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2009年度予算議会
日本共産党の代表質問
2009年3月4日 倉元 達朗 議員
- 2009年度政府予算案について
- 吉田市政の最重要問題について
- 貧困をなくす独自の雇用、中小企業、経済対策について
- 医療、介護、生活保護、障害者福祉など社会保障を充実して、市民の健康・福祉を守る問題
- 子どもの健やかな成長と教育の問題について
- 生活・安全・環境を優先する都市づくりについて
- 市政運営のあり方に関する問題について
私は、日本共産党福岡市議団を代表して、吉田市長の施政方針と2009年度予算案、及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会に質問致します。
今、未曾有の危機が日本経済と国民生活をおそっています。GDP国内総生産速報が示した実質成長率の年換算マイナス12・7%、年間の企業倒産件数が前年比15・7%増の1万2681件など、まさに墜落するような景気悪化が進んでいます。アメリカ発の金融危機に、トヨタやキヤノンなど大企業が周章狼狽して派遣や期間工など非正規労働者の大量首切りを進め、メガバンクを始め大銀行が中小企業への貸し渋り、貸しはがしに狂奔する、極めて異常な許しがたい事態が起きています。とりわけ、首を切られて寒空の路頭に放り出された派遣労働者が東京日比谷公園に殺到した派遣村は全国に衝撃を与えました。まじめに働いてもまともな生活さえできない低賃金のワーキングプア、貧困層が広がる、まさに「日本全国が蟹工船」と言われる悲惨な状況であります。大企業は雇用破壊を進める一方、数百兆円もの内部留保を持ち、株主配当も増やしていますが、こんな身勝手は断じて許されず、わが党は厳しく糾弾するものです。経済の歪みと脆さを生み出した元凶は小泉構造改革路線に他なりません。すなわち、労働法制の規制緩和によって非正規労働者を急増させ、内需を犠牲にして極端な外需頼み、とくにアメリカに依存する脆弱な経済をつくり、金融の規制緩和によって外資依存の投機的市場にしてしまったのであります。こうした新自由主義に基づく経済政策はその推進派の中からも懺悔の声があがっており、すでに破たんしていることは明らかです。ところが自民・公明政権は反省するどころか、構造改革にしがみついています。慌てて打ち出した経済対策は国民の苦難に応えるものになっていないばかりか、その目玉である定額給付金は「バラマキ一瞬、増税一生」と批判されています。今こそ、財界・大企業の横暴を正し、外需から内需へ切りかえ、経済の軸足を国民生活へ移す変革が必要であります。日本共産党は「ルールなき資本主義」を正し「ルールある経済社会」へ根本から転換させることを目指していますが、これは国民的要求と一致すると確信するものであります。
また世界を見てみると、イラク戦争の失敗が決定的となってアメリカの無法な戦争政策は世界から孤立し、大統領選挙でもノーの審判が下されました。経済でもカジノ資本主義の大破たんによってアメリカの信頼は地に落ち、ドル支配も揺らいでいます。アメリカ中心の世界は過去のものとなり、G8が新興国を含めたG20へと拡大されたように、平和で対等平等、自主・自立の流れが世界の本流となっています。まさにアメリカ覇権主義が終わりを告げる新時代です。ところが、日本政府は相変わらず日米軍事同盟絶対、アメリカ型資本主義が手本だという思考停止状態にあります。そして在日米軍基地の強化、海外派兵の拡大を進めていますが、この道に未来はありません。
以上のように、経済でも外交でも、財界とアメリカにモノが言えない自民党政治の枠内にとどまっていては、明るい将来は見えてきません。自民、公明も民主党も、国民にまともな展望を示し得ないのであります。日本共産党は国民を苦しめる二つの政治悪、財界奉仕とアメリカいいなりの政治から抜け出し、国民が主人公の新しい国づくりを目指して奮闘する決意を表明するものであります。
そこではじめに、2009年度政府予算案についてお尋ねします。
麻生内閣の新年度予算案は、急激な景気悪化にもかかわらず国民の苦しみや不安を打開する実効ある対策もなければ、暮らしと内需の回復に役立つ方策もありません。雇用対策も短期・一時的なものにすぎず、大企業による派遣切りをとめる対策もありません。社会保障予算はいわゆる埋蔵金で一時しのぎするだけで、毎年2200億円削減という切り捨て路線に固執する一方、大企業・大資産家への減税はさらに拡大するなど財界応援策は至れり尽くせりの大盤振る舞いとなっています。
そこで、市長は国に対し、安定雇用と失業者救済、社会保障の予算拡充、中小企業の仕事確保、農業と地域経済の支援、教育・文化の拡充など、経済悪化に歯止めをかけ、内需拡大の経済にふみだす予算に抜本的に組み替えるよう要求すべきではありませんか。また、軍事費や大型公共事業などムダを削り、大企業の法人税率の段階的引き上げや所得税最高税率の引き上げなど応能負担の原則にもとづく税制改革を行うことによって財源を確保すると同時に、道路特定財源については形をかえて道路に使途を限定するようなやり方をやめ、名実ともに一般財源化するよう求めるべきではありませんか。あわせて答弁を求めます。また、消費税増税をやめるよう国に要求すべきだと思いますが、市長の所見を伺います。
地球温暖化対策についてお尋ねします。地球規模の気候変動はすでに始まっており、温室効果ガスを大幅に削減することは一刻の猶予も許されない人類的課題となっています。そうした中、昨年7月に日本を議長国として開かれた洞爺湖サミットでは、世界が注目していた先進国の中長期削減目標について何の決定もされませんでした。日本は6%削減の達成が迫られていますが、自公政権は国際的な取り組みをリードできないどころか、京都議定書の目標さえ達成できるか危うい状況であり、すでに超過達成したEU諸国に比べて大きく遅れています。温室効果ガス削減の具体的施策に消極的なアメリカと財界のいいなりになってきた結果です。温暖化の被害を最小限にするためには、産業革命前に比べて2度以内の気温上昇にとどめることが不可欠です。そこで、我が国として2020年までに30%削減することを明確にした中期目標を確立するとともに、総排出量の8割を占める産業界の削減を自主努力まかせにすることなく公的な削減協定を義務付け、太陽光・熱、風力、小型水力、バイオ、地熱などの自然エネルギーの利用を抜本的に拡大するよう、政府に要求すべきだと思いますが、市長の所見を伺います。
