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2009年度予算議会
ゼネコンからのヒアリングは本当にあったのか
市長は答弁不能に
2009年3月5日 中山いくみ議員
日本共産党の中山いくみ市議は3月5日の本会議で補足質疑に立ち、こども病院人工島移転問題について吉田市長を追及しました。
中山市議は、まず「検証チーム」が現地建て替え試算にかかわってゼネコンからヒアリングした経過についてただしました。マスコミの取材に対して「ヒアリングを受けた」と答えている大成建設は、電話で聞かれただけで現地も資料も見ていない、1.5倍など具体的な数字は言っていないと回答しています。総務企画局長は「3社とも少なくとも更地に建設した場合の1.5倍は見込むべきであるとの意見だった」と答弁。中山市議は「重大な食い違いだ。どちらがウソをいっているのか」だと厳しく指摘しました。
また局長は「ヒアリングを指示した稟議書も旅行命令簿もない」ことを認めました。中山市議は「ゼネコンヒアリングが本当に存在したのか、証明できるものは何もない。ヒアリングそのものがなかったのではないか、疑わざるを得ない」と述べ、現地建て替えは128億円かかるとした根拠は完全に崩れており、高くつくとして移転先の選択肢から外し人工島移転を決定したことは不当だと迫りました。
中山市議はさらに「市長はゼロベースから検証などと言ってきたが、検証検討会議に出席したのは最初だけで、あとの30回は出席していない。本気で見直す気持ちはさらさらなく、最初から市民をだますつもりだった。違いますか」と市長を追及しました。
市長は「建築費だけが問題ではなくて、療養環境の問題、ローリング工事など総合的に考えて、アイランドシティが最適だという結論になった」などと問題をすり替える苦しい言い訳。検証についての疑問に答えることができず、いよいよ追いつめられました。
PFI導入は大企業のもうけづくり
中山市議は、市が新病院の建設と管理にPFIを導入しようとしている問題についてただしました。
PFIとは民間の資金とノウハウを活用して公共施設の整備や運営を行う手法。病院PFIを全国に先駆けて実施した高知医療センターは毎年大きな赤字を生み、オリックス主体の民間企業には5億円のマネジメント料を支払っています。病院側が求める契約見直しにオリックス側が応じないため、県議会、市議会ともに全会一致で契約解除を求める決議があがっています。また、近江八幡市では20億円の違約金を払ってPFI契約を解除。同市長はテレビのインタビューで福岡市の計画に「お気の毒さまでございます」と述べています。
市が見込む85億円のコスト削減の根拠を尋ねた中山市議に対し、保健福祉局長は「性能発注方式により民間のノウハウが発揮され、メリットが発生する」などと一般的な見解を述べるだけ。中山市議は、大企業のもうけづくりのためのPFI導入はやめるべきだと迫りました。局長は「先行事例における課題を十分に研究して、PFIの効果が十分に発揮できるよう本市に適した仕組みを構築していく」などと答弁しました。
また、市の病院担当が検証検討の時期を含めて、ゼネコンや商社などPFI関連企業と約20回も意見交換をしていたことが新たに分かりました。中山市議は「お客様とのネットワークなどと言って業界とひんぱんに意見交換するのは明らかな癒着であり、あってはならない関係ではないか」とただしました。市長は「情報収集や調査研究のためで当然のこと。必要なこと」などと開き直りました。
独立行政法人化は市の責任放棄だ
中山市議は、市がこども病院と市民病院を直営から地方独立行政法人(独法)へ移行させようとしている問題についてただしました。
中山市議は、独法化によって病院職員が非公務員となり、会計上も独立採算となることを指摘し、「市長が狙う市職員の大幅削減や一般会計からの繰入金の削減ができる。独法化は病院経営に関する市の責任を放棄するものではないか」とただしました。
保健福祉局長は「法人に対して市が適切に関与する仕組みが設けられる。不採算医療などの経費は市が負担する」などと答弁しましたが、市長は答弁しませんでした。