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議会報告

2011年予算議会

2011予算に対する反対討論

2011年3月14日 ひえじま俊和議員

討論に入ります前に、11日、14時46分頃発生した東北地方太平洋沖地震は、日本での観測史上最大の巨大地震とされ、地震と津波による被害は甚大なものとなっています。私は、痛ましい犠牲となった方々にたいし、つつしんで哀悼の意を表するとともに、被災者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げます。政府があらゆる手をつくして、命の危険にさらされている方々、行方不明の方々の救助と捜索をおこなうこと、被災者を支援すること、火災災害や、原子力災害などの危険を除去するために全力をあげることを強く求めるとともに、わが党といたしましても、市民の皆さんと共同して、救援活動に全力をあげる決意であります。


私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に上程されている諸議案のうち、議案第32号および33号、35号、38号、39号、41号ないし43号、45号、47号ないし51号、54号ないし56号、58号、61号、66 号ないし68号、78号ないし81号に反対し、討論を行います。わが党の意見については、代表質疑および分科会審査ならびに総会における質疑で述べておりますので、ここではその基本点について述べます。


周知の通り、民主党・菅内閣はアメリカ追随、大企業奉仕、国民犠牲の方向をますます強め、内閣支持率の急落に現われているように国民の不信と怒りは日々高まっています。国会では二大政党のもう一方である自民党も同じ土俵の上での揚げ足取りに終始し、政治は行き詰まりをいっそう深めています。多くの国民が閉塞感と不安を深めるなか、この閉塞状況を打破する道を模索しています。わが党は、大企業のためこみを国民のために使い暮らしを支える「ルールある経済社会」、憲法9条を生かす平和の日本外交という、国民が主人公の改革の道筋を示しておりますが、ここにこそ従来型の政治の枠から抜け出す展望があると確信するものであります。


国の政治が暮らしを苦しめる時だからこそ、地方自治体は「住民の福祉の増進を図る」という役割を果たすことがこれまでに増して重要となっております。今市政に求められるのは、地域経済と雇用を支え、福祉や教育など市民生活の充実を図る「自治体らしい自治体」づくりを進めることであり、人工島など税金ムダづかいの開発行政、市民犠牲と公的責任放棄を柱とする従来のやり方を根本から改めることであります。

しかるに、高島市長が初めて提案した2011年度当初予算案は、市民とわが党が繰り返し要求してきた国民健康保険料の一定の引き下げや、保育所、特別養護老人ホームの一定の増設などが盛り込まれたものの、求められる規模には足りず、不十分な内容だと言わなければなりません。わが党は、家計を直接温め、地元中小業者を応援して地域でお金が回る循環型の経済対策、「暮らし応援で地域を元気にする緊急対策」を提案しましたが、市長はこれに応じず、住宅リフォーム助成制度の創設や教室エアコン設置、少人数学級の拡充、児童館設置、公共料金の福祉減免導入に背を向けました。また、教育費は527億円と一般会計のわずか6.9%の最低水準であります。


一方、本市最大の大型公共事業である人工島事業には156億円の推進予算をつけました。これは前年度に比べて2倍にあたる規模であります。また福岡空港第二滑走路や五ヶ山ダム建設など不要不急の大型開発を推進していることは、市債依存度を高め、本市の借金財政をいっそう苦しくさせるものです。

市債残高は2兆4,880億円、市民一人あたり170万円にものぼり、隠れ借金447億円を含む実質公債費比率は16.1%と、依然として深刻です。


以上のように、新年度予算案は、ムダな大型開発を推進し、福祉や教育、暮らしの分野を抑制するなど、市民の願いに反する内容が基調となっております。市民犠牲の行革路線ではなく、税金ムダづかいの開発行政を根本から改めることによって借金財政の立て直しを図りながら、雇用と中小企業対策、医療、福祉、介護など社会保障、子育て、教育、環境、防災、平和など市民生活を最優先する市政へ切り換えるべきであります。この立場から、わが党は市長に対し予算の抜本的組み替えを要求しましたが、市長は拒否したのであります。

したがって、高島市長の2011年度予算案と関連議案にわが党は反対するものであります。


次に、わが党が反対する議案のうち、いくつかの問題について、その理由を明らかにしておきます。


まず、市政の最大焦点になっている、こども病院移転計画の再検証に関してであります。

患者家族や小児科医・産科医をはじめ、多くの市民がこども病院の人工島移転に強く反対し、関係署名は総計30万筆を超えています。そうした中、高島市長は選挙公約に基づき、「移転決定プロセスの合理性・妥当性について検証する」とした調査委員会を立ち上げました。当初、市当局は「マル秘文書」でシナリオを書いて議論を誘導しようとしましたが、これは市民の強い批判をあびました。市民は、客観的で公正・公平、徹底的な検証を期待しているところです。

