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議会報告

2011年6月議会

こども病院 人工島移転問題
災害など市民の不安を無視し開き直った高島市長
中山市議が追及

2011年6月20日 中山いくみ市議の一般質問

「見直し」を公約した高島市長が設置した「こども病院移転計画調査委員会」(専門家、患者家族、市民ら11人で構成)の報告を受け、市長は5月、人工島移転を「決定」。日本共産党は、6月市議会で防災や地域医療など、あらゆる角度から徹底的に検証・追及しました。

人工島は防災に不安
専門家や調査委員も危険さを指摘。
市長は都合のいい意見だけ「つまみぐい」

調査委員会で人工島は防災面で不安との意見が出されたのに、なぜ人工島かと中山いくみ市議がただすと、局長は「専門家の意見を聴いた」と答弁しました。

ところが、実際にはわずか1時間の聞き取りだったうえに、その中でも人工島への危惧が表明されたことを中山市議は指摘。

「都合のよい意見だけを恣意的にとりいれるやり方は許されない」との追及に、市長は具体的に答えられなくなり、「防災面に十分配慮した」という無内容な答弁に逃げ込むありさまでした。


津波対策は3日間の電源だけ

津波の可能性が否定できなくなり、市がとる対策は「非常用発電機を上層階にもうける」だけ。それも3日間しかもたないことがわかりました。


海面から1.3メートルしかない人工島

人工島事業を推進する市港湾局は津波をまったく想定しておらず、満潮時には海面から1.3メートル程度の高さしかない──綿貫英彦市議の委員会質疑で明らかになりました。


安全は「できるだけ」 無責任な防災体制

熊谷敦子市議がこども病院を人工島に移した場合の防災について委員会でただすと、市側は「できるだけ安全に」と無責任な答弁をしました。

被災した宮城のこども病院長は…

林院長は福岡市の調査委員会で、震災のさいに建物は被害をうけなかったが、電源が落ち、自家発電のガスも止まって危機的状態になった、綱渡り的に回避し、呼吸器も維持できたと報告。「大災害でも通常の診療維持が必要。その点で人工島は最も弱い場所で、孤立化の可能性がある」と発言し注目されています。

市長との対談記録より

九大の都市防災専門家から危惧する意見が…

● 福岡にも津波の可能性

「島根県の沖合にも活断層があるという報告がある。したがって、日本海でも大きな津波が発生する可能性がないとは考えにくい」「福岡にも津波が絶対に来ないと言い切れない」「一般論として…(津波が)1㍍を超えると相当な被害が出る」(海岸工学・海洋工学・沿岸防災学 橋本典明教授)


● 橋は大丈夫でも…

「一般論でいうと、一般道の通行止め…上水道の断水…ガス供給停止・停電などの影響が出てくるので…インフラ全ての耐震化が必要」「橋だけを守ったとしても道路は基本的に耐震設計されていない」「トータルとして機能するかどうかが重要」(地震工学・耐震工学・構造工学 大塚久哲教授)


● 「洗礼」受けてない土地

「新しい人工島などは洗礼を受けていないので、次の災害で何がおこるかわからない。…長い間安全であった場所と、この頃作った場所では同じ安全性があるという誤解を持たない方がよい」(大塚教授)


● 想定外を想定せよ

「『想定外の地震』とよくいうが、我々は想定外を想定しないといけない」(土木工学・防災地盤学・海洋地盤学 善功企教授)


人工島移転を撤回し現地または周辺で建て替えを

日本共産党の中山市議は、高島市長がこども病院の人工島移転を「決定」したことは、人工島移転にしがみつき市民の厳しい審判を受けた前2代の市長と同じであり、市民の期待を裏切るものだと指摘。

市長が「見直し」を公約し、調査委が前市政の建設費試算を「根拠がなかった」と結論づけた以上、前市長がつくった「新病院基本構想」(こども病院の人工島移転を前提にしたもの)をまったく見直さないのは市民の願いを無視するものだと追及しました。そして、幅広い市民説明会、市民アンケート、住民投票などで市民の意思を確認するようせまるとともに、現地または周辺で建て替えるよう求めました。

