決算特別委員会
こども病院 現地建て替え費用を勝手に上乗せした市のやり方を批判
2008年10月9日 ひえじま俊和議員の質疑
日本共産党のひえじま俊和市議は10月9日の決算特別委員会総会で、こども病院の人工島移転問題について質疑をしました。
まず、市立病院統合移転「検証・検討」について、現地建て替え費用試算の上乗せ問題を追及しました。
ひえじま市議は、市が経営コンサルタント会社「PwCアドバイザリー」に委託した報告書では、現地建て替え費用85.5億円だったのに、「検証・検討」では42.8億円も上乗せしたことを指摘し、理由をただしました。
総務企画局長は「特殊な建て替えであるため、ゼネコン数社にヒアリングを行い、そのアドバイスをもとに決めた」と答弁。ところがそのゼネコンとは委託契約を交わしていなかったことが明らかになりました。
ひえじま市議は、「契約もしていない企業からヒアリングをして、勝手に費用を水増しすることが通常あるのか。誰がいつどこで何というゼネコンからヒアリングしたのか」と追及。総務企画局長と靏川副市長に続き、吉田市長も「公表を前提にしていないので、答弁は差し控えたい」と答弁不能に。
このため、総会はいったん休憩となり、運営理事会が開かれ、当局答弁について協議しました。
約1時間後に再開されて答弁に立った靏川副市長は「検証・検討チームの担当者が昨年8月10日前後に、現地建て替え経験のある3社を訪問して意見を求めた。敷地の形状など特殊な建て替え工事となるので、更地に建設する場合の1.5倍はかかるとの意見を受けた。チームとしてこれを妥当と判断した。本年7月末に再度訪問し、企業名の公表は控えてほしいと言われたので公表は控えたい」と述べました。
ひえじま市議は「ゼネコンの意見で42億円も上乗せしたのに、明らかにしない。承服しがたい。現地建て替えの費用を決めた経緯を発表せず済まそうとする。こういうことが許されれば次々と勝手な都合で費用や価格が水増しされてしまう。議会のチェック機能を形骸化するものだ」と批判しました。
新病院構想は規模過大、赤字増大、ベッド有料化などでたらめ
新病院基本構想について、ひえじま市議は、人工島の用地が当初1.5〜3ヘクタールとしていたのが3.5ヘクタールとなったが、市民説明会では市当局が「30年後の建て替えも視野に入れて」と説明したことを指摘し、「人工島の土地をできるだけ広く買おうとしている。博多港開発の破たん救済に他ならない」と追及しました。
新病院の事業収支について、1床あたりの建設単価が5300万円であることが明らかになりました。ひえじま市議は、国立病院機構が定めている1500〜2000万円との指針を示しましたが、保健福祉局長は「建設資材が高騰している」などと言い訳しました。
ひえじま市議は「過大な新病院をつくろうとするからだ。赤字が毎年17億円に増えるような人工島にどうして移転しなければならないか。人工島だったら赤字を増やしても許されるのか」と追及しました。保健福祉局長は「場所の問題ではない。公立病院は赤字であっても一般会計からの繰り入れで支える」などと開き直りました。
ひえじま市議は「病院の赤字が問題だといって、地方独立行政法人化しようとしている。矛盾した答弁だ」と述べました。
新病院の収益について、ひえじま市議は、外来が一日420人、病床利用率が90%といずれも大幅に増える計画だが、市内の多くの小児科医・産婦人科医が「利便性の悪い人工島には救急のハイリスク患者は紹介できない」との意見をあげていることを示し、「患者が来なければ市の言う収益は成り立たない。もっと専門開業医たちの意見に耳を傾けるべきではないか」とただしました。保健福祉局長は「ご説明し、ご協力、ご理解を得たい」と述べ、あくまでも無視する姿勢を示しました。
個室ベッドは78床を一日8000円〜1万2000円に有料化する計画ですが、保健福祉局長は「受益者負担の原則で、一定の負担をしていただく」と当然視しました。ひえじま市議は「月に24万〜36万円を、病気とたたかう子どもの親に払えというのか。無料ベッドが満員だったら入院できないことになる。個室の有料化はやめるべきだ」と迫りました。
そして、こうした経営を進めるために、市立病院を地方独立行政法人化しようとしていることを批判しました。
さいごに、ひえじま市議は「営利主義、市民負担増大、医療従事者の労働条件悪化、子どもの命より人工島破たん救済のために莫大な借金を生み出す。こうした新病院基本構想案は白紙撤回すべきだ」と要求しました。
吉田市長は「こども病院は老朽化、狭あい化しており、早急な整備が必要。高度な医療水準のために新病院を人工島につくる。ご理解をお願いしたい」と答弁しました。