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議会報告

2007年6月議会

日本共産党の反対討論

2007年6月28日 宮本秀国議員

私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第133号、福岡市個人情報保護条例の一部改正案に反対し、討論を行います。


本議案は、本市の業務に従事する派遣労働者について、個人情報の取り扱いに関する責務を定めるものです。

もとより個人情報が厳格に保護されることは、憲法第13条が「個人の尊重」を明記しているように国民のプライバシー権に関わる、基本的人権の大事な柱であります。近年、企業や官庁からの個人情報流出事件が相次ぎ、個人情報の厳格な保護はいまや国民の重大な関心事であり、地方自治体においても個人情報を守るために万全を尽くすことが強く求められています。

今回、市長が条例改正を提案したのは、税務部局に派遣労働者を導入しようとしているためですが、このことと個人情報保護が両立するのかが問題であります。派遣労働者が導入されようとしているのは、早良区と博多区の税務課税務証明窓口での証明書の受付、交付、文書の収受や発送、並びに本庁法人課税課における法人市民税申告書の入力、受付、発送業務ですが、いずれも納税者のプライバシーに関わる情報や資料を取り扱うため高い機密性が求められる部署です。したがって、業務に従事する職員は高い倫理性と情報の取り扱いについての専門性が強く求められます。これまで公務員が担ってきた税務部局に派遣労働者を導入することは、個人情報を流出や漏えいの危機にさらすものであり、極めて問題であります。

しかも、今回区役所の税務課に導入されようとしている派遣労働者は、9ヶ月の短期間で入れ替わるとされていますが、納税という重要な個人情報を取り扱う従事者を際限なく広げるものです。

条例改正は「派遣労働者又は派遣労働者であった者は、…業務に関して知り得た個人情報を当該業務以外の目的のために利用し、又は他人に知らせてはならない」と、意図的な情報漏えいを禁止しており、当局もこれをもって個人情報が保護されると答弁されましたが、たとえこうした責務が設けられたとしても、実際には意図的でない個人情報漏えいが多発しており、コンピューターに不慣れな派遣労働者の操作ミスなどによる情報漏えいを防止する根拠は何らありません。

以上のように、税務部局に派遣労働者を導入すること自体が、市民の個人情報を危機にさらすものであり、個人情報保護と両立できないことは明らかであるとの立場から、わが党は今回条例改正に反対します。

納税をめぐっては、昨年に続きこの6月から住民税の大幅増税が市民に押し寄せ、納税窓口への問い合わせや苦情が殺到しています。派遣労働者の導入ではなく、本来なら、税務部局の正規職員を増員して、市民の親身な相談に応じたり、減免の周知や適用を促進したりすることこそ求められているのであります。

また、区役所の税務課の派遣労働者については、派遣契約を一時休止するクーリング期間を悪用して業務の配置換えを行うことによって、同一職場に派遣労働者を常時配置し、事実上常用雇用の代替とするものです。労働者派遣法によって、派遣期間1年を超えた場合、市長が派遣労働者に直接雇用を申し入れる義務が生じますが、今回のやり方はこれを逃れるための「脱法行為」だと指摘されています。法を遵守すべき市長として許されないのであります。

さらに、市長は税務部局を皮切りに本市の様々な職場に派遣労働者や業務請負を導入しようとしていますが、民間活力の活用と称して公共サービスを民間に投げ渡すやり方は、個人情報保護を曖昧にし、市民サービスの低下をもたらすものに他ならず、改めるよう強く求めるものであります。


次に、わが党が賛成する議案のうち、議案第134号、市税条例の一部改正案は、改正地方税法において、市町村民税法人税割の納税義務者として新たに法人課税信託の受託者が追加されたこと等に伴うものですが、これは昨年の信託法改定によって生じた不備を補うものとして当然の措置です。しかしながら、今後、投資企業などによる不当な税逃れが発生しないとも限らず、市として厳しく監視、対応するよう要求しておきます。


以上で、わが党の討論を終わります


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