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2011年度決算特別委員会(2012年10月)
「行革プラン」に関する質問と答弁(大要)
2012年10月22日、決算特別委員会総会における、日本共産党の宮本秀国議員の質問と答弁のうち「行革プラン」に関する部分は大要以下の通りです(公式の会議録ではありません)。
宮本市長は、財政リニューアルプランが23年度で終了するのを受けて、新たに打ち出した「重要事業の推進や新規投資のために使える財源づくり」で、24年度ベースで見ると25年度から28年度の4年間で新たに851億円の財源を確保する必要があるとしている。そこで、この策定の内容について、いつ、どの部署で、誰の指示で検討してきたのか答弁を求めます。
財政局長財政局において試算を行い、今回、行財政改革プランの策定方針とあわせて5月に公表を行った。
宮本851億円の財源の捻出はどういう検討をしているのか。
財政局長今後4年間に24年度当初予算並みの投資的な事業を実施するとした場合、約851億円の財源不足が生じるという試算をしているわけであるが、現在策定中の行財政改革プランにおいて、歳入面については市税等の収入率の向上や税源涵養などによる確保を検討中である。また、歳出については、人件費の抑制や組織のスリム化等による行政運営の効率化、個人給付減免制度の見直し、受益者負担等の行政サービスの見直し、また、公共施設の維持管理コストの縮減や施設の必要性、あり方などの見直しを検討している。
宮本財政局の「事務事業の効率化・スリム化と健全な財政運営に向けた主な取組み検討項目」によると、一つには行政運営の効率化、二つに行政サービスの見直し、三つに公共施設等見直しなどと81項目を挙げています。そこで一つ一つ尋ねていきます。
九州交響楽団補助金の削減について
宮本まず、九州交響楽団への23年度の補助金はいくらで、その目的など事業概要をお尋ねします。
経済観光文化局長九州交響楽団運営事業補助金は、文化芸術を生かしたまちづくりの実現を図ることを目的として、定期演奏会を初めレベルの高い音楽活動を展開し、本市の音楽文化の発展、振興に寄与すると認められる事業に対して交付するもの。23年度は1億6,200万円。
宮本その補助金を削減しようとするんですね。
経済観光文化局長県も補助を出しているところであり、県と歩調を合わせながら現在、検討を進めている。
宮本何も協議してないでしょう。勝手に発表している。九州交響楽団は福岡市文化賞、西日本文化賞、文部大臣地域文化功労賞、福岡県文化賞を受賞するなど九州を中心にした演奏会など音楽の分野で大きな貢献をしてきました。現在新たな発展を目指して公益法人となるため資金確保にも取り組んでいると聞いています。高島市長、あなたはこの楽団にこれまで出してきた補助金を冷淡にも削るんですね。まさに文化を切り捨てる、こういうことは許されません。これだけではない。
スポーツ大会補助金の削減について
宮本次に、スポーツ大会開催補助金について、補助対象事業の14のうち主要な六つの事業についてそれぞれの補助金とその意義、目的、あわせて対象事業に対する交付総額をお尋ねします。
市民局長本市のスポーツ振興を図ることを目的に、国内、国際スポーツ大会等に対し開催経費の一部を助成している。金鷲旗玉章旗高校柔道剣道大会650万円、全国大会出場補助金69万8,000円、福岡志賀島金印マラソン大会49万1,000円、九州一周駅伝競走大会18万4,000円、福岡国際マラソン選手権大会703万2,000円。全体で2,073万3,000円。
宮本市長は、伝統ある金鷲旗、玉章旗、それに、優秀な選手を全国大会に代表派遣するための補助金を効率化、スリム化といって削るんですね。いかがですか。
市民局長補助の目的を達成したものやその役割が薄れたものなどについては、大会開催の意義や効果などを検証し、見直しを進めていきたい。
宮本そういうものが14項目のどこにありますか。2,000万円ですよ。充実するなら分かるけども削るという。財政が厳しいからという言い分ですが、そこに矛先を向けるという市長のスタンスが極めて問題だ。削ることについて否定されませんでした。
私学助成の廃止について
宮本次に、教育長にお尋ねしますが、私立高等学校補助金および私立小中学校補助金、いわゆる私学助成の23年度のそれぞれの補助金額とその意義についてお尋ねします。
