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議会報告

2008年12月議会

2007年度決算に対する反対討論

2008年12月10日 中山いくみ議員

私は、日本共産党市議団を代表して、2007年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第128号ないし131号及び134号、135号、137号ないし143号、145号、146号、148号並びに149号に反対して討論を行います。

周知のように、2007年度は、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界金融危機の影響で、景気が後退に転じるなか、生活保護世帯が3年連続100万世帯を突破し、年収200万円に満たない働く貧困層、いわゆるワーキングプアが1,000万人以上にのぼり、中小企業の倒産が1万4,000件を超えるなど、雇用、所得、営業が困難に陥り、貧困と格差の新たな広がりが重大な社会問題となっていました。しかるに2007年度、安倍・福田の自民・公明政権は、破たんした小泉「構造改革」路線にしがみつき、住民税増税など国民負担増をすすめた一方で、社会保障費を2200億円も削減するとともに、大型開発のムダづかいや軍事費を温存し、史上空前の利益をあげている大企業などに対する減税を継続する、まさに逆立ち財政を続けました。また、地方交付税の削減によって地方財政は深刻な影響を受けました。

こうした中で、2007年度の市政運営に求められていたのは、住民の安全、健康、福祉を保持するという自治体本来の責務に立ち返り、暮らし、福祉、教育の充実や中小企業振興と不況打開、雇用拡大に全力を挙げるとともに、自然環境と調和し、災害に強い都市づくりへ切り換えることでした。すなわち、国の悪政から市民を守るという自治体らしい自治体への転換であり、そのための予算を組むことでした。ところが、吉田市長は就任後初めて編成した2007年度当初予算と施政方針は、市民の願いに反して、開発優先・市民犠牲を基調とした従来型の行財政運営を変えることなく、人工島などムダな大型開発に巨額の税金をつぎこみ、福祉や教育など生活関連を抑制したのであります。2007年度決算はそうした特徴を如実に示すものとなっております。

歳入についてみると、地方交付税が前年度から97億円も減らされ、5年間で4割もの減収となっています。一方、市税のうち個人市民税が98億円増えていますが、このうち32億円は定率減税の廃止等による増税分です。また財産収入の増収は貴重な市有地などを売払ったものです。留守家庭子ども会の無料化が実現しなかったため保護者からの利用料収入は約2億3000万円にのぼります。国の地方財政切り捨てによる財源不足の影響を市民負担増に求めるやり方は許されません。

歳出についてみると、とりわけ政令市一高い保険料を課している国民健康保険への一般会計繰入金を抜本的に増やさず一人あたり国保料を据え置いたことなど、吉田市長の福祉・医療・介護の施策はあまりにも冷たいものでした。保育所待機児が472人に上っていたのに新設2箇所等で240人の定員増にとどめたうえに、市長公約に反して公立保育所の民営化方針を復活させ、民間保育園補助金を減額しました。教育費は、わずかに増額したものの依然ピーク時の半分程度、一般会計の6.3%と極めて低い水準にとどめました。市営住宅は、公募倍率が23.63倍となるなど入居希望が殺到しているのに新設は1戸もなく、建設事業費は5年間で半分以下に減額しました。中小企業対策費はまたも減額してついに10億円を下回り、一般会計のわずか0.14%にすぎません。

一方、大型開発について見ると、人工島事業の推進に80億円もの市費を投入し、土地区画整理事業5事業に147億円、都市高速道路に38億円の他、九大学研都市構想の推進に産学連携交流センター整備を含め7億8,000 万円など、市長が「厳しく見直す」と公約した大規模開発に莫大な事業費を使ったのであります。

このように、暮らしや教育に関わる分野で市民の願いにことごとく背を向ける一方、財界が喜ぶ大型開発には湯水のように税金・公金をつぎ込んだというのが、歳出決算の最大の特徴となっています。

2007年度決算における借金総額は3会計合計で2兆5,996億円、隠れ借金635億円を含めると市民一人あたり194万円にものぼるなど、依然として厳しい借金財政であります。

以上のように、2007年度決算は、厳しい財政にもかかわらず大型開発のムダづかいとその破たん救済のいっそうの推進、市民犠牲と福祉・教育分野の徹底した抑制と削減が基調となっており、わが党はこのような決算諸議案を認定することはできないのであります。