市長は「調査委員会をオープンにし、市民にも説明した。市民と共有し、理解していただいた」と開き直りました。


地域医療「現地に新小児科」は何の保証もなし

高島市長は「現在地に成人病センターを移転し、そこに医師会と協力して新しい小児科をつくる」と記者会見で述べましたが、中山市議が医療の中身、開院時期、ベッド数、医師確保の見通しなどをたずねると、詳細は何も決まっておらず、こども病院のかわりになりえないことが判明。

「医師会丸投げだ。前市長の言い訳と中身は何も変わっていない」と中山市議は厳しく批判しました。

また、局長は「成人病センター移転はあくまで選択肢のひとつ」とのべ、あたかもすぐに新しい小児病院ができるかのような、市長の「市民むけ宣伝文句」との矛盾をあらわにしました。


決め方調査委が「猛省」を促した前市長よりひどい独断

「透明性の高い議論」と胸を張る市長にたいし、中山市議は、調査委立ち上げ以後、市長が患者家族・市民から独自に意見聴取したことはないこと、こども病院スタッフへの聴取も当日朝に院長が声をかけた幹部12名だけ(全職員の3%)、市内部の決定も記者会見の朝に15分間市幹部に説明したのみであることを指摘しました。

「調査委が『猛省を促す』とした前市長のやり方よりもひどい独断ではないか」と批判しました。


決定の根拠は?「『妥当』が多数派」は市長の決めつけ

中山市議が、人工島に決めた根拠をただすと局長は「こども病院移転計画調査委員会後の記者会見で妥当とする委員が7人、妥当でないとする委員が3人だった」と答弁。「調査委ではそんな結論は出していないではないか」と中山市議がただすと、市長は「妥当性ありの意見を重視した」と事実上答弁を修正。プロセスの妥当性の問題を人工島移転の賛否にすりかえたことが明白になりました。

中山市議が調査委で最も多くデメリットを指摘する意見のついた場所はどこか聞くと「人工島」と市側が答弁。

現地建て替えや他の地域は批判意見が少ないことがわかり、市長の決めつけぶりが浮きぼりになりました。


前市長の計画「新病院基本構想」指一本ふれず 収支計画はこのままでは破たん

高島市長は、前市政の「新病院基本構想」に指一本ふれようとしません。

しかし、県が認可した病床数は233。ところが「基本構想」では260を想定し、さらに、新しい小児科ができれば、「基本構想」で見込んだ患者数や駐車場の必要台数に影響が出ることは必至であり、収支計画の見直しはさけられません。

中山市議がこの問題をただすと、市は東区にこども病院がくれば「東部の患者がふえる」「想定内であり影響はない」などと強弁しました。

中山市議が、東部の患者は東医療センターなどで対応できているので、東部の患者数はふえないのでは、と追及すると、市は同じ答弁をくり返し、反論不能になりました。

前市長のやり方を批判した調査委報告では…

「市として重要な意思決定を行っていく際、確固とした体制ができていたのか、チェック体制は十分だったのか、各局の連携は十分に取れていたのか」「市役所内部のみで行い、この過程を真摯に市民に説明し、理解を得ようとする姿勢に欠けていた」「こうした仕事の進め方が…『アイランドシティありき』…のような受け止め方をされる要因」


市役所に怒りの声 殺到

移転「決定」後に市長室に寄せられた市民の意見は「予想はしていましたが、失望です」「アナウンサー時代は高島さんのファンだったが、市長になってからファンで無くなった」「もう辞めなさい」など抗議・撤回の声が大半。

議会に報告する気すらなかった市長

市長は今回の決定を市議会に報告する気すらありませんでした。共産党が会派代表者会議の場で市長に「正式な報告をすべきだ」と要求し、しぶしぶ報告がおこなわれることに…。

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