トップ > 議会報告 > 決算特別委員会 > 2007年度決算特別委員会での意見開陳

議会報告

2007年度決算特別委員会(2008年10月)

2007年度決算特別委員会での意見開陳

2008年10月24日 中山いくみ議員

私は、日本共産党市議団を代表して、2007年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第128号ないし131号及び134号、135号、137号ないし143号、145号、146号、148号並びに 149号について認定しがたいことを表明し、意見開陳を行います。わが党の意見については、総会及び分科会審査での質疑で述べておりますので、ここではその基本点だけを述べます。


周知のように、2007年度は、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界金融危機の影響で、景気が後退に転じるなか、生活保護世帯が 3年連続100万世帯を突破し、年収200万円に満たない働く貧困層、いわゆるワーキングプアが1,000万人以上にのぼり、中小企業の倒産が1万 4,000件を超えるなど、雇用、所得、営業が困難に陥り、貧困と格差の新たな広がりが重大な社会問題となっていました。しかるに2007年度、安倍・福田の自民・公明政権は、破たんした小泉「構造改革」路線にしがみつき、住民税増税など国民負担増をすすめた一方で、社会保障費を2200億円も削減するとともに、大型開発のムダづかいや軍事費を温存し、史上空前の利益をあげている大企業などに対する減税を継続する、まさに逆立ち財政を続けました。また、地方交付税の削減によって地方財政は深刻な影響を受けました。


こうした中で、2007年度の市政運営に求められていたのは、国の悪政から市民を守るという自治体本来の使命を果たすことであり、そのための予算を組むことでした。ところが、吉田市長は就任後初めての2007年度当初予算で、開発優先・市民犠牲を基調とした従来型の行財政運営を変えることなく、人工島などムダな大型開発に巨額の税金をつぎこみ、福祉や教育など生活関連を抑制したのであります。2007年度決算はそうした特徴を如実に示すものとなっております。


歳入についてみると、地方交付税が前年度から97億円も減らされ、5年間で4割もの減収となっています。一方、市税のうち個人市民税が98億円増えていますが、このうち32億円は定率減税の廃止等による増税分です。また財産収入の増収は貴重な市有地などを売払ったものです。留守家庭子ども会の無料化が実現しなかったため保護者からの利用料収入は約2億3000万円にのぼります。国の地方財政切り捨てによる財源不足の影響を市民負担増に求めるやり方は許されません。


歳出についてみると、とりわけ政令市一高い保険料を課している国民健康保険への一般会計繰入金を抜本的に増やさず一人あたり国保料を据え置いたこと、生活保護を必要とする人が増えているのに保護費を抑制したこと、特別養護老人ホームの待機者が6,000人に急増する非常事態にもかかわらず新設はわずか2箇所58人分にとどめたこと、65歳以上の介護保険料の軽減措置を縮小し、また軽介護度のお年寄りから介護ベッドを取り上げたことなど、吉田市長の福祉・医療・介護の施策はあまりにも冷たいものでした。市長が選挙公約で掲げた公共料金の福祉減免などは盛り込まれませんでした。


子育て分野では、乳幼児医療費の無料化が市民運動とわが党の要求によって就学前まで拡充された一方で、保育所待機児が472人に上っていたのに新設2箇所等で240人の定員増にとどめたうえに、市長公約に反して公立保育所の民営化方針を復活させ、民間保育園補助金を減額しました。児童館設置には完全に背を向ける公約違反の態度です。これでは市長の言う「子育て日本一」には程遠いと言わねばなりません。教育費は、わずかに増額したものの依然ピーク時の半分程度、一般会計の6.3%と極めて低い水準にとどめ、学校校舎・体育館等の改修・改築や少人数学級の対応などは不十分です。


市営住宅は、公募倍率が23.63倍となるなど入居希望が殺到しているのに新設は1戸もなく、建設事業費は5年間で半分以下に減額しました。中小企業対策費はまたも減額してついに10億円を下回り、一般会計のわずか0.14%にすぎません。また、非正規雇用から正規雇用へ安定した雇用を増やす取り組みや、無法・不当な働かせ方をなくす取り組みは皆無でした。


一方、大型開発について見ると、市長は2007年度、人工島埋め立てと破たん救済に80億円の事業費をあてました。同時に事業見直しと称して「検証・検討チーム」を立ち上げたものの、実際は人工島事業の推進のための調査を不動産研究所に委託していました。そしてその調査結果をもとに「検証・検討報告書」をまとめ、人工島事業推進本部長に市長自らが就任し、人工島の破たん救済にいっそうの税金・公金を投入することを打ち上げたのであります。また、こども病院の人工島移転についても、市長の「検証・検討」は、前市長時代に契約したコンサルタント会社に対して業務委託を継続し、人工島移転先にありきの恣意的な調査を行い、なおかつ現地建て替え費用についてゼネコンの意見を聞いたなどと言って勝手に1.5倍に水増しした報告書をつくり、市民をあざむいたのであります。これらは「見直す」との市長公約に明らかに違反するものであり、市長の責任は極めて重大であります。