次に、市長の施政方針とグランドデザインについてお尋ねします。
吉田市長が市政運営方針で着実に実行すると述べた「福岡市2011グランドデザイン」は、ムダな大型開発を推進する一方で、借金のツケを市民に押し付け、福祉を切り捨てるという重大な内容であります。「政策推進プラン」は、前市政から引き継いだ「九州・アジア新時代の交流拠点都市づくり」として、人工島、都心部、九大学研都市などの大型開発を推し進めるものです。一方、増税や国保・介護保険・後期高齢者医療制度などの負担増、生活保護の削減・縮小、障害者自立支援法の応益負担などに苦しむお年寄りや障害者、低所得者に対する負担軽減策や支援策は極めて不十分で、「安心して暮らしたい」という市民の願いに背を向けています。「財政リニューアルプラン」では、とりわけ受益者負担の適正化や扶助費の制度見直し、市職員の825人削減計画などが打ち出され、福祉や市民サービスが切り捨てられようとしています。また「行政改革プラン」は「民間でできることは民間に」などと言って、公共施設の管理運営や福祉サービスなどの民営化・民間委託を進め、行政の役割と責任を放棄しようとしております。自治体は本来、国の悪政から住民の福祉を守るという防波堤の役割を果たし、社会保障の負担増や増税、生活困窮と雇用不安に苦しむ市民を支えるべきであります。
また、吉田市長は「市民に分かりやすく目に見える形での市政運営を進める」などと言われました。しかし、「見直す」と公約した大型開発や人工島事業、こども病院移転、公立保育所民営化は推進し、留守家庭子ども会の無料化や少人数学級の全学年実施、児童館設置、公共料金の福祉減免は実現せず、「必要ないと明言する」と言った新空港建設でも動揺している。こうした数々の公約違反に市民の怒りが噴出しており、どれだけ説明しても到底納得を得ることはできないのであります。
したがって、市長は、公約違反に対する市民の厳しい批判の声を真摯に受けとめ、開発行政と市民犠牲・公的責任放棄を柱としたグランドデザインを撤回するとともに、財政再建と福祉や教育の充実を両立させる市民本位の行財政運営へと根本から改めるべきだと思いますが、所見をお尋ねいたします。
次に、2009年度予算案の基調についてお尋ねします。
市長が「躍進の年」と位置付けた新年度予算案は、大型開発のムダづかいを温存し、法人市民税の大幅減収が見込まれるなか、市債発行を前年度から61億円も増やすものとなっています。人工島事業は107億円をあてて、吉田市政の3年間で約400億円に達する推進ぶりです。一方、厳しい財政状況を口実に、福祉や教育など生活関連予算を抑制しています。なかでも国民健康保険については、一般会計繰入金を2億7千万円減らして、一人あたり保険料をわずか1千円程度の引き下げにとどめました。教育費は一般会計の7・25%と抑制され、また入所希望の多い保育所や特別養護老人ホーム、市営住宅の大幅増設に背を向けています。市長が力を入れたという経済対策及び雇用対策は、商工金融資金の新規貸付枠を拡大したものの、中小企業対策費は一般会計のわずか0・2%で、雇用創出は県の基金を活用した短期的な対策や産業誘致などの間接的な対策にすぎません。さらに財政健全化と称して、市民からの税や保険料などの取り立てを強化することや、市職員の101人削減、業務の民間委託化、貴重な市有地の売却などで88億円の効果を見込んでいますが、借金財政のツケを市民と市職員に押し付けるやり方は許されません。
したがって、財界大企業の儲けづくりのためのムダな大型開発を見直し、雇用、中小企業対策、医療、福祉、介護など社会保障、教育、環境、防災など市民生活を最優先する予算に抜本的に改めるとともに、当面、人工島をはじめ大型開発推進予算を削除して国保料引き下げや、公共料金の福祉減免など市民負担軽減の財源へ振り向ける予算の組み替えを要求します。市長の明確な答弁を求めるものであります。
次に、吉田市政の最重要問題について質問致します。
質問の一点目は、公約に反して人工島事業を推進してきた市長の責任についてです。
市長は、人工島を市民の財産にしていくとして新年度107億円の予算をつけ事業推進するとしています。市長は、人工島事業を「大胆に見直す」と公約したもののその検証では財団法人日本不動産研究所に調査委託し、契約書では「事業推進上の課題を抽出すること」を指示しています。そして一昨年12月、市長自ら人工島整備事業推進本部長となり推進しています。これは市民には検証・検討と言いながら最初から推進することを決めていたことは明らかであり、市民を裏切るもの以外の何ものでもないと思いますが、明確な答弁を求めます。
質問の二点目は、市工区についてであります。
世界的な経済危機のもと博多港のコンテナ取扱量は減少しています。ところが、市長は新年度、水深15メートルコンテナターミナル拡張整備や臨海部物流拠点の形成などに75億円をつぎ込むとしています。さらに住宅市街地総合整備事業や新青果市場、道路整備などに税金投入しようとしています。したがって、売れる見込みのない9千人分の住宅建設予定の市5工区、及び必要性のない港湾関連用地の埋立・造成工事は直ちに凍結・中止し、岸壁など国工区の埋立て計画は撤回するとともに、人工島の売れない土地処分のため「投資額の10%、最大10億円」を大企業に投げ渡す企業立地交付金制度はやめるべきだと思いますが所見をお伺いします。
質問の三点目は、博多港開発工区についてであります。
