決算特別委員会
新空港公約をひるがえした吉田市長
2008年10月14日 宮本秀国議員の質疑
日本共産党の宮本秀国市議は10月14日の決算特別委員会総会で、福岡空港問題について市長をただしました。
国、県、市がつくる「福岡空港調査連絡調整会議」は2003年から総合的な調査を進めていますが、福岡空港の滑走路処理容量に余力がなくなり需要に応えられないとの前提で、滑走路増設案と新空港建設案の2つの「抜本的な対応方策」を今年9月にステップ4として公表しました。
過大な需要予測
宮本市議がまず問題にしたのは需要予測のでたらめさです。
福岡空港の発着回数は2001年の14万3000回をピークに減少し、昨年(2006年)は14万1000回。旅客数も2000年の196万8000人から昨年178万9000人へと減っています。
ところがステップ4では、発着回数が増え続けて2012年に15万3000回、2032年に19万1000回となると予測しています。
宮本市議はこうした予測の根拠を問い、実現不可能で過大だとただしましたが、総務企画局長は「需要予測については今後も様々検証していく必要があり、見直していく」と述べ、根拠のなさが浮き彫りになりました。
莫大な財政負担
次は、滑走路増設や新空港建設をした場合の大きな財政負担の問題です。
事業費と福岡市の負担額について質問した宮本市議に対し、市側は、滑走路増設は事業費2000億円のうち市負担200億円、新空港建設は9200億円のうち市負担900億円との試算を明らかにしました。
宮本市議は事業費がさらに膨らみ、市の負担はその程度で済まないと指摘。莫大な財政負担を市民に負わせる新空港建設や滑走路増設は必要ないと迫りました。そして、北九州空港や佐賀空港との連携、誘導路の二重化など既存ストックの活用などで十分対応できることを主張しました。
市長はこれも公約違反か
宮本市議は、地元財界が新空港建設を推進するよう要求していることを明らかにしたうえで、「吉田市長が財界の代弁者になるのか、市民の立場に立つのかが問われている」と指摘しました。市長公約をめぐるやりとりは概要次のとおり。
宮本「市長は選挙でどういう公約をしたか」
市長「新空港は…その時点でみると…必要ない、と」
宮本「『新空港は必要ないことを明言する』とはっきり書いてある。その時点とはどういうことか、今とどこが違うのか」
市長「当時は候補者だった。今の立場では、粛々と調査し結論を導くことだ」
宮本「市民をたぶらかしたということだ。新空港問題は前々回の県知事選挙で大問題となり麻生知事が新空港をやめると言わざるを得なくなり、総合調査が始まった。市民の間では決着がついている。市長もそうした経緯をふまえて公約した。新空港は必要ないと明言すべきだ」
市長「今の立場で言うと、福岡空港の将来を客観的に調査しており、PIの結果をふまえて判断する」
宮本「公約と違う。市長選挙の時点で需要予測も出ていた。市長の座に着きたいがために適当な公約をしたのか、それとも無知だったのか、釈明すべきだ」
市長「公約はやるべきことはやる。通らないものは通らない」
開き直って答弁した吉田市長に対し、宮本市議は「あなたは山崎前市長を批判していたが、前市長以下だ。市民をあざむき、財界の意のままに新空港を進めるということなら、市長たる資格がない」と厳しく批判しました。