2012年6月議会
議案に対する反対討論
2012年6月28日 星野美恵子議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第111号~113号及び118号に反対し、討論を行います。
まず、議案第111号、一般会計補正予算案及び議案第112号、港湾整備事業特別会計補正予算案のうち、箱崎ふ頭地区の臨港道路整備ならびにターミナル用地整備等についてであります。
今回予算補正は、箱崎ふ頭地区の臨港道路B-5号線及びA-8号線の道路改良に3億円を追加するとともに、ROROターミナル整備にかかわる新規事業として1億6,100万円かけてフェンスなど保安対策施設を設置し、また2億6,000万円かけてヤード整備を行うものであり、一般会計、特別会計あわせて7億2,100万円を追加するものです。その財源は国庫補助金があるとは言え、4億2,500万円の新たな市債発行と、財政調整基金から2,850万円を取り崩すものとなっています。
市長は、事業の目的について、競争力強化と効率化のため、国際・国内ROROターミナルを箱崎ふ頭に集約させるなどとしています。しかしながら、上海便が今後増える見込みはないと港湾局も認めており、現在人工島にある国際ROROターミナルで十分対応できます。したがって、国際・国内ROROターミナルの集約なるものは必要性も緊急性もないのであります。
箱崎ふ頭の再整備はこれにとどまりません。港湾業界や学者らで構成されている博多港長期構想検討委員会が今年2月まとめた「博多港長期構想案」によると、箱崎ふ頭は物流拠点と位置付けられ、例えばROROターミナルから都市高速道路の上を立体交差で横切りJR貨物駅までつながる新たな専用道路の絵が描かれています。また、「新たな空間の確保」などとして箱崎ふ頭の北側を新たに埋め立てる計画も示されています。当局は「あくまでも第三者機関の提案」などと誤魔化していますが、今回のROROターミナル整備はこの長期構想にそった博多港の大再編・大改造の先取りだということは明白であります。
その博多港長期構想は、物流機能を箱崎ふ頭と人工島へ移転・集約させるとともに、須崎ふ頭、中央ふ頭、博多ふ頭を港湾エリアから都市エリアへ役割転換させようというもので、これが事業化されれば市政史上かつてない巨大開発プロジェクトとなるのは必至です。具体的には、中央ふ頭から荒津ふ頭までの広大なエリアを、客船ターミナルや商業施設、集客施設、公園、スポーツ・レクリエーション施設などが並ぶ「都心部ウオーターフロント」として全面的に作りかえること、これらのアクセス強化として幹線道路や巨大歩道橋の整備、天神や博多駅と結ぶLRT・路面電車などの導入まで打ち出されています。また、人工島では埋め立ての拡大や鉄軌道の導入が示されています。まさに時代錯誤の無謀な巨大開発ですが、これは高島市長の言う「アジアのリーダー都市」「稼げる都市」の具体化に他なりません。わが党は長期構想の事業化にともなう財政負担を明らかにするよう繰り返し追及しましたが、当局は一切答えませんでした。総額で数千億から1兆円規模の事業費を注ぎ込む余裕は本市にも国にもありません。わが党が繰り返し追及してきたように、この間の大型開発推進市政のもとで税収は増えず、市民所得も増えなかったことはすでに実証済みであります。稼ぐのは大企業、ゼネコンだけ、残された莫大な借金返済に市民生活が押しつぶされる、そんなことは断じて許されません。市民の知らないところで財政負担も無視して進められている、博多港長期構想は検討を中止し、事業化を断念すべきであります。
したがって、わが党は、巨大開発プロジェクトである博多港長期構想を先取りした箱崎ふ頭再整備にかかる今回予算補正に反対するものであります。
次に、議案第118号、地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物制限条例改正案についてです。
今回条例改正は、3箇所の地区計画の区域内の建築物に対する制限を設けるものです。そのうち、六本松四丁目東地区地区整備計画区域、いわゆる九大六本松キャンパス跡地が新たに適用区域に追加されています。周知の通り、この区域は、南側ゾーンに裁判所など法曹関係の建物が移転されることが決まり、北側ゾーンについては住民あげて「緑と文化の杜(もり)を」との要望が出され、本市議会に対して福岡市少年科学文化会館の移設を求める請願も提出されているところであります。今回、この南北両ゾーンにおいて、建築してはならない建築物が定められるとともに、建築物の容積率や建ぺい率、高さの最高限度の規定が設けられることは当然のことです。しかしながら、建築物等の高さ制限について、法曹エリアの南側ゾーンは「60メートル」と明記されたのに対し、北側ゾーンは「ただし、特定行政庁が公開による意見の聴取を行い、福岡市建築審査会の同意を得て、周囲の環境上支障がないと認めて許可した建築物等については、この限りではない」と例外規定が付けられています。北側ゾーンで60メートルを超える高層ビルを建てることを認めれば、近隣住民の住環境と景観を守るうえで大変問題があります。巨大なマンションが建つのではないかと住民から心配の声があがっております。この点についてわが党の質問に対し当局は「原則60メートル」だと答弁しましたが、そうであるならば例外規定を書き込むべきではありません。六本松九大跡地の北側ゾーンは、住民から望まれていない高層マンションの建設を阻止し、住民の要望にこたえて、文化ホールを備えた少年科学文化会館を整備すべきであります。
したがって、わが党は、建築物の高さ制限に問題がある今回条例改正に反対します。
以上でわが党の反対討論を終わります。