いま市長に求められているのは、国の悪政から住民の福祉を守るという自治体本来の役割を果たし、貧困と雇用不安、社会保障改悪や増税に苦しむ市民に救済の手をさしのべ、しっかり支えることに最優先でとりくむことです。そのための財源を確保するためにも、国の地方財政きりすてに強く反対するとともに、財政の軸足を大企業から市民生活へ移すことが求められます。すなわち、人工島など大型開発優先の市政運営をおおもとから改めて借金財政に歯止めをかけ、市民生活と中小業者の営業を応援して個人消費をあたためることに力を注ぐべきであります。


次に、わが党が反対する諸議案のうち、主な問題について、その理由を明らかにしておきます。


第1は、福祉、医療、介護など市民生活にかかわる問題です。

国民健康保険については、1人当たり保険料は介護分を含め9万5,591円と高すぎることが最大の問題です。一般的な加入者である所得200万円の3人世帯の国保料は介護分を含め47万円と、政令市で最も高く、支払能力をはるかに超え、多くの市民から「高すぎて払えない」「引き下げてほしい」と悲鳴が上がり、昨年ついに本市人口の1割を超す14万 5,899人もの署名が本市議会に提出されたのであります。高すぎる国保料の根本原因は国庫負担を減らしてきた国にありますが、本市においては国民健康保険事業特別会計の歳出が歳入を大幅に上回り累積赤字は82億円にのぼっているにもかかわらず、一般会計繰入金を抑制して、財源不足を保険料収入に頼っていることに問題があります。収納率向上のためと称して、滞納世帯から保険証を取り上げる資格証明書交付は1万5,000世帯にのぼり、病気になって医者にかかれず、「カネの切れ目が命の切れ目」という事態は深刻であります。また、差押えの強化は低所得の国保世帯をいよいよ追いつめています。市民の命と健康を脅かす冷たい国保行政は断じて認められません。こうした悪循環を断ちきるためには、一般会計繰入金を大幅に増額し、ただちに保険料を引き下げることが必要です。

介護保険については、とりわけ高齢者に高い保険料が課せられ、税制改定に伴う介護保険料の軽減措置が2007年度、縮小されたのは問題でした。特別養護老人ホームの待機者が6,000人へと急増する非常事態にもかかわらず、新設はわずか2箇所58人分にとどまりました。国が強行した施設利用者の食費・居住費の自己負担増、軽度の要介護者へのサービス大幅制限によって、在宅サービスが抑制され、介護ベッドのとりあげが進みましたが、本市として無策でした。余りにもお年寄りに冷たい中身であります。

生活保護については、貧困の広がりの中でその必要性が高まっていますが、本市においては依然として必要な人がだれでも申請できるような改善は図られず、保護費を抑制して、2007年度は前年度を下回りました。実態を無視した資産活用や扶養義務の強要、不当な就労指導や辞退届の強要を続けることは問題です。また、急増するホームレスの対策も全く不十分でした。区役所保護課主査が生活保護費3,100万円を詐取していた事件が明らかになりました。憲法25条の生存権を踏みにじる本市保護行政の抜本的改善こそ強く求められています。

障害者施策については、障害者自立支援法が施行され、応益負担と称してサービス利用の負担増が障害者とその家族に押しつけられ、「生きていけない」と悲鳴が上がっています。本市独自の負担軽減策が不十分なままにとどまっていることにより、障害者がサービス利用を抑制せざるを得なくなっています。

高齢者や障害者を対象にした公共料金の福祉減免は、市長の選挙公約に反して盛り込まれませんでした。わが党はその実現のための10億円規模の予算組み替えを提起しましたが、何らまともな検討もせず拒否した市長の態度は許されません。

また、食品の安全性の確保を求める市民の要求が高まり、食品衛生監視体制の強化が求められていたにもかかわらず、監視員が増員されなかったことは問題です。

住民の福祉の増進こそ自治体の役割だとする地方自治法の主旨に照らしてみると、市民生活にかかわる本市の2007年度決算の中身は余りにお粗末と言わねばなりません。


第2は、教育と子育ての問題についてです。

学校校舎・体育館等の改修・改築、耐震化や、少人数学級の対応など予算を伴う事業を推進することが強く求められていたのに、教育費は前年度から若干増額したものの一般会計の6.33%と最低水準にとどまり、金額でピーク時のほぼ半分という状況は、教育現場の困難を広げており重大です。

