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議会報告

2014年予算議会

2014年予算諸議案に対する反対討論

2014年3月25日 綿貫英彦議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に上程されている諸議案のうち、議案第42号〜45号、47号〜53号、55号、57号〜64号、66号、70号、71号、75号、77号〜79号、84号〜87号、89号、93号、95号、97号、99号、103号〜105号、110号に反対し、討論を行います。わが党の意見については、代表質疑および補足質疑、分科会審査ならびに総会における質疑で述べておりますので、ここではその基本点について述べます。


安倍自公政権のもとですすめられる経済政策、いわゆるアベノミクスによって、円安による原材料費や生活必需品の値上げが押し寄せ、日本経済は成長率が昨年1〜3月期の 4.5%から直近では 0.7%に大きく減速しています。働く人の基本賃金は20か月連続で減少し、少ない年金も減らされ続けています。そのもとで消費税の8%への大増税をかぶせ、さらにお年寄りの医療費引き上げ、生活保護や年金の第2弾の切り下げなど、国民のくらしを破壊する大改悪を用意しています。

また、TPP、環太平洋連携協定の交渉から撤退をせずに、地域経済と日本農業を壊す道を歩み続けていることも、重大です。原発についても、福島第一原発の汚染水対策を放置したまま、再稼働・輸出に動き出しています。

このような中、市政に求められるのは、「住民の福祉の増進を図る」という地方自治法の精神に則って、国の悪政にたちむかい、地域経済と雇用を支え、市民所得の向上を図り、福祉や教育など市民生活を充実させることです。

ところが高島市長が編成した2014年度当初予算案は、この役割をまったく果たしておりません。

第一に、高島市長は、国の悪政に追随し、市民生活を守る役割を放棄しています。

市長は安倍内閣の消費税増税をそのまま市民におしつけ、地下鉄や上下水道、駐車場など、24億円分の公共料金値上げをしようとしています。また、安倍政権の原発政策を「最高の知見」などと持ち上げ、ずさんな汚染水対策に「理解」をしめし、再稼働の動きに何も言わない姿勢をあらわにしています。TPPについても、交渉撤退へ何の手だてもとろうとはしていません。

第二に、高島市長は、「福岡市総合計画」と「政策推進プラン」のもと、「アジアのリーダー都市」などと言って、ムダな大型開発を推進しています。

破綻した人工島事業の推進に108億円を投じ、企業を呼び込む「企業立地交付金」に18億円をつけています。クルーズ船の入港が増えていないなか、中央ふ頭クルーズ対応施設の建設に9億円、第二期展示場の検討のために6,300万円の予算をあてるなど、ウォーターフロント地区の大開発にふみこむ事業費を計上しています。また、目的を見失った五ヶ山ダム建設についても、前年度の倍にあたる46億円の事業費を計上しています。

開発にあけくれた結果、市債残高は減ったとはいえ、2兆4,325億円、市民一人あたり164万9,000円と、政令市でワースト2位であります。

第三に、その一方で「行革」をはじめ、市民犠牲の路線をいっそう強めています。

高島市長は113項目に及ぶ「行財政改革プラン」を策定するなど、福祉、教育などさまざまな分野で市民向け施策を切り捨てる路線を押し進めており、新年度予算案でも高校1校あたり12万円もの私学助成の削減、保育士など16人をリストラする公立保育所の民営化、職員40人と嘱託43人を減らす小学校給食調理の民間委託などを強行しようとしています。人口あたりの職員数ではすでに政令市最低であるにもかかわらず、市長はさらに定数を6人減らそうとしています。

とりわけ、市立幼稚園の全廃計画、最低水準の教育費、中央保育園の移転強行、保育園への詰め込み、青少年科学館に文化ホールを設置しない問題、こども病院の人工島への移転など、子どもと教育に対する冷たい姿勢はきわだっております。

