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議会報告

2009年2月議会

議案に対する反対討論

2009年2月20日 ひえじま俊和議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第1号および2号、4号、7号、10号、13号、14号並びに25号に反対し、討論を行います。

まず、議案第1号、一般会計補正予算案についてです。

今回補正は、65 億円の追加経済対策を盛り込んだものとされています。もとより、急激な景気悪化から市民生活を守るため、本市としても雇用対策や経営支援策を緊急に強化すべきだということは言うまでもありません。その上で、今回補正予算案のうち、わが党の認めがたいものについて反対理由を述べます。


1点目は、留守家庭子ども会育成費負担金にかかる歳入の増額補正についてです。この補正は、昨年3月の予算議会で市長が提案した留守家庭子ども会の基本利用料免除が否決されたことによって、保護者から毎月3,000円の基本利用料が徴収されたため、当初予算に計上されていなかった歳入1億9,593万円が追加されるものであります。

留守家庭子ども会の利用料をめぐっては、保護者、関係者の強い反対を押し切って2006年9月に導入されたことにより、多くの児童が中途退会を余儀なくされ、大問題となるなか、市長選挙で吉田市長は「無料化」を公約しました。市長が翌年提出した基本利用料免除は自民党、みらい福岡の反対により否決されましたが、直後の市議選でこの2会派は過半数割れしたため、新しい議会において直ちに再提案されていれば可決されたはずでした。ところが市長は1年間も放置し、昨年3月に再提案したものの、自民党、みらい福岡、ふくおかネットワークの反対によって再び否決されたのであります。

厳しい経済状況のもと、共働き家庭やひとり親家庭の子育てにかかる経済的負担の軽減はますます求められています。また、安心・安全な子どもの居場所の整備が強く求められるなか、経済的理由によって留守家庭子ども会に入会することができない児童を生み出すことは問題です。わが党は、留守家庭子ども会を元の無料に戻すべきであるとの立場から、今回歳入分を保護者に還元し、その負担軽減に活用すべきだと要求しましたが、市長から答弁はありませんでした。「無料化」についても「議会の結論を重く受けとめる」などと述べ、事実上公約を棚上げする態度ですが、保護者からは「また公約違反だ」と厳しい声があがっており、その責任が問われているのであります。

したがって、わが党は今回の歳入増額補正に反対するものです。あわせて、留守家庭子ども会事業の充実・改善、大規模化解消のための施設増設や指導員増員については、その財源を保護者負担に求めるのではなく必要な予算を確保して急ぐよう要求するものです。


2点目は、給食運営費の追加のうち、小学校全校へのPEN樹脂製食器の導入のための経費1億7,319万円余についてです。

言うまでもなく学校給食の食器の選定にあたっては、安全性が最優先されなければなりません。プラスティック製の食器はこれまでも安全性に問題が生じており、今回、市教育委員会が導入しようとしているPEN樹脂、ポリエチレンナフタレート製についても安全性が確立しているとは言い難いのが現状です。

しかも、市教委が「現在のアルマイト製食器を、順次、強化磁器食器へと切り替えていく」とのこれまでの方針を、教育委員会内部の独断で変更し、新年度からPEN樹脂を採用すると決定したのは極めて重大問題であります。

給食の食器をどのようなものにするのかについては、本来であれば、保護者、専門家を含めた市民の多様な意見を反映させつつ慎重に検討すべきですが、今回国の緊急経済対策の一つである地域活性化・生活対策臨時交付金を財源にしたことを見ても、急きょ決定したことは明らかです。「経済対策というなら他にすべきことがある」との市民の声は当然です。

したがって、わが党は、素材、選定過程、財源のいずれも問題のあるPEN樹脂製の食器導入経費を全額削除するとともに、市民参加のもとに給食食器のあり方について再検討するよう求めるものです。


3点目は、鉄道整備事業促進経費の追加についてです。この補正は、博多駅の九州新幹線ホーム整備事業にかかる負担金を4億6,800万円追加し、11億6,200万円とするものであります。

2010 年まで総額400億円の本事業は、国、県とともに本市が36億円を負担する一方、完成後に恩恵を受けるJR九州は一円も負担しません。この根拠とされている全国新幹線鉄道整備法は2002年に改悪され、地方自治体と住民の負担が増やされた一方で、JRは負担しなくてもよいという仕組みがつくられましたが、こうした無責任な財源スキームそのものに問題があります。しかも、年度途中の大幅な追加について、当局は「事業が進捗したため」などと述べて当然視していますが、工事を前倒ししなければならないまともな理由は示されませんでした。折りしも、整備新幹線の工事負担金の増額をめぐって、何人もの県知事が国からの押し付けに反対を表明し大問題となっている今、国いいなりに多額の補正予算を組むなど、吉田市長の態度はあまりにも自主性に欠けると言わなければなりません。