博多港開発工区の土地利用計画は、サイエンスパーク、中華街構想などと二転三転し土地処分が計画通りにいかずに、昨年大規模集客施設の誘導のため、企業誘致を図る交付金制度を作りました。さらには高速道路整備など次々と救済策を打出しており、今後さらに莫大な税金が投入されることになるのであります。またセンター地区では博多港開発の株主である福銀の子会社などの共同企業体が商業施設用地として購入を計画していますが、利用目的を変更するなど「土地転がし」で、県立美術館やマリンメッセをも上回る大型コンベンション施設も取り沙汰されております。したがって、こうした税金のむだ遣いの破たん救済をやめるべきだと思いますが答弁を求めます。あわせて、県立美術館や大型コンベンション施設の検討は、ハコモノ行政はしないという市長公約に反するものでありやめるべきだと思いますが、答弁を求めます。
質問の第二は、こども病院の人工島移転にかかわる問題についてです。
吉田市長は「こども病院の人工島移転を見直す」との公約に反し、始めから人工島移転を前提に前市長時代と同じコンサルタント会社に調査委託し、現地建替えは困難との報告書を作らせ、ゼネコンから聞いたなどと言って現地建替え費用を勝手に1・5倍に上乗せし、人工島が最適との結論を導きだしたのであります。また、ゼネコンとのヒアリングに関して、その時期や担当外職員の同行について虚偽の答弁を認め、謝罪しました。一方、「ゼネコン側は電話で聞かれただけで、現地も見ていない、1・5倍とは言っていない」と報道されており真相は何ら明らかにされておりません。しかも保健福祉局が日常的にゼネコンと接触している不正常な関係、総務省との秘密裏の事前協議など更なる疑惑が浮上しているのであります。以上のことから、わが党が指摘してきた通り、「検証偽装」は明白であり、市長には検証を語る資格はありません。したがって、検証・検討の再点検を行うことなど市民や専門家を入れた第三者による調査機関を設置し、徹底した調査を行うべきだと思いますが、所見をお伺いします。
もともとこども病院の人工島移転は、博多港開発の土地が売れずに融資銀行団の要求に基づいて用地を買い取るという破たん救済そのものであります。人工島への移転は、利便性や医療バランスを壊し、西部地域は小児救急医療の空白地となることなど子どもの命と健康を脅かすのは明らかです。これまで市民が繰り返し声を上げ、反対署名は総計20万筆に達し、また小児科医や産科医の92人というほとんどの方々が反対の意思表示を行っています。また法律家、医師、患者家族など幅広い市民参加のもと「福岡市立こども病院の人工島移転撤回を求める市民会議」が結成され、さらに研究者、弁護士、医療関係者、ジャーナリストなど2百人に上る人たちの「こども病院の人工島移転実施の再考を求める」という意見書が市長に提出されました。このように市民の批判の声は大きく広がっています。したがって、人工島移転の破たん救済を優先し、こどもの命を犠牲にするこども病院の人工島移転計画は撤回すべきだと思いますが、責任ある答弁を求めます。
質問の二点目は、こども病院・市民病院の経営形態についてです。
新病院基本構想では、経営改革が必要などとして地方独立行政法人に移行し、その後、新病院の建設と管理にPFIを導入しようとしています。その収支計画は30年間、毎年17億円の赤字を生むというものですが、人工島移転の過大な病院建設を前提にし、患者増加見込みも根拠がないため、専門家から赤字は年間40億円に膨らむとも指摘されています。全国で破たんしているPFI病院については、民間企業の利益を保障しながら、大きな赤字が市民に押し付けられているのが実態です。したがって、患者の命よりも経営効率や民間利益を優先し、公立病院としての役割を果たせなくなる市立病院の地方独立行政法人化やPFI導入はやめるべきであると思いますが、答弁を求めます。
質問の第三は、空港問題についてであります。
国、県、市で構成している福岡空港調査連絡調整会議は、パブリックインボルブメントのステップ4で福岡空港の将来対応方策として、新空港整備案及び、滑走路増設案を発表し、年度内に整備方策案を決めるとしています。市長は、先の市長選挙で「新空港は必要ないと明言します」と公約しましたが、候補者の時と今は違うなどと言って、今日まで福岡空港問題について、市民に何一つ語ることなくダンマリを決め込んでいます。GDPが伸びれば航空需要が増えることが根拠とされてきましたが、これまでの実績に見られるように旅客数は減少しており、何の根拠もありません。したがって、空港問題は近隣空港との連携、既存ストックの有効活用で十分に対応でき、莫大な財政を必要とする新空港づくりや滑走路の増設は必要ないと思いますが答弁を求めます。
次に貧困をなくす独自の雇用、中小企業、経済対策について質問します。
市長は市政運営方針で「景気悪化に伴う地域経済に適切に対応するため、経済対策や雇用対策を最重要課題として、積極的に取り組む」と述べられました。しかし、その具体的な施策をみるとあまりにも貧弱であり、本気でこの危機的情勢に立ち向かおうとしているのか甚だ疑問であります。
そこで質問の第一は雇用・失業者対策等についてです。
大企業が雇用を守る社会的責任を放棄し、大量の失業者を生み出しています。わが党市議団にも「派遣切りで職を奪われた。住居もなくどうしていいかわからない」という深刻な相談が多数寄せられるなど、本市への影響は大きなものがあります。これ以上の失業者をつくらないことが行政に求められているなか、市長が打ち出した施策は失業後の対策ばかりであります。
市長は雇用悪化について実態把握につとめ、市内主要企業・経済団体に対し、大量の首切りの中止を求めるとともに雇用拡大を要請すべきと思いますがご所見をお伺いいたします。また、違法な「派遣切り」「内定取り消し」については関係機関と連携してただちに是正させるべきと思いますがお尋ねいたします。
市長は1000人規模の雇用創出などの雇用対策を打ち出しましたが、雇用人数、雇用期間ともに不十分だと言わなければなりません。国・県の予算範囲にとどめず独自の予算を組み、市による雇用を増やすべきと思いますが答弁を求めます。失業者への住居支援や資金の無利子貸付けについても条件が現状とあっておらず、困った人を救うものになっていません。制度の条件を緩和し真に失業者の生活保障となるように改善すべきと思いますがご所見をお伺いいたします。