2007 年当時の検証・検討チームによる「現地建替え試算1.5倍」問題に関して、ヒアリングしたとされたゼネコンは3社とも「1.5倍など具体的な話はしていない」と証言し、市側の説明を真っ向から否定していることが報道されました。これを受けて、調査委員会の北川正恭委員長は「意思決定が不明確であった」と断定し、市に対して猛省を促したところであります。一方、当時担当課長としてゼネコンに実際に出向いてヒアリングした本人である中村・現財政局アセットマネジメント推進部長は、先の調査委員会で「1.5倍は見込むことが妥当であるとのご意見をいただいた」と説明しており、最近も「少なくとも1社は1.5倍と言っていたはず」と述べています。すなわち、当局が調査委員会や議会に説明してきたことと、ゼネコン側の証言とがまったく食い違っているのであります。一体何があったのか、新たな疑惑が浮上しております。この問題は、市民の強い反対を押し切って市がこども病院の人工島移転方針を決定した根拠が揺らいでいるものであり、解明なしに先に進むことはできません。

こうした事態を受け、わが党は、条例予算特別委員会の総会質疑において、一連の事実を唯一知りうる中村部長の出席と答弁を求めましたが、高島市長は不当にも拒否しました。さらに、わが党は、中村部長の他、ゼネコン関係者、当時の本市最高責任者であった吉田宏前市長を参考人として招致し、聴取することを提起しましたが、条例予算特別委員会運営理事会において、自民党、公明党、民主市民クラブ、みらい福岡が反対し、参考人聴取は実現しませんでした。議会と議員の役割は、不正をただし、行政を厳しくチェックすることが何よりも大切であります。しかしながらこれらの政党、会派の態度はこの役割を投げ捨て、疑惑にフタをするものであり、市民の理解は到底得られません。わが党は断固抗議するものであります。

わが党は、こども病院の人工島移転計画に一貫して反対してきた立場から、徹底調査と同時並行で、現地建替えの検討を急ぐよう要求しました。市長は「整備場所については調査委員会の検証結果を踏まえ、最終的に判断する」と答弁されました。市長の判断の基準として最も重視しなければならないのは、何といっても市民の世論であります。ここを間違えると前市長と同じ轍を踏むことになるということを強く指摘しておくものであります。


第2に、経済・雇用対策についてです。

市長の経済対策は、融資枠の拡大と公共事業の前倒しの他に有効と言える目新しい手立てはありません。一方で、景気対策として中小業者やわが党が要求している住宅リフォーム助成制度の創設については、中小業者の仕事起こしの効果や経済波及効果を認めながらも「業種間の公平性に問題がある」などと言い訳にもならない従来答弁を繰り返して、拒否しました。

また雇用対策について、学校の卒業と同時に失業者になる事態は看過できませんが、就職活動への本市の支援は不十分です。深刻な人手不足に悩む福祉、介護、保育、教育、農林水産業など公的分野で正規雇用をどう増やすのかが見えません。市長は、正規雇用の拡大に十分な手立てを取らない一方で、就職活動中の学生に「日本一の努力で競争に勝ち抜け」と発破をかける姿勢を示しましたが、これでは、若者は自己責任に追い込まれるばかりで共感どころか失望の声があがるのも当然であります。


第3に、福祉と社会保障についてです。

高すぎる本市の国保料を引き下げてほしいという世論はますます高まり、署名はこの議会中にも提出され、4年間の累計で29万筆を突破しました。こうした世論と運動を受け、市長は一人あたりの国保料を2,000円引き下げるための予算を盛り込みました。しかし、それでもなお所得233万円の3人世帯で年額43万円余の国保料はあまりにも高すぎるのであります。払いたくても払えない滞納世帯に対し、市は厳しい取り立て、異常な差し押さえなど制裁的な対応を強め、また事情を把握しないまま保険証を取り上げていますが、命を守るべき医療保険が命と暮らしを脅かす事態は一刻も早く改善しなければなりません。冷たい国保行政を改めるとともに、国保料の抜本的な引き下げを重ねて要求するものです。

介護保険についても保険料や利用料は市民に重い負担を課すもので、安心して介護を受けられるには程遠いと言わねばなりません。とりわけ、特別養護老人ホームの入所待ち解消は喫緊の課題であり、整備のスピードをさらに引き上げるよう求めます。後期高齢者医療制度の即時廃止、低年金・無年金の改善、障害者福祉、生活保護行政の改善を国に要望するとともに、本市独自にも手立てをとるべきです。