さらに、土地区画整理事業は5事業で147億円、都市高速道路に38億円の他、新福岡空港建設に道を開く調査費等に4,700万円、九大学研都市構想の推進に産学連携交流センター整備を含め7億8,000万円など、市長が「厳しく見直す」と公約した大規模開発に莫大な事業費を使ったのであります。


このように、暮らしや教育に関わる分野で市民の願いにことごとく背を向ける一方、財界が喜ぶ大型開発には湯水のように税金・公金をつぎ込んだというのが、歳出決算の最大の特徴となっています。


2007年度決算における借金総額は3会計合計で2兆5,996億円、隠れ借金635億円を含めると市民一人あたり194万円にものぼります。この借金返済にあたる公債費が毎年1,100億円を超すなど事態は深刻です。こうした借金財政の根本原因は、人工島事業をはじめムダな大型開発の推進だということは明白であり、これを解決するには過去2代の市長による大型開発路線ときっぱり決別する以外に道はありません。ところが、吉田市長が策定した「2011グランドデザイン」および「財政リニューアルプラン」は、こともあろうに大型開発推進路線の継承を宣言し、その一方で借金のツケを市民に押し付け、生活や福祉をいっそう切り捨てる姿勢を鮮明に打ち出したのであります。


人工島については、必要のない大水深岸壁の建設と埋め立てを推進するほか、売れない土地を処分するため1社最大10億円の税金ばらまきの企業立地交付金まで創設しました。これまでの埋め立て事業に2,700億円もの事業費がつぎ込まれましたが、造った土地が売れずに、3セク・博多港開発の破たん救済だけでも391億円もの税金が投入されました。そのうえ市長は、こども病院や青果市場、大型コンベンション施設や美術館など公共施設を人工島に集中させ、都市高速道路の延伸など不要不急の公共事業を推進しようとしています。これでは借金はさらに膨れあがり、果てしない税金投入の泥沼を拡大することは避けられません。また、「九大学研都市構想」や都心部の再開発、新たな幹線道路建設、さらには市長が選挙公約で「必要ない」と明言した新福岡空港建設をも推進しようとしていることは極めて重大です。


市長は一方で、借金財政のツケを市民犠牲で穴埋めしようとしております。すなわち、市税や国保料、介護保険料など重い負担を市民に課し、払えない低所得者を厳しい差押えで追いつめることで増収を見込んでいるのであります。また受益者負担の適正化などと称して福祉や市民サービスを切り捨てようとしており、重度心身障害者医療費助成制度の改悪は障害者の生存権をも脅かす重い負担です。市立病院の「地方独立行政法人化」は地域医療・不採算の専門医療の放棄につながるものです。公立保育所民営化は子どもと保護者・関係者に多大な影響を与えるものです。障害者施設や市民体育館・プール、アミカスなどの「指定管理者制度の拡大・公募化」は、公的責任を放棄し、民間営利企業の儲け口をつくるものです。一部の駐輪場や油山青年の家など公共施設の廃止も打ち出されています。さらに、貴重な「市有地」の売却が進められようとしていますが、これでは保育所や特養ホーム、公園や児童館の設置など地域住民の要望に応えられません。人件費の削減として、今でも政令市一少ない職員をさらに825人も減らす計画ですが、これは市職員にさらなる労働強化と過重負担を強いて、ひいては市民サービスを低下させるものに他なりません。正規職員を派遣や臨時に置き換えるやり方は「官製ワーキングプア」を生み出すものです。このように、市長は「財政健全化」の名で、市民負担増、福祉切り捨て、行政責任の放棄を推し進めようとしていますが、市民に犠牲を押し付けるやり方は断じて認められません。


いま市長に求められているのは、国の悪政から住民の福祉を守るという自治体本来の役割を果たし、社会保障改悪や増税、生活困窮と雇用不安に苦しむ市民に救済の手をさしのべ、しっかり支えることに最優先でとりくむことです。そのための財源を確保するためにも、国の地方財政きりすてに強く反対するとともに、財政の軸足を大企業から市民生活へ移すことが求められます。すなわち、人工島など大型開発優先の市政運営をおおもとから改めて借金財政に歯止めをかけ、市民生活と中小業者の営業を応援して個人消費をあたためることに力を注ぐべきであります。


以上述べてきたように、2007年度決算は、市民犠牲、福祉・教育の削減・抑制、大型開発のムダづかいが基調となっており、わが党はこのような決算諸議案を認定することはできないのであります。以上でわが党の意見開陳を終わります。


>>>「決算特別委員会」トップへ戻る

>>>「議会報告」一覧ページへ戻る

PageTop