市民向け施策をよくするといって公約したものを投げ捨てていることも重大です。高島市長は「国民健康保険料の引き下げ」を公約しましたが、新年度予算案では法定外繰入を、就任前と比べて30億円も削減し、介護分をふくめて3年連続で保険料を引き上げたのであります。「特養老人ホームの待機者解消」と公約したものの、新年度の整備は329人分しかなく、依然数千人規模のお年寄りが入所を待っており、公約の達成にはほど遠い現状です。さらに、「子ども医療費助成の充実」を市長は新聞や市民団体アンケートで公約したにもかかわらず、就任後何ら手をつけようとせず、政令市最低クラスになっています。この問題をわが党が追及すると「公約ではない」などと驚くべき開き直りをしました。市民をあざむく許されざる態度です。

このような市長の政治姿勢に対し、コミュニティ施策の地域への押しつけ、3年もかけての学校教室へのエアコン設置、青少年科学館整備におけるあまりにも高い賃料と特定企業の優遇、市長のシティセールスの不透明な実態などの問題で、これまで市長の予算に賛成し、市長を支えてきた会派も、今予算議会では疑問や批判の声をあげざるえない状況に追い込まれています。市長の市民無視の矛盾と破綻がこのような形で露呈していると言わねばなりません。

わが党は、代表質問で、こうした財界奉仕や呼び込み型の開発優先、市民犠牲の路線ではなく、働く人の賃上げ、暮らしの応援、地元中小企業・業者の仕事おこしなど、地域循環型の経済対策へ転換するよう、予算案の抜本的組み替えを要求しましたが、市長はこれを拒否し、従来の路線にしがみついたままでした。

したがって、わが党は高島市長の予算案と関連議案に反対するものであります。


次に、わが党が反対する議案のうち、いくつかの問題について、その理由を明らかにしておきます。


まず、子どもと教育にかかわる問題についてです。

高島市長がとりわけ子どもに冷たいことは、いよいよはっきりしてきました。

市長は、保護者や保育士の声を無視して、風営法の趣旨に反するラブホテル・パチンコ店に隣接する場所へ中央保育園の移転を強行しています。避難経路や一時避難スペースなど、市長が前提としてきた「安全の確保」すら失われていることが、わが党の質問で明らかになりました。

また、市立幼稚園の全廃計画についても、保護者や地域から存続を求める声がこれだけあがっているのに「民間にゆだねられるものは民間に」というかけ声で依然として廃止に固執することは許されません。

市政の喫緊の課題となっている保育所の待機児解消について、市長は定員をこえてギリギリまで押し込むよう、各認可保育園に激しい圧力をかけた結果、ぎゅうぎゅう詰めのマンモス園があちこちに生み出され、子どもたちが駆け回るホールや園庭がつぶされて、保護者の間にも戸惑いが広がっています。さらに、保育園に入れない1〜2歳児を幼稚園に押しつけています。それでも入れない子どもたちに対し、「入所調整」などと称して、帳面上の「待機児童」を消そうとしているのは、前代未聞の異常な手口だと指摘せねばなりません。他方で、真に待機児童を解消するための保育所の新設は、新年度、わずか2カ所、2億円に抑えられているのであります。

九大六本松跡地に整備する青少年科学館については、5万筆を超える請願署名には応えず、文化ホールを設置することをかたくなに拒んでいます。単独整備をのぞむ市民の声をふみにじりながら、URとJRがつりあげた高い賃料をそのまま受け入れようとするなど、特定企業に奉仕する異常さも厳しく問われなければなりません。

こども病院の移転についても、市長は見せかけの「検証」を経て、最も浸水リスクの高い、脆弱で危険、不便な人工島への移転を強硬に進めています。こども病院が現在の場所からなくなることで、今かかっている患者のうち8割が行き場を失うことになりますが、市長は「西部地域の小児医療を守るため唐人町周辺に新しい小児科をつくる」などと説明した内容について、何ら具体化しようとしていません。

教育費が一般会計に占める割合は新年度予算でも 6.6%にとどまり、高島市長就任以来6%台という最低水準の状態が続き、市民が切望している少人数学級の拡充はストップされたままです。わが党と市民の長年の運動でようやく学校教室にエアコンが設置されることになりましたが、3年もかけるうえに、どんなに寒くても暖房は使わせないという異常な態度をとっています。地場の中小業者への発注で全校に一気に整備することと、冬の暖房使用についての不当な制限をやめることを強く求めておきます。

