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議会報告

2008年9月議会

議案に対する日本共産党の反対討論

2008年9月24日 ひえじま俊和議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第152号および154号ないし157号、160号、162号ないし164号、173号並びに174号に反対し、討論を行います。

まず、議案第160号、市税条例改正案についてです。

これは地方税法の一部改正にともなうものですが、来年10月から65 歳以上の人の公的年金から個人市民税を天引きするためのものです。お年寄りは、所得税、介護保険料に加えて、後期高齢者医療保険料も年金から天引きされ、大きな怒りが広がっています。さらにこの10月からは65歳から74歳までの国保料などにも広げられ、年金天引きの対象者は全国で最大1,500万人に及ぶのであります。物価高騰と年金据え置き、増税・負担増など自民・公明政権のもとでお年寄りの生活はますます苦しくなっております。本来、年金は多くの国民にとって老後の唯一の生活保障であり、少ない年金から天引きすることは生存権をも脅かすものであります。したがって、わが党は、住民税の年金天引きを導入する本議案に反対します。

次に、議案第173号および174号、公営住宅新築工事請負契約の締結についてです。

本議案は、米田第1および第2住宅を建設するための工事請負契約2件ですが、その1件は大高建設と東部産業による共同企業体が6億7,200万円で、もう1件はアルシスホームと有澤建設による共同企業体が6億1,005万円で、それぞれ一般競争入札によって落札したものです。当局の説明によると、いずれも入札参加業者は落札した1企業体のみ、いわゆる「一社入札」で、落札率は 98.4%、96.9%と極めて高いのであります。「談合の疑いが極めて強い」と言われる落札率95%を超えているのに、まともな調査さえしていない当局の姿勢は問題であります。そもそも、入札執行前に入札者が1社となった場合は入札を執行しないのが原則です。ところが、本市財政局長決裁の「入札執行に係る運用基準」第4条は一般競争入札を例外としているのであります。一般競争入札といえども入札参加資格を持つ業者が限定されている本件の場合においては、談合の余地があります。こうした仕組みでは落札率の高騰によって税金が食い物にされる事態を防ぐことができません。

したがって、わが党は、談合の疑いが極めて強い本契約議案に反対するとともに、入札のやり直しと、徹底した談合防止策の早期確立を求めるものであります。

最後に、議案第157号、病院事業会計補正予算案等についてです。

本予算補正は、こども病院の移転場所として人工島の博多港開発所有の土地3.5ヘクタールを取得するため47億2,500万円の追加を行うものです。

こども病院の人工島移転については、9万7,000筆を超える反対請願署名が議会に提出され、市長に対する陳情署名も8万3,000筆にのぼり、署名総計は吉田市長の得票数17万7000を上回る18万筆に達するなど、圧倒的多数の市民が強く反対しています。7月に市が開いた3回の説明会でも反対の意見が次々出され、市長の公約違反や人工島ありきのやり方に批判が続出しました。こうしたなか、第2委員会での請願審査の結果、継続審議となったのであります。しかるに市長はこども病院の人工島移転方針を決定し、「新病院基本構想案」を策定して、本議会に議案提出を強行したのであります。これに対し市民の怒りはますます高まるばかりであります。吉田市長の強引な進め方は市民と議会を愚弄するものに他なりません。

新病院の規模、とりわけ敷地面積についてですが、昨年12月議会に報告された「市立病院統合移転事業の検証・検討報告書」では「1.5〜3ヘクタール」とされていたものの、今年7月の第2委員会と市民説明会では「最低3ヘクタール」へと変更され、さらに今回「3.5ヘクタール」へと広げられました。わが党は本会議および委員会での質疑でこの根拠をただしましたが、保健福祉局長は明確な答弁を避けました。福岡県との協議さえ進んでいないのに病床数を260床へと増やしたり、駐車場を当初300台から 400〜450台と増やしたり、「将来の拡張性」などといって機能拡張スペースまで確保しようとしていますが、結局、敷地面積をこのように拡大してきたのは他の候補地を振り落とし、何が何でも人工島に移転するという結論を導くためだったと言わざるを得ません。

収支計画についてですが、当局は新病院で病床利用率90%、一日あたり外来患者420人へと収益が大幅に伸びることを見込んでいるようですが、交通アクセスの悪い人工島へ移転すれば患者数が減る一方、建設費用など186億円の初期投資はさらに拡大され、17億円と試算されている赤字はいっそうふくらむのは避けられません。地方独立行政法人化によって医師・看護師などの人件費抑圧が強制され、不採算医療が切り捨てられ、医師の増員どころか医師不足を招き、それがまた患者減少へとつながることは想像に難くありません。人工島移転だからこそ収支計画の破たんは必至であります。

9月議会のさなか、市内の産婦人科開業医40人と小児科医21人、さらに総合病院の産婦人科医24人も加わって、こども病院の人工島移転に反対を表明した「現場の専門医師からの緊急提言」が市長に対して出されました。これは、先の小児科医師69人の要望書に続く、現場の圧倒的多数の医師たちの声として極めて重いものであります。ところが市長は「組織的なものでない」と答弁しましたが、市と協力関係にあるはずの専門医師の意見さえ黙殺する市長の態度はまったく異常であり許されないものです。

そもそも吉田市長はこども病院の人工島移転の見直しを公約していたにもかかわらず、当初から見直すつもりはさらさらなく、前市長から引き継いだ経営コンサルタント会社「PwCアドバイザリー」への業務委託を繰り返し、昨年の検証・検討でも現地建て替えが困難だとの結論ありきのシミュレーションを行い、さらに建て替え費用の勝手な水増しまでして人工島移転へと突き進んできたのであります。市民と議会を偽り早くから敷地面積を3.5ヘクタールと想定していたことも判明しました。わが党はこうした「検証偽装」の全貌を明らかにして市長の重大な公約違反をただしましたが、なんら反論できませんでした。市長は「予断を交えずゼロから検討した」などと述べましたが、市民の納得を得られるものではありません。市長公約に期待した市民を裏切る吉田市長の態度は断じて認められないのであります。

吉田市長。あなたはこども病院の人工島移転になぜそれほどまでに固執されるのか。市長はすでに人工島事業の推進を掲げ、様々な破たん救済策を推進していますが、博多港開発は土地が売れずに赤字が続けば銀行団への返済が滞り、またも融資打ち切りが迫られる危機的事態にあり、これを打開するためにはより広い用地を税金で買い取るしかないと判断したからであります。そして、病院移転を起爆剤にして人工島の付加価値を高めるため、コンベンションセンターや美術館、大学などの公共施設などを誘致し、都市高速道路の延伸などインフラ整備も一気に加速させようとしているのではありませんか。そうすれば破たんした人工島にいっそう巨額の税金がムダづかいされることになるのであります。財界・銀行いいなりに市政を歪め、こどもの命さえも犠牲にするとは、まさに市長たる資格がないと言わねばなりません。

市民の願いを踏みにじる本議案に対し、市長与党の民主市民クラブはもとより、自民党、公明党、みらい福岡、福政市民クラブの各会派が賛成しようとしております。公約違反と市民無視の市長に手を貸すことになれば、市民の批判は免れず、厳しい審判を受けることになるでしょう。

したがって、わが党は、こども病院の人工島移転に断固反対し、本補正予算案と「新病院基本構想案」の即時撤回を強く要求するものであります。

以上でわが党の反対討論を終わります。

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