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2010年12月議会
2010年12月議会 意見書について
介護保険の利用者負担や保険料の大幅値上げと
介護サービス削減に反対する意見書
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が、本年11月30日に取りまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」は、生活援助中心の要支援者・軽度の要介護者は介護保険の対象外とするか、若しくは利用者負担を1割から2割に引き上げること、ケアプラン作成などの居宅介護支援・介護予防支援に利用者負担を導入すること、施設サービスで個室以外の部屋からも室料を徴収すること、一定以上の所得がある者については利用者負担を2割に引き上げること、施設に入所している住民税非課税世帯などの低所得者に支給される、特定入所者介護サービス費について、家族の負担能力等を勘案し制限できるようにすること等を打ち出しました。これは主要項目の大半に反対意見が付記された、いわゆる両論併記の提案でしたが、同省は来年の通常国会への法案提出に向け、この提案を受けた見直し案を検討しており、見直しの結果、65歳以上の介護保険料が月平均 5,000円を超えるとの試算を出しています。
現在でも、要介護度認定者の2割が介護サービスを受けておらず、要介護度別の支給限度額に対する平均利用割合も最大で6割程度にとどまるなど、経済的負担の重さによって利用抑制が起きています。また、保険料が夫婦で月1万円を超えるのは負担の限界だとする声は強いものがあります。
社会保障審議会介護保険部会が提案した方向で制度の見直しが実施されれば、更に利用抑制が進み、高齢者の生活は一層困難なものになります。また、全国市長会など地方からも、国庫負担割合の5%引き上げを求める声が上がっています。高齢者の負担を抑制し、介護サービスを維持するためには、国庫負担を引き上、利用者負担を抑えることが欠かせません。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、介護保険の利用者負担や保険料の大幅値上げと介護サービス削減を実施しないよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣あて
議長名
(賛成多数で可決。共産党立案。賛成=共産、自民、公明、民主、みらい、ネット、社民、福政が賛成)
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への対応に関する意見書
政府は、11月9日に、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定(以下「TPP」という。)について、情報収集を進めるために関係国との協議を開始することとしました。
TPPは、原則としてすべての物品について関税の撤廃をめざしています。仮にTPPが締結されれば、日本製品の輸出について効果が見込める反面、安価な輸入品の流入により国内の農業生産に大きな打撃を与え、ひいては、地域経済、社会、雇用が極めて深刻な影響を被ることが十分予想されます。我が国は食料の60%を海外に頼っており、更に食料自給率が低下することになれば、安全・安心な食料の安定供給が脅かされ、国民生活に大きな不安を与えることになります。
また、TPPでは、物品貿易の自由化だけではなく、金融、保険、政府調達や医師、弁護士、会計士等の業務の自由化及び看護師、介護福祉士等の労働市場の開放等を含む包括的な交渉が行われることから、参加の条件によっては、農林水産分野以外にも経済や生活に係る多様な分野について基準や仕組みを根本的に変更することになり、「国のかたち」が一変してしまう可能性も否定できません。
よって、福岡市議会は、政府が、次の措置を早急に講ぜられるよう強く要請します。
1 我が国及び本市の農業に対する重大な影響が懸念されるTPP交渉については、拙速に判断せず、参加の是非を国民に問うなど、国民的議論をふまえて慎重に対応すること。
2 TPPについては、全品目での関税撤廃だけではなく、様々な分野での包括的な交渉が行われ、農林水産分野以外にも国民の経済や生活に係る多様な分野について影響があることを国民に十分説明すること。
3 世界貿易機関(WTO)農業交渉において我が国が示した「多様な農業の共存」を基本理念として、農業の多面的機能への配慮や食料安全保障の確保等のために、農業・農村の振興、食料自給率の向上などの農業施策を打ち出すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成 年 月 日
内閣総理大臣、外務大臣、財務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣 あて
議長名
(全会一致で可決)