2006年予算議会
2006年度 代表質問
2006年3月8日 倉元達朗議員
(一)
私は、日本共産党市議団を代表して、山崎市長の施政方針と2006年度予算案、及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会に質問いたします。
いま多くの国民が現在と将来の暮らしに展望がもてず、不安と閉塞感を感じており、また日本外交は戦後かつてない「八方ふさがり」と、外交でも、内政でも、日本の政治の危機とゆきづまりは深刻な段階をむかえています。過去の侵略戦争の正当化、アメリカいいなり政治、極端な大企業中心主義という、自民党政治の3つの異常な特質が問題であります。
自民・公明の小泉内閣が「構造改革」として進めてきた「新自由主義」の経済路線のもとで、大企業の利潤追求が最優先にされ、弱肉強食が進められており、雇用と所得の破壊、中小零細企業の倒産が進み、貧困と社会的格差が新たに広がり、生活保護世帯が百万世帯を突破し、貯蓄ゼロの世帯が急増するなど、低所得層の増大は顕著であります。国民の間に対立と分断が持ち込まれ、経済苦による自殺が増加し、高齢者や子どもへの虐待、家庭基盤の崩壊、犯罪の増加など、社会の病理現象が深刻になるなど、日本社会のゆがみの進行と荒廃は深刻であります。市場原理主義に基づく規制緩和万能論のもとで、耐震偽装やJR事故、ライブドア事件など、国民の生命や財産までが脅かされる事態が広がっています。政治と社会のゆきづまりを打開することが強く求められております。
いま世界では、資本主義の利潤第一主義が新たな矛盾を引き起こして危機に直面するなか、これを乗り越えて新しい社会を目指す流れが東アジアやラテンアメリカなどで成長しつつあります。またアメリカの一国覇権主義の道が破たんと孤立を深める一方、国連憲章に基づく平和の国際秩序を目指す共同の流れが地球的規模で広がっております。日本共産党は、人類の前進と未来社会の展望を掲げ、社会的連帯によって悪政をはね返し、国民中心の新しい日本への民主的改革を実現するため全力を尽くす決意であります。
そこでまず初めに、2006年度政府予算案について、お尋ねします。
小泉内閣の2006年度予算案は、所得税・住民税の定率減税の全廃による増税や医療費値上げなど、2兆7000億円の国民負担増が盛り込まれました。小泉内閣が決めた負担増は14兆円近くになり、さらに消費税増税の動きも強まっています。その一方で、大型公共事業のムダづかいを継続し、5兆円近い軍事費や、史上最高の利益をあげている大企業に対する優遇税制には手をつけないなど、財界・大企業奉仕の姿勢が顕著に表れております。新規国債の発行額は170兆円にのぼる史上最悪であります。「三位一体の改革」によってこの間削減された約5兆2000億円に対し税源移譲は3兆円にとどまっており、地方交付税も5兆円以上削減されました。このような小泉内閣の新年度予算のもとで、国民生活の苦境と、格差拡大に拍車がかかるのは必至であります。
したがって市長は、政府に対し、大増税、国民負担増を中止し、社会保障の拡充、災害対策の強化、雇用、中小企業、農業の危機打開、地方税財政の拡充などのために予算を重点的に配分し、むだな大型公共事業と軍事費を大幅に削減するなど、国民生活と日本経済をたてなおす予算に抜本的に組み替えるよう要求すべきだと思いますが、ご所見をお尋ねします。あわせて、消費税の大増税及び憲法改悪と国民投票法案にきっぱり反対すべきだと思いますが、所見を求めるものであります。
次に、市長の施政方針と予算案について、お尋ねします。
市長は、二期目最後の予算編成にあたり、「極めて厳しい財政状況」との認識を示されましたが、そうした状況を作り出したのは一体誰なのか。
