2008年6月議会
2008年6月議会日本共産党の反対討論
2008年6月20日 倉元達朗議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第108号および110号、113号、116号ないし119号に反対し、討論を行います。
まず、議案第117号ないし119号、人工島の市5の2工区の表層処理工事請負契約の締結についてです。本議案は、市5工区のうち20万平方メートルについて、総額約13億4,000万円かけて、埋め立てを推進するものです。
この5工区は、従来、住宅や新たな産業集積、エコパークゾーンなどの土地利用計画のもとに推進されてきましたが、市長が行った検証・検討で「具体的な土地利用の方向性等が明確になっていない」と当局がみずから認めており、埋め立ての必要性も緊急性もありません。港湾局は土地の民間需要があると繰り返していますが、何の根拠もしめしえないのであります。したがって、埋め立てを進める必要はまったくありません。
市長は埋め立てを推進する根拠の一つに博多港開発工区の土地分譲について、一定の目途がつきつつあることをあげていますが、これまでに売れた土地52.5ヘクタールのうち、8割にあたる42ヘクタールは公園、道路、学校などの用地として、市が327億円の税金を投入して、次々と購入を繰り返してきたことによるもので、これ以上、売れない土地をつくるのは許されません。
売れない土地を作り続けた結果、どのようなことが起きているか。吉田市長はこども病院を人工島に移転させようとしていますが、これは売れない土地の処分のために他ならないのであります。この問題については、反対世論が大きく広がっています。一昨日、「こども病院の人工島移転に反対する連絡会」の6万4,532筆にのぼる請願署名が本市議会に提出され、また、こども病院の患者家族でつくる「こども病院の人工島移転を考える会」の7万4,350人分の署名が市長に提出されております。市民からは「人工島の破たん救済よりも子どもの命を守れ」「市民への裏切りだ」の声があがっており、こども病院の人工島の移転は断じて認められないのであります。
吉田市長、あなたは人工島事業の見直しを公約しておきながら、検証・検討と称して人工島を推進し、みずから事業推進本部長となり、今年度中に「新たな事業計画」づくりに取り組む方針を明らかにしています。その内容は交付金バラまきの企業誘致や「新市立病院」と「新青果市場」などの市の施設の導入、国庫補助金頼みの住宅開発、道路の拡幅、自動車専用道の延伸など、まさに人工島のためなら何でもありという計画です。しかも、その事業費についても、市長はわが党の質問に対していったいいくらになるか明らかにしませんでしたが、市財政をよりいっそうの泥沼に引きずり込むまったく無責任なものです。
したがって、わが党は今回契約議案に反対し、撤回を求めるとともに、人工島の破たん救済のための税金投入をやめるよう要求するものです。
次に、議案第116号、デジタル移動通信系防災無線設備工事請負契約の締結についてです。これは、災害の予防及び対策に係る体制の強化を図るためとして、総額約9億5,000万円で、株式会社東芝と請負契約を締結し、デジタル防災無線の設備工事を行うものです。
今回契約にあたっては一般競争入札で、18社が参加し、うち3社が辞退、15社すべてが最低制限価格の9億706万円で同額入札を行い、その結果くじ引きとしたものです。くじ引きの方法は入札参加業者が任意に指定した3桁の番号の合計を参加業者数15で割り、あまりの7に1を加算して、受付順番8番の東芝に決定したというものです。業者間で受付順番と番号が把握されれば、事前に落札者を申し合わせることが可能であり、こうした経過を見れば、談合の疑いを持たざるをえません。さらに、報道によると、落札した東芝は先週の6月10日に、札幌市発注の下水道電気設備工事をめぐる官製談合の疑いが強まったとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受けた9社のうちの1社であり、このような疑惑企業に発注することは極めて問題があり、ただちに撤回すべきであります。したがって、わが党は本議案に反対するとともに、入札のやり直しを求めるものであります。
次に、議案第110号、福岡市営住宅条例の一部を改正する条例案ついてです。
本議案は「公営住宅法施行令」の一部改正により公営住宅家賃等が改定されるのと同時に、本市の公営住宅以外の市営住宅にもこれを適用するというものです。今回の改定により、公営住宅家賃の算定方法が変更され、入居者の2割、6,500世帯の家賃が平均3,200円、最高15,000円と大幅に値上げされ、その影響は甚大です。また、収入基準が月額20万円から15万8,000円へと引き下げられたことによって、現在入居世帯でも収入超過世帯となれば、施行の5年後には退去勧告を受けることになるのであります。さらに入居資格が狭められ、これまで入居申し込みできた人でも、門前払いとなるのであります。このように今回改定は、市営住宅の家賃値上げと追い出し、入居希望者の門前払いとなるもので、住まいは福祉という理念に反するものであり、許されません。今、本市に求められているのは、新規建設ゼロという本市の異常な住宅抑制政策を改め、低廉で良好な住宅に住みたいという市民の願いにこたえることであります。したがって、今回議案にわが党は反対するものです。
次に、議案第108号、福岡市市税条例の一部を改正する条例案についてです。これは地方税法の一部改正にともなうものであり、年金受給者本人に公的年金等に係る源泉徴収票について、市が提出を求めることを可能にするものです。これは2009年10月からの65歳以上の人から個人市民税の年金天引きに道をひらくものです。年金からの天引きは、所得税、介護保険料に加えて、75歳以上の人はこの4月から後期高齢者医療保険料も始まり、お年寄りに大きな怒りが広がっています。高齢者の多くは年金だけが唯一の収入となっており、わずかな年金から天引きすることは生存権を定めた憲法25条に反するもので許されません。したがって、わが党は、本議案に反対するものであります。
以上でわが党の反対討論を終わります。