高島市長は子どもや地域に「日の丸」の押しつけをしてきましたが、予算議会のさなか、市立学校の「日の丸」掲揚台の整備予算をつけていくことを突如明らかにしました。これは、予算上の根拠をもたない、まさに無法なやり方です。侵略戦争のシンボルとなったこの旗に抵抗感をいだく国民が少なからず存在します。そのような中で、同じように市長が突如もちこんだ公民館での常時掲揚の問題とあわせ、日常的に子どもと地域に「日の丸」を押しつけるなど、「国民に強制しない」とした政府答弁にさえ背くやり方をわが党はとうてい認めることはできないのであります。

生徒児童数が1,000人、30クラスをこえるような過大な規模の学校を放置し、周辺のマンション開発についても野放しにしてきました。わが党の補足質疑に対しても、何ら手だてをとろうとはしませんでした。開発を規制するとともに、過大規模校の分離新設は、もはや一刻の猶予も許されない課題です。

子どもたちの健全で豊かな発達を保障するように、「子どもの最善の利益」をはかる子どもの権利条約の立場にたった政治を求める声は市民の間に広がっております。その転換を求める声に背を向け、子どもに冷たい市政を続ける高島市長に、市民の審判が下ることを厳しく指摘しておきます。


第2に、高島市長の異常・特異な市政運営についてです。

高島市長は新年度、生活保護費を7億円削減したばかりでなく、保護世帯を密告する「ホットライン」を開設するなど「適正実施プログラム」に1,200万円を投じています。そもそも誰が保護を受けているかは、守秘義務が課せられているものであり、根拠のない予断や偏見にもとづく情報に公金を費やす異常な施策は絶対に許されるものではありません。わが党は、審議の中で、保護世帯が飲酒や生活ぶりを逐一密告される、恐るべき相互監視社会を生み出すものであり、重大な人権侵害だと批判しましたが、市長は「人権侵害とは考えない」と言い放ちました。

高島市長の人権感覚の欠如は、今回に限ったことではありません。市職員に対する「禁酒令」では、わが党は職員の人権を侵すものだと警告しましたが、今年3月になって県弁護士会から「人権侵害にあたる違法な通知」であるという勧告を出されるに至りました。ところが高島市長は「最善な策だった」と事実上勧告を否定する談話を出すなど、憲法が保障する基本的人権をまったく理解しておりません。市長のキモ入りで進められた「カワイイ区」についても、男女差別を助長しかねないという市民の意見をきっかけにして、男女共同参画審議会から事業の見直しを求められたにもかかわらず、ここでも市長は反省せずに事業を続けています。

また、高島市長は「地域コミュニティとの共働のあり方・最適化」検討案を打ち出し、介護保険の要支援の人におこなっている見守りなどのサービスを校区の自治協議会に押しつけようとしています。わが党は町内会長にアンケートを送付し意見をおうかがいしてきましたが、「きれいごとを並べて行政が仕事を押し付けようとしている」「なぜこのような改正案が提案されたのか理解に苦しむ」など手厳しい声が次々寄せられております。共同募金会の補助金の交付先を社会福祉協議会から自治協議会に切り替えるという案にいたっては、共同募金会の福岡市支会からきっぱりと拒否される事態になっています。にもかかわらず、市長は案を撤回せず、新年度も検討を続けることにしがみついています。

市長は、「ブラック企業」の合法化ともいうべき解雇の金銭解決の導入、カジノの合法化、安価な外国人労働力の使用に道を開く在留資格の要件緩和などを「グローバルスタートアップ国家戦略特区」として政府に提案しております。全国に悪い先駆けとなって、雇用の破壊や賭博の合法化をすすめる――こんなことは絶対に許されないものです。

このように、異常・特異な高島市長の市政運営を、わが党は断じて認めることはできません。


第3は、市民が望んでいるくらし・福祉の施策についてです。

多くの地方自治体が実施している住宅リフォーム助成制度は住宅改善とともにばつぐんの経済波及効果が明瞭になっています。福岡県内24市町村、全国6県556市区町村と広がり、政令市では相模原市でも実施されています。ところが、高島市長は同制度の導入を拒否し続けています。

