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議会報告

2013年12月議会

議案に対する反対討論

2013年12月20日 宮本秀国議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第201号~211号及び213号、214号、217号、218号、220号~222号、224号~226号、229号、233号、236号、237号、242号、243号、246号~251号、253号~255号並びに257号~261号に反対し、討論を行います。


まず、議案第214号、犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例案についてです。

もとより、犯罪のない安全なまちづくりが推進され、市民が安心して暮らせるようにすることは、行政にとって重要な課題であります。その立場から、本条例案が有効であるかどうか、市民生活にどのような影響をもたらすものであるか、わが党は議案質疑及び委員会審査において質してきました。これらをふまえ、以下4点の理由から本条例案に反対するものです。

1点めは、本条例案が「犯罪のないまちづくり」をめざすと言いながら、刑法犯認知件数の減少傾向について、市当局が科学的な分析をほとんどしていないことです。これでは本条例案が定めている防犯にかかる施策や手立てが効果的だという根拠はあいまいだと言わなければなりません。

2点めは、逆に急増が顕著な高齢者による犯罪について、本条例案では何の対策も取られていないことです。本市においても、最近の高齢者による犯罪は高齢者の人口増加割合をはるかに上回っており、その要因は年金の切り下げと医療、介護など重い負担による高齢者の生活困窮と孤立化にあることは明らかです。

3点めは、本条例案の第15条に少年の規範意識の向上等を定めていますが、少年犯罪が減っている要因の分析に乏しく、対策も不十分だということです。

4点めは、本条例案が、市民や地域に対して「自らの安全は自らで守る」などといって、自己責任を基調としていることです。町内会や自治会に対し防犯活動を押し付け、市民に防犯活動に参加することを求めることになりますが、これでは住民同士がお互いを監視しあうような歪んだ社会になりかねません。その一方で、市は地域の防犯活動を補助するだけとなっており、市の責務と役割を放棄するものに他なりません。

犯罪をなくすためには、犯罪の原因を科学的に分析し、防犯や安全に投資を行うとともに、警察官の増員や空き交番の解消、犯罪の背景にある貧困を抜本的に解決する対策、とりわけ高齢者の経済的負担の軽減、高齢者や少年の孤立化を防ぐための居場所づくりなど、本市が関係機関と連携し、責任を持って実効ある施策を行うことこそ必要となっているのであります。こうした重要な問題が抜け落ちている本条例案は、わが党の賛成し難いところであります。


次に、議案第220号、下水道条例改正案等、来年4月からの消費税8%への増税に伴う料金改定関連議案についてです。

今回、上下水道などについて、消費税増税分を料金に転嫁すること、また地下鉄運賃については200円区間と100円切符を除きすべての運賃、定期代を値上げして全体として2.86%の改定で増税分を転嫁することが提案されました。しかも、これ以外の公共料金の増税転嫁も検討されており、今後具体化されようとしています。高島市長は、負担は小さいかのように言われますが、消費税は市民の毎日の買い物すべてにかかるものであって、その増税額は年間でみれば一人あたり数万円になります。とりわけ低所得者ほど負担が重いという逆進性の強い消費税の増税は、その逆進性をいっそうひどくするものに他なりません。生きていくのに欠かせない水道の増税転嫁は生活保護世帯や貧困世帯の生活をますます苦しめるものであり、許せません。

さらに高島市長が消費税増税について「本市にとっても財源確保になる」と答弁したことは問題です。消費税を増税すれば消費の落ち込みは避けられず、生産減少、雇用悪化、所得減少、税収減少の悪循環をますます加速させることは1997年の消費税5%への増税のさいにすでに実証済みです。本市の中小企業関係者から不安と懸念が表明されているのも当然です。しかも、消費税は社会保障や地方の財源確保どころか、法人税減税の穴埋めにされたのであります。本市にとっても税収が増えることにはなりえず、増税に伴う地下鉄のシステム改修だけでも1億円かかるなど逆に持ち出しが発生するのであります。市長の答弁は不見識極まりないと言わなければなりません。

したがって、消費税増税分を公共料金に転嫁する諸議案にわが党は反対致します。


次に、議案第229号、千代音楽・演劇練習場に係る指定管理者の指定についてなど、公の施設の指定管理者の指定議案、15件についてです。

わが党は、公の施設の指定管理者制度について、営利目的の民間企業にゆだねれば行政の責任があいまいになり、住民と議会によるチェックができにくくなるとともに、サービスの低下や住民負担の増加、個人情報の漏えいの危険、コスト削減を名目にした従業員の低賃金・非正規化などを伴うものだと繰り返し指摘し、とりわけ市民生活に関わる公共施設の管理運営は直営に戻すことを基本に抜本的に見直すよう要求してきました。しかしながら、市長は今回、音楽・演劇練習場、博多町家ふるさと館、はかた伝統工芸館、博多港港湾施設、国際ターミナル、ヨットハーバー、海浜公園、市営駐車場、自転車駐車場、九電記念体育館の指定管理者に民間企業を参入させることを提案したのであります。NPOボランティア交流センターと今宿野外活動センターの指定管理者もNPO法人と民間企業とのJVですが、事実上特定の民間企業の参入を認めるこうしたやり方は問題です。老人福祉センター2か所の指定管理者に民間企業を参入させることは、高齢者福祉を儲けづくりに変質させるものです。もともと指定管理者制度は、財界の要求を受けて「官から民へ」のかけ声のもと、国、地方自治体の業務、施設を民間に開放してビジネスチャンスをふやすという戦略にもとづいて導入されたものです。