教育長私立高等学校補助金については23年度、22校に対して計4,798万3,000円を交付。私学教育の振興を図るため、施設や備品整備などに係る経費を対象に交付しているものである。私立小中学校補助金は23年度、15校に対して計305万6,000円。意義についてはほぼ同様。
宮本これを廃止するつもりですか。
教育長今後は、必要性を整理し、廃止に向けた検討を行っていきたい。
宮本廃止に向けた検討をしていくとはとんでもない答弁です。関係者は、廃止どころか増額を求めて毎年、請願や陳情に取り組んでおられます。市内の高校生の45%が私学に通っている。公立、私立の保護者負担の格差を是正するのが教育委員会の責任です。その責任を投げ捨てて私学の保護者負担を増やすなどということは許されません。
市立幼稚園の廃園について
宮本次に、市立幼稚園について、23年度の管理運営費等の決算額及び設置目的と果たしている役割についてお尋ねします。
教育長23年度決算額は2億8,370万2,000円。現在、市立幼稚園は8園設置しており、うち1園については園児数の減少により今休園しているが、就学前の幼児教育を担うものである。
宮本地域に根差して長年大事な役割を果たしてきた幼稚園を、行革の名において切り捨てるということは許されないということを厳しく指摘しておきます。
婦人会館の廃止について
宮本次に、婦人会館について、まず、管理運営費等の決算額及び使用実績、設置目的についてお尋ねします。
教育長23年度決算額4,785万1,000円。婦人の社会生活の向上に寄与するため、各種の講座、研修会などを実施するほか、女性団体、グループなどの学習、交流の場として利用している。年度により増減があるが、約7万人程度が年間使用している。
宮本廃止などを検討するとしているが、婦人会館をなくすんですか。
教育長婦人の社会生活の向上などのそういった当初の婦人会館の設置の目的に関しては、時代の要請を既に終えているものと考えている。なお、多数の市民が会議室等を利用しているので、これらの機能については残す形で検討していきたい。
宮本方向性について明確になってないと思うが、8万人が文化、教養を高めるために使用しているのが婦人会館ですよ。男女共同参画に取り組んでいるときに、これをなくすなどということは、市民から手厳しい批判を受けますよ。
切り捨て計画の規模はどうなるか
宮本市民負担の検討内容はこれだけではない。市長は、受益者負担の適正化と称して、がん検診の本人の負担の増額や、施設使用料の引き上げを検討している。その対象施設は、市民センター、公園、体育施設、図書館、美術館、博物館、・動物園、文化施設などをはじめ、これらの施設の駐車場を有料化すること、65歳以上の高齢者の施設利用料などの減免制度の全面的な見直し。ほかにも市営渡船志賀島航路の減便など、まさに切り捨てのオンパレード、こんなでたらめは許されません。そこで、このように検討の対象に上げている81項目に上る事業の見直しで、どれだけの財源を捻出するのかお尋ねします。
財政局長851億円の財源不足を既存事業の見直しのみで解消するということは困難であると認識している。現在策定中の政策推進プランにおいて投資の選択と集中を図り、必要となる施策や事業を厳選した上で、これを推進する財源を確保するために行財政改革プランを策定し、歳入の確保や事務事業の徹底的な見直しを行うとともに、毎年度の予算編成においてもさらなる見直しや財源確保を推進していく。
宮本10月13日付の西日本新聞では、「81項目全てを実施しても財源不足は解消できない」と担当者が語っていますよ。困難であるということならば、およそどのぐらい財源を確保するのか計算しているはずです。いくら見込んでいるのか重ねて答弁を求めます。
財政局長見直しの内容そのものについては現在、検討を重ねているところであり、まだはっきりとした検討の結果、方向性、見直しの内容が確定しているわけではない。したがって、それぞれの見直しの項目について実施するかどうか、あるいは、実施した場合にどれだけの効果があらわれるかということの仔細については、まだ確定的なものが困難な段階である。今後、見直しの内容を詰めていく中でそれぞれの項目、あるいは見直しの内容についてどれだけの効果を発生していくか、あるいは、財源不足の金額についてどのようにそれを埋めていくか、財源をつくり出していくかということについては、見直しの検討を踏まえた上で公表していきたい。
