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2008年12月議会
議案に対する反対討論
2008年12月18日 宮本秀国議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第183号および184号、186号、188号ないし191号、195号、198号ないし201号、215号、219号、221号、222号、 232号、236号ないし241号、248号、252号、253号、256号ないし259号並びに261号に反対し、討論を行います。
まず、議案第183号、一般会計補正予算案中、人工島関連の住宅市街地総合整備事業の追加についてです。
今回補正は、人工島の博多港開発工区における道路「アイランド西3号線」のうち、いわゆるセンター地区に面した440mについて、すでに供用済みの幅員12mを30mへと拡張するための用地取得費と工事費として、6億9400万円を充てるものであります。
わが党はこれまでも、博多港開発工区の道路整備について、本来、埋立事業者である博多港開発が負担すべきであり、本市が税金を投入して行うことは博多港開発の破たん救済に他ならないと指摘してきました。市当局は今回もまた「交通の円滑化のため」などと税金投入を合理化する答弁を繰り返しましたが、破たん救済に突き進む態度は異常の極みであります。もともと「人工島事業に税金は一円も使いません」というのが市民への説明でしたが、それは無責任にもことごとく覆され、博多港開発への税金投入はすでに391億円にも達しており、吉田市長のもとでさらに加速されています。人工島開発の巨額のムダづかいは断じて許されないものであります。
センター地区については、博多港開発の株主企業などが事業主体となった大型商業施設・集合住宅などの事業構想が9月に決定され、それを受けて本市は10月の都市計画審議会で、大型商業施設の建設を可能にするための用途地域変更を決定しました。同時に、センター地区に面した既存道路を都市計画道路に決定したのであります。すでに、センター地区に限定した商業施設に対して10億円を投げ渡す立地交付金制度も今年度創設しています。周知の通り、博多港開発は昨年度末、融資銀行団から住友、三井、三菱UFJ、みずほなど大手銀行が手を引き、福銀などを中心とした短期融資に切り替えざるを得なくなるなど、深刻な事態にありました。そこで浮上したのが、売れ残った広大なセンター地区の早期処分だったのであります。この間の一連の経過を見れば、博多港開発の経営破たんを回避するために、博多港開発の株主企業である福銀、九電、西鉄、西部ガスと、博多港開発工区で多くの住宅事業を推進している積水ハウスが土地処分と開発事業を構想し、それに対し市長が様々な税金投入によって支援してやろうと画策してきたのは明らかであります。わが党は人工島事業の破たん救済に多額の税金を投入する今回予算補正に反対し、削除を強く要求するものであります。
市長は今回の補正予算案について「緊急経済対策を盛り込んだ」などと述べられましたが、人工島の都市計画道路の整備費はそのほとんどが用地取得費であって経済効果はありません。そもそも、急激な景気悪化のもとで、本市においても中小企業・業者の経営危機や非正規労働者を中心とした失業者急増は深刻となっており、市民の雇用と営業をしっかり守り支えるための補正予算を組むことこそ求められていたのであります。ところが吉田市長は、そうした真の緊急経済対策を後回しにし、国に追随して不要・不急の公共事業を推進する従来型のやり方を踏襲したわけですが、これはあまりにも市民に冷たい態度だと言わねばなりません。
次に、議案第261号、今宿・周船寺地区地域交流センター新築工事請負契約の締結についてです。
今回契約にかかる入札は、総合評価方式が導入され、評価値で最高点だった旭・西中洲樋口・オークス建設工事共同企業体が税込価格14億円余で落札したものです。しかるに、入札には5企業体が参加し、 1企業体が辞退、残る4企業体のうち3企業体が、予定価格の85%、すなわち最低制限価格基準である13億6,756万5,000円でそろって同額入札し、審査委員会が決めた技術評価点のわずかの差で落札者が決定されたのであります。こうした経過は極めて不透明であり、談合の疑いがあると言わなければなりません。
公共工事の入札における総合評価方式が本市においてもすでに試行され、来年度から本格導入の方針とされております。わが党は、過剰なダンピングによる公共工事の品質悪化を防止することの必要性は認めますが、総合評価方式は入札価格が最低価格でなくても技術点が高ければ落札することができるものであり、技術力に勝る大手企業に圧倒的に有利に働いて中小企業がますます排除される懸念が指摘されています。また、総合評価方式を導入した国土交通省などの発注工事入札でも談合が行われたと公正取引委員会が認定したように、入札参加者が限定されることによって談合しやすい環境を生むことも問題です。
したがって、今回契約議案はわが党の認めがたいところであります。
次に、議案195号等、公の施設の指定管理者の指定にかかる63件についてです。
わが党は、公の施設を住民福祉の増進に生かし、公的責任を果たし、営利目的へと変質させないために、その管理は直営を基本にすること、指定管理者制度を導入する場合は公募せず従来管理委託してきた公的機関を指定管理者に指定すること、公募する場合でも株式会社など営利を目的とした企業を指定管理者に指定しないことを主張してきました。ところが今回提案は、21の施設の指定管理者を株式会社に指定するものであります。これらは公的責任を放棄し、公の施設に効率化と利潤追求を持ち込み、民間企業にもうけを保障するものに他ならず、わが党は反対するものであります。
とりわけ、老人福祉センターの管理を民間企業に委ねれば、高齢者が気軽に利用できなくなることやこれまで行われてきた高齢者のための事業が縮小されることも危ぐされます。また、点字図書館の指定管理者の指定から社会福祉事業団を意図的に排除したことは、専門的な業務の継続性を困難にし、障害者である利用者へのサービス低下を引き起こす恐れが強く、問題であります。住民の福祉の増進を目的とする社会福祉施設の管理運営を民間企業に委託することは、自治体の公的責任の放棄であり、住民サービス・住民福祉の切り捨てに他なりません。
体育館や市民プール、音楽・演劇練習場、地域交流センター、博多町家ふるさと館など、文化、スポーツ関連施設や駐車場の指定管理者については、今回、コナミやミズノ、JR九州、キャナルシティ、西鉄、西部ガス、九電工、イオンなど大企業やその関連など民間企業を指定するものですが、これらの公的施設がもうけ本位に変質し、公平公正な利用が妨げられ、料金値上げなどの市民負担増も避けられないものであり、認められません。
なお、今回指定管理者の指定にあたって、市当局が公募したにもかかわらず応募団体名を議会に明らかにしなかった案件が一部ありましたが、市長は一貫性のない態度を改め、情報公開を徹底するよう要求するものです。
次に、わが党が賛成する議案のうち、議案第267号、国民健康保険条例の一部改正案について意見を述べます。
本議案は、産科医療補償制度の創設をふまえて、出産育児一時金の額が改正されたことに伴うものです。
産科医療補償制度は、同制度加入医療機関で出産した場合、一分娩あたり3万円の保険料を医療機関から集め、通常分娩にもかかわらず子どもが脳性マヒになったときに3,000万円の補償金を支払うもので、来年1月からの開始が予定されています。わが党は、産科医療の困難を打開するため、「無過失補償制度」を創設する必要があると提言してきました。しかし、今回始まる制度は補償対象が通常分娩に限定され、多額の保険料が民間保険会社にゆだねられるなど、透明性、公正性に問題を抱えています。公的な補償制度に見直すよう、本市として国に要望すべきだということを指摘するものであります。
以上でわが党の討論を終わります。