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議会報告

2015年12月議会

12月議会 議案に対する反対討論

2015年12月22日 倉元達朗議員

私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております議案第233号ないし243号、245号、247号ないし251号、253号ないし256号、258号ないし261号、263号、264号、266号、268号ないし279号、283号、284号、286号、289号ないし292号、299号に反対し、討論を行います。


まず、議案第247号および254号、市職員と学校職員の給与条例改正案についてです。

今回市長の提案は、市人事委員会勧告の通り、平均で年4万8,000円の引き上げですが、この間の連続引き下げ・据え置きの結果、17年前と比べて78万7,000円も減らされたことを考えれば、わずかな引き上げでしかなく、50歳台後半については引き上げず据え置きとされています。これでは職員のモチベーションを持ち直すには不十分です。また、市長は来年度から、国の指示通り平均で2%、50歳台後半では最大4%の引き下げとなる「給与制度の総合的見直し」の実施をねらっています。「全体の奉仕者」として住民の福祉と権利を守るため、職務に専念する公務員の給与を適切に保障することは、住民サービスの向上にとって欠かせません。本市の職員はすでに、人口当たりの職員数で政令市最低となっていますが、人口は増えるのに職員は増やさず逆に減らす人員削減政策を続けてきました。どの職場でも長時間・過密労働を強いられ、とりわけ区役所や市立高校など現場において、体と心を病む職員が後を絶ちません。さらに、マイナンバーなど国による制度の開始や変更に伴うさまざまな仕事が激増し、また高島市長の「行革」による福祉・教育・高齢者切り捨てや、開発・呼び込み路線に対する市民の怒りや批判の矢面に立たされる職員の苦労を、市長は考えたことがあるでしょうか。住民サービスの向上を図るには精神論では無理があります。抜本的な賃上げこそ必要であり、賃下げなどもってのほかであります。

したがって、今回給与改定にわが党は賛成し難いものです。


次に、議案第233号、一般会計補正予算案中、企業立地交付金4億7,000万円余の増額、及び議案第239号、港湾整備事業特別会計補正予算案、ならびに議案第299号、埋立造成地の処分について、以上3件の人工島事業に関する議案についてです。

土地処分議案については、港湾関連用地約1ヘクタールを10億円余で「福岡大同青果株式会社」に売るものですが、その単価は9万9,900円となっており、これは計画時点の単価13万円どころか、建設単価11万7,252円さえも割り込んでいるのであります。これは高島市長が行った人工島事業見直しによるもので、売れば売るだけ赤字が膨らみ、最終収支は少なくとも160億円の赤字となり、結局税金での穴埋めは避けられません。にもかかわらず、埋め立てを続けるのは無謀という他ありません。

立地交付金については、今回補正によって今年度24億4,200万円となり、そのうちのほとんど22億2800万円が人工島進出企業6社に対するものです。物流業の「ヤマエ久野株式会社」に11億円余、まちづくりエリアのセンター地区に温浴施設を建てた「株式会社ナカシロ・タケシタ」に2億5,000万円を投げ渡すのであります。これは、原価割れの安値で売り払ったうえに、さらにキャッシュバックまでしてやるというものに他なりません。見込みを含め総額130億円もの税金が企業に渡されますが、経済効果も雇用効果も税収効果もはっきりしません。

さらに、今回4億7,386万円を交付する「福岡リート投資法人」についてですが、本市が8年前に土地売買契約を締結したのは「イヌイ建物株式会社」です。同社が約束に反して物流センターを建てず、事業主を別の特定目的会社へ変更した末に、ようやく昨年5月に倉庫を開業したものです。ところが、イヌイは今年3月に事実上撤退し、「福岡リート投資法人」へ不動産を譲渡し、立地交付金を受け取る権利も引き渡しました。このような交付金のあり方はまったく不正常であります。この投資法人が資産運用を委託している「株式会社福岡リアルティ」は、福岡地所や九州電力など地元大手が出資しており、キャナルシティなど大型商業施設の物件で儲けをあげています。5億円近い税金をこうした企業に投げわたすのはまさに異常極まりないと言わなければなりません。

したがって、人工島の破たん救済に巨額の税金・公金を投入する議案にわが党は反対します。


次に、議案第249号、中央卸売市場業務条例改正案についてです。

青果3市場の人工島への統合移転にむけ、市長は、生産者や小売業者にも負担増となる施設使用料金の引き上げを盛り込んだ条例改正を9月議会で強行したのに続き、今回、南部と西部に新たに「中継所」を設置するとともに、使用料を設定する条例改正案を提案しています。とくに南部や西部の生産者や小売業者から、「人工島の新青果市場まで往復するのは時間も費用もかかる」と不安や不満の声があがっており、現在市場のある場所に「中継所」として残すことは当然です。しかしながら、使用料を設定することによって、利用者にも有料化が押し付けられることになります。一箱100円としても相当の負担増になります。市民の食と地域経済を支える農家・生産者と小売業者、飲食店に負担増を押し付け、経営難にさらに追い打ちをかけることは許されません。したがって、人工島の売れない土地を穴埋めするための青果市場移転によって、生産者や小売業者に重い負担を押し付ける本議案に、わが党は反対するものです。


