2013年予算議会
2月議会反対討論
2013年2月21日 中山郁美議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち議案第1号、6号、8号、9号、12号、13号に反対し、討論を行います。
まず、議案第6号、港湾整備事業特別会計補正予算案についてです。今回補正は、2012年度中に人工島のみなとづくりエリアのうち市1工区の港湾関連用地7.2ヘクタール、まちづくりエリアの市5工区の集合住宅用地0.9ヘクタールおよび複合交流施設用地2.3ヘクタールの土地処分ができずに、土地売却収入120億9700万円を減額するとともに、港湾整備事業基金積立を118億円余、減額するものであります。
第一に、みなとづくりエリア市1工区の土地処分にかかわる減額補正は、当初予算では11.5ヘクタール、115億円の売却を見込んでいたものの、4.2ヘクタール、41億円しか売ることができず、もともとの分譲計画の63%も売れ残ったものであります。これほどまでに売れ残った責任をどう感じているかというわが党の追及に対し、市長は、新青果市場用地の売却分をあわせた数字をあげて「過去最高」「着実に成果があがっている」などと、無反省きわまる答弁をおこないました。19日付の西日本新聞は、この売却状況を指して、「事業の厳しい現状があらためて浮き彫りになった」と報じており、市長の答弁はまさに市民をあざむくものに他なりません。
そもそも今回の売却が予定されていた土地をふくむ区画については、市の計画では「先進的な国際物流施設」「6階建ての大型施設で全国最大規模」を予定していました。ところが、売る相手だったニューシティコーポレーションとの契約が白紙となり、2年にわたり先送りされ、ついに市は同社の後継会社への売却をあきらめて、今回、別の山九という企業にその一部を切り売りするハメになったものです。その結果、山九が同地につくろうとしているのは平屋の倉庫であり、「先進的な国際物流施設」とは程遠いものになっています。
こうした経過全体をみれば、人工島の港湾関連用地の需要がないことは、いまや誰の目にも明らかです。
第二に、まちづくりエリア市5工区の第2期公募予定地にかかわる減額補正は、当初予算では37億円を売るつもりだったにもかかわらず、公募すらかけられない事態になって生じたものです。
昨年のわが党の追及に対し、当時の港湾局長は「2012年度に分譲する」と断言しました。不動産業界60社と183回も協議を重ねたにもかかわらず、土地は売れず、議会での断言に反する事態となった責任について、わが党は厳しくただしましたが、港湾局長は「住宅需要は底堅い」と無責任にくり返し、「早期に分譲することで責任を果たす」などと開き直るありさまでした。まともに売買さえないのに、どうして「底堅い」などと言えるのか、委員会でのわが党の追及にも、当局は具体的な根拠を答えることができませんでした。本来具体的な数値の変動で裏づけられるはずの相場の言葉をもてあそび、単なる願望を述べることしかできなかったのであります。
第三に、こうした結果、見直したばかりの事業計画と資金計画は1年目からいきなり狂い始めているということです。
昨年3月に高島市長のもとで公表された「港湾整備事業特別会計の新たな収支見通し」によれば、2012年度末では事業収入は単年度で158億9000万円の黒字になる予定が、今回の補正で47億円の黒字にしかならず、基金残高は当初218億3300万円になるとしていましたが、半分の106億円となるなど大幅に縮小する結果となったのであります。
昨年、土地が売れずに、地元財界が中心となった「未来フォーラム」の提言を受け入れて、市長は土地の値段を下げる、定期借地方式を導入する、企業立地交付金を増やす、新たな公共事業も導入する……と「こうすればうまくいく」などといって見直しを行いましたが、それでも最終年度の赤字が160億円になると示されました。
当時わが党は“このまま突き進めば赤字はさらに大きくふくらむ”と警告しましたが、今年度の経過はその警告を裏づけるものになっています。
わが党は、市4工区の埋め立て、D岸壁の整備など、これ以上売れない土地をつくり続けることをやめること、破綻救済のために港湾特別会計への税金投入をやめることを求めました。それにもかかわらず、高島市長は「事業を着実に推進する」と固執する姿勢を崩さなかったのであります。わが党は、このようなデタラメな需要見込み、現実を見ない無謀な計画にもとづいた人工島事業の推進を、決して容認することはできません。
次に、議案第1号一般会計補正予算案をはじめ、一連の議案の中にふくまれている国の緊急経済対策についてです。
本市でも国の「緊急経済対策」をもりこんだ補正予算案が組まれておりますが、その中には人工島の臨港道路アイランドシティ1・2号線の整備などに4億7060万円投じるなど、不要不急の公共事業も含まれております。
このようなムダな公共事業が景気回復には寄与せず、国民・市民に巨額の負担を押しつけるものでしかなかったことは、かつての自民党・公明党政権の教訓からも明白です。
政府が今回の補正予算案について、いやしくも「地域活性化」を看板にしているなら、本市として保育所、特別養護老人ホーム、市営住宅など、真に市民が緊急に必要としている、生活密着型の公共事業こそ抜本的にふやし、それを地場の中小企業・中小業者に発注すべきであります。こうした本当の緊急経済対策、地域の活性化を強く求めておきます。
最後に、議案第1号一般会計補正予算案中、生活保護にかかわる増額補正についてです。
貧困と格差の広がりのなかで、やむなく生活保護を受ける人が増えています。ところが、新しく発足した自民・公明政権は、生活保護基準の切り下げをうちだし、受給者や国民の間に不安が広がっています。
今回わが党の議案質疑で明らかになったことは、第一に、現在の生活保護基準は切り下げどころか充実が必要だということです。わが党の質疑のなかで、本市の生活保護は、高齢世帯が最も多く、全体の4割を占めることが明らかになりました。これらの世帯は、就労して自立することがきわめて困難です。また、この5年間で3.5倍にふえた「その他の世帯」いわゆる稼働年齢の世帯も、市はその原因が本人の責任ではなく、非正規化や失業など厳しい経済状況にあることを認めました。国の社会保障審議会でも複数の学者が憲法25条にもとづく最低生活費を算出し、そのすべての試算において、現在の生活保護基準が下回っており、生活保護を今切り下げる理由はどこにもないことがはっきりしました。
わが党の議案質疑で明らかになった第二の点は、福岡市において生活保護が必要なのに受けられていない人が数多く存在していることです。厚労省の推計でも生活保護の捕捉率は15%程度であり、福岡市でみると約13万世帯が保護を受けられずに保護水準以下で生活しています。保健福祉局長は「厚労省の推計は捕捉率ではない」などと言い逃れしようとしましたが、局長が言及した厚労省の資料でも「現状把握の指標として捉えるべき一つの数値が明らかになったことをふまえた対応が必要」という注記がしてあるのを局長は意図的に隠したのであります。わが党が質疑の中で、わが党への生活相談において生活保護バッシングで受給申請すらできなくなっている事例や、窓口で申請させない冷たい対応をしている事例を示したように、本来保護が必要な世帯が本市においても数多く排除されていることは明らかなのであります。
生活保護については、権利の根本をふくめた制度のいっそうの周知、ケースワーカーの増員、窓口対応の改善をおこなうとともに、市長が基準引き下げに反対することを求めておきます。
以上で、わが党の討論を終わります。