宮本市長、今、局長が答弁したが、81項目でどれぐらいの財源をつくるのか。もっといろいろ検討しないといけないところがあるにもかかわらず、こういう問題を投げかけた。市民は肉を削られるどころじゃなくて、もう骨が削られる思いだと深刻な話をいろいろしています。81項目のほとんどが市民サービスの分野、福祉や教育の分野ばかりです。
開発部門は「聖域」か
宮本では、開発部門はどうか。例えば人工島事業であるが、この事業に関連する23年度の各局における決算額はどうなっていますか。
財政局長港湾機能の整備に係るものが28億1,300万円余、居住環境の整備に係るものが65億3,400万円余、産業集積拠点の形成に係るものが1億5,100万円余で、合計で94億9,800万円余。また、アイランドシティでの整備を予定している新青果市場整備に係るものが55億3,000万円余あるので、これも加えると合計で150億2,900万円余である。
宮本五ケ山ダム整備事業について、24年度以降で145億円程度を予定している。決算額は20億円であるから、この事業だけでも200億円近い。これに博多港長期構想による新たな事業投資、それから、人工島の破綻救済のための新体育館が150億円、新青果市場・市民の反対を押し切って進める給食センターの建てかえ整備等々これらの事業には一切手をつけていない。これらの投資の財源に市民生活にかかわる分野を切り捨てたり、負担をふやしたりすることは決して許されないと思うが、答弁を求めます。
財政局長財政見通しによると、市税収入等の一般財源の大幅な伸びが期待できない中、今後、社会保障関係費や公共施設等の維持保全、長寿命化のための経費の増加が続き、さらに厳しい財政状況が続くと見込んでいる。本市の財政構造は、公債費の高どまりや扶助費の増嵩など、これまでになく硬直化が進んでおり、重要事業の推進や新たな課題へ対応していくためには、これまで以上に踏み込んだ見直しが必要である。行政運営の効率化や行政サービスの見直し、さらには投資の選択と集中に取り組んでいく。
市民犠牲の行革計画は撤回すべき
宮本今日の財政危機をつくり出したことには、市民に責任はありませんよ。高島市長は「稼ぐ都市論」や「アジアの拠点都市づくり」を振りかざして、いわゆる「選択と集中」を図るとしているが、市民はそんなことを望んでいません。根本が間違っている。あなたがお手本にしているところがあるでしょう。大阪市です。橋下大阪市政では、「住民にこれほどの痛みを押しつける事業見直しは初めて」と酷評されている「大阪市政改革プラン」。暮らしや文化、教育、福祉への重大な切り捨て攻撃に対して、幅広い大阪市民が立場を超えて、さまざまな反対運動を広げています。すでに100万人を超す反対署名が議会と市政に寄せられています。高島市長は、無駄と浪費の人工島事業など大型開発の推進には指一本触れず、その財源捻出のため、職員の削減や給料・退職金カット、文化、スポーツ、教育などへの補助金カット、そして、美術館、博物館など公共施設の利用料の引き上げ、婦人会館など公共施設の廃止等々、さまざまな分野での市民犠牲を計画しています。この計画を強行しようとするならば、市民の厳しい反撃にあいますよ。人工島事業など無駄な大型開発をやめるとともに、今回の行財政改革計画は撤回すべきだと思いますが、最後に市長の答弁を求めて私の質問を終わります。
高島市長財政の健全化について、現在の財政見通しにおいては、本市の財政状況というのは、今後、非常に厳しくなっていくということが見込まれているが、そうした中でも今後とも市民の活力を高めて、また、教育や福祉、こういった暮らしの身近な施策に力を入れていくためにも本市の将来を見据えた都市機能の強化や地域経済の活性化等都市の成長というものも必ず必要なわけである。そうした意味で、まずは、どういった政策に集中をしていくのかという政策推進プランをしっかりつくっていく。そして、その政策の推進において、やはりやめるものはやめていかなければいけないという総点検、これが行財政改革プランである。つまり、スクラップ・アンド・ビルドではなくて、ビルド・アンド・スクラップの精神で今後4年間の政策推進に必要な財源を確保しつつ、持続可能な財政構造を構築することとしている。
宮本委員今の市長の答弁では、市民の反撃を受けることは避けられないということを指摘しておきます。