「使い捨て」雇用を広げた労働法制の規制緩和路線の抜本的転換が求められています。非正規雇用の正社員化の促進、最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、雇用保険給付を拡充し、雇用保険財政を活用した失業者、求職者への生活援助制度の創設、失業給付を非正規の労働者にもきちんと給付できるようにするなど労働者派遣法の改正をはじめとする法律の強化を国に求めるべきと思いますがご所見をお伺いいたします。
日本共産党市議団がとりくんだ「青年おしごとアンケート」は、サービス残業や賃金ピンハネ、有給休暇取り上げなどの労働法違反の実態や低賃金と長時間労働、非正規雇用など、不安定な雇用の実態も明らかになりました。市長は見て見ぬふりは許されないのであります。そこでお尋ねしますが雇用のルールを広く市民に知らせ、企業に守らせるキャンペーンを展開すべきと思いますが答弁を求めるものであります。
質問の第二は中小企業対策についてです。
地域経済の実態を見ると、中小企業の落ち込みは極めて厳しいものがあります。日銀短観は3月までの見通しは中小企業製造業でDIがマイナス48、非製造業でマイナス42となっており、本市においてもすでに倒産・廃業する業者が相次いでいます。
市長は経済対策として融資枠の拡大をうちだしていますが、資金を借りたくても返す体力が残されていない中小零細業者は少なくありません。今こそ抜本的な中小企業対策が求められております。しかしながら、新年度の中小企業対策費はわずか15億円足らずに過ぎません。市長は、この深刻な景気悪化から中小業者を守るために中小企業予算を抜本的に増額すべきと思いますがご所見をお伺いいたします。また、市長が先頭に立って、銀行に対する貸し渋り、貸しはがし中止の要請などをおこなうべきと思いますが答弁を求めます。中小企業を支える制度融資の充実を図るべきと思いますがご所見をお伺いいたします。
とりわけ、建設業界は深刻であります。仕事づくりのために「小規模登録制度」や「住宅リフォーム助成制度」の新設・実施、建設労働者に生活できる賃金を保障するために「公契約条例」を本市でも制定すべきと思いますが答弁を求めます。
質問の第三は、農業の再建と漁業の振興についてです。
国民の食を支えるべき国内の農漁業は衰退が続き、食料自給率は40%と先進国で例のない低水準に落ち込んだままです。同時に農山漁村の崩壊が広がり、集落の維持や国土の保全が危ぶまれる事態であります。本市においても安全・安心な食料の安定供給のために、農林漁業の再生、食料自給率50%以上への回復に最優先で取り組む必要があると思いますがご所見をお伺いいたします。また、本市の農林水産業予算を抜本的に増額すべきと思いますが明確な答弁を求めます。
漁船の燃油や施設園芸の加温用燃料の値上がりが本市の漁業者、農業者の経営を圧迫しています。燃油高騰への直接補てん措置を国に要求するとともに市独自におこなうべきと思いますが答弁を求めます。市長は国に対し、安心して農業生産にはげめるよう価格保障・所得補償の実施、家族経営を維持し、大規模経営をふくむ担い手の育成で、農地を保全するためにも「品目横断対策」の中止、各国の「食料主権」を尊重する立場に立って、WTO農業協定を根本から見直すよう求めるべきと思いますがお尋ねいたします。
次に、医療、介護、生活保護、障害者福祉など社会保障を充実して、市民の健康・福祉を守る問題についてお尋ね致します。
第一は、国民健康保険行政についてです。
本市の国保世帯は、年200万円以下の低所得者がその約8割をしめるなか、所得割算定基礎額200万円の3人世帯で46万円という全国一高い保険料を押し付けられています。そのため、「払いたくても払えない」滞納者は全被保険者世帯の5分の1にあたる4万4千世帯と極めて深刻な実態にあります。こうしたなか、市長は新年度、一人当たり保険料をわずか年1千円程度の引き下げを検討していますが、市民の願いとは程遠いものです。本市人口の1割を超える14万6千人に及ぶ保険料引き下げ請願署名は現在もさらに広がっております。したがって、市長は、本市の国保赤字分や減免分等を保険料へ上乗せするなど異常なやり方をやめ、他都市並みに一般会計繰入金を抜本的に増額して保険料を大幅に引き下げるべきだと思うが、答弁を求めます。また、払えない人から保険証を取り上げる資格証明書の発行は全国最悪水準の1万件以上にのぼっております。医療費の一時払いが困難な人を含めて、市民の医療を受ける権利を奪い、受診抑制と病気の重症化を招く人権侵害の機械的な保険証取り上げをやめ、市民が安心して医療を受けることができるようにすべきだと思いますが、所見をお伺いします。あわせて、本市独自に18歳以下の子どものいる世帯には無条件で正規の保険証を交付して救済すべきではありませんか。お尋ねを致します。
第二は、後期高齢者医療制度の問題です。
2008年4月から実施された後期高齢者医療制度は、75歳以上の全ての高齢者をこれまでの保険から切り離して、本市を含む福岡県広域連合では、標準年金収入201万円の単身世帯で年額8万5100円と全国一高い保険料を年金から天引きされ、しかも受けられる医療も診療報酬上で差別するという、まさに「姥捨て山」の過酷な制度であります。また、本市の普通徴収されている年額18万円以下の低年金の滞納者は2008年11月末で約30%の8300人以上にものぼっており、2009年4月からの全額窓口自己負担を強いる過酷な資格証交付は命にかかわる深刻な事態を引き起こすのは必至であります。したがって、市長は、小手先の見直しに止まらず、直ちに同制度を廃止するよう国に要求すべきではありませんか。答弁を求めます。当面、市長は、75歳以上の滞納者からの保険証取り上げをやめるよう国や県に要求するとともに、「負担の公平」と称して、65歳以上75歳未満の重度心身障害者の後期高齢者医療制度への強制加入をやめ、市独自の保険料減免制度を創設するなど負担軽減のための救済策を講じるべきだと思いますが、所見のほどを伺います。
第三は、10年目を迎える介護保険制度の改善についてであります。