よって、こうした負担金拠出にわが党は反対するものであります。

次に、議案第25号、博多港国際ターミナルにかかる指定管理者の指定についてです。

本議案は、本市が設置する博多港国際ターミナルの指定管理者を、これまでの博多港開発にかわって、JR九州高速船とカメリアラインの共同企業体を指定するものです。

わが党は、公の施設の指定管理者制度について、民間企業に委ねることによって、公共施設がその儲け道具と変質させられ、公平・公正な管理・運営に著しい支障が生じることを危惧し、直営を基本にすべきだと主張し、民間営利企業の参入には反対してきました。今回の国際ターミナルの指定管理者の指定についても公平・公正な管理・運営が保障されなければならないことは当然のことです。

ところが、共同企業体を構成するJR九州高速船とカメリアラインは、国際ターミナルを利用する大手の船会社であり、いわばこの施設の店子にあたるものですが、施設の管理者になるということは、同時に大家にもなるということに他ならないものです。これではターミナルの管理を大手が独占することになり、「公平な利用を確保することができるものであること」と定められた市の「ガイドライン」の指定管理者の選定基準にも反するのは明白です。しかも「自主事業」などと言って、本市がターミナル1階部分を改修し店舗スペースをつくることまで行い、JR系共同企業体の儲けを保障してやろうとしているのであります。

また、今回JR系共同企業体が選定された経緯を見ると、選定委員5人中 3人が博多港開発を高く採点したものの、2人が異常な点数差を付けたことにより、総得点で逆転、選定に至ったというものであり、極めて不可解と言わざるを得ません。さらに、選定委員の1人と、選定委員を選ぶ港湾局部長がJR九州の石原進社長を囲む私的親睦団体「すすむ会」に参加していたことも発覚しました。こうした癒着の実態が明らかになったにもかかわらず「公平公正な選定だ」などと言う吉田市長の姿勢はまさに異常であり、市長自ら関与しているのではないかと言われるのも当然であります。

したがってわが党は、今回指定管理者の指定についての議案は撤回し、選考委員を入れ替えた上で、再度選定しなおすよう強く要求するものであります。

最後に、病院事業にかかる関連補正予算案について意見を述べます。今回、病院事業会計への一般会計繰入金の減額補正が提案されています。これは、こども病院の入院収益が見込みを上回ったこと等により、一般会計からの繰り入れを2億 8,000万円減らすという内容であります。こども病院は、関係者が経営改善に努力されてきたことによって、5年間で赤字幅が9億円、一般会計繰入金も9 億円それぞれ減らしてきました。ところが、市長は、国の公立病院改革ガイドラインにのって、経営改革が必要だなどと言って、地方独立行政法人に移行し、新病院の建設と管理にPFIを導入しようとしているのであります。しかしながら、こども病院を人工島に移転させ、過大な病院を建設するため、その収支計画は 30年間、毎年17億円の赤字を生むというものとなっており、患者数の大幅増加見込みもまったく根拠がないために、専門家から赤字は40億円に膨らむとも指摘されているのであります。こども病院の人工島移転とセットになった病院経営改革プランは絵に描いた餅に他ならず、強行すれば破たんは避けられず、その先には民間委譲や廃止、すなわち公立病院がなくなることにもなりかねません。先に述べたとおり、本市の市立病院は、診療報酬切り下げなど厳しい状況のなか、直営のもとで経営は好転してきたのが実態であり、独法化やPFI導入はやめるよう要求するものです。

また、こうした重大問題を抱えるこども病院の人工島移転の決定にあたって、わが党が指摘してきた「検証偽装」の問題がいよいよはっきりしてきました。すなわち、吉田市長は「こども病院の人工島移転を見直す」との市長公約に反し、始めから人工島移転を前提に、前市長時代と同じコンサルタント会社に調査業務を委託し、現地建て替えは困難との報告書を作らせ、ゼネコンから聞いたなどと言って試算を勝手に1.5倍に上乗せして、人工島が最適との結論を導きだしたのであります。さらに、市民には「ゼロからの検証」などと言いながら、前市長時代の病院移転方針をそのまま踏襲したこと、「市場調査」などとして行政とゼネコンが日常的に接触していた不正常な関係があったこと、総務省との事前協議も早くから秘密裏に行っていたことなどが明らかになりました。市長の「検証」は「ゼロから」と言えるものでは全くなく、逆にひたすら人工島移転へ突き進んできたのが真実なのであります。

こうした市長に対し、患者家族や小児科医・産婦人科医を始め市民が繰り返し声をあげ、反対署名は総計20万筆に達していることは極めて重いものです。しかし、市長はこの声にまったく耳を傾けずに無視し、いま「検証」の信憑性を揺るがす疑惑が浮上しているにもかかわらず、虚偽答弁と証拠破棄で市民と議会を冒涜し続け、指摘されてようやく謝罪し答弁内容の一部を訂正しましたが、まさに市長失格と言わざるを得ません。こども病院の人工島移転は白紙撤回するしかないのであります。

以上でわが党の反対討論を終わります。

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