子育て分野では、乳幼児医療費の無料化が市民運動とわが党の要求によって就学前まで拡充されましたが、一方で、保育所は待機児が472人にのぼっていたのに新設2箇所等で240人の定員増にとどまりました。市長公約に反して公立保育所の民営化方針を復活させ、また、民間保育園補助金を減額しました。児童館設置には完全に背を向ける公約違反の態度を続けています。留守家庭子ども会については、市長公約である「無料化」を実現する条件があったにもかかわらず議会に提案せず、結局実現しませんでした。一方で、100人を超すなど留守家庭子ども会の大規模化を解消するための施設増設と指導員体制強化はまったく不十分でした。これでは市長の言う「子育て日本一」には程遠いと言わねばなりません。


第3は、雇用と経済政策についてです。

自民・公明政権のもとで推し進められた雇用の規制緩和、労働法制の改悪によって、非正規雇用の労働者が3人に1人、若者や女性では2人に1人にまで拡大し、年収200万円以下の働く貧困層・ワーキングプアが1000万人を超し、労働者はますます長時間過密労働と賃金切り下げに苦しめられるなど、雇用環境は悪化の一途をたどっています。そうしたなか、雇用拡大と賃金保障、サービス残業など違法労働の一掃に力を尽くすことが本市行政に求められていたはずです。ところが、市長は何ら実効ある対策を取らず、逆に行政分野での非正規雇用を拡大したのであります。こうした姿勢では貧困の拡大に拍車をかけるばかりか、今日の大量失業から市民を守ることさえできません。雇用対策の無策ぶりを改めることは急務であります。

また、本市経済の大部分を担う中小企業・業者の営業と暮らしを支えることは地域経済の活性化の基本です。ところが、2007年度の中小企業対策費が一般会計のわずか0.14%だったことに示されるように、本市の経済振興策は企業誘致とコンベンションに偏り、地場中小企業・業者の営業を直接支援する施策や仕事づくりが極めて乏しいのであります。景気効果が高いとして中小・零細建設業者からの要望が強い「住宅リフォーム助成」の創設にも背を向けてきました。2007年度決算において、雇用と営業を守る対策は極めて不十分だったといって過言ではありません。


第4は、人工島事業などムダな大型開発の問題について述べます。

市長は2007年度、人工島事業見直しと称して「検証・検討チーム」を立ち上げましたが、実際は人工島事業の推進のための調査を不動産研究所に委託し、その調査結果をもとに「検証・検討報告書」をまとめて人工島事業の推進を決定し、推進本部長に市長自らが就任しました。人工島の破たん救済にいっそうの税金・公金を投入することを打ち上げたのであります。また、こども病院の人工島移転についても、市長の「検証・検討」は、前市長時代に契約したコンサルタント会社に対して業務委託を継続し、人工島移転先にありきの恣意的な調査を行い、なおかつ現地建て替え費用について秘密裏にゼネコンの意見を聞き、勝手に1.5倍に水増しした報告書をつくり、市民をあざむいたのであります。これらは「見直す」との市長公約に明らかに違反するものであり、市長の責任は極めて重大であります。

2007年度の人工島関係決算は、必要のない大水深岸壁の建設と埋め立て、博多港開発の破たん救済策に総額80億円もの事業費があてられました。これまでの埋め立て事業に2,700億円もの事業費がつぎ込まれましたが、造った土地が売れずに、3セク・博多港開発の破たん救済だけでも391億円もの税金が投入されました。さらに市長は、売れない土地を処分するため1 社最大10億円の税金ばらまきの企業立地交付金まで創設しました。そのうえ、こども病院や青果市場公共施設を人工島に集中させ、都市高速道路の延伸など不要不急の公共事業を推進しようとしています。そして今度は、大型コンベンション施設や美術館などの誘致まで取り沙汰されているのであります。これでは借金はさらに膨れあがり、果てしない税金投入の泥沼を拡大することは避けられません。また、「九大学研都市構想」や都心部の再開発、新たな幹線道路建設、さらには市長が選挙公約で「必要ない」と明言した新福岡空港建設をも推進しようとしていることは極めて重大です。