また、本市の区役所窓口で働いている派遣労働者は月の手取りが9万円しかないことがわが党の調査で明らかになりました。高島市長自らが働く貧困層を生み出しているのであります。「官製ワーキングプア」をなくし、賃上げと地域循環経済を発展させるためにも、市の発注する仕事の労賃を適正なものにする、公契約条例の制定を求める声が高まるのは当然です。これまで市は「最低賃金法と別個に定めることにより問題が生じる」という言い訳をしてきましたが、わが党が、「問題ない」とする政府答弁を示すことにより、市の言い分がすっかり拠り所を失ったにもかかわらず、市長は公契約条例の制定を拒み続けているのであります。

加えて、雇用・就労対策や中小企業振興策など、市民の所得向上の施策は、無策といっていいほど貧弱なものしかありません。

現在福岡市では、介護保険でサービスが足りない65歳、特定疾病がある人は40歳以上の障害者に、障害者福祉サービスを上乗せする場合、対象を原則として要介護5のみに限っています。わが党の補足質疑に対し、市は、4月から国が障害者福祉サービス支給の判断基準を変えることをふまえ、障害福祉サービスを上乗せする「基準の見直しを検討する」と答弁しましたが、介護度や年齢にかかわりなく障害福祉サービスを受けられるよう改善することを、強く求めておきます。

原発の無い社会や地球温暖化の防止のために、再生可能エネルギーの普及促進は重要な課題であり、新年度、老司井堰の小水力発電設計や木質バイオマス発電の調査検討など新たな活用方法を検討するために1,000万円が計上されています。しかし、2012年末で市内の再生可能エネルギーの導入は11万キロワットしかありません。太陽光発電については本市で補助制度を設けてきましたが、この1年で全市の太陽光発電量は倍増しており、普及に抜本的な手だてを講じることを要求します。

「福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例案」については、組織的に資源ごみを持ち去る悪質な業者を取り締まることは当然のことですが、本条例改正案はホームレスの人などが生活の糧としてアルミ缶を集めることまでを、罰金刑を科して取り締まる内容になっています。2008年の厚生労働省と国土交通省の公示でもホームレスの自立支援策の一つとして雑誌やアルミ缶回収が選択肢の一つに挙げられており、本条例改正案はこのような配慮が欠けたものだといわねばならず、容認しがたものです。


第4は、開発にかかわる問題です。

人工島事業の最終収支は160億円の赤字と見込まれており、破綻が明白な事業ですが、高島市長はこれに固執し続け、今後さらに824億円もの事業を予定しています。

市長は土地が売れているかのように宣伝していますが、実際には建設単価を大きく割り込んだ叩き売りをしたうえで、企業立地交付金のバラまきや売れなかった土地を公共施設で穴埋めするという虚構にすぎません。新年度予算にも、立地交付金12億5,000万円が計上されていますが、今後さらに、拠点体育館160億円、都市高速道路の延伸250億円、新青果市場170億円、新こども病院173億円など破綻救済の税金投入が目白押しです。

センター地区については、「東アジアなど広域から人が集まる…人工島の中核施設を形成する」と大見得を切りながら、結局できるものはスーパー銭湯と調剤薬局です。計画の破綻は明らかであり、推進してきた勢力の責任が厳しく問われなければなりません。

人工島事業以外にも、大型クルーズ船に対応するための施設整備や中央埠頭の北側埋め立て、第二期展示場の整備、集客・商業施設の誘致などウォーターフロント地区の再整備、また、都市の国際競争力強化を図るとして「特定都市再生緊急整備地域」の指定を受け、九電・福銀等の七社会を中心に計画されている天神明治通り沿線地区などの都心部再開発が推進されています。新年度予算案にも、それらの予算の一部が計上されています。

需要も見込めない、財界奉仕のムダな開発に、高島市長がのめり込んでいるのは、政治資金パーティーによって合計で4,000万円もの事実上の企業献金を、地元財界から受けているからに他なりません。

人工島事業はもとより、今後数十年にわたるこのような無謀な開発に突き進んでいけば、多額の公金・税金が費やされることになります。まさに「あとは野となれ山となれ」――破綻した事業と借金の山だけが市民に残される危険を、わが党は厳しく警告しておくものです。


以上で、わが党の反対討論を終わります。

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