山崎市長は就任直後から、市民との公約であった開発行政見直しを葬り去り、総事業費4600億円の人工島事業を継続し、その破たん救済のために800億円を超す税金・公金を投入してきたのであります。その結果、この8年間で市債残高が4200億円も増えて2兆6500億円となり、全国屈指の「借金市長」となっているのであります。ところが市長は、財政危機の元凶である大型開発優先の市政運営を改めるどころか、市民にその犠牲を押し付けています。この間、家庭ごみ有料化や下水道使用料値上げ、市立高校・幼稚園の授業料値上げなど、7年間で100億円を超す公共料金値上げを強行し、また公立保育所の民営化や民間保育園補助金の削減、敬老無料パスの縮小、老人医療費助成制度の廃止、敬老金の大幅削減、福祉見舞金の廃止など、無慈悲にも福祉を狙い打ちにした経費削減を進めてきたのであります。さらに本市職員を減らして過労死さえ生み出す異常な長時間・過密労働を強い、公の施設の管理を民間営利企業に投げ渡し、「共働」などと言って地域自治組織を行政の下請けにして仕事を押し付けるなど、行政責任の放棄と市民サービス低下を招いております。そうしたなか市長は、市民に問うこともなくオリンピック招致を決め、それを口実に都心再開発に突き進んで、さらに借金を増やそうとしておりますが、こうした山崎市長の市政運営に対して、いまや多くの市民が不安と不満を募らせているのであります。
したがって、市長は、開発優先と市民無視の市政運営を根本から改め、福祉や教育など市民生活の充実に責任を持つ「自治体らしい自治体」づくりへきっぱりと転換すべきであります。市長の所見をお尋ねいたします。
次に、2006年度予算案の基調について、お尋ねします。
新年度予算案の特徴は、三位一体の改革によって地方交付税の79億円減など厳しい財政状況にありながら、人工島事業など大型開発へ予算を一極集中させ、その一方、歳入歳出の両面で市民負担増を求め、とくに福祉や教育など生活関連予算は抑制・削減する、まさに市民犠牲型予算となっていることであります。
税制改定に基づく庶民増税などによる個人市民税増収は59億円にのぼり、さらに留守家庭子ども会の利用料導入1億7000万円に加え、国保料、介護保険料の引き上げなど市民に大幅な負担増を強いるものです。歳出面では、教育費が最低水準を続け、待機者が増え続ける保育所や特別養護老人ホームの新設はわずかで、生活保護費をはじめ福祉予算も市営住宅建設費も抑制されています。中小企業対策費も減少しております。これでは暮らしの安心にも地域経済の活性化にも乏しい内容と言わざるを得ません。一方、人工島には211億円を充て、区画整理や都市高速道路に加え、巨額の財政投資を生む新都心構想の推進も盛り込むなど、大企業・銀行の儲けのための大型開発に莫大な予算が組まれているのであります。その結果、年度末の市債残高は3会計合計で2兆6500億円、市民一人当たり193万円にものぼり、また起債制限比率は18.2%と悪化しております。外郭団体などの「隠れ借金」も789億円であります。
市長は、こうした大企業・銀行奉仕の浪費と市民犠牲の予算案を抜本的に見直し、暮らし、防災、福祉、介護、医療、教育、環境を最優先する市民本位の予算に改めるべきだと思いますが所見のほど、お尋ねをいたします。
(二)
次に市長の開発市政についてです。
質問の第一は、オリンピック招致問題についてであります。
市長が、昨年九月突然2016年のオリンピックの招致を表明して以来、「また無駄遣いか。他にやらなければならないことはたくさんある」など、疑問や怒りの声が大きく広がっております。市長は、市民に賛否を問わないまま、新年度予算にはオリンピック招致関連で11億5000万円も計上しており、「招致には一銭もかからない」と言う説明が偽りであったことも明らかになりました。また、オリンピック開催に必要な施設、インフラ整備等についても、市長は、具体的な計画や財政負担は一切明らかにせず、「1000億円以内で抑える」と言い続けて来ましたがこれも既に破綻しています。オリンピック招致事務局の資料によると、オリンピック会場は博多湾周辺に集中させ、メインスタジアムについては、競艇場を移設して建設するとされております。我が党の試算によると、競艇場の移設に300〜400億円、メインスタジアムとサブグラウンド、選手村等の建設だけでも約1000億円の費用が必要となります。更に、各競技場の建設、道路などのインフラ整備費用を合わせればこれらの事業費は数千億円規模の莫大なものになります。市長が、市民の声も聞かないまま強行しているオリンピック招致は、オリンピックを財界の儲けのために利用し、市の財政を破綻させ、市民のくらしや福祉、教育を破壊するものであり、やめるべきだと思うが、答弁を求めるものであります。
質問の第二は「新・福岡都心構想」についてです。
