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議会報告

2006年度決算特別委員会

2006年度決算諸議案に対する日本共産党の意見開陳

2007年10月25日 倉元達朗議員

私は、日本共産党市議団を代表して、2006年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第154号ないし157号、159号、161号ないし169号、172号、173号、175号、176号について認定しがたいことを表明し、意見開陳を行います。わが党の意見については、総会及び分科会審査での質疑で述べておりますので、ここではその基本点だけを述べます。


周知のように、2006年度は、「構造改革」と称した「新自由主義」の経済路線が続けられるもとで、雇用と所得の破壊、中小零細企業の倒産が進み、貧困と社会的格差の新たな広がりが重大な社会問題となっていました。しかるに2006年度政府予算は、定率減税の半減による住民税増税や医療費値上げなど国民負担増をすすめる一方、大型開発のムダづかいや軍事費を温存するとともに、史上空前の利益をあげている大企業などに対する減税を継続する、逆立ちした内容でした。また「三位一体の改革」の名による国庫補助金の不十分な税源移譲と地方交付税の削減は、地方財政に深刻な影響を与えました。

こうした中で、2006年度の市政運営に求められていたのは、国の悪政から市民を守るという自治体本来の使命を果たすことであり、そのための予算を組むことでした。ところが、2006年度本市予算は、人工島などムダな大型開発に税金をつぎこみ、その一方で福祉や教育など生活関連を抑制する、まさに市民犠牲型でした。こうした税金の使い方に市民の不満と怒りが高まり、市長交代の事態となりましたが、就任した吉田市長も根本的な補正をすることもなかったため、2006年度決算は前市長の当初予算の悪しき特徴を如実に示すものとなっております。


歳入についてみると、個人市民税が63億円増えていますが、これは国の税制改悪による住民税増税です。また留守家庭子ども会の利用料導入による負担増は半年で約1億1000万円にのぼり、国民健康保険料や介護保険料も値上げするなど、市民に重い負担が押しつけられました。

地方交付税が前年度より41億円の減収となり、国の三位一体の改革の本市への影響は3ヵ年であわせて139億円の減少となっていますが、こうした財源不足を市民に転嫁するやり方は許されません。


歳出についてみると、とりわけ高齢者に重い負担を課している国民健康保険への一般会計繰入金を前年度から減らし、国保料を4.2%引き上げたこと、生活保護を必要とする人が増えているのに保護費が抑制されたこと、特別養護老人ホームの待機者が5,600人に上る非常事態にもかかわらず新設はわずか4箇所264人分にとどまったことなど、福祉・医療・介護の施策は不十分です。

保育所は、待機児が472人に上っていたのに新設・認可ともゼロで、30人の定数増のみにとどめたうえに、公立保育所を2箇所も民営化し、民間保育園補助金を減額しました。

市営住宅は、公募が殺到しているのに新設は1戸もなく、建設事業費は5年間で半分以下に減額しました。中小企業対策費はまたも減額して10億円程度、一般会計のわずか0.15%にすぎません。また、青年を中心とした非正規雇用を解決するための対策は極めて不十分でした。

教育費は、学校校舎・体育館等の改修・改築や少人数学級の対応など予算を伴う事業が続いているのに、6年連続減額、金額で見てもピーク時のほぼ半分にまで減らされ、一般会計の6.04%と最低水準にとどまっています。

一方、大型開発について見ると、人工島事業は、埋立等事業費に2006年度も84億円をあて、総額2,579億円に達しています。港湾整備事業特別会計は膨大な借金を抱えておりますが、人工島の土地売却も使用料収入も見込みを大幅に下回り借金返済のあてのない泥沼に陥っています。また、博多港開発の破たん救済のために道路・公園整備に学校建設も含めて累計で380億円もの税金が投入されました。博多港開発が売り出した土地の7割以上を市と市住宅供給公社が税金等で買い取っている実態は、まさに博多港開発が税金丸抱えであり、大赤字の破たん企業だということを示しています。銀行いいなりで借金返済を最優先にして巨額の税金をつぎ込む姿勢は、まさに異常であります。

土地区画整理事業は5事業で60億円、都市高速道路に44億円の他、新福岡空港建設に道を開く調査費に6,000万円、九大学研都市構想の推進と産学連携センター整備に7,000万円など、大型開発に関わって莫大な事業費を使ったのであります。さらに、市民不在で強行されたオリンピック招致の費用は2006年度までに人件費含め4億6,000万円に上りましたが、これは全くの浪費でした。

このように、暮らしや教育に関わる分野で市民の願いに背を向ける一方、大型開発には湯水のように税金・公金をつぎ込んだというのが、歳出決算の最大の特徴となっています。

さらに、開発行政のもとで、市職員の不正・不祥事が後を絶ちません。区役所保護課主査が2006年までの5年間に生活保護費3,100万円を詐取していた事件が今年明らかになり、行政に対する市民の信頼は完全に失墜しています。市幹部を先頭にケヤキ庭石事件の教訓が何ら生かされていないと言わざるを得ません。


こうした開発優先の市政が2代20年間にわたって続けられてきたもとで、本市財政は深刻な事態に直面しています。

借金総額は3会計合計で2兆6,332億円、隠れ借金711億円を含めると市民一人あたり199万円にものぼります。これは政令市の中でも大阪市についで2番目の大借金ということになります。自治体の収入に対する実質的な借金の比率を示す実質公債費比率は2006年度23.0%となり、単独事業に係る地方債が制限される25%に近づいています。起債制限比率、公債費比率とも右肩上がりで悪化しており、借金財政が改善されているとは到底言えません。

深刻な借金財政の根本原因は、1994年に着工した人工島事業をはじめ大型開発を推進したことによる市債の大量発行にあります。その借金返済にあたる公債費が近年とくに激増し、財政の弾力性が失われ、生活関連に予算配分できない、あるいは市民負担増に頼る構図となっています。

問題は、吉田市長がこうした財政運営をそのまま引き継ぐのか、それとも市民本位に転換するのかであります。「財政難」を理由に、住民の福祉と生活を守る自治体の責任を放棄し、公共料金値上げや受益者負担と称した市民負担増、福祉や教育の切り捨てによる歳出カットなど、市民犠牲型の「財政健全化」をするというのでは、前市長の二の舞であります。投資的経費が抑制されるなか、学校や下水道など生活関連の公共施設の更新期をこれから迎えるうえに、市民が求める特養ホームや児童館などの新たな整備にとりくむには、大型開発を抜本的に見直し、凍結・中止する必要があります。ソフト面でも、少子高齢化社会に対応するため、高齢者の社会保障の負担軽減策、子育て支援策などの拡充が求められています。教育費も校舎の耐震化や冷暖房設置、少人数学級の拡充など大幅に増額することが迫られています。吉田市長は「身の丈にあった財政運営」というなら、人工島事業で背伸びするのはやめて、市民生活を最優先する財政運営へ抜本的に転換すべきだということを強く要求するものであります。


以上述べてきたように、2006年度決算は、市民犠牲、福祉・教育の削減・抑制、大型開発のムダづかいが基調となっており、わが党はこのような決算諸議案を認定することはできないのであります。以上でわが党の意見開陳を終わります。


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