次に、議案第292号、市道路線の認定についてです。

今回議案は、市長が、都市高速道路を福岡空港国内線ターミナル近くまで延伸することを決めたことによるものです。

当局の説明によると、博多バイパスとの平面交差を避け、かつ航空機の離発着に影響しないことを考慮して「トンネル方式」で整備するとのことですが、わずか5分程度の時間短縮に総額500億円もかけるのは明らかなムダであります。また「想定外」などと言って地下水対策を追加することになれば事業費が大きく膨らむ危険もあります。市長は福岡空港の利用者数が今後も右肩上がりに伸びていくことを前提に、第二滑走路の新設と今回の都市高速延伸を推進していますが、そもそも前提そのものに根拠がありません。これから人口減少社会へと移行し、また高齢化社会を支えるソフト・ハード両面の整備にこそ予算を厚くあてていかなければならない時代を迎えているというのに、不要不急の大型開発を推進する財政的余裕など本市にはありません。この道を進めば、財政破たんを招き、市民生活が犠牲にされるのは火を見るよりも明らかであります。空港への交通利便性というなら、市営地下鉄の増便などで対応するのがスジではないでしょうか。

したがって、わが党は、都市高速道路の空港線延伸にかかる議案に反対致します。


次に、公の施設に係る指定管理者の指定議案についてです。今回35件の指定議案が提案されていますが、多くが民間営利企業を指定するものです。

市長は指定管理者制度の導入を拡大し、民間営利企業の参入を推進していますが、わが党が再三指摘してきたように、公共性、公平性、非営利、人権保障、福祉的措置など、公共施設の運営の原則が歪められ、企業の儲け道具に変質させられると同時に、市民サービスの低下や不適切な管理・運営、現場労働者の非正規化・低賃金・人減らし・劣悪な労働条件など、多くの問題を生み出しています。しかも、「民間だから」「企業秘密」ということを盾に行政や議会によるチェックが及ばないことは重大です。わが党が決算議会で問題を指摘した楽水園について、市当局は踏み込んだ調査をせず、同じ「株式会社福岡植木」を指定しようとしていることは問題です。高齢者の生きがいと地域活性化に貢献するために存在する非営利の団体である「シルバー人材センター」が、駐輪場の指定管理者の公募をめぐって民間企業と競争させられ、結果的に仕事を奪われていることも問題です。指定管理者制度の拡大をやめて原則直営に戻すとともに、営利企業の参入を抜本的に見直すべきです。

議案第258号、中央児童会館に係る指定管理者の指定については、従来通り福岡市保育協会を指定するものですが、会館の建て替えを直営で行わず、「賑わい」などと行政として極めて不適切な理由で1階から3階までテナント店舗を入れて西鉄の儲けを保障したため、児童会館部分は上層階へと追いやられ、管理運営に関わる行政の責任も曖昧であり、わが党は容認できません。

議案第290号、東図書館に係る指定管理者の指定については、初めて指定管理者制度を導入し、「株式会社紀伊國屋書店」と「株式会社日比谷花壇」という大手企業を指定するものであります。わが党が議案質疑で質した通り、指定管理者制度の導入によって管理運営の主体が5年ごとに入れ替わることになれば、公立図書館事業の継続性が損なわれる危険があります。「専門的知識を持つ図書館職員の育成が困難になるという致命的欠陥をもっている」という指摘は重大です。また、教育委員会が試算したコスト比較で月に2,800円しか差がないことが明らかになり、「経費縮減」という指定管理者制度の導入の根拠は崩れました。それでもなお民間企業が儲けを出そうとすれば現場労働者の賃金をカットするしかないこと、民間企業が利用者・市民の個人情報を扱うことになり、漏えい・流出の恐れがあることをわが党は指摘しました。教育長は「図書館行政の根幹にかかわる部分は行政が責任を持って担う」と答弁しましたが、具体的な対策は示されておりません。結局、民間企業に図書館運営を丸投げし、行政も議会もチェックできないということになりかねません。教育委員会が昨年4月に行ったパブリックコメントでは「指定管理者制度は人も育たず、これまでの図書館の蓄積が崩れていくのが危惧される」「直営が望ましい」など、指定管理者制度の導入に反対し直営を求める声が圧倒的多数でした。図書館関係者からは「不要な事務作業や管理コストが増加する」など、デメリットを指摘する声もあがっています。「日本図書館協会」は「公立図書館は地方公共団体が直接経営すべきものであり、図書館の運営を他へ委託すべきではない」と明言し、また「図書館友の会全国連絡会」は今年2月、「図書館への指定管理者制度導入を見直し、市民の声を取り入れて再検討すること」とする要望書を本市教育委員会に提出しています。全国で初めて「ツタヤ」を指定管理者に指定した武雄市図書館では、自社系列の古本業者の在庫処分とも言える不可解な図書購入や郷土資料の廃棄などの問題が発生し、他の自治体でも不適切な選書が発覚しました。愛知県小牧市ではツタヤ図書館の是非を問う住民投票が行われ、反対多数で計画中止となりました。山口県下関市ではいったん民間参入したものの今年度から直営に戻しました。東図書館を突破口にして民間参入を広げるなど断じて許されません。だいたい、指定管理者選定・評価委員会の委員5名のうち図書館に詳しい人は2名しか入れず、「花図書館というコンセプト」で花屋を評価した選定のあり方が問題です。教育基本法は「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」とうたい、地方自治体に図書館の設置など社会教育の振興に努めることを義務付けており、社会教育法によって図書館は「社会教育のための機関」だと位置付けられています。「集客、交流」などという理由で図書館の管理運営を民間営利企業にゆだねることは、法の精神に反するものです。図書館本来の役割を果たすための充実こそ求められているのであります。

したがって、わが党は、東図書館など公共施設の指定管理者に民間営利企業を指定する議案に反対します。


以上でわが党の反対討論を終わります。

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