、社民、緑ネットが賛成)
「国立大学の運営費交付金削減に反対する意見書案」に対する賛成討論
2015年12月22日 中山 いくみ 議員
私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております、意見書案第19号、国立大学の運営費交付金削減に反対する意見書案に賛成し、討論を行います。
長年の自民党政治、そして政権に復帰した安倍内閣のもとで、国立大学の予算、運営費交付金は年々減らされ、国立大学は苦境に立たされてきました。ところが、今回財務省は、さらに予算を削減し、その分を自己収入でまかなうという、とんでもない案を打ち出したのであります。
国立大学の授業料は1970年ごろまで年間1万2,000円に据え置かれてきましたが、臨調「行革」のもとで急激に引き上げられ、現在は約54万円にまでなってしまいました。実に45倍であります。同時期の物価上昇が2倍であることを考えると、いかに異常な学費値上げが自民党政権のもとで進められてきたかがわかります。もし今回、大学予算の削減分を、学生から集める授業料で穴埋めすることになれば、国立大学の学費は私立大学の平均をこえ、今の2倍、年間93万円にまで達してしまいます。
自民党・公明党政権のもとで、学生は今でさえ奨学金という名の「借金」に苦しめられています。奨学金を借りる学生は、1990年代後半までは2割程度でしたが、現在は53%と急増し、過半数の学生は借金なしでは大学に通えない状態になっています。その奨学金の多数は有利子で、卒業時には平均的なケースで300万円、多い場合には1,000万円もの借金を背負わされるという、かつてでは考えられない事態になっています。長時間労働や厳しいノルマ営業で身も心もボロボロにされる「ブラックバイト」から学生が簡単に抜け出せないのは、生活費や学費を稼ぐことに追われているからに他なりません。
社会人としての門出に、数百万円の借金を背負わされる人生とは、いったい何なのでしょうか。このような事態は、他でもない、自民党・公明党の政治そのものが引き起こしているのであります。
このうえに、学費の連続値上げが加われば、貧しい家庭の子どもたちだけでなく、多くの家庭の子どもたちが、お金のために大学にいけなくなるか、莫大な借金を卒業時に背負わされることになりかねません。憲法や教育基本法がうたう教育の機会均等は根こそぎ破壊されます。「大学はお金持ちの行くところ」——日本をそんな社会にするわけには絶対にまいりません。
この不安は、多くの大学人に共有されています。
熊本大学や長崎大学などをふくめた6大学の学長は声明を発表し、「継続的に運営費交付金を削減することは、日本の高等教育の中核を担う国立大学が壊滅的な機能不全に陥り、結果として我が国に将来にわたり計り知れないほど大きな損失を与えかねない」と指摘するとともに、「運営費交付金の削減分を自己収入の増加により補うという提案は、授業料の大幅な引上げに繋がりかねず、現下の国民の経済状況からみても教育格差の更なる拡大に繋がり、各地域における教育、文化、産業の基盤を支え、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供するという国立大学の使命が十分に果たせなくなることを強く危惧している」と危機感をあらわにしました。
わが党が、全国86の国立大学でつくる国立大学協会とこの問題で懇談したさい、協会の理事のかたは「高等教育が崩壊する初年度とならないかの危惧がある。国立大学の全学長が危機感を持っており、あらゆる手段を尽くして阻止したい」と表明されました。
さらに、新日鉄住金、塩野義製薬、小松製作所など大企業の社長らも「わが国を支える高等教育と科学技術の未来に大きな禍根を残す」と批判する声明を発表しております。
いまや、大学人はもとより、立場の違いをこえて、この削減方針に反対する声は日本中から澎湃としてわき起こっています。
国際人権規約で、大学などの高等教育を段階的に無償にする条項を留保していたのは、世界で日本とマダガスカルだけでした。ようやく留保を撤回したかと思いきや、それと正反対の連続値上げ方針を打ち出すなど、自民党・公明党の政治は世界の流れに逆行しています。
OECD加盟国では半数の国で大学の学費が無償で、ほとんどの国が返済しなくていい給付制の奨学金制度を設けています。こうした国々では、大学への進学率があがるなかでも学費無償を維持したり、たとえ学費を徴収したとしても奨学金とセットで学生を支援するというのが、政治の姿勢として当たり前となっています。ドイツではいったん学費の徴収を始めたものの、学生らの反対で再び無償に戻しました。高い学費のアメリカやイギリスでも、かなりの規模の学生が給付奨学金や、経済的事由による学費免除制度の適用を受けています。高い学費でありながら給付奨学金制度がないのは、先進国の中で日本だけという恥ずべき事態になっています。
若者と教育、そして日本の未来のためにも、学費の大幅値上げを許すわけにはいきません。憲法を踏みにじり、教育にたいする責任を投げ捨て、国民に負担を押しつけ、若者から未来を奪う――こんな亡国の政治を許すことはできません。国の大学予算削減をまかなうために学費を値上げするという安倍政権の方針を撤回させる――私たち日本共産党福岡市議団は、この一点で世論と運動を広げる決意を申し上げ、本意見書案への賛成討論を終わります。
