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議会報告

2012年予算議会

2012年度予算諸議案に対する反対討論

2012年3月27日 綿貫英彦議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に上程されている諸議案のうち、議案第31号~34号、37号、38号、40号~42号、44号、46号~48号、50号、54号~59号、62号、69号、73号、74号、79号、92号、93号、98号~100号に反対し、討論を行います。わが党の意見については、代表質疑および補足質疑、分科会審査ならびに総会における質疑で述べておりますので、ここではその基本点について述べます。


周知の通り、完全失業率が4.6%と悪化傾向が続き、有効求人倍率も0.73と依然として厳しく、生活保護世帯が過去最多の208万人、サラリーマンの平均年収が15年前から50万円も減少し、年収200万円以下のワーキングプアが1100万人、年間の自殺者が14年連続で3万人を超えたことなどに示されるように、国民生活の悪化と貧困の広がり、日本経済の長期低迷、さらに震災と円高の影響も深刻です。ところが野田内閣は、各界の反対の声を押し切って消費税増税に突き進み、年金など社会保障の改悪とあわせて20兆円もの国民負担増を実施しようとしています。これでは国民の暮らしも経済も財政も破たんさせるのは必至であります。また、あらゆる関税をなくすTPP・環太平洋連携協定に参加しようとしていますが、地域経済と日本農業を壊す暴挙であります。


こうした中、いま市政に求められるのは、「住民の福祉の増進を図る」という地方自治法の精神に則って、国の悪政にたちむかい、地域経済と雇用を支え、福祉や教育など市民生活の充実を図ることです。

しかるに、高島市長は、「アジアのリーダー都市」「稼げる都市」を看板に大企業の儲けづくりの道に突き進む一方で、福祉と教育分野を削減・抑制しています。この間の歴代市長による大型開発推進の市政のもとで、本市の税収は増えず、市の借金がふくらむ一方、市民所得は逆に減少し、生活は向上せず、経済も雇用も低迷してきました。高島市長の2012年度当初予算案は、この開発路線になんの反省もないまま、継承し拡大するものとなっています。

歳入を見れば、市税収入が固定資産税の落ち込みにより減少する一方、市債発行は前年度より30億円増やして750億円に達するなど、借金頼みの傾向を強めています。

歳出については、人工島事業推進に135億円など大型開発に莫大な予算をあて、さらに特定都市再生緊急整備地域事業や博多港長期構想などを口実に、天神、博多駅、ウオーターフロントまで大規模に再開発する時代錯誤の道に踏み込もうとしています。

一方、市民生活関連では、介護保険料や学校給食費が値上げされ、不足する保育所や特別養護老人ホームの整備は不十分、高すぎる国民健康保険料は据え置きです。教育費は前年度から18億円減らされ、一般会計のわずか6.2%と最低レベルとなり、少人数学級の拡充や教室エアコンの設置など市民の願いに背を向けるものです。市長は「暮らしの質の向上」などと言われますが、それに反する予算だと言わなければなりません。

市債の年度末残高は2兆4,757億円、市民一人あたり171万円となっていますが、前年度比わずか0.5%の減少にとどまっています。外郭団体の隠れ借金も431億円あり、借金財政は引き続き深刻です。今後、開発路線が進められれば、借金を減らすどころか再び増加に転じてかつてない規模に膨れ上がり、そのツケは孫子の代に押し付けられるのであります。財政健全化を口実に、市長は保育所民営化など市職員を27人も削減しようとしていますが、足りない児童福祉司や保護課ケースワーカーなど市民生活に直結する部署を一人も増やさないのは許されません。

市長は「暮らしの財源を捻出するには人や投資が集まることが重要」と述べ、「稼げる都市」などと言って、観光・集客に力を入れています。観光客を100万人増やす目標を掲げ、様々な施策に予算を付けていますが、目標の根拠は極めてあいまいで、税収がどれだけ増えるのか何の見込みも示すことができませんでした。また、立地促進交付金を条例化して企業誘致を進めようとしていますが、誘致による正規雇用の増加について過去の実績も将来の見通しも持たないばかりか、これまで交付金を受けた企業の撤退が25件もありながら、市は返還請求さえしていないことが明らかになりました。これが現実であります。観光と誘致に特化して外から呼び込む景気対策によって、税収が増え、暮らしの質が向上するという「稼げる都市」なるものが果たして現実味があるのか、極めて疑わしいと言わなければなりません。