高齢者の介護保険料については、3年毎に引き上げられて来ており年金平均月額4万7千円のお年寄りにとって過重な負担となっております。市長は、2009年度からの第4期保険料は、据え置くなどとしていますが、全く不十分であり、一般会計から繰り入れして保険料を大幅に引き下げるとともに、本市独自の減免制度を実効性あるものに拡充すべきだと思いますが、答弁を求めます。また、この4月から、国は「寝たきり」なのに介助必要なしの「自立」に判定するなど要介護認定基準を大幅に後退させようとしております。これまでも、本市においては不当に要介護度を低く認定して軽介護者の保険利用サービスが切り下げられて「介護難民」を生み出し、「介護予防」を口実に車イスや介護ベッドの貸与が一律に制限されて来ています。市長は、こうした要介護認定の改悪を許さず、「介護取り上げ」をやめるべきではありませんか。お尋ねします。あわせて、6千人以上にのぼる待機者を早急に改善するため特別養護老人ホームの整備予算を大幅に増額して計画的に増設するとともに、特養ホーム等の食費や居住費に対する本市独自の負担軽減制度を創設すべきだと思うが、答弁を求めるものです。いま、介護事業所の運営や人材不足が深刻になっております。市長は、次期の介護報酬改定を保険料上昇につながらないよう国庫負担を増額して5%以上に引き上げ介護労働者の処遇改善を要求するとともに、本市独自にでも介護施設職員の人件費補助などの方策を講じるべきと思いますが、所見をお伺いします。
第四は、生活保護行政及びホームレス対策についてであります。
雇用破壊などによる貧困と格差の進行がいっそう広がっており、「最後のよりどころ」である生活保護行政の改善・拡充は急務となっています。市長は、新年度の生活保護予算を大幅に増額して、急増する申請希望者を積極的に受け入れ救済すべきだと思いますが、答弁を求めます。この間、保護受給者の老齢加算や母子加算の縮小・廃止など生活保護支給費が切り下げられ、憲法25条が定めた最低限度の生活保障が崩され、全国各地で裁判訴訟まで起こっております。国に対し、老齢加算や母子加算を元に戻して保護基準を引き下げないよう強く要求するとともに、本市においては、市独自の夏期・年末「福祉手当て」を創設すべきではありませんか。所見を伺います。
市内のホームレスは800人を超え、他都市とは逆に増加の一途をたどっており、深刻な実態にあります。とりわけ「派遣切り」など解雇によって住む所を奪われた労働者など居住地のない人について、生活保護法19条1項は、その「現在地」を所管する福祉事務所が生活保護の実施責任を負うことを定めており、住所不定を理由にした生活保護からの排除をやめるとともに、博多区保護三課だけに限った異常なやり方を改め、全ての区で対応すべきではありませんか。市長の答弁を求めます。
第五は、障害者対策についてです。
障害者自立支援法が実施されて2年半、その「応益負担」制度は重い自己負担増やサービス利用抑制など障害者の生存と生活を著しく脅かし、事業所の運営も報酬削減で一段と深刻になっており、このままでは障害者福祉の基盤が崩壊しかねません。2009年度の見直しにあたって、市長は、国に対し、小手先の見直しではなく障害者自立支援法を廃止し、当事者の参加で人間らしく生きるための新たな法制度を確立するよう求めるべきと思いますが、所見を伺います。当面、不十分な本市独自の障害者・障害児に対する負担軽減制度をさらに拡充するとともに、報酬単価の引き下げなどによる減収に苦しむ障害者施設や小規模作業所の運営を支援するため市補助金を大幅に増額すべきではありませんか。お尋ねをします。また、本市の重度心身障害者医療費助成制度は障害者の生命と健康保持に不可欠の制度であり、所得制限導入をやめて、将来にわたっても無料化を堅持すべきと思うが、市長の答弁を求めるものであります。
第六は、食品偽装など食の安全問題についてです。
いま、食品偽装事件が相次いで発生し、消費者の「食の安全・安心」が著しく脅かされております。本市の飲食店や販売店、製造所、学校や社会福祉施設等の給食施設への食品衛生監視指導はわずか年1回程度で、4万5千件を超える施設に食品衛生監視員は51人ときわめて貧弱であります。したがって、市民の食の安全を守るため、食品衛生監視員や監視回数を大幅に増やすべきではありませんか。市長の答弁を求めます。
次に、子どもの健やかな成長と教育の問題について質問いたします。
質問の第一は保育行政についてであります。
厚労省の社会保障審議会は2月24日、現行の保育制度を大きく変え、利用者が保育所と直接契約を結ぶ「新たな保育のしくみ」を導入する改悪案を決定しました。これが実施されれば、自治体の保育実施義務はなくなり、自治体は保育所の整備計画をつくる役割しかもたなくなり、最低基準を満たす事業者に参入を認めることになり、「質を下げて、保育所を増やす」という方向に進む危険があります。直接契約になれば、親は子どもを抱え、複数の園を駆け回って入所できるところを探さなければならないうえ、絶対数が不足しているため入所できない子どもが生み出されることになります。保育所の側にも、入所者選考という膨大な事務負担が発生します。そこで市長、保育における国と自治体の責任を後退させる直接契約、直接補助方式の導入はやめるよう国に要望すべきではありませんか。お尋ねいたします。
二点目は本市の保育行政についてであります。2009年1月1日現在の待機児は614人となり、在園児の追い出しや既存保育園へのつめこみのための定員増や、幼稚園への押し付けなどが行われており、深刻であります。このようなやりかたを改め、補助金を増やして早急に保育所の新設をすすめるとともに、既存保育園の増改築などの緊急対策で待機児の解消はかるべきだと思いますが、答弁をもとめます。また、公立保育所の民営化について、形だけの検証をおこなって民営化の復活を行ったことは明らかに公約違反であり、民営化をやめるべきだと思いますが、ご所見を伺います。あわせて、認可外保育園への補助金を増やすべきだと思いますが、答弁を求めます。
質問の第二は留守家庭子ども会についてであります。
