2012年9月議会
議案に対する反対討論
2012年9月20日 熊谷敦子議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第170号~173号及び178号、185号に反対し、討論を行います。
まず、議案第170号、一般会計補正予算案のうち、港湾関連公共事業の追加についてであります。
今回市長は、人工島における臨港道路アイランドシティ1・2号線の一部について1億2,000万円余の予算を追加し、車道及び歩道の舗装工事を推進する予算補正を提出しております。海の中道大橋につながる1号線については、4車線化の拡幅工事を行うものとの説明ですが、現在整備中の橋の供用開始は1年半も先のことであり、緊急性はありません。また、2号線のうち青果市場予定地北側部分については、一部舗装工事が完了しているものの閉鎖されて使われていない道路を西側に延ばすため140メートルの舗装工事を行うとのことですが、この近辺は更地しかなく、当局が予定している新市場の建設着工の2年も前に道路整備を急いで行わなければならない理由はありません。不要不急でありムダづかいだとのわが党の質疑に対し、港湾局は物流に支障が出ないようにするため計画的に整備を進めると答弁しましたが、多額の補正予算を組まなければならない緊急性、必要性について説明できませんでした。国が予算を付けたからと言っても、整備に伴い市費が投入されることにかわりはなく、理由になりません。物流について言えば、博多港のコンテナ貨物量も人工島への大型コンテナ船着岸も当局の思惑通りには伸びていないのが現実であり、それは物流業界が人工島の土地購入に躊躇していることにもリアルに現われています。「成長戦略分野への重点配分」などと言って、消費税増税によって生み出された財源をあてにムダな大型公共事業がまたも推進されようとしているなか、人工島事業推進のための税金投入と借金増発は許されず、わが党は反対するものです。
さらに、今回補正には、箱崎ふ頭の大型クルーズ船対応係留施設整備費が計上されています。当局は現在中央ふ頭で対応している14万トン級の大型クルーズ船が同時に寄港する場合に備えて、などと説明されましたが、事前調整すれば中央ふ頭で十分対応できるものです。そもそも国際経済も日中関係も今後どうなっていくか分からず、大型クルーズ船の寄港が増え続けるという当局の皮算用に現実味はありません。わが党の質問に対し、港湾局は「クルーズ船の動向は水物」「箱崎ふ頭の利用は一時的なもの」などと言われました。7,500万円も使って必要かどうかも分からない施設を造るなど、場当たり的な港湾整備を次々打ち出し税金を湯水のように注ぎ込むやり方は許されません。
なお、今回一般会計補正予算案には保育所整備費の追加が盛り込まれていますが、これによる入所児童数の増加は700人分にとどまり、来年4月の待機児解消に間に合うものとなっていません。本市において待機児が増え続けるのは、就学前児童数も保育所入所申込み数も右肩上がりで増加しているにもかかわらず、当局がこの現実を見ようとせず、予測を異常に低く設定し、さらに、すでにマンモス化している既存保育所にいっそうの詰め込みを押し付け、新設を後回しにしてきたやり方が行き詰まっているからに他なりません。この結果、子どもを預けて働きたいのに働けない母親たち、認可外保育所に預けたものの高い保育料に苦労する家庭、最低基準ぎりぎりまで詰め込まざるを得ない中で事故など起きないように必死に努力している保育所関係者、求められながらも責任に見合わない低賃金のため離職せざるを得ない保育士たち、様々な矛盾を引き起こし、福岡市を子育てしにくい街にしている責任は、市長にあります。破たんした待機児解消プランを抜本的に改め、土地の無償貸与や賃料補助の制度を導入して保育所新設を大幅に促進するとともに、保育士の待遇改善の手立てを取るよう要求するものです。
次に、議案第185号、学校給食センター用地の取得の一部変更に関する専決処分についてであります。
教育委員会は、関係者の反対や懸念の声を無視して、中学校の学校給食センターを大規模化し、現在4ヵ所を3ヵ所に減らす再編計画を推進しています。今回、市土地開発公社が取得していた博多区東平尾の土地1.3ヘクタールを、フッ素に汚染されていることが分かりながら新センター整備地として決定したため、汚染土壌の除去に3億円もかけることになったのであります。しかも、その除去費用を概算ではじき、買入価格に上乗せして当初予算に計上したうえに、余分な利子まで負担させられるなど、予算編成のあり方として前代未聞の杜撰さ、不可解さであります。新センターを何が何でも早く整備しようと強引に進める市長と教育委員会のやり方は異常であります。
したがって、わが党は、問題のある学校給食センター再編整備に反対する立場から、本議案に反対します。
なお、今回、契約議案1件について延床面積の記載に誤りがあったとして、市長から議会に対して訂正があり、担当局長から謝罪がありました。延床面積という契約にとって基本中の基本の事項について間違えるなどありえないことですが、なぜこうした間違いが起き、見逃されたのか、仕様書と入札説明書を見比べると延床面積だけでなく敷地面積、建築面積も違っているのはなぜなのか、当局は全く明らかにしませんでした。単なるミスでは済まされないことを市長に対し厳しく指摘するものです。
最後に、わが党が賛成する議案のうち、議案第184号、市長の給与の特例に関する条例の専決処分について意見を述べます。
本議案は、飲酒事故など職員の一連の不祥事に関し、高島市長の7月分の給与を全額カットしたことの承認を求めるものであります。
市長は、今回減給の理由について、不祥事に対する責任と、いわゆる禁酒令の取り組みの政治的なけじめ、不祥事ゼロの決意と覚悟などとしています。禁酒令は、市長が職員16,300人に対して、5月21日から1ヵ月間、自宅外で飲酒しないよう要請したものですが、処分もちらつかせた事実上の強制でした。これは、職員による自主的な再発防止の取り組みを壊すトップダウンのやり方でした。一方で、禁酒令によって売上げが激減した飲食店などから批判の声があがり、損失補償せよとの要求も正式に申し入れされていますが、市長は完全無視を決め込んでいます。禁酒令によって市民に多大な迷惑をかけ、被害まで与えたことは否定できない事実です。ところが、市長は謝罪も補償もせず、「けじめ」をつけたと言って1ヵ月分の減給で事を済まそうという態度であります。これに対し「市長のパフォーマンスだ」「飲酒運転根絶にむけて市といっしょに取り組んできた飲食業界などに対するひどい仕打ちだ」との声があがるのも当然です。
言うまでもなく、飲酒運転は絶対に許されない犯罪行為であり、飲酒運転を根絶するために本市職員のみならず市民あげて取り組まなければなりません。また、職員による不祥事をなくすため、起きた後の罰則を強化するだけでなく、その原因や背景を深く掘り下げて究明し、研修や啓発の強化、職場における民主的な討論と自己研鑽によって職員の自覚と誇りを高めるとともに、必要な部署の正規の増員によって多忙化を解消し、住民奉仕の仕事として働きがいの持てる市政運営に努めることが求められています。ところが、市長の姿勢には、こうした不祥事をなくすための抜本的で、かつ地道な取り組みに対する積極性が見えません。わが党は、市長減給にとどまらず、市民にも職員にも納得の得られる不祥事再発防止の取り組みをさらに具体化するよう要求するものです。
以上でわが党の討論を終わります。