大企業にため込まれた巨額の内部留保を日本経済に環流させるべきですが、本市として地域経済の活性化のために必要なことは、外からの呼び込み型ではなく、市民生活と雇用を守って地元でがんばる各分野の中小企業・業者を応援し、市民の懐をあたため、市内でお金が循環する足元からの景気対策であります。足りない保育所や特別養護老人ホーム、児童館の増設、教室エアコンの設置、住宅リフォーム助成制度の創設、医療・介護などの負担軽減、防災対策の強化など、市民の暮らしに役立つ予算を増やして、仕事を起こし、安定した雇用を増やし、市民所得も引き上げ、税収も増やす。こうした内需拡大型の景気対策、経済政策こそ必要であります。こうしたわが党の要求に対し、市長は「出すだけではお金がなくなる」などと言われましたが、人工島の企業立地交付金に総額260億円も注ぎ込むようなやり方では、税収効果のあてもなく、地域に還元させることも期待できません。これこそ「出すだけでお金がなくなる」やり方であります。260億円の予算があれば暮らしに役立つ対策は十分可能です。


以上のように、新年度予算案は、大型開発のムダづかいばかりで、福祉や教育、暮らしの分野を抑制・削減するなど、市民の願いに反する内容が基調となっております。市民犠牲の行革路線ではなく、雇用と中小企業対策、医療、福祉、介護など社会保障、子育て、教育、環境、防災、平和など市民生活を最優先する市政へ切り替えることが求められており、わが党は抜本的予算組替えを要求しましたが、市長は拒否したのであります。

したがって、高島市長の2012年度予算案と関連議案にわが党は反対するものであります。


次に、わが党が反対する議案のうち、いくつかの問題について、その理由を明らかにしておきます。


まず、人工島事業はじめ大型開発の問題についてです。

新年度の人工島推進予算は135億円、2年合計で291億円にのぼり、市4工区の埋立て工事、本来開発者負担であるべき道路や下水道などの公共整備、住宅市街地総合整備事業を名目にした住宅建設への補助、さらに新青果市場用地の公金での買い取りなどが進められようとしています。

人工島事業は、造った土地が計画通り売れずに完全に行き詰まっております。市当局も土地処分単価の引き下げや定期借地方式の導入など、事業の根本にかかわる計画見直しに踏み出し、ついに「160億円の赤字」に転落することを認めました。最悪の場合421億円もの大赤字になるということであります。こうした深刻な事態を突破するために、市長は財界主導の「未来フォーラム」を立ち上げ、その提言を受けるという形で、人工島事業の新たな破たん救済に乗り出そうとしています。土地処分のあり方の他にも、「核となる公共施設の整備」として市民体育館の移転も強行しようとしています。人工島の企業立地促進交付金を1社最大10億円から30億円に拡充しようとしていますが、正規雇用も税収も効果が分からないものに巨額の税金投入は許されません。

さらに、人工島の赤字を港湾整備特別会計の基金で穴埋めするとしていますが、売却に四苦八苦している香椎パークポートなどの埋立地が民間に都合良く売れるはずもなく、結局、給食センター整備や、中央ふ頭のマリンメッセ用地の有償所管替えなど、市費による買い取りをすることになるのであります。これも形を変えた人工島への税金投入に他なりません。ムダづかいを断ち切るために、人工島の埋立て事業を中止し、破たん救済の税金投入をやめるべきであります。

その他、五ヶ山ダム建設に21億円、土地区画整理4事業に約80億円もあて、総事業費1,000億円の九大学研都市づくりや、福岡空港の第二滑走路建設を推進する予算は認められません。


第二に、福祉と社会保障についてです。

市民に高すぎる負担を強いている本市の国民健康保険料について、値上げをねらった市長に対し諮問機関から「据え置くべき」との答申が突きつけられ、予算措置されましたが、一般会計繰入金をさらに増やして、払える保険料へ抜本的に引き下げるべきです。65歳以上の介護保険料がすべての所得階層で値上げされ、基準額で月額5,362円となりますが、後期高齢者医療制度の保険料値上げと相まって、高齢者に対する大幅な負担増はあまりにも酷だと言わなければなりません。特別養護老人ホームの入所待ちが当局の不十分な調査でも3,500人もいるにもかかわらず、整備数はわずか401人分にとどまっており、大幅な増設を要求するものです。また、重度心身障害者福祉手当の拡充を求めます。


第三に、子どもと教育についてです。

保育の公的責任を崩す政府の「子ども・子育て新システム」に対し市長は明確に反対を表明しませんが、関係者の切実な願いにこたえるべきです。保育所の新年度入所申込みが定員数を3,200人も上回っており待機児が増える見込みであるにもかかわらず、保育所新設はわずか3~4ヵ所とまったく足りません。中央児童会館の建替え計画については、利用者、市民の要望も反映させて直営で行うべきです。また、少年科学文化会館の建替えにあたっては、市民からの要望通り、六本松の九大跡地に文化ホールを備えた施設として整備するよう求めます。

教育環境の整備は市長の責任であり、財政を理由に少人数学級の拡充や教室エアコンの設置を拒む姿勢は許されません。同時に、市長が政治的意図を持って教育に介入することは許されず、大阪維新の会・橋下市長の教育基本条例案に賛同する態度も改めるべきです。市教委は効率化などを口実に、学校給食センターをマンモス化させる統廃合と、小学校給食調理の民間委託化を進めようとしていますが、食育の観点で問題があるばかりか、現場労働者のリストラと一体に行おうとしており、保護者や関係者の不安の声を無視して強行することは許されません。