留守家庭子ども会の利用料の導入によって、共働き家庭やひとり親家庭の子育てにかかる経済的負担は増え、年収わずか420万円程度以上の共働き世帯では負担が倍増し、また従来あった会費補助がなくなったため低所得世帯でも負担が2~3倍になり、やむなく滞納する世帯も出ています。そこで、市長は利用料をもとの無料にもどして、子どもが安心して放課後過ごすことができる留守家庭子ども会にすべきだと思いますが、お尋ねいたします。また、留守家庭子ども会では、老朽、狭隘化した個所が79ヵ所あり、入会児童数が70名を超える大規模の子ども会が78ヵ所にものぼっており、子どもたちの怪我や骨折が激増しています。施設改善をしないままの分割で大規模解消とすることは許されず、施設の増設を急ぐこと、開設時間の延長などで負担増となっている指導員、補助指導員の待遇改善を図るべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。
質問の第三は児童館についてであります。
子どもたちが放課後や休日に安心してすごすことができる重要な「児童館」は、国も推奨しており、全児童対策の役割を担っております。しかし、本市では20年以上も前から、子どもたちを含め多くの市民が児童館建設の請願、陳情を繰り返しおこなっていますが、いまだに中央児童会館1箇所のままです。今日、その必要性はますます高まっており、中高生の放課後の居場所を含め、早急な整備が求められています。市長は公約通り、全区への設置を新年度着手するとともに、専門職員のいる児童館を小学校ごとに設置すべきだと思いますが、ご所見をおうかがいいたします。
質問の第四は、子どもの医療費助成制度についてです。
子どもの医療費助成制度は、わが党市議団と多くの市民の粘り強い運動のなかで、今日、初診料まで含めて就学前まで確立されています。子育ての経済的負担が増えるもとで、子どもの医療費助成制度は子どもの育成のために必要不可欠のものとなっています。そこでこの制度を、中学生まで拡充すること、また乳幼児医療費助成制度を国の制度として行うよう要求するべきと思いますが、答弁を求めます。
質問の第五は児童虐待を含む児童相談体制についてであります。
貧困の広がりを背景に、子ども総合相談センターに寄せられた、いじめや虐待、不登校などの深刻な相談は2007年度で約1万5千件にものぼり、一時保護を要する児童が増えています。親身な相談活動ができるように児童福祉司を大幅に増員するとともに、児童相談所を増設すべきだと思いますが、ご所見をおうかがいいたします。
質問の第六は教育行政についてであります。
小泉内閣以来の「構造改革」は、教育条件を悪化させるとともに「教育格差」「子どもの貧困」をひろげており、憲法および子どもの権利条約に基づき、一人ひとりの子どもの学び、成長する権利の保障を中心にすえた教育行政へ転換することが求められております。
そこで一点目は、抜本的な教育予算増額についてであります。本市においては、教育予算は大きく削られ、学校現場の施設整備や教材購入に大きな支障をきたし子どもと教職員に我慢と苦難が押し付けられてきました。ところが、新年度の教育費も、一般会計の7・25%とされ極めて不十分であります。耐震化、過大規模校の解消、大規模改造等、施設・設備改善に取り組むために教育予算を抜本的に増額すべきではありませんか、市長の御所見を伺います。また、切実に求められている教室冷暖房について、早急に計画をつくるべきだと思いますがお尋ねいたします。
二点目は義務教育の指導内容と体制についてです。
改訂された学習指導要領は授業時間増による詰め込みで子どもから更にゆとりを奪い、愛国心等を押し付ける道徳の重視等、ますます現場の困難を拡大し、子どもの健全な発達に逆行するものとなっております。現場に対し指導要領押し付けをせず、憲法の精神に基づき、学校の教育課程編成権を尊重し、教職員の自主的権限が十分発揮できるようにすべきだと思いますが御所見をお伺いします。また、本市、教育改革プログラムの改訂にあたっては子どもの発達保障を基調とし、父母や教職員の声を生かし人格の完成を目指すものにすべきだと思いますが、教育長の所見を伺います。あわせて「学校規模適正化」と称した一方的な学校統廃合は許されないと思いますが、教育長の御所見を伺います。
多額の費用を費やし強行されている全国一斉学力テストは、子どもの心を傷つけ、つめこみと競争に拍車をかけており、参加をやめるべきだと思いますが答弁を求めます。教職員の心の病等の健康破壊は一層深刻になり、中途退職者も増え続けております。教育長は事態打開のために抜本的対策を講ずるべきだと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。また、市長が強行した「行革プラン」に基づく市費事務職員の削減は現場の困難を拡大しており、やめるべきではありませんか。市長の答弁を求めるものであります。
三点目は30人学級の実現についてです。
本市における35人以下学級は、市民の切実な願いを受け拡充され、小学校3年生まで実現したものの、今年度、市長が公約を破り拡充せず、現場での新たな困難をひろげたのであります。新年度、中学校1年生に35人学級を導入するとしていますが、これだけにとどめることは許されず、常勤講師を採用し小学校全学年に拡充すべきではありませんか、答弁を求めます。また、中学校においても学年が上がるにつれて不登校生は増加しており、3年生までの実施計画を立てるとともに、国と県に対し小中学校全ての学年での30人学級の実施を求めるべきだと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。
四点目は教育を受ける権利の保障についてです。
