2011年予算議会
2月補正予算関連議案に対する反対討論
2011年2月21日 熊谷敦子議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち議案第1号並びに5号〜9号、11号、12号、22号、31号に反対し、討論を行います。
まず、議案第6号、港湾整備事業特別会計補正予算案及び、議案第5号中央卸売市場特別会計補正予算案、議案第22号、埋立て造成地の処分について、以上、人工島の土地処分にかかる諸議案についてです。
第 1に、港湾特会の歳入のうち66億3000万円の減額補正は、人工島のみなとづくりエリアの市1工区の港湾関連用地5.1ヘクタールの分譲処分が年度内にできないために生じたものです。わが党の質問に対して当局は、この分譲地は国際物流拠点施設用地として売却する予定であり、複数の企業と精力的に協議を行っていると述べるだけで、本当に売却先があるのか何の見通しも示すことができませんでした。もともとこの用地は、6階建ての大型物流センターを建設するとして、2年半前に不動産開発会社「ニューシティーコーポレーション」に売却すると発表されたものの、同社は廃業し、引き継いだ特別目的会社もテナントを集める展望がないとして土地売買契約の直前になって辞退したという曰く付きの用地であります。売れないのはここだけではありません。近接の4ヘクタール及び2ヘクタールの分譲地も計画通りに売れずに先送りされ、1年前に決定した「新事業計画」の土地処分計画が早くも崩れているのであります。さらに唯一売れた分譲地は、イヌイ倉庫が計画していた物流施設を建てられず、いまだに更地のままです。歴代港湾局長は、博多港の国際コンテナ貨物の取扱量が増加傾向にあることなどを根拠に、コンテナヤードの背後地である港湾関連用地が引く手あまたで、次々と物流施設が建つかのような説明を議会で繰り返してきました。しかしながら、この数年間の実績を見れば、コンテナ取扱量の増加と分譲地の需要とは一切連関性がないことは一目瞭然であります。
また、港湾特会の歳入のうち6億8000万円余の減額補正は、市5工区のまちづくりエリアの住宅用地の分譲処分ができなかったことによるものです。これは約5ヘクタールを一括処分する計画だったものを事業主体である積水ハウスが勝手に開発計画を変更したためです。この背景には、長らく内需が冷え込み新規戸建て住宅の需要が伸び悩んでいる昨今の経済状況があり、どんなに優遇策を講じても人工島に住宅用地の需要は見込めないというのが現実であります。
このように何の根拠もないのにバラ色の絵を描いて、開発先にありきで広大な土地の埋め立てを推進してきた歴代市長及び市幹部、議会の推進勢力の責任は極めて重大であります。
第2に、港湾特会の歳入のうち約54億円の増額補正及び、市場特会の追加補正は、青果市場の統合移転先の一部として市2工区の港湾関連用地5ヘクタールを売買するものです。問題は処分単価です。「新事業計画」では当該分譲地は1平方メートル当たり13万円とされていましたが、今回は10万9000円と、 16%減の大幅引き下げです。仮にこの単価が続けば、いわゆる原価割れとなり、みなとづくりエリアの資金計画は122億円の黒字どころか24億円の赤字へと転落することは、当局も認めました。さらに安値のたたき売りとなればもっと深刻な事態となります。わが党は当初から人工島事業は必ず赤字を生み、その穴埋めに税金投入が避けられず、本市財政に多大な悪影響を及ぼすと警告してきましたが、まさに現実となってきたのであります。人工島の港湾関連用地の需要はまったくないことがいよいよはっきりしました。埋め立てを続ければ続けるほど赤字がふくらむことになります。幸いにもヤフードーム11個分にもなる市4工区の埋め立て事業はまだ初期段階であり、今なら止めることができます。このムダな事業をきっぱり凍結するのが、まさに現実的で賢明な選択だということを改めて市長に進言するものであります。
第3に、青果市場の統合、人工島移転についてですが、もともと青果市場は現地建て替えが市の基本方針でしたが、関係者の反対を押し切って移転が強行されようとしています。現在の青果、西部、東部の3市場を利用する小売業者は、人工島に移転されれば都市高速道路料金往復1200円を含め運搬にかかる経費負担や時間が大幅に増え、「もう商売はやれん、廃業せざるを得ない」と悲鳴を上げています。本市の経済活動や市民の食に大きく貢献してきた業者を切り捨てることは許されません。しかも、土地売却ができず収入不足に陥る港湾特会の穴埋めのために、年度末に補正予算を組んで前倒しまでして青果市場用地を買い取るのは、異常なやり方だと言わなければなりません。その財源は現在の市場の跡地の売却益でまかなうとされていますが、不足額が生じることがはっきりしました。当局は一般会計から補てんする、すなわち税金を投入する、あるいは利用料に転嫁する方針だと説明しましたが、人工島の破たん救済の責任を市民に押し付ける移転強行は許されません。
したがって、人工島の土地処分にかかる諸議案にわが党は反対します。
次に、わが党が賛成する議案のうち、議案第19号、建替促進住宅新築工事請負契約の締結についてです。今回議案は千代六丁目住宅の建て替えを行うものですが、近年、勤労世帯の所得減少や失業者の増加、年金支給額の減少などを背景として市営住宅の入居希望が増え、公募倍率は約20倍、とくに高齢単身者では 48倍にもなっている中、市営住宅は建て替えだけでなく、大幅に新規建設して、入居待ちの市民の願いにこたえることを強く求めるものであります。
また、子宮頸がん等ワクチン接種事業が一般会計補正予算に盛り込まれましたが、子宮頸がんワクチン、髄膜炎など感染症予防のヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種の全額公費助成は、市民の要求運動が高まり、わが党も要求してきたものであり、この3月から実施されることを評価するものです。必要な子どもがすべて接種できるよう周知徹底を図るとともに、期限を区切らず恒久的な制度とするよう求めるものであります。
以上でわが党の討論を終わります。