沖縄県名護市辺野古における米軍新基地建設の中断を求める意見書(案)
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐって国と沖縄県が対立している事態は、一地方の出来事として看過することのできない重大な問題です。
昨年実施された名護市長選挙、沖縄県知事選挙及び衆議院議員総選挙を通じて「辺野古の新基地建設ノー」という沖縄県民の意志が示されていることは、誰の目にも明らかです。しかし、国は、これを無視し、十分な説明責任を果たさないばかりか、抗議する人々を強制的に排除し、米軍新基地建設のための工事・海底調査を強行しています。
地方自治は、憲法第8章によって保障されています。地方公共団体は、国の下部機関ではなく、国とは別の人格を持ち、国と対等の関係にありますが、米軍新基地建設をめぐって、国には地方自治を尊重し地方と対話しようとする姿勢は見られません。国の考えを一方的に地方に押し付けることは、地方自治の本旨を踏みにじり、分権改革をも否定するものです。
沖縄の人々を基地による被害から守り、負担を軽減するべき国が、「粛々と」米軍基地を建設する姿はまさに異常であり、時間の経過とともに、米軍新基地建設に反対する世論が高まっています。
翁長沖縄県知事は、「沖縄は自ら基地を提供したことは一度もなく、普天間基地は銃剣とブルドーザーによる土地の強制接収によって作られたにもかかわらず、古くて危険だから替わりの基地を提供しろというのは道理が通らない」と訴えています。国は、まずこの思いを受け止めることから始めるべきです。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、沖縄県名護市辺野古における米軍新基地建設のための工事・海底調査を直ちに中断されるとともに、地方自治を尊重して沖縄県との真摯な協議を行われるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、外務大臣、国土交通大臣、防衛大臣、内閣官房長官、
沖縄基地負担軽減担当大臣、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)宛て
議長名
(否決。共産、市民ク、社民、緑ネットが賛成。自民、公明、みらい、維新が反対)
「沖縄県名護市辺野古における米軍新基地建設の中断を求める意見書案」
に対する賛成討論
2015年12月22日 星野 美恵子 議員
私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております意見書案第18号、「沖縄県名護市辺野古における米軍新基地建設の中断を求める意見書」について、賛成することを表明し、討論を行います。
意見書案が述べている通り、安倍政権が沖縄県辺野古に米軍の巨大な新基地を建設しようと押し付けている問題は、日本国憲法にもとづく民主主義、地方自治を蹂躙する暴挙であります。どちらに道理があるのか、答えは明白であります。
一つは、不当かつ異常な国のやり方であります。安倍政権は、国民の権利救済が目的の行政不服審査法を悪用し、防衛省沖縄防衛局長が一般の「私人」になりすまして、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの「被害者」を演じて処分の執行停止を申し立て、同じ安倍内閣の国土交通大臣がこれを認めるという、まさに「自作自演」の無法な措置を行ったのであります。そして安倍政権は新基地建設を再開し、さらに知事に代わって取り消し処分を撤回する「代執行」にむけた訴訟を起こしました。これに対し、県の答弁書が「訴権の乱用」だと批判したのは当然です。新基地を押し付けるためには何でもありの安倍政権には一片の道理もありません。
二つは、沖縄県にこれ以上米軍基地を押し付けていいのかという問題であります。現在、国土面積のわずか0.6%の沖縄に米軍専用基地の73.8%が集中しています。翁長知事は意見陳述で、約20万人が犠牲になった凄惨な沖縄戦で、ほとんどの県民が収容所に入れられ、その間に米軍が県民の土地を強制接収し、普天間基地など広大な基地を建設したこと、その後も住民が住んでいる土地を「銃剣とブルドーザー」で強制接収して基地を造ったことを、沖縄の基地問題の原点として挙げました。安倍政権は辺野古に新基地建設ができなくなれば普天間基地の危険性が継続するとか、米国との信頼関係に悪影響を及ぼして外交・防衛上損害が生じるなどと脅していますが、普天間基地の危険性を辺野古へと「たらい回し」するだけであり、貴重な自然環境と良好な生活環境を破壊することになるとともに、沖縄の過重な基地負担を将来にわたって固定化することに他なりません。沖縄の米海兵隊は、海外への侵攻作戦が任務であり、「日本の防衛」とは無縁の「殴り込み部隊」です。「抑止力」などというのはゴマカシでしかありません。安倍政権が名護市を通さず辺野古周辺3区に振興予算を直接投入する方針まで示し、反対世論の切り崩しを図り、新基地を押し付けようとしていることは卑劣極まるものです。