新年度予算案には、天神通り線を南北に延長・拡幅する構想や薬院新川にふたをして整備する構想などの調査・検討費を含む、都心部の再生関連等予算として、1億4500万円余が計上されています。これは財界が提案した「新・福岡都心構想」を具体化するものであります。同構想は、天神から博多駅を含む福岡市の都心エリアについて、道路、鉄道、都市高速道路、商業ビルを含めて再開発、再編成するという大がかりな構想で、まさに福岡市における「都市再生」巨大プロジェクトです。
同構想は人工島事業の次のもうけ口として、財界主導で新たな都心開発や港湾開発を行うもので、市長も「都心の再生は五輪ができなくても進めていきたい」と述べるなど、オリンピックを口実にしたゼネコン、マリコンの仕事づくりに他なりません。このような大型開発の推進に巨額の税金を投入する道を進めば、借金がまたもふくれあがり、財政破綻は避けられず、市民犠牲がいっそう押し付けられることになるのは目に見えています。こんなことは許されません。
したがって、財界に利益を誘導する「新・福岡都心構想」は、その策定をやめること。あわせて、予算も削除すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
質問の第三は人工島事業と港湾計画についてであります。新年度も211億円もの予算が組まれています。
そこで質問の第一点は博多港開発株式会社の破綻救済についてです。市長は中央公園用地など売れない土地の買い上げ、さらに本来博多港開発の負担で行うべき道路整備などを公共事業で肩代わりするなど破綻救済を進めてきました。ところがそれでもなお、採算がとれないとみるや、今度は融資銀行団の要求に応じ、貸し手責任は免罪したまま、400億円もの公費投入で会社2工区を市の直轄事業としたのであります。その上、今後も巨額の税金を投入し、破綻救済に突き進もうとしています。その一つが五ヘクタールもの土地を買う、市立病院の統合移転であります。土地、建物だけでも数百億円の支出となるでしょう。さらに21世紀中華街構想なるものも結局は市費の投入が避けられないものであります。市長はこうした博多港開発の破綻救済は止めるべきと思いますが所見のほど、お尋ねいたします。
二点目は人工島の港づくりについてであります。新年度、15m水深の岸壁工事が予算化されています。しかしながら、博多港に入港する大型コンテナ船は年々減少しており、増えているのは中国、韓国などからの1万トン以下の小型船であります。これは上海港や釜山港などがすでにハブ港化し、コンテナの流動もそれに応じたものになっているためであります。加えて、アジアからの貨物の少ロット化もその一因であり、今後もこのような傾向で推移することは明白であります。こうした中で、大型コンテナ船対応の大水深岸壁や航路を巨費をかけて整備しなければならない理由はどこにもなく、これをやめるべきと思いますが明確な答弁を求めるものであります。
三点目は、急きょ浮上している港湾計画の見直しに関してであります。市長がオリンピックの主たる会場を須崎埠頭地区にしようとしていることにともない、同地区の港湾機能や関連施設を人工島など他の埠頭に移設することが検討されようとしています。しかしながら須崎埠頭は穀物などの荷揚げ港として重要な役割を果たしており、また、港湾倉庫などが林立している場所であります。これらの施設を人工島などに移設するとなれば、移転補償費などかかる費用は中央埠頭の再開発とはくらべものにならない額になることはさけられません。従って市長は、このような港湾計画の見直しをすべきでないと思いますが、所見をお尋ねいたします。
質問の第四は、新空港建設問題並びに九大学術研究都市構想についてです。
福岡空港の利用者数は近年減少しており、新空港を建設する必要性はなく、「雁の巣案」を含め、「新福岡空港構想」は白紙に戻し、新北九州空港等との連携、既存ストックの有効活用による問題解決を目指すべきであると思いますが、市長の答弁を求めます。
「九州大学学術研究都市構想」はバブルの発想に他ならず、産学連携交流センターづくりが進められる等、今後巨額の市費投入を求められることになるのは必至です。市長は構想推進の音頭を取るのをやめ、学術研究都市推進機構から撤退すべきと思いますがお尋ねをいたします。
(三)
次に、福岡県西方沖地震など災害対策についてであります。
質問の第一は、地震被災者の救済問題についてであります。
