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2007年度予算議会
平成19年度福岡市一般会計予算案の組替えを求める動議(案)
2007年3月10日
平成19年度福岡市一般会計予算案(議案第28号)について、市長は下記要領により速やかに組替えを行い、再提出することを要求します。
記
組替えを求める理由
吉田市長が初めて編成した新年度予算案は、歳出面では、市民生活の分野で、乳幼児医療費助成などの予算を増額したものの、公約の実行という点から見るなら不十分です。また、大型開発については、人工島事業に昨年を15億円も上回る226億円もの予算をつけて港湾建設など従来通りの計画を推進しようとしています。その他、土地区画整理事業など不要不急の公共事業の推進も盛り込んでおり、「大規模開発を市民と一緒に総点検して厳しく見直す」という市長公約に背くものです。また、市債残高は減少しているとはいえ、依然として2兆6189億円、市民一人あたり189万円と深刻です。
市長は、税金ムダづかいの開発行政を根本から改め、財政の立て直しを図りながら、福祉や教育など市民生活の充実に責任を持つ「自治体らしい自治体」づくりを進めるべきであり、公約である「大型開発をやめ、福祉・教育への重点配分を行う」との立場から一般会計予算案を組み替えることは喫緊の課題です。
組み替えの基本方針
市長公約にそって、一般会計予算案のうち、人工島関連事業など不要不急の大型開発3事業を推進するための歳出予算を削除し、それによって、市債発行を抑制して借金財政の立て直しを図りつつ、新たに生み出した財源を、高齢者・障害者世帯への公共料金の福祉減免制度を創設するために振り向けます。
組み替えの内容
(1)歳出の削減 〜ムダな大型開発の推進をやめる(約70億円)
人工島事業を推進する予算を削除する(約34億7,000万円)
市長は人工島事業を推進するために一般会計からも約35億円を支出しようとしていますが、「大胆に見直す」との市長公約にそって、これらをすべて削除します。
「住宅市街地総合整備事業」として道路整備やマンション建設に対する補助金21億円余は、人工島を特別扱いにし、博多港開発の売れない土地を売るための正に破たん救済の税金投入に他ならないものであり、全額削除します。「ビジネス創造センター」の創設に関する約1億3000万円も、同じく博多港開発の破たん救済であり、計画をやめます。水深15m岸壁の建設工事の市負担金12億円は、近年大型コンテナ船の博多港入港が激減している状況から、無用の長物となることは必至であり、削除したうえで、必要のない工事を凍結します。ただし、人工島事業の見直しに必要な経費は別に確保しておきます。
(詳細)
住宅市街地総合整備事業(港湾局) ▲ 369,200千円 住宅市街地総合整備事業(建築局) ▲1,775,010千円 先導的産業集積等推進経費
(ビジネス創造センター運営費)▲ 130,000千円 港湾建設費のうち直轄工事費負担金
(15m岸壁建設)▲1,200,000千円 合計 ▲3,474,210千円 五ヶ山ダム建設を進める予算を削除する(約12億8,000万円)
五ヶ山ダムは、福岡県と福岡市が中心になって進めている福岡都市圏向けの利水ダムですが、この根拠となっている水需給計画は都市膨張政策に基づき人口が増え続けることを前提としていますが、すでに「水余り」の状況も見られる中、全く過大な計画であり、ダム建設は必要性も妥当性もありません。五ヶ山ダム建設事業にかかわる出資金約13億円を削除します。
(詳細)
五ヶ山ダム建設事業に対する出資 ▲1,131,036千円 福岡地区水道企業団への出資のうち
五ヶ山ダム関係▲ 148,641千円 合計 ▲1,279,677千円 渡辺通駅北土地区画整理事業を進める予算を削除する
(約21億9,000万円)渡辺通駅北土地区画整理事業に本格着手するために約22億円の予算がつけられていますが、同事業は総事業費も市費投入もどこまでふくらむか分からず、再開発事業も一体的に計画されており、九州電力と都市未来ふくおか、福岡地所に便宜を図る同事業に税金を投入する理由は何一つありません。同事業を中止し、予算を削除します。
(詳細)
渡辺通駅北土地区画整理事業 ▲2,194,000千円
(2)歳入の削減 〜ムダな開発のための借金などをやめる(約58億円)
上記(1)ア〜ウの事業にかかる市債発行を取りやめる
(約36億円)人工島事業及び五ヶ山ダム、渡辺通駅北土地区画整理事業の推進をやめることに伴い、市債発行額を減額します。
(詳細)
港湾債のうち港湾改修債 ▲1,268,000千円 環境債のうち水道事業出資債 ▲1,248,354千円 都市計画債のうち土地区画整理事業債 ▲1,116,000千円 合計 ▲3,632,354千円 上記(1)ア及びウの事業にかかる国からの補助金を返上する
(約21億円)人工島事業及び渡辺通駅北土地区画整理事業の推進をやめることに伴い、同事業にかかる国庫支出金を減額します。
(詳細)
