2009年6月議会
ケースワーカーを増員して生活保護行政の改善を
老齢・母子加算の復活を
2009年6月17日 熊谷敦子議員の一般質問
日本共産党の熊谷敦子市議は6月17日、雇用悪化と貧困の広がりの中、生活保護を必要としながら受けられない市民が多くいることを示して、生活保護行政の改善を要求しました。
生活に困窮した方から「区役所に生活保護の相談に行ったが受付で断られた」「働けと言われた」という声が党市議団にも寄せられています。熊谷市議は、保護要件に合うのに市が冷たく追い返しているのではないかと述べ、「窓口での対応を改めるべきだ」とただしました。保健福祉局長は「相談者に懇切丁寧に説明し、申請権を尊重する。適正実施に努めていく」と答弁しました。
熊谷市議は、保護行政の改善に欠かせない問題として、ケースワーカー職員の不足問題をとりあげました。ケースワーカーの過重労働は全国的にも問題となっていますが、社会福祉法ではケースワーカー一人あたりの担当数は80世帯が基準となっています。ところが、福岡市では100.5世帯となっています(2009年度)。しかも2年前から1割増です(07年度90.8世帯)。現場から「対応がおろそかになる。行き届いた援助ができない」という声があがり、常に不安な状況にある世帯にも1ヵ月以上訪問していない事例も報告されています。
保護申請の対応についても、生活保護法では申請日から14日以内に決定通知しなければなりませんが、福岡市では申請の4割が15日以上となっています。市は例外として30日まで認められているとしていますが、熊谷市議は4月9日の申請で保護決定が5月14日と1ヵ月以上かかった例を示し、「時間がかかれば命をつなぐことさえ困難だ。迅速な対応が必要だ」と述べました。
熊谷市議の法違反を正せとの追及に、保健福祉局長は「職員を4人増員した。ケースワーカーを補助する嘱託員を配置するなど体制強化に努めている。保護決定は法定内となるよう努める」と答弁しました。
熊谷市議は「わが国の生活保護の捕捉率は1割から2割と言われており、福岡市にあてはめれば約8万世帯が保護を受けることができるのに受けていない。市がマニュアルとしている保護手帳には『積極的な援助をたゆまず行うよう』と明記されているが、実際には大きくかけ離れている」と指摘し、ケースワーカーの増員、「市政だより」一面を使った生活保護制度の広報、保護を受ける市民へのあたたかい援助を要求しました。
また熊谷市議は、国が廃止した生活保護の老齢加算(福岡市で約6,000人)、母子加算(同1470世帯)について、「親しい人の葬式にも出られず惨めな思いをした」「風呂は週2回、お湯は半分。月に一度の外食さえできない」という悲痛な声を紹介し、「お年寄りや母子世帯が健康で文化的な生活ができるよう、国に加算復活を求めるとともに、市独自の手当を行うべきだ」と要求しました。市長は「国へ働きかけていく」と述べるにとどまりました。さらに熊谷市議は、生活保護世帯に支給される高等学校等就学費が公立を前提にした額となっているため、私立高校の場合大幅に足りず生活費を削っていることを述べて、必要経費を全額支給すべく独自補助を要求しました。