昨年3月20日、突然に福岡市を襲ったマグニチュード7、最大震度6弱の福岡県西方沖地震は、その後の余震も含めて、死者一名、重軽傷者1038名、住宅被害は全壊、半壊、一部損壊で5220件と、市民に甚大な被害をもたらしました。この地震から一年を迎えようとしている今も、損壊した危険家屋に困難な生活を強いられている方が多く残されています。真に被災者の救済策の充実を図るためにも本市の住宅再建支援金は、年齢や所得用件なしで、一部損壊まで適用できるように改めるとともに、国の被災者生活再建支援金制度は、住宅本体の再建や一部損壊も支援の対象とし、所得制限をなくして支給額の上限を大幅に引き上げるよう、国に強く要求すべきだと思いますが、所見をお伺いします。併せて、「農漁村特定地域再生支援金」についても、再度、制度の周知徹底を行うとともに、支援策の充実を図るべきだと思いますが所見を求めます。
また、壊滅的な被害を受けた玄界島の復興は、安心して住める住宅再建や主要産業である漁業の施設復旧などが求められています。従って、生活再建支援金の適用に当っては所得制限を設けず、市営住宅建設を前倒しで行うとともに、住宅再建には「農漁村特定地域再生支援金」制度なみの支援策を行うべきだと思いますが、併せての答弁を求めます。
質問の第二は、地震に強い街づくりについてであります。
本市の都心部を貫いている警固断層は今後30年以内にマグニチュード7級の地震発生の確率が六・五%とその危険性が非常に高まっていると指摘されています。従って、共同住宅耐震診断費補助制度は、新耐震基準で建てられた住宅についても対象にすること。併せて戸建住宅や共同住宅の耐震化を促進するため改修助成制度を作るべきだと思いますが、ご所見を求めます。また、警固断層付近を地域指定して耐震強度を強化すべきだと思いますが答弁を求めます。
質問の第三は、河川・水害対策についてであります。
本市では近年二度にわたる大水害に見舞われ大きな被害を被るなど水害防止対策の充実が求められております。従って、御笠川激特事業は、整備流量を毎秒千トンに対応できるように見直し、河床掘削工事など早急に完了させるとともに、御笠川流域で小中学校グランドや公園など公共施設を利用し、遊水池や地下貯留施設の年次計画を立て早急に整備すること。あわせて、湊川の改修を急ぐべきだと思いますが、所見をお伺いします。
(四)
次に地域経済と雇用対策について質問いたします。
質問の第一は、雇用対策についてです。政府は求人倍率が改善していることをあげて雇用状況が好転しているといっていますが、その実態は派遣やパート、請負など非正社員であり、劣悪な労働条件におかれているなど雇用情勢は深刻であります。したがって市長は国に対し、失業者対策の強化、サービス残業の根絶、有給の職業訓練制度の創設を行うとともに、残業時間規制や派遣・パートの均等待遇の法制化など、雇用危機の打開に必要な法整備を行うよう要求すべきだと思いますが所見を伺います。また、市として雇用拡大・就職難打開のための体制を強化し、市内の主要な企業に対する雇用拡大と新規採用増の要請、地場中小企業などへの「青年雇用助成金制度」の創設を行うべきだと思いますが所見をお尋ねいたします。
質問の第二は中小企業対策と地域経済の振興についてであります。
本市経済を支える中小零細企業は相変わらず苦境に立たされており、倒産・廃業も後を絶ちません。地域経済を建て直すため、中小企業対策の抜本的拡充が求められています。しかるに新年度の中小企業対策費は前年度をも下回る、わずか12億円程度に過ぎません。市長は予算を大幅に増額するとともに全庁あげた支援の取り組みが必要だと思いますが所見を求めます。また、新たな構成で中小企業部を復活させるとともに観光コンベンションや新産業誘致に特化した経済振興策を改め、既存産業の保護・育成に力を注ぐべきだと思いますが答弁を求めます。
公共事業については大型開発中心から生活密着型に転換し、中小企業向けの仕事を増やすとともに、下請け含め、適正な賃金の支払いと建設業退職金共済を徹底すべきだと思うがお尋ねします。
民需の拡大など地域経済への波及効果が大きい住宅リフォーム助成制度は全国に広がりを見せており、本市でも不況対策としてただちに実現すべきではないかと思いますが所見を伺います。
本市の制度融資については制度の主旨を関係機関に徹底するとともに営業が困難となった場合の返済凍結や期間延長を認めるべきと思いますが所見を求めるものであります。
質問の第三は農業の再建と漁業の振興についてです。