したがって、わが党は、公共施設の管理運営に民間営利企業を参入させる議案15件に反対致します。


次に、議案第260号及び261号、埋立造成地の処分議案についてです。

今回議案は、人工島のみなとづくりエリアの港湾関連用地、約4.4ヘクタールを2つに分割し、オフィス用品通販のアスクル株式会社に2.5ヘクタール、食品メーカー・東洋水産株式会社に1.9ヘクタールをそれぞれ分譲するものです。分譲先がようやく決まったというものの、処分単価は平米あたり96,000円あるいは96,900円となっています。「人工島は独立採算」として当初計画された単価は13万円でしたが、5度目の人工島事業見直しによって処分単価を引き下げ、さらにそれを下回る価格まで値切られたということに他なりません。一方、建設単価は11万7,252円ですので、2件あわせて、なんと9億円の赤字であります。これに加えて立地交付金が土地取得費の30%、建物の10%ですから、2社合計で23億円もの税金を投げ渡すのであります。すなわち、計画通りであれば4.4ヘクタールで57億円の収入だったはずが採算割れと税金持ち出し分を差し引くと3分の1の19億円にしかならないということであり、あまりにもデタラメです。これは今回だけではなく、単価をどんどん引き下げ、売れば売るだけ赤字が出る、当局の試算でも410億円の赤字という負の財産を抱えることになるのであります。「福岡市の財産にする」などと言って人工島事業を推進してきた市長、当局、与党勢力は、今後も売れない土地を造り続け、貴重な税金をさらに注ぎ込もうとしていますが、無責任極まりないのであります。

また、市当局は企業誘致によって雇用が増えるなどと言われますが、地元の正規雇用が何人見込まれるのかさえ把握していない無責任ぶりが浮き彫りになりました。

したがって、今回土地処分議案にわが党は反対致します。


次に、議案第201号、一般会計補正予算案について3点述べます。

1点めは、小規模保育事業の拡大及び幼稚園の長時間預かり保育についてです。高島市長の無理やりな「待機児ゼロ」命令のもと、こども未来局は本来保育事業を担っていない幼稚園に1・2歳児の長時間保育を押し付けようとして、「連携幼稚園」について私立幼稚園連盟と協議してきたものの、施設や保育士確保など困難が多いため実施希望の幼稚園がほとんどなく、国から問題ありとの指摘も受け、頓挫しました。ところが今回、若干の手直しをしただけで、幼稚園とは相談しないまま30か園程度、200人分の実施経費を予算計上し、来年4月から受け入れさせようとしているのであります。小規模保育事業の拡大とあわせて、これらは政府の「待機児童解消加速化プラン」を活用するものとされ、再来年度から実施されようとしている保育の新制度の先取りであることをこども未来局は認めました。新制度は、保育関係者や保護者から、保育にかかる公的責任をあいまいにし、営利企業の儲け道具にされて、保育の質の低下や安全性の後退をもたらすものだとして懸念と反対の声があがっています。こうした重要な事業について、子ども子育て審議会に諮ることなく無視して進める市長の独断的な態度は許されません。

増え続ける本市の待機児童を解消するには、市有地無償貸与制度を復活させ、適正規模の保育所を必要数新設し、また保育士の配置拡充と処遇改善を抜本的に行うべきです。しかしながら市長はこれに背を向け、新年度入所申し込みの前倒しと既存保育園への詰め込み、幼稚園への押し付けなどによって見せかけの「待機児ゼロ」をねつ造しようとしているのであります。保護者と保育士から猛反発を受けて刑事告発までされている中央保育園移転問題も、子どもの安全と豊かな保育をないがしろにし、民間企業の利益を上に置く高島市長の異常さが現われたものであります。再選の目玉づくりという市長の思惑を最優先にする待機児対策にわが党は賛成できません。


2点めは、給与引き下げについてです。本市職員および市立学校職員の給与を今年7月から4.5~9.5%、平均24万円も大幅に引き下げたものであり、給与費の総額はその他の会計を合わせて31億円になります。もともと安倍政権が地方公務員の給与引き下げを前提にして地方交付税をカットしたものであり、本市の影響額見込みは27億円とのことですが、高島市長はこうした乱暴なやり方に何も抗議しないばかりか、唯々諾々と従い給与引き下げを強行したのであります。本市職員の給与はこの10年間、毎年のように引き下げられ、職員の生活に深刻な影響を与えてきましたが、今回の大幅引き下げはますますその生活設計を壊し、公務員としてのモチベーションを著しく引き下げ、住民サービスの低下につながるものだと言わなければなりません。さらに人事委員会の勧告さえ受けずに決定したことは問題であります。また31億円もの給与減額が地域経済に少なくない影響を及ぼしていることは火を見るより明らかであります。


3点めは、プロジェクト推進経費の追加についてです。これは中央ふ頭・博多ふ頭のウォーターフロント地区の再整備における官民連携手法などの調査検討を行うものとされています。ウォーターフロント地区については、高島市長が「人と企業を呼び込む」などと言って、大型クルーズ船に対応するための施設整備や中央ふ頭の北側埋め立て、公園や第二期展示場の整備、集客・商業施設の誘致など、大規模な再整備を推進していますが、総事業費がどこまで膨らむか、本市の財政負担がどうなるのか一切示されていません。さらにウォーターフロント地区と天神・博多駅とを結ぶ公共交通機関の整備まで検討しようとしています。市長は「成長エンジンである都心部の国際競争力を高めることが税収増加、生活の質の向上につながる」などと言われますが、その根拠は何も示すことができないのであります。いま、財界に支えられ、一部の企業を潤わせるだけの開発行政に突き進んで財政破たんをもたらしながら、市民や子どもに犠牲を押し付ける冷たい高島市長に、市民の不満と批判の声が高まっているのであります。

したがって、わが党は一般会計補正予算案に反対致します。

以上でわが党の反対討論を終わります。


以上


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