三つは、何と言っても、沖縄県民の圧倒的な民意は新基地建設の拒否だということであります。仲井真前知事が県民を裏切り埋め立て承認を決定したのに対し、昨年11月の知事選で、翁長氏が「新基地建設阻止」の公約を掲げ、10万票もの大差をつけて圧勝しました。続く12月の衆議院選挙では、沖縄1区から4区の4つの小選挙区のすべてで自民党・公明党の与党は敗北しました。安倍政権は戦争法については「選挙で選ばれたから正当だ」と言いますが、沖縄での負けを認めないのは完全に矛盾しています。最近の沖縄タイムスの世論調査でも8割の県民が知事の埋め立て承認取り消しを「支持」しており、「新基地反対」の圧倒的民意は揺るぎないものとなっています。民意に逆らい、民主主義を踏みにじる政治に未来はありません。
どこから見ても、新基地建設を押し付ける安倍政権に道理はなく、これとたたかう沖縄県民と国民にこそ正義があります。
本意見書案に対し、自民党、公明党、みらい福岡、維新の会の各会派が反対し、否決しようとしておりますが、国の道理のない政治を是とするのでしょうか。住民の声を代弁し、強権的な政治の是正を求めるのが、我々地方議会に携わる者の務めではないでしょうか。日米安保条約や在日米軍基地の是非を超え、日本政治の民主主義の問題として、国による工事・調査の中断と真摯な協議を求めるという一点で、意見書への賛同を呼びかけるものです。そして、沖縄・辺野古の米軍新基地建設を強行する安倍政権の暴走政治と断固たたかうことを表明して、本意見書案に対するわが党の賛成討論を終わります。
安全保障関連法案の強行採決に抗議し、法の廃止を求める意見書(案)
去る9月19日、国会において安全保障関連法が成立しました。
これは、集団的自衛権の行使を可能とする昨年7月の閣議決定を受けたものであり、国際平和協力法(PKO協力法)、武力攻撃事態対処法など既存の10本の法律を一括して改正する平和安全法制整備法と新法の国際平和支援法から成っています。
この法律は、国会審議を通じて憲法に違反することが明白となりました。戦闘地域における兵たん活動、戦乱が続く地域における治安維持活動及び核兵器・毒ガス兵器・劣化ウラン弾やクラスター爆弾まで輸送できる後方支援活動は、憲法が禁じる武力行使そのものです。圧倒的多数の憲法学者や、内閣法制局長官経験者、最高裁長官経験者が、安全保障関連法案を「違憲」と断じたことは極めて重大です。
各種世論調査においても、審議が進むにつれて、安全保障関連法案に「反対」との声が国民の間に広がり、「今国会で成立させるべきではない」との意見が6割を超え、「政府の説明が不十分」との意見が8割を超える調査結果もあるなど、同法案に対する国民の理解が得られていないことを示すものでした。
国会審議の中では、自衛隊の内部文書の存在も明らかになり、そこでは、「軍軍間の調整所の設置」や「南スーダンのPKO活動での駆けつけ警護の実施」など、戦争法ともいうべき安全保障関連法の成立を前提とした具体化が、国会や国民に示されないまま図られていたことは極めて重大な事態です。
このように、憲法の根幹に関わる法律が十分に審議されることなく成立したことは極めて遺憾です。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、次の措置を講ぜられるよう強く要請します。
- 憲法違反の安全保障関連法を廃止すること。
- 集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定を撤回すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、内閣官房長官 宛て
議長名
(否決。共産、市民ク、社民、緑ネットが賛成。自民、公明、みらい、維新が反対)
「安全保障関連法案の強行採決に抗議し、法の廃止を求める意見書案」
に対する賛成討論
2015年12月22日 綿貫 英彦 議員
私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております、意見書案第20号、「安全保障関連法案の強行採決に抗議し、法の廃止を求める意見書案」に賛成し、討論を行います。
安倍政権は国民多数の声を無視して、安全保障関連法、いわゆる戦争法を強行しました。ある自民党の議員は「国民は正月の餅を食ったら忘れる」などとうそぶいていましたが、強行後も国民の運動は衰えることなく、政治そのものを変える新しい動きとなって、燎原の火のごとく広がっています。
戦争法は、自民党・公明党など与党の数の暴力で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは絶対にできないものであります。
何よりも、戦争法は、日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。戦争法に盛り込まれた「戦闘地域」での兵站、戦乱が続く地域での治安活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権行使――そのどれもが、憲法9条を蹂躙して、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。日本の平和と国民の命を危険にさらすこのような法律を、一刻たりとも放置するわけにはいきません。
自衛隊に所属する日本の若者が、日本の本土防衛とは何の関係もない遠くの戦地へ派遣され、「殺し、殺される」なかに放り込まれる危険は、いま目の前に迫っています。