貧困と格差の拡大に加え、急速な雇用・景気悪化の下、経済的理由による高校退学や給食費滞納などの事態はますます深刻になっております。就学援助の基準を見直し、必要な方が受けられるよう拡充するとともに、県に対し授業料補助の大幅増額、私学助成の拡充を求めるとともに、本市高校奨学金の充実を図るべきではありませんか、お尋ね致します。また、ますます深刻になっている不登校に対応し「学校適応指導教室」を各区に設置し充実を図るとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの大幅な増員を国に求めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。特別支援教育については、大幅な増員を国に求めるとともに、本市独自の介助員、加配制度の充実を図るべきだと思いますが所見を求めます。また、障害児の増加に対応し、障害児が安心して通学できるよう特別支援学校、学級の増設を図り、エレベーターの設置など学校施設のバリアフリー化を早急に進めるべきだと思いますが、あわせて答弁を求めます。
質問の第七は、文化・スポーツ施設についてであります。
本市の文化・スポーツ施設は不足しており、青年をはじめ市民が安価で文化・芸術・スポーツやサークル活動等に利用できる施設を身近なところにつくる必要があると思いますが、市長の所見を伺います。また、早良区の地域交流センター整備については、手法や予定地の見直しも行い急ぐとともに、千早駅前の公共施設整備については、「総合文化・コミュニティー施設」にホール、児童館、図書館などの機能を持たせるべきではありませんか、お尋ねいたします。
次に、生活・安全・環境を優先する都市づくりについて質問します。
第一は、公営住宅の問題についてであります。
先の見えない深刻な不況の中、公営住宅の役割は一層高まっており、入居枠の制限や家賃値上げは実施すべきではなく、地場中小業者の仕事おこしにもつながる市営住宅を大幅に新設すべきだと思いますが、答弁を求めます。また公営住宅基準の高齢者等が多数居住するUR住宅の削減や雇用促進住宅の全廃方針は、公共住宅政策の放棄にもつながるものであり撤回するよう国に要求し、入居者が安心して住み続けられるよう対策をとるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
第二は、地震および水害対策の強化についてです。
民間建築物の耐震改修補助制度は本年度の適用ゼロであり、補助額の引上げ等の拡充をするとともに、広報も強め民間住宅の耐震化率の引上げを行い、また新耐震基準で建てられたものも補助対象とすべきだと思いますが所見を伺います。住宅以外の民間建築物については耐震化の指導を強化し、公共性の高い社会福祉施設に関しては助成制度をつくり耐震化の促進をはかるとともに、市有建築物の耐震化については計画を前倒しして、早急に取り組むべきだと思いますが答弁を求めます。また、水害対策においては、ゲリラ豪雨などに対応できるよう流下能力を引き上げるとともに、公的施設を利用した遊水池、地下貯留施設等の整備を早期に完了させるなど抜本的対策をおこなうべきだと思いますが答弁を求めます。また「合流式下水道緊急改善事業」については事業費の大幅増額を行い、博多区の早期完了とあわせて、中央区も事業計画を立て早期に着手すべきだと思いますが所見を伺います。
第三は、住環境を守る問題についてであります。
開発誘導行政のもと市内各地で、良好な住宅地への突然のマンション建設等による紛争はいまだに多発しており、市は被害を受ける住民の立場に立ち、本市の「建築紛争の予防と調整に関する条例」の形骸化を許さず、住民への納得のいく説明と誠実な話し合い、関係住民の同意、建築確認申請前の工事協定の締結、さらに罰則規定などを盛り込む「条例」改定を行うべきだと思いますが、所見を伺います。あわせて開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の周知と積極的適用に努めるべきだと思いますが、所見を伺います。また、緑地保全については、予算を大幅に増額し、積極的に推進すべきだと思いますが答弁を求めます。
第四は、九大移転等についてであります。
六本松の九大移転は、学生アパートや飲食店等これまで大学を支えてきた街に大きな打撃を与え、跡地を活用した今後の街づくりは、住民にとって切実な問題となっております。「六本松を考える会」などが長年に渡って集約してきた地元住民や市民の声を無視することは許されず、九大跡地の活用についてはURやゼネコンいいなりでなく、市が主体性を持って取り組み、緑を配置した災害避難場所や文化施設、こども病院、児童館等々公共的な活用を行うべきだと思いますが所見を伺います。また、箱崎キャンパス跡地利用については、一体的活用と公園整備など住民の要望を反映させることが必要だと思いますが、あわせて答弁を求めます。
第五は、九州大学学術研究都市構想についてです。
同構想は研究開発機能などと称して、1社10億円もの交付金をつけ企業誘致を行うなど、際限のない巨額の市費投入となるものであり、構想推進をやめ、同推進機構から撤退すべきだと思いますが、お尋ねをいたします。
第六は、新・福岡都心構想についてです。
同構想は天神通線・薬院舞鶴線等の幹線道路整備などを口実に、財界主導の計画である天神などの都心の再開発に行政が関与する仕組みづくりに他なりません。銀行やゼネコンなどのもうけづくりのために莫大な税金を投入する同構想はやめるべきだと思いますが所見を伺います。また、渡辺通駅北土地区画整理・再開発事業は、58億円もの公金を投入し、九州電力や都市未来ふくおか、福岡地所に便宜を図るためのものであり、このような事業計画は抜本的に見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。
第七は環境行政についてであります。
一点目は、温室効果ガス削減のための独自施策についてです。地球温暖化防止のためには地域の取り組みが重要であることは言うまでもありません。二酸化炭素排出量の削減対策については、キャンペーンにとどまらず、市として地元企業と削減協定締結などを行い、厳しく指導すべきだと思いますが、ご所見をお伺い致します。また、自然エネルギーへの転換については、公共施設における太陽光発電や風力発電システムの導入・拡充をさらに推進するとともに、住宅用太陽光発電設置に対する助成額を増やして促進すべきだと思いますが、答弁を求めます。