市立病院については、地方独立行政法人に移管されて1年が経とうとしていますが、わが党が指摘してきたとおり様々な問題が生じており、外来も入院も患者が減少するなど、初年度からその見込み通りになっていないのであります。元の直営に戻すよう要求します。


第4に、教育と子ども・子育て支援についてです。

教育予算が抑制される中、大規模改造が後回しにされており、窓サッシの落下事故がこの3月にまたも発生したにもかかわらず校舎修繕は不十分です。普通教室へのエアコン設置は国も予算を付けて全国で実施が広がる中、「扇風機のほうが優れている」「衣服で調節できる」などと驚くべき時代錯誤の思考に凝り固まっている教育長の態度は許せません。児童・生徒が安全に学校生活を送ることができるよう教育環境の抜本的な改善を求めます。また、父母や関係者の切なる願いである少人数学級の全学年実施については「国の動向に留意」などといって極めて消極的です。福岡市立学校職員にかかる条例改正案は、副校長や主幹教諭を新たな職を設置することに伴うものですが、管理体制の強化、上意下達の教育政策を推進することに他ならず、現場の困難を拡大するものであり、容認できません。また、給食センターを大規模化してPFI手法を導入する再整備構想については市民から不安と批判の声があがっており、やめるべきです。

深刻な待機児解消のためには、現場に困難をもたらす保育所の大規模化や詰め込みや、保育の質に疑問の声もあがっている分園や保育ママの活用ではなく、保育所を大幅に新設する必要があり、早急な手立てを求めるものです。保護者や関係者の願いに反し、公的責任を後退させる公立保育所の民営化は認められません。

新年度予算案には国の子ども手当が盛り込まれていますが、国会情勢は流動的です。子ども手当法案が廃案になると、元の児童手当に戻り、給付がゼロになったり大幅に減ったりするなど子育て世帯に被害が出るため、福祉団体などからも継続を求める声があがっており、わが党は、子ども手当を恒久的制度にすること、手当は当面現状の月額1万3千円とし、増額分は保育所設置など総合的な子育て支援策に回すこと、学校給食費の天引き禁止、手取り額が減少しないよう年少扶養控除の廃止の見直し、の4点の修正を加えた上での成立を求めているところであります。


第5に、人工島事業など大型開発についてです。

造った土地が売れずに単価が引き下げられ、採算割れに陥るのは必至の人工島事業について、わが党は、赤字を最小限にとどめるため、ヤフードーム11個分にもなる今後の市4工区の埋立て工事を取りやめるよう提案しましたが、市長は「立地優位性などを踏まえ着実に整備を進める」と推進姿勢を明確にしました。このまま突き進めば巨額の負債を生み、本市財政を破たんに追い込むことは必至です。それでもなお人工島事業を推し進める市長は無責任の極みであります。

新年度予算案には、人工島事業推進として、埋立ての他、本来開発者が負担すべき道路や下水道の整備、住宅市街地総合整備事業、青果市場移転を含めて156億円もの予算が盛り込まれています。五ヶ山ダム建設24億円、土地区画整理事業の合計36億円などを合わせると、大型開発推進予算は200億円以上にのぼります。この予算を暮らし応援に振り向ければ、例えば、国保料の一人1万円の引き下げ、住宅リフォーム助成制度の創設、教室エアコン設置はすぐにでも実現できるのであります。公共事業はムダな大型開発ではなく、浸水対策や河川整備、公共施設の耐震化、市営住宅、市民が必要とする文化・芸術・スポーツの施設など、生活密着型に切り換えるべきです。


第6に、行革についてです。

市長は「効率的な市役所」などと称して、無責任な行革を推進しようとしています。職員体制については、政令市の中でも異常に少ない本市職員をいっそう削減し、臨時、派遣など非正規雇用をさらに拡大しようとしています。とくに、生活保護行政に導入される「任期付短時間勤務職員」は新たな非正規雇用の形態を一方的に持ち込むもので、官製ワーキングプアを生み出すものであり、容認できません。公共施設の指定管理者も拡大され、また水道の検針業務が新たに民間委託化されようとしています。「最小の経費で最大の効果を」などと言って職員をモノのように扱い、人件費削減に躍起になることが一体何をもたらすのか。結局、市民のための公共サービスが切り縮められ、営利企業の儲け道具になるのは必至だと言わなければなりません。借金財政のツケを市民犠牲と公的責任の放棄に求めるやり方は認められません。


以上でわが党の反対討論を終わります。


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