政府による農産物の輸入自由化や市場原理の導入などによって本市農業も衰退の一途をたどっています。市長は市内農業を守る立場から、農産物の輸入自由化に反対し、価格保障制度を国に要求するとともに、市として所得保障を含む独自の助成策を講ずるべきと考えますが所見をお尋ねいたします。
また、原油高に苦しむ漁業者への支援を行うべきだと思うが答弁を求めるものであります。
(五)
次に、医療、年金、介護など国の大改悪から市民の健康・福祉を守る問題についてであります。
第一は、医療保険制度の改悪問題と年金制度の充実についてです。
政府の医療改革法案は、高齢者の窓口負担を2〜3割に引き上げ、長期入院の食費や部屋代を全額自己負担とし、高額療養費の上限額を引き上げるとともに、すべてのお年寄りから年金天引きで新たに保険料を徴収するという大改悪であります。さらに、「混合診療」制など保険外の自由診療を拡大し、負担増をもたらし、受診抑制に拍車をかけるなど、国民の命と健康を脅かすもので、日本医師会など三十八関係団体も強く反対しております。したがって、市長は、こうした医療制度改革法案の撤回を国に要求すべきだと思いますが、答弁を求めます。
また、市長は、基礎年金の国庫負担を早急に2分の1に引き上げて、切り下げられた給付水準を元に戻すとともに、「最低保障年金制度」の創設や障害基礎年金の支給要件緩和など低年金者や無年金者の救済対策を要求すべきだと思うが、所見をお伺いします。
第二は、国民健康保険行政及び市立病院統廃合移転問題についてであります。
市長は、国保料について2006年度も介護分を引き上げ、前年度比4.24%増の一人当たり9万5591円にするとともに、国の「税制改革」を口実にして保険料賦課を所得比例方式に変更し、とりわけ低所得者や多人数世帯にしわ寄せしようとしています。保険料の相次ぐ値上げが滞納者を増やし、払えない人から保険証を取り上げ、全国最悪の1万7000件以上もの「資格証明書」を発行して市民の医療を受ける権利を奪っております。したがって、市長は、市費を大幅に繰り入れて保険料を引き下げ、低・中所得層への負担増とならないようするとともに、保険証の取り上げをやめて原則交付し、本市の減免制度や国保法44条の一部負担金減免適用を大幅に拡充するなど、市民が安心して医療を受けることができるようにすべきだと思いますが、所見を伺います。
また、市立病院統合移転は、人工島の破綻救済のための無駄づかいに他ならず、「新病院基本構想」は白紙撤回し計画を断念すべきだと思うが、明確な答弁を求めるものであります。
第三は、介護保険制度の改善と高齢者対策についてであります。
市長は、2006年度から介護保険料を25%以上も大幅に引き上げ、基準月額を4494円にしようとしております。こうしたなか、国の「税制改革」で約3万人以上もの非課税高齢者が課税世帯となり、低所得者に大きな負担増が強いられます。したがって、保険料を引き下げるため、介護保険給付費に占める国庫負担の割合を引き上げるよう国に要求するとともに、本市独自の低所得者減免制度を抜本的に拡充すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。
また、昨年10月から強行された特別養護老人ホーム等の食費や居住費の全額自己負担による老人追い出しやこの四月から実施される「介護予防」を口実にした軽介護高齢者の家事系在宅サービスの切り捨てをやめ、元に戻すよう要求するともに、本市独自の利用料負担軽減制度を創設し、介護の必要な人が必要なサービスを受けられるよう救済すべきだと思うが、お尋ねを致します。
併せて、本市の特別養護老人ホームの待機者は、5330人に激増しているにもかかわらず、新年度3ヵ所150人分しか計画されていません。市長は、整備予算を大幅に増額して特養ホームを計画的に増設し、早急に待機者を解消すべきだと思いますが、所見のほどをお伺いします。
高齢者施策では、市長は、この間、お年寄りの社会参加と生き甲斐である本市の敬老無料パスや敬老金及び祝い品制度の縮小、老人医療費助成制度の廃止など約20億円もの切り捨てを強行しました。こうした「老人いじめ」をやめ、これらの制度を復活して拡充すべきではありませんか。市長の明確な答弁を求めます。
第四は、生活保護行政及びホームレス対策についてであります。