港湾改修費補助金のうち
人工島の住市総関連▲ 181,178千円 住宅市街地総合整備事業補助金のうち
人工島関連▲ 886,505千円 土地区画整理費補助金のうち
渡辺通駅北関連▲1,036,750千円 合計 ▲2,104,433千円
(3)歳出の増額
高齢者・障害者世帯への公共料金の福祉減免を創設する
(約10億円)所得税・住民税の増税や社会保障の負担増で生活苦に追いやられている高齢者や、自立支援法による定率1割の応益負担に苦しむ障害者とその家族に対し、生きる権利を保障し生活を支える対策が求められます。市長は選挙で「公共料金や福祉サービス・施設の利用料について半減以上の軽減策を検討」(西日本新聞)と公約していましたので、これを予算化するため、高齢者や障害者を抱える世帯に対し市の公共料金を減免する制度をつくります。
重度の要介護4、5の高齢者及び身体障害者手帳1、2級所有者を対象に、水道料金と下水道使用料の基本料相当分を全額免除します。また、オムツ給付を受ける高齢者と障害者を対象に、家庭ごみ可燃袋を1世帯当たり年間60枚を支給します。
(詳細)
水道料金の減免 643,828千円 環境債のうち水道事業出資債 382,004千円 下水道使用料の減免 4,150千円 合計 1,029,982千円 財政調整基金に繰り入れる(約1億8,000万円)
残りの財源を財政調整基金に繰り入れます。
(詳細)
財政調整基金積立金の増額 181,118千円
以上
参考
(総括表)
歳出の削減 ▲6,947,887千円 人工島事業関連 ▲3,474,210千円 五ヶ山ダム関連 ▲1,279,677千円 渡辺通駅北土地区画整理事業関連 ▲2,194,000千円 歳入の削減 ▲5,736,787千円 市債発行の減額 ▲3,632,354千円 国庫補助金の減額 ▲2,104,433千円 歳出の増額 1,211,100千円 高齢者・障害者への公共料金福祉減免 1,029,982千円 財政調整基金 181,118千円
「平成19年度福岡市一般会計予算案の組み替えを求める動議」
の提案説明
2007年3月12日 ひえじま俊和議員
私は、日本共産党市議団を代表して、議案第28号「平成19年度福岡市一般会計予算案の組み替えを求める動議」を提案いたします。
吉田市長が初めて編成した新年度予算案は、歳出面では、市民生活の分野で、乳幼児医療費助成などの予算を増額したものの、公約の実行という点から見るなら不十分です。
また、大型開発については、人工島事業に昨年を15億円も上回る226億円もの予算をつけて港湾建設など従来通りの計画を推進しようとしています。
その他、土地区画整理事業など不要不急の公共事業の推進も盛り込んでおり、「大規模開発を市民と一緒に総点検して厳しく見直す」という市長公約に背くものと言わなければなりません。
また、市債残高は減少しているとはいえ、依然として2兆6189億円、市民一人あたり189万円と深刻です
市長は、税金ムダづかいの開発行政を根本から改め、財政の立て直しを図りながら、福祉や教育など市民生活の充実に責任を持つ「自治体らしい自治体」づくりを進めるべきであり、公約である「大型開発をやめ、福祉・教育への重点配分を行う」との立場から一般会計予算案を組み替えることは喫緊の課題であります。
したがって、市長に対し、以下の要領により速やかに組み替えを行い、再提出することを要求いたします。
組み替えの基本方針についてですが、市長公約にそって、一般会計予算案のうち、人工島関連事業など不要不急の大型開発3事業を推進するための歳出予算を削除し、それによって、市債発行を抑制して借金財政の立て直しを図りつつ、新たに生み出した財源を、高齢者・障害者世帯への公共料金の福祉減免制度を創設するために振り向けます。
第1に、歳出の削減として、ムダな大型開発の推進をやめることです。
すなわち、人工島事業を推進する予算約34億7,000万円、五ヶ山ダム建設を進める予算約12億8,000万円、渡辺通駅北土地区画整理事業を進める予算約21億9,000万円を削除し、あわせて約70億円の歳出を削減します。
第2に、歳入の削減として、ムダな開発のための借金などをやめることです。
先ほどの3つの事業にかかる市債発行約36億円と、国庫支出金約21億円を取りやめることで、あわせて約58億円を減額します。
第3に、歳出の増額として、高齢者・障害者世帯への公共料金の福祉減免の創設に約10億円を充てるとともに、財政調整基金積立金を約1億8,000万円増額します。
福祉減免は、要介護4、5の重度の高齢者及び身体障害者手帳1、2級所有者を対象に、水道料金と下水道使用料の基本料等の一定額を免除し、また、オムツ給付を受ける高齢者と障害者を対象に、家庭用可燃ごみ袋を1世帯当たり年間60枚支給するものです。
以上が予算組み替えの提案であります。
これは、吉田市長の公約の範囲で、開発予算を削除し福祉予算を増額するために必要な最低限の組み替えですが、市民の願いにこたえるものと確信するものであります。
議員各位のご賛同を宜しくお願いいたします。