2014年予算議会
予算議会を終えて
2014年4月1日 日本共産党福岡市議団
福岡市の2014年予算議会が3月25日閉会しました。日本共産党市議団は、高島市長の予算案と施政方針の問題点を徹底追及し、また市民要求の実現へ積極的に提案して奮闘しました。
教室エアコン設置など、市民の要求が実った
今回、市民要求を反映して、①全小中学校のエアコン設置、②校舎等の大規模改造、③スクールソーシャルワーカーの倍増、④千早駅前の公共施設整備(市民センター・音楽演劇練習場など)、⑤那珂川・樋井川の浸水対策の河床掘削・護岸整備完了、⑥おむつ用ごみ袋配付、などが実現します。引き続き市民の切実な要求実現へがんばります。学校エアコン設置は、建設労働組合や新日本婦人の会などと日本共産党の共同でとりくんできた学校ウオッチングで長年要求し、党市議団は毎年のように議会質問してきたものが実ったものです。実施にあたって地場発注による早期完了と、暖房にも使用するよう綿貫英彦議員が議案質疑で要求しました。学校エアコンに関わって、自民党は「夏休みを半分くらいに。真剣に考えるべき」などという主張をしました。
増税押し付け、人工島推進108億円、市民切り捨ての予算案に反対
高島市長が提案した2014年度予算案は、①消費税増税に伴う公共料金24億円の値上げなど、国の悪政に追随し市民生活を守る役割を放棄、②人工島事業108億円(うち12億円は立地交付金)、五ヶ山ダム建設46億円、ウォーターフロント再整備などムダな大型開発を推進、③学校給食調理や特別支援学校スクールバス・指導員の民間委託など市民切り捨ての「行革」の強行を特徴とするものです。保育所入所待ちが深刻なのに新設はわずか2か所にとどめ、教育費は一般会計の6・6%と最低水準です。国保は法定外繰入を市長就任前と比べて30億円も削減し、介護分ふくめ国保料を引き上げました。入所待ちが数千人もいる特別養護老人ホームの整備も329人分です。批判の多い「カワイイ区」事業の予算は1900万円へと増額です。人口は増えているのに市職員を6人減らす計画です。
日本共産党はこうした予算案に反対するとともに、財界奉仕や呼び込み型の開発優先、市民犠牲の路線を改め、働く人の賃上げ、暮らしの応援、地元中小企業・業者の仕事おこしなど、地域循環型の経済対策へ転換するよう要求しました。予算案は自民、公明、民主、みらい、維新、社民などが賛成し、日本共産党を除く「オール与党」体制で成立しました。
高島市長の異常な政治姿勢がますます浮き彫りになった予算議会
予算議会後の3月28日、安倍政権が国家戦略特区の一つとして福岡市を「雇用特区」に指定したと報道されました。解雇規制の緩和・事前型の金銭解決制度の導入という市の提案は「首切りの自由化」「ブラック企業を呼び込むもの」です。今後、国・市・財界で協議して具体化される計画ですが、日本共産党は市民と共同して、解雇自由化の制度づくりを許さないたたかいに力を尽くします。
高島市長の異常な政治姿勢・無責任ぶりはこれだけではありません。市長は選挙中「子ども医療費助成の充実」と公約を新聞に掲載していましたが、今回の予算議会で「(それは)将来の方向性を述べたもの。公約ではない」と驚くべき答弁をしました。宮本秀国議員の追及にしどろもどろになりながらも態度を改めず、開き直りました。福岡市の子ども医療費助成(通院は就学前まで、入院は小6まで)は政令市で最低レベルです。日本共産党は入通院とも中学3年生までの無料化の実現へがんばります。
市長が打ち出した「生活保護ホットライン」は生活保護受給世帯の生活ぶりを「密告」するよう市民に奨励する電話受付で、全国でも問題になっている重大な人権侵害です。市民を分断し相互に監視させる社会を作ることは許されません。誰が保護を受けているかは分からないのに、根拠のない予断や偏見にもとづく情報収集に公金を費やすのは異常であり撤回せよと、中山いくみ議員が追及しました。また、市が学校に日の丸の常時掲揚を強制しようとしていることも発覚しました。
区役所窓口で働く派遣労働者が手取り月9万円の低賃金で働かされている実態を初めて市議会で明らかにした熊谷敦子議員は、市が払う委託料の6割しか人件費にあてられず市外の大手企業がボロ儲けしていることを指摘し、「官製ワーキングプア」をなくすための公契約条例の制定を要求しました。
障害福祉サービスの基準見直しを要求
星野美恵子議員が取り上げた障害福祉サービスの「介護保険優先」問題では、他の政令市で実施されている介護度4以下の人への障害福祉サービス適用を福岡市が認めないことをただし、「生活介助が受けられなければ生きていけない」との障害者の声を紹介し改善を要求しました。「基準の見直しを検討する」との答弁を得ました。
空き缶ごみの持ち去りを禁止する条例が可決されました。トラックなどで組織的に持ち去る悪質な業者を取り締まることは当然ですが、ホームレスの人などが生活の糧としてアルミ缶を集めることまで罰金刑を科して取り締まる内容となっていることから、わが党市議団は反対しました。また、自治会に高齢者の見守りを押し付けようとする市の「地域コミュニティ見直し検討」について、党市議団が行った自治会長・町内会長へのアンケート調査に「仕事の押し付けだ」「理解に苦しむ」などの批判が寄せられ、また共同募金会や社会福祉協議会からも反対の声があがっており、わが党は検討の撤回を迫りました。
わが党市議団が提案した「スポーツ振興に関する意見書」(国立スポーツ科学センター・ナショナルトレーニングセンターの拡充、トップアスリート支援、予算増額など)は全会一致で可決されました。その他、介護保険制度見直しに関する意見書とNHK会長辞任を求める意見書を提案しましたが、他会派が様々な理由を付けて賛成せずやむなく取り下げました。
予算議会は市と市議会にとってヤマ場であり、閉会後に市幹部が与野党問わず各会派の控室へ挨拶まわりを行うことが恒例となっていますが、今回共産党控室には副市長以下幹部は来たものの高島市長だけは来ませんでした。これは歴代市長にないことです。予算に反対し厳しく批判する共産党とは挨拶も交わしたくないというのであれば、あまりにも子どもじみていると言わなければなりません。今年秋には市長選挙、1年後には市議選です。わが党市議団は暮らしと福祉、教育など市民の願いが届く市政への転換をめざしていっそう奮闘する決意です。