第四に、こども病院の人工島移転計画についてです。

市長の強引な決定後も市民の反対世論は依然大きいものがあります。住民訴訟では、ゼネコン3社の新たな証言が明らかになり、現地建替え試算を1.5倍に水増しした経緯について市当局がウソの答弁をしてきた疑いがますます強まっています。異常な1者入札で選定されたPFI業者の筆頭企業は、本市市民プール管理で協定違反を重ねていたことが発覚しました。人工島の液状化被害など防災面について専門家から厳しい意見が出されているにもかかわらず、多少の対策を取ったから大丈夫だと言い張る態度は、子どもの命を守るべき市長として許されません。想定を超えた災害が起こりうることを教訓にすれば、こども病院の人工島移転は今すぐ中止し、現地周辺での建替えを急ぐべきであります。


第五に、防災と原発問題についてです。

東日本大震災をうけ、地域防災計画の抜本的かつ早急な見直しが求められています。本市においては、都心部の直下に位置する警固断層で予想される大地震に備えることが喫緊の課題です。住宅の耐震化の遅れが顕著であるにもかかわらず耐震改修助成などの対策は不十分であります。また、津波や水害などから市民を守る対策を抜本的に強化するよう要求するものです。

原子力災害の防災計画については、玄海原発の過酷事故の想定をあいまいにしたままでは十分な対策が取れません。さらに、市長が玄海原発の再稼働中止の立場を明確にしないのも問題です。原発依存のエネルギー政策から脱却するため、住宅用太陽光発電システムの補助拡充や風レンズ風車の設置など再生可能エネルギーの拡大に目標を持って取り組むべきです。

震災から一年経ち、改めて復興支援が重要となっています。災害廃棄物いわゆるがれきについて、わが党は岩手・宮城両県のがれきの「広域処理」を進める必要があることをすでに表明していますが、各自治体が受入れることが出来るかどうかはそれぞれの条件を踏まえ、住民の理解が得られることが必要だと考えます。本市においては最終処分場の独自方式が国の示す管理型ではないため、放射性物質を閉じこめることが出来ず、博多湾に流れ出し、ホットスポット的に集積する可能性があるため、放射能に汚染されていないと証明できないがれきの受入れは安全上の特殊事情から市民の理解を得られず、現状では困難です。本市として可能な復興支援、例えば被災地への職員派遣や技術支援などを最大限強化するとともに、がれき受入れ問題について市民への丁寧な説明と話し合いを進めていくことを強く要求するものであります。


最後に、行革問題についてです。

本市は人口に対する職員数が政令市で最も少ないにもかかわらず、この間いっそうの人員削減が強行されてきました。この結果、とくに福祉関係や区役所窓口などで深刻な人手不足となり、職員に過重労働を強いています。保護課のケースワーカーは一人あたり平均で国基準を大きく超える100件以上を担当し、生活困窮の相談や保護世帯に対する援助などの業務に追われ、深夜勤務が常態化しています。増加する児童虐待に対応する子ども総合相談センターの児童福祉司は、一つひとつの案件について子どもと保護者や関係機関とも丁寧にかつ迅速に対応しなければならないにもかかわらず、一人あたり担当が80件と異常な多さです。こうした部署が新年度まったく増員されないのは許されません。教職員の多忙化も深刻です。心と体の健康を害する職員が増えている要因は、市長が進める人員削減政策にあるのであります。雇用政策としても、市長は正規雇用を非正規に置き換え、窓口業務などを民間委託化していますが、不安定雇用と低賃金を増やして、どうして安定雇用の拡大、就職難打開ができるでしょうか。財政健全化を口実にした市職員削減方針を改め、職員が住民奉仕に専念するため、また雇用対策としても、市が率先して安定雇用を増やすべきであります。

市長が「民間が担うことができるものは民間に委ねる」と言って進める民営化拡大路線も問題です。「官民協働事業・PPP」と称して、今回中央児童会館建替えに「定期借地・賃借入居方式」を導入しようとしていますが、これは建物の建設と所有を市が直接行わず、民間企業に丸投げするものであり、実質的に公共施設を廃止してしまうものに他なりません。当局は検討委員会で検討し「経費削減」などを理由にあげていますが、児童会館の役割について一切議論されないまま、PPP導入先にありきの検討など許されません。しかも、市費負担削減の根拠はなく、施設の維持・活用は20年間しか担保されず、企業の利益だけは保障するということが明らかになりました。こうした営利企業の儲けづくりを優先させ、公的責任を果たせないやり方はやめるべきであります。


以上でわが党の反対討論を終わります。


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