安倍政権は、政府軍と反政府軍の衝突で200万人の難民が生み出され、事実上内戦状態が続いている南スーダンで、「駆け付け警護」なる、新たな仕事を自衛隊にさせようとしています。
「駆け付け警護」は、PKOに参加している他国部隊などが武装勢力に攻撃された際、自衛隊が現場まで駆け付け、武器を使って守るという任務です。安倍政権が強行した戦争法によって、自衛隊と他国軍隊による宿営地の「共同防衛」などと併せて初めて可能になりました。国会審議では内閣法制局長官経験者から、「停戦合意が崩れれば、たちまち深刻な混乱を招き、結果的に憲法違反の武力行使に至る恐れが大きい」などと重大な問題点が指摘されていたものであります。
実際に「駆け付け警護」などが行われれば、自衛隊員が南スーダンの国民に銃口を向けて発砲・殺害したり、自衛隊員も攻撃を受けて戦死者が出たりする危険があります。自衛隊員が海外の戦闘で「殺し、殺される」という戦後初めての事態を絶対に起こさせてはなりません。
さらに、「イスラミック・ステート」、いわゆるISに対する各国の空爆が強化されていますが、これについて昨年8月、米側から日本政府に対して、自衛隊へ支援要請がありました。「閣議決定」したから参加できるのではないかという照会ですが、そのとき日本は、まだ法律ができていないからと断ったのであります。ところが戦争法が作られたいま、ISに対する米軍への自衛隊の軍事支援が可能になってしまいました。
このような戦争法に対して、圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含むかつてない広範な人々から憲法違反という批判が集中しています。このような重大な違憲立法の存続を許すならば、立憲主義、民主主義、法の支配というわが国の存立の土台が根底から覆されることになりかねません。
安倍首相は、“国会多数での議決が民主主義だ”と繰り返していますが、昨年の総選挙で17%の有権者の支持で議席の多数を得たことを理由に、6割を超える国民の多数意思を踏みにじり、違憲立法を強行することは、国民主権という日本国憲法が立脚する民主主義の根幹を破壊するものです。
憲法違反の戦争法を廃止することは、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどすものであります。
わが党の志位和夫委員長が呼びかけた、戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻す国民連合政府の提案は、保守・革新の立場の違いをこえ、幅広い立場の国民の中に共感が広がっています。戦争法に反対してきた諸団体の市民有志も、12月20日、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を結成し、「傲慢な権力者を少数派に追い込む」という運動を開始しました。さらに、戦争法の違憲性を問う訴訟を年明け以降、全国各地でおこす準備がすすんでおり、先日記者会見が行われています。強行後も、SEALDsなどに集った若い人たちや、ママの会、高校生たちがデモや集会、シンポジウムなど多彩な運動を繰り広げ、こうした動きが一つになって、戦争法をなくそうという2,000万人、国民の6人に1人をめざす画期的な署名運動がスタートしました。この福岡市でも街頭や地域で続々と激励が寄せられています。
戦争法を廃止し、立憲主義と民主主義を日本に取り戻そうとする奔流のような動きは、もはやとどめることはできません。その一翼を担って奮闘する決意をのべ、本意見書案に対する日本共産党市議団の賛成討論を終わります。
高齢者の消費者被害を防止・救済する実効的な法制度の実現を
求める意見書
昨今、加齢や認知症等の影響により判断力が低下した高齢者を狙った悪質な訪問販売や電話勧誘販売によって、高齢者が不本意な契約を締結してしまうトラブルが増加しています。
こうした悪質な行為によって高齢者の生活の平穏が害されることを未然に防止するため、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)を改正し、悪質な勧誘については、これを拒否する意思表示をできる制度を導入することが必要です。
また、高齢者が判断力の低下につけ込まれて契約を締結してしまった場合や、執拗な勧誘や粗野・乱暴な言動を恐れて契約を締結してしまった場合などは、現在の法制度では救済が困難であるのが実情です。社会の高齢化がますます進行する中、消費者の判断力や知識・経験の不足など、合理的な判断を行うことができない事情を利用して締結させられてしまった契約を取り消すことができる規定の導入や、事業者の執拗な勧誘や粗野・乱暴な言動により締結してしまった契約を取り消すための要件及び取消権の行使期間の拡大、無効となる不当な契約条項の明確化など、消費者契約法の改正が必要です。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、特定商取引法及び消費者契約法を改正して、高齢者の消費者被害を防止・救済する実効的な法制度を実現されるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、経済産業大臣、
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)宛て
議長名
(全会一致で可決)