第5は、財政再建の問題です。

総額2兆5,996億円にものぼる本市の借金財政の根本原因は、歴代市長が推進してきた人工島事業をはじめムダな大型開発にあることは明白であります。この借金返済にあたる公債費は毎年1,100億円を超す深刻な事態です。こうした借金財政から抜け出すには大型開発路線ときっぱり決別する以外に道はありません。ところが、吉田市長が策定した「2011グランドデザイン」および「財政リニューアルプラン」は、こともあろうに大型開発推進路線の継承を宣言し、先に述べたとおり、その具体化に巨額の予算を充てて新たな借金を生み出しているのであります。

その一方で市長は、生活や福祉をいっそう切り捨てることで借金のツケを市民に押し付ける方針を打ち出しました。すなわち、市税や国保料、介護保険料など重い負担を市民に課し、収納対策の強化と称して払えない低所得者へのペナルティと厳しい差押えで追いつめているのであります。また受益者負担の適正化などと称して福祉や市民サービスを切り捨てようとしており、市立病院の「地方独立行政法人化」は地域医療・不採算の専門医療の放棄につながるものです。障害者施設や市民体育館・プール、アミカスなどの「指定管理者制度の拡大・公募化」は、公的責任を放棄し、利用者に犠牲を押し付け、民間営利企業の儲け口をつくるものです。一部の駐輪場や油山青年の家など公共施設の廃止も打ち出されています。さらに、貴重な「市有地」の売却が進められようとしていますが、これでは保育所や特養ホーム、公園や児童館の設置など地域住民の要望に応えられません。人件費の削減として、今でも政令市一少ない職員をさらに825人も減らす計画ですが、これは市職員にさらなる労働強化と過重負担を強いて、今でも増加傾向にある職員の心の病や健康悪化をさらに深刻にし、ひいては市民サービスを低下させるものに他なりません。正規職員を派遣や臨時に置き換えるやり方は「官製ワーキングプア」を生み出すものです。このように、市長は「財政健全化」の名で、市民負担増、福祉切り捨て、行政責任の放棄を推し進めようとしていますが、市民に犠牲を押し付けるやり方は断じて認められません。

開発優先と市民犠牲の「財政健全化」方針は撤回し、大型開発のムダをやめ、市民生活の充実と地域経済の活性化によって市民本位の財政再建を行うべきであります。


第6に、清潔で公正な市政の確立についてであります。

2007年度、市職員による飲酒運転事故や生活保護費詐取事件など不正・不祥事が続き、行政に対する市民の信頼は失墜しています。市職員が住民奉仕の仕事に誇りと働きがいの持てる職場環境づくりは喫緊の課題ですが、職員削減とともに、市民の声を聞かない市トップの姿勢にこそ根本原因があります。

本市行政をめぐっては、開発優先の市政のもとで政官業の構造的癒着がいまだ温存されていると言わねばなりません。人工島をめぐる10億円のムダづかいと利権あさりが発覚したケヤキ庭石事件で2007年、志岐元助役と西田元市議の両被告は博多港開発に損害を与え不当に利益を得たとして福岡地裁が有罪判決を下しました。汚職腐敗が後を絶たない事態に市民の怒りと不信はますます高まり、その一掃が強く求められていましたが、企業、団体献金の禁止や、市の公共事業受注企業への政治資金パーティー券の売却禁止など、政官業の癒着を断ち切る対策は取られませんでした。

同和対策については、わが党の長年の廃止要求も反映し、 2007年度の同和対策関係決算は前年度から大きく減額したものの、1億3,600万円が充てられ、部落解放同盟福岡市協議会に2,445万円の補助金が出されています。部落問題が基本的に解決しており、こうした特別扱いは市民の理解を得られないものです。

また、2007年度は、米イージスミサイル艦プリンストンが博多港に入港しました。その後も含め吉田市長は年3回も米軍艦の博多港入港を許可しましたが、佐世保基地と一体にした博多港の軍港化の企てに屈する、まさに米軍いいなりの卑屈で異常な姿勢であります。市民の安全を脅かし、福岡の街を戦争に巻き込む港湾・空港の軍事利用は断じて許されません。


以上で2007年度決算に対するわが党の反対討論を終わります。

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