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2010年12月議会
議案に対する反対討論
2010年12月22日 星野 美恵子 議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち議案第161号~175号、179号、180号、184号~189号、191号~202号、206号、207号、209号、211号、213号~215号に反対し、討論を行います。
まず、議案第175号、福岡市職員の給与に関する条例改正案等、給与改定にかかる条例案及び補正予算案についてであります。
今回給与改定は、今年9月の人事委員会勧告に基づき、職員の給料表及び住居手当等を引き下げることにより、0.34%の引き下げを行うとともに、期末手当0.2ヵ月分を廃止するものです。これによって、現行より月額平均1,463円、期末手当カットとあわせて年額10万8,000円の減額となるのであります。
本市職員の給与については、1999年以来この12年間賃上げは一度もなく、毎年のように引き下げられており、その影響は通算すれば年額86万円にもなるのであります。職員からは「生活設計が成り立たなくなる」「公務員としての誇りもやりがいも失くしてしまう」という声があがっている通り、これほどの賃下げが続けばモチベーションを維持することは困難にならざるを得ません。今、貧困が広がる中で生活保護に携わる職員は多忙を極めています。高齢化社会に対応する介護や医療に関わる部署、児童虐待の急増に対応する児童相談所の職員も昼夜を分かたず働いています。学校現場でも多忙化や教育課題の深刻化に追われています。また近年、国の制度変更に伴う諸業務も膨大になっており、さらに集中豪雨など災害への突発的な対応も求められています。公務員が心身ともに健康を維持しながら全体の奉仕者として責任ある仕事に専念するためには、その身分をしっかり保障することが不可欠であります。職員給与の引き下げはこれに真っ向から反するものと言わなければなりません。わが党の質問に対し、市長は人事委員会勧告通りの改定だと答弁されましたが、もともと人事委員会制度は公務員がストライキ権など労働基本権を制約されていることの代償措置として設けられたものであります。給与引き下げを勧告すること自体、その役割を放棄しているのであって、この勧告に市長が従わなければならない道理はありません。
また、職員給与の引き下げは、嘱託職員や臨時職員など本市が雇用する非正規労働者や、委託業務に関わる労働者、公務員準拠の給与体系をとっている民間保育園の保育士など、幅広い労働者の賃下げに連動することになります。さらに、民間企業の給与にも影響を与えることは避けられません。こうした労働者の賃下げは市内全体でみれば数十億円規模で家計から所得を奪うものであり、消費をますます冷え込ませ、地域経済に悪影響を与えることは必至であります。まさに景気悪化のスパイラルに陥らせるものと言わなければなりません。
したがって、わが党は、職員給与の引き下げに関わる条例案及び補正予算案に反対するものであります。
なお、今回一般会計補正予算案には、生活保護費103億円余の増額補正が盛り込まれておりますが、わが党は、生活困窮の市民の最後のセーフティーネットとして生活保護行政のいっそうの改善・充実とケースワーカーの抜本的増員を要望するとともに、国に対して財政措置の拡充と老齢加算の復活を要求するよう求めるものであります。
次に、議案第180号、福岡市立市民センター条例改正案、及び議案第184号等、公の施設の指定管理者の指定にかかる議案21件についてであります。
1点目に、今回提案の市民センター条例改正案は、各区に設置されている市民センターについて、その管理に指定管理者制度を導入するものであります。
市民センターは、大ホールや中小の会議室、視聴覚室、図書室などを備え、市民が安価で気軽に利用できる文化と交流の拠点施設です。従来、この管理は本市が直営で行い、職員を配置して適切に運営されてきたものです。今回条例案は、市民センターの指定管理者の選定について、民間企業も参入可能な公募方式とし、その基準に「管理経費の縮減」を掲げています。これは営利企業による安上がり競争を持ち込むものに他なりません。経費削減の一番のターゲットは人件費であり、結局、これまで正規職員だったところを低賃金・短期間の非正規労働者に置き換えることになるのであります。
もともと指定管理者制度は、財界の要求を受けて「官から民へ」のかけ声のもと、国、地方自治体の業務、施設を民間に開放してビジネスチャンスをふやすという戦略にもとづいて導入されたものです。公の施設の管理、運営は数十兆円の市場といわれ、民間企業等が大もうけをねらうなか、本市においても公の施設を次々投げ渡してきたのであります。公の施設の管理を営利目的の民間企業にゆだねることは行政の責任があいまいになり、今以上に住民と議会のチェックができにくくなるとともに、サービスの低下や住民負担の増加、個人情報の漏えいの危険などを伴うものであります。また、従来から管理運営を担ってきた公共性の高い団体を民間企業と競争させることにより、本来必要な委託費が削減され、そのツケが賃下げと解雇など労働者の処遇の改悪につながるものです。わが党はこうした問題点を指摘して指定管理者制度に一貫して反対してきましたが、制度導入から7年経ち、我々の懸念が現実のものとなっているのであります。
したがって、市民センターはこれまで通り市直営で管理運営すべきであり、指定管理者制度を導入する本議案にわが党は反対いたします。
2点目に、今回、公の施設の指定管理者の指定にかかる議案28件が提案されており、わが党はそのうち21件に反対します。
わが党は、公の施設を住民福祉の増進に生かすため公的責任を保障し、営利目的へと変質させることのないよう、その管理は直営を基本にすること、指定管理者制度を導入する場合は一般公募せず従来管理委託してきた公的機関を指定管理者に指定すること、公募する場合でも株式会社など営利を目的とした企業を指定管理者に指定しないことを求めてきました。ところが、今回提案は19の施設の指定管理者を株式会社に指定するものであります。
小戸公園などいつくかの公園や農業ふれあい施設の指定管理者については、従来管理者であった公益財団法人福岡市緑のまちづくり協会が公募から排除され、結果、西部ガスや西鉄の関連会社など民間企業が選定されています。公益財団が管理し問題なく運営されてきたにもかかわらず、営利企業の参入を拡大するために更新阻止を働きかけた市当局のやり方は異常であります。
また、自転車駐車場の指定管理者については、相変わらずJR九州や西鉄の関連会社を選定していますが、高齢者の雇用の安定に寄与しているシルバー人材センターから仕事を奪うものであります。特に、中央区内4ヵ所の駐輪場の指定管理者を西鉄ビルマネージメント株式会社に指定する件については、その選定委員会において、会議を非公開とする一方、応募団体名を選定委員に公開して評価したことが、わが党の資料請求によって明らかになりました。これは西鉄ビルマネージメントに対して極めて恣意的な評価がされた疑いがあると言わなければなりません。しかも選定委員の氏名を公開せよとのわが党の求めに対して、市当局は選定委員会が非公開を決めたことを盾に明らかにしませんでした。まさに闇の中であります。市民から疑念を抱かれるような選定は認められず、選定委員と選定過程を包み隠さずすべて明らかにするよう、高島市長に求めるものであります。
以上でわが党の反対討論を終わります。