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議会報告

2006年度決算特別委員会

マンション乱立から住環境・教育環境を守れ

2007年10月12日 熊谷敦子議員の質疑

熊谷敦子議員(西区)は10月12日、決算特別委員会総会での初質問に立ちました。


愛宕浜マリナタウンのマンション建築問題
「建築協定廃止は無効。建築中止と土地買い戻しを」
熊谷敦子議員の質疑

熊谷市議は、愛宕浜の西福岡マリナタウンの高層マンション建築紛争について、開発事業者である「博多港開発株式会社」が12mの高さ制限を定めた商業施設用地建築協定を廃止した問題についてただしました。

マリナタウンは博多港開発が開発した戸建てが並ぶ閑静な住宅地。その南側一角にある商業スペースに10階建て高さ30mのマンションが計画され、建設会社が工事に着工しましたが、住民は建設反対の運動に立ち上がっています。熊谷市議は当選前から住民運動を激励し、交渉などにいっしょにとりくんできました。

この商業スペースは、建築物の高さを12m以下に制限することなどを合意した建築協定が締結されていましたが、それが廃止されたために高層マンションの建設が可能になったことが問題となっていました。住民のねばり強い運動が展開される中、この建築協定廃止の手続きにおいて地権者数を実際より少なく申告するなど不当な廃止だったことが判明しました。廃止を主導した博多港開発に対して怒りの声があがり、福岡市の調査でも「不適切な対応だった」との報告が9月に出されました。

こうした事態のなか、熊谷市議はまず、建築協定廃止に関わって、偽りの申請を見過ごした建築局と、博多港開発を監督する港湾局の責任をただしました。建築局長と港湾局長は「深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。

熊谷市議は、当時廃止に同意した地権者7人のうち4人が同意を撤回したこと、市内ほとんどの建築協定が期限後も更新されていることを示し「建築協定は現在も有効であり、12m以上のマンションは建設できないのではないか」と追及しました。

また熊谷市議は、博多港開発が近隣住民に対し建築協定廃止についての説明を行っていない点を指摘し、「無責任極まりない」と批判。鶴川副市長は「開発者としての配慮が足りず不適切だった」と認めました。

熊谷市議は、住民がマンション建設の中止と土地の買い戻しを求めていることを述べて、市の対応について追及。港湾局長は「建築協定が失効しておりマンション建設を中止させるのは困難だ」と答弁しました。熊谷市議は「許されない。この土地を博多港開発から購入したのは福岡商事で福岡銀行の子会社。福岡銀行は博多港開発の大株主。この三者に市も協力してことを推し進めたのが実態ではないか」と迫りました。局長は「故意、悪意があったわけではない」と述べました。

熊谷市議は「愛宕浜は博多港開発が低層で良好なまちづくりをうたって売り出しておきながら、自ら建築協定を廃止して高層マンションを建てられるようにした。その手続きにも重大な問題があった。しかし市の対応は『謝るけれど何もしない』というものだ」と批判。業者にマンション建設工事の中止を働きかけること、住民との話し合いのテーブルにつかせること、博多港開発に当該地の買い戻しを指導することを求めました。

吉田市長は「今後住民の方々と話し合い、適切に対応していきたい」と述べました。

終了後、傍聴した住民らが熊谷市議にかけより「いい質問でした」と感想を語っていました。


マンション建築から住環境を守るため条例改正を

熊谷市議は、福岡市内で多発しているマンション建築紛争について、住環境を守るための対策の強化を求めました。

市は「建築紛争の予防と調整に関する条例」を定めていますが、実際には紛争が後を絶たず、06年度市に苦情・相談が寄せられたのは187件、マンション建築の4件に1件の割合です。

熊谷市議は、近隣住民が説明会の開催を求めても業者が応じずに工事を強行した事例や、業者が近隣を訪問せず資料をポストに入れただけで説明済みだとして市に報告した事例、近隣の風害がひどくなることや眺望が奪われることが明らかなのに高層マンションが計画されている事例、業者が近隣住民に説明した設計図書の内容が建築基準法に違反していた事例、住民が調停を申し立てても業者が応じないなど、実際に市内で起きているマンション建設業者の条例違反と横暴の実態を次々に紹介。住民への説明や同意の義務付け、周辺住環境への配慮、調停の義務付け、罰則強化など、条例の改正を要求しました。

吉田市長は「建築紛争が多いことは憂慮すべき事態だと思っている。しかし、周辺住民の同意が必要となればマンションが全く建築できないことになり、市民生活に影響するので今のところ採用すべきでないと思う。話し合いによる解決のため調整にとりくんでいる」と述べるにとどまりました。


児童数多すぎる校区でマンション規制を

熊谷市議は、西区の姪浜小学校が分離新設・校区調整したのに、5年後には児童数1,000人、30学級になるとの予測を示して、早急な対策を求めました。

教育長の「姪浜での学校用地の確保は困難であり区域変更で対応したい」との答弁に対し、熊谷市議は「姪浜校区は市が土地区画整理事業をしたのに学校用地を確保しなかった。区域変更はこれまでにも混乱したように抜本的な解決にはならない」として、教育環境悪化を防ぐため、マンション建設規制の実施を提案しました。

兵庫県西宮市は、児童数が増えて教室が不足する小学校の校区を受入困難地区と指定し、3年間10戸以上の住宅開発を抑制しています。また、東京都江東区は、条例を定めて3階建て以上のファミリータイプのマンション建設を規制しています。

熊谷市議は、こうした例にならって、姪浜小だけでなく那珂小や松島小など過大規模校の地域に対して、マンション建設規制条例をつくるべきだとただしました。

吉田市長は「そのままあてはまるかどうか研究してみないといけない。教育委員会と相談して調整していきたい」と答弁しました。


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