2007年9月議会
日本共産党の反対討論
2007年9月27日 宮本秀国議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第179号ないし183号及び192号に反対し、討論を行います。
まず、議案第192号、人工島のコンテナクレーン設置工事請負契約の締結について、及び議案第181号港湾整備事業特別会計補正予算案のうち機能施設整備事業費関連についてであります。
今回議案は、人工島の水深15mのC2岸壁に大型船対応のコンテナクレーン2基を新たに設置するためのものです。
博多港に入港する大型コンテナ船は、東航路が近年半減し、3万トン以上の大型船の人工島着岸実績は昨年度までゼロであり、今後も小型化の傾向にあります。こうした状況のなか、わが党はかねてより、大型船対応の岸壁とコンテナ施設の整備は過大であり、必要ないとの立場から反対するとともに、港湾整備については既存ふ頭の再整備と運用で十分対応できることを指摘してきました。しかるに市長は、世界的に船舶が大型化していることや船会社から要請があることを理由に、将来需要を過大に見積もり、巨大港湾整備を本市の発展のための喫緊の課題と位置付けて推進しております。市長が、人工島事業の検証・検討を行い市民意見を募集しているさなかに、人工島推進の議案を提案すること自体、市民を愚弄するものと言わざるを得ません。大型コンテナ船入港の過大見積もりにしがみつく姿勢は改め、大型船対応の岸壁とコンテナ施設のこれ以上の整備はやめるべきであります。したがって、わが党は今回契約議案等に反対するものであります。
次に、議案第179号、一般会計補正予算案、及び議案第180号、中央卸売市場特別会計補正予算案のうち、青果部市場の再編・再整備関連についてですが、これは、市長が青果3市場を統合し人工島に移転することを決めたことに伴い、そのための調査費用1400万円を追加補正するものであります。
本市の青果3市場については、従来、関係者の間で「東部市場の統合、現地建て替え」の方向で協議が進んでいたものの、人工島の土地処分の行き詰まりがいよいよ深刻となった2005年に、「3市場統合、人工島移転」構想を市が誘導して急浮上させ、反対意見を無視して強引に「業界の総意」に仕立て上げ、それを唯一の理由にして、市長が「統合移転」を決めたのであります。青果市場を人工島に移転新築することによって、見通しのたたない2工区の土地処分を一気に進めるものです。他方で、青果新市場が土地処分と都市高速道路や公共施設の導入の起爆剤と位置付けられていることを見ると、この統合移転方針は人工島の破たん救済そのものに他ならないと言わなければなりません。「移転候補地を客観的に検証して人工島が最適」との答弁はまさに詭弁であります。
また財政負担について言えば、今回の青果部市場再編・再整備事業検討報告書によると、現地改築と移転新築との建設費の比較をしていますが、移転新築すれば、土地代含め360億円もの税金・公金を投入することになり、都市高速道路の延伸を含めればさらに膨れあがります。また、西部市場を統合しなければ、現地改築の方が安くなることは当局の試算でも明白です。
したがって、西部市場を存続させるとともに、青果市場は現地建て替えを基本に再検討すべきであり、わが党は、人工島移転のための調査費用の補正予算案に反対いたします。
今議会に対して、市長が進めてきた「人工島整備事業及び市立病院統合移転事業検証・検討結果」が報告されました。
わが党は当初から、人工島建設が深刻な環境破壊と財政破たんをまねくものだと批判し、一貫して反対してきました。今日までの13年間を見れば、わが党の指摘通り、人工島事業の推進によって市の借金が異常に膨らんで市財政を圧迫し、造った土地は売れずに、破たん救済のために数百億円もの税金投入が強行されてきたのであります。市民はこうした事態に不安と怒りを募らせ、2度にわたって人工島推進市長を退陣させました。そうして昨年誕生した吉田市政でしたが、市長が半年間かけて検証・検討した結果打ち出したのは、またも、人工島事業の推進であります。これは、市長公約であった「人工島の大胆な見直し」とはほど遠く、市民を裏切るものであり、わが党は容認できないのであります。
人工島の西半分、みなとづくりエリアは、港湾関連用地の売却がまったく進まないことに表れているように、その必要性も需要もないことはいよいよ明白になっているにもかかわらず、何の根拠も展望もない「国際物流拠点づくり」を促進しようとしています。そして、当初の公有水面埋立の要件とは違う青果市場の移転新設を決め、補助金も活用して物流企業を誘致しようとしていますが、このような破たん救済は認められません。また、現在埋立途中の4工区の前倒し竣工を示したことは、破たんを破たんで上塗りする最悪の選択であります。
また、東半分のまちづくりエリアは、土地利用計画を変更し、センター地区に商業、娯楽施設を誘致し、そのために大企業に巨額の税金を投げ渡す立地交付金などさまざまな優遇制度をつくることが示されました。当局は「税収や雇用など新たな財を生み出すためには一定の財政支出も必要だ」などと言って税金投入を当然視していますが、市民はこれ以上の税金投入をやめるよう求めており、納得は決して得られないものであります。港湾整備事業特別会計の償還財源不足の穴埋めに他の埋立地の売却益を当て込んだり、新たな起債で借り換えしたりするという収支計画はまったく成り立たず、机上の空論に他なりません。
市立病院移転については、現地存続を求める市民の声を無視して、こども病院を博多港開発工区に移転し、地方独立行政法人化することを打ち出しましたが、人工島の破たん救済に病院まで動員するやり方は認められません。こども病院は現地建て替えを基本に検討し直し、市民病院は市立として存続させるべきです。
市長は、人工島を「しっかりやる」などと言われましたが、桑原市政、山崎市政以上の推進ぶりであります。このような公約違反は断じて許されません。わが党は、人工島へのこれ以上の税金投入に断固反対する立場から、人工島推進を鮮明にした市長の「検証・検討結果報告」の撤回を強く求めるものであります。
以上でわが党の反対討論を終わります。