二点目は、ごみ行政についてです。ごみ減量のためには、住民押しつけ型の計画ではなく、分別の徹底とともに、環境汚染につながる物質を生産の段階から排除することを、行政が中心となり、市民の協力を得ながら取り組むゴミ処理基本計画に抜本的に改めることが求められていると思いますが、所見をうかがいます。広域行政を口実にした大野城・太宰府市など他都市からのごみ受け入れは直ちにやめるとともに、大量焼却主義にもとづいた南部工場建替え計画は見直すべきだと思いますが、所見を伺います。
三点目は自然環境保全についてです。博多湾の環境保全対策を強化するとともに、多様かつ希少な渡り鳥の飛来地として国際的に重要な湿地である博多湾和白干潟を国設鳥獣保護区特別保護地区に指定させ、早急に「ラムサール条約」の登録湿地とするよう、国に強く働きかけていくべきだと思いますが、市長の答弁を求めるものであります。
次に、市政運営のあり方に関する問題について質問します。
今日、政治と行政に対する市民の目は厳しく、民主的かつ公平・公正で、開かれた透明性の高い行財政運営が行われることは地方自治体にとって極めて重要な課題となっております。そこで質問の第一は、「市役所改革」についてであります。市長は「簡素で効率的な市役所」などと言って、業務の民間委託化や公共施設の指定管理者への民間参入、市有地の売却、そして職員の大幅削減を進めようとしています。しかしながら、「官から民へ」をスローガンにしたこうした自治体リストラはすでに破たんした構造改革路線にしがみつくものに他なりません。税務職場の派遣労働者導入は違法性が極めて濃厚であり、また指定管理者制度における問題も浮上しており、わが党が指摘してきた通り、公的責任が放棄される事態となっているのであります。住民奉仕よりも効率を優先するやり方は改めるべきであります。したがって、行政業務を営利企業のもうけ道具に変質させる民間委託や民営化、「事業仕分け」の推進をやめるとともに、区役所などの派遣労働者導入を中止し、公共施設の管理は直営を基本にして営利企業の参入をやめるべきだと思いますが、市長のご所見を伺います。また、他の政令市に比べ異常に少ない本市職員をさらに減らすことは職員に一層の労働強化を押し付け、市民サービスの深刻な後退をも招くものであり、職員削減方針を撤回して必要な部署の増員を図るべきだと思いますが、答弁を求めます。
質問の第二は、政官業の癒着の一掃と談合防止についてです。この間、博多港国際ターミナルの指定管理者選定や新病院整備にかかわって、行政と大企業、ゼネコンとが日常的に接触するなど不正常な関係にあることが露呈しています。また、本市の公共工事契約の落札率が高く、談合が繰り返されている疑いは極めて強いと言わなければなりません。わが党の指摘により、入札制度の一定の改善がされましたが、新年度から本格導入されようとしている「総合評価方式」は新たに談合を生み出す危険性をはらむものです。市政を歪め、税金を食い物にする談合と公共事業の利権あさり、行政と業界との癒着は断じて許されません。これは市長自ら襟を正すことがまずもって必要であります。したがって、市長は自らの財界との不適切な関係を断つとともに、政官業の癒着を一掃するための具体的な措置を講じ、入札における総合評価方式の導入はやめて、談合防止策を抜本的に強化すべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。
質問の第三は、市民参加と住民自治の確立についてです。総計20万に達するこども病院人工島移転の反対署名を無視し、住民投票の実施さえ拒否したように、吉田市長に市民参加型の開かれた市政を行う意思は微塵も見えません。市長は「聞きたかけん」やパブリックコメントなどと言って市民の声に耳を傾けるようなポーズをとっていますが、市民や各種団体から寄せられる切実な要望書を読むことなく担当局まかせにしていることに批判の声が上がっています。市長はこうした姿勢を改め、市民意見を政策決定に取り入れる仕組みや、重要事項について市民の意思を問う常設の住民投票条例をつくるべきだと思いますが、答弁を求めるものです。あわせて、自治協議会との「共働」と称して、補助金をテコに行政の下請け仕事を押し付けたり、自治組織に介入したりすることは改めるべきだと思いますが、ご所見を伺います。
質問の第四は、同和問題についてです。「人権」を口実にした同和事業推進は許されず、同和地区を温存する異常な同和行政を直ちにやめ、部落解放同盟福岡市協議会への補助金を始め同和関係予算を全額削除すべきだと思いますが、明確な答弁を求めるものです。
質問の第五は、男女平等の推進についてです。労働環境悪化に伴う女性の健康被害・母性破壊は深刻であり、仕事と家庭・子育てとの両立も困難が増しています。女性の権利保護のため第三者機関設置など条例改正を行うべきだと思いますがご所見をお伺いします。
質問の第六は、平和行政に関してです。周知の通り、日本国憲法9条は戦争放棄と戦力不保持を掲げる、世界に誇るべき日本の宝であります。ところが政府はこの平和原則を踏みにじりアメリカいいなりに戦争できる国づくりを狙っています。その地ならしとして、博多港への米軍艦入港、福岡空港への戦闘機飛来が繰り返され、市民が危険にさらされています。しかし吉田市長はこれに抗議しないどころか、先日の米イージス駆逐艦プレブル入港を含め、この1年間に4度も港湾施設を米軍に差し出す異常な姿勢ですが、これは市民の平和の願いに反するものであります。市長は港湾管理責任者としての権限を発動して軍艦入港をきっぱり拒否するよう態度を改めるべきだと思いますが、答弁を求めます。あわせて、憲法を守る立場を明らかにすべきだと思いますが、市長の明確な答弁を求めるものであります。
以上、私は市民の切実な要求である暮らし、福祉、教育、子育て、経済振興などの問題についてただしてまいりましたが、市長が説明責任を果たし、市民の声に真摯に耳を傾ける姿勢を持たなければその資格が問われるということを厳しく指摘し、市長並びに教育長の誠意あるかつ明確な答弁を求めるものであります。長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質問を終わります。