小泉「構造改革」の悪政のもと、貧困と社会的格差が進行し、「最後のよりどころ」である生活保護行政の充実が急務となっています。こうしたなか、強行された月額1万7930円の老齢加算や母子加算の縮小・廃止など生活保護支給費の切り下げは、憲法で保障された最低限度の生活をいっそう悪化させており、元に戻すとともに、国庫負担割合を増額するよう、強く要求すべきだと思いますが、市長の所見をお伺いします。
また、市長は、人権侵害の一括「同意書」提出強要や「面接」「指導・助言」を口実に不当に保護申請を排除したり、予告なしの訪問調査、実態を無視した資産活用や扶養義務の強要、病気や年齢等を考慮しない就労強制、辞退届けの強要などをやめるとともに、必要な人が誰でも自由に申請できるように申請書類や「生活保護のしおり」を窓口カウンターに置くなど市民の申請権を保障すべきだと思うが、答弁を求めます。
さらに、市独自の「福祉手当て」を創設し、夏期・年末にそれぞれ支給すべきではありませんか。市長の所見をお尋ねします。
市内のホームレスは増加の一途をたどっており、深刻な実態にあります。市長は、住所不定を理由にした生活保護からの排除をやめるとともに、NPO支援団体の補助や急迫保護入院を受け入れる病院等への助成を大幅に増額し、自立支援センターを建設するなど、本市の自立支援事業を拡充して行政責任を果たすべきだと思うが、明確な答弁を求めるものであります。
第五は、障害者対策についてです。
国が強行した障害者自立支援法は、サービス利用に定率一割の自己負担を導入し、施設やグループホームの食費・居住費の全額負担、障害者公費医療の負担増、さらに新たな「障害程度区分」を設けて受けられるサービスも制限するという障害者の生存と生活を著しく脅かすものであります。したがって、市長は、国に対し、こうした「応益負担」を撤回するよう要求するとともに、本市においても独自の負担軽減制度を創設して救済すべきだと思いますが、所見をお伺いします。
また、障害者小規模作業所の運営を左右する市補助金を大幅に増額して、障害者の生活と働く場を保障するとともに、早急に福祉及び共同作業所間の補助格差を是正・拡充すべきではありませんか。市長の答弁を求めます。
あわせて、障害者の就労支援を促進するためにジョブコーチ等の体制を拡充するとともに、切実な要求である東部療育センターを2006年度内に整備すべきだと思うが、市長の答弁を求めるものであります。
(六)
次に、子どもの健やかな成長と教育の問題について質問いたします。
質問の第一は、本市の少子化対策についてであります 。
本市における合計特殊出生率は、全国を大きく下回るなど少子化の進行は他都市に比して深刻であります。市長は「次世代育成支援」に取り組むとしていますが、実際にはますます不足する保育所、高すぎる保育料や学費に加え、公立保育所の民営化や留守家庭子ども会の父母負担の大幅増などこれまで市民とともに長年築いてきた子ども施策までも次々に改悪し、子育て不安をいっそうあおっているのが実態です。
誰もが子どもを安心して産み育てられるよう野放しの長時間労働に歯止めをかけることや子育てにかかる経済的負担の軽減、さらに若者が自立できる雇用政策等が求められています。したがって、本市でも子育てにかかわる制度の改悪は行わず、安心して預けることができる保育所や留守家庭こども会の充実、乳幼児医療費の無料化等、本市の少子化傾向に真に歯止めをかけることができる行政へ抜本的に改めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
質問の第二は、保育行政についてであります。
本市では増えつづける待機児解消のため、保育所の新増設等を行ってきたにもかかわらず、待機児は749人と深刻な状況にあります。詰め込みや在園児の追い出しではなく、早急に保育所の新設を行うとともに、保育水準維持のため重要な役割を担っている公立保育所の民営化はやめるべきであります。また職員や法人の犠牲的な努力により運営が行われている民間保育園への補助金は、大幅に増額すべきであります。あわせて、無認可保育所への財政的支援を図り認可化を促進すべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。さらに、子育て世代にとって大きな負担となっている高過ぎる保育料を、他都市並に市費を繰り入れ引き下げるとともに、第二子以降の保育料は高い方を減免すべきではありませんか。お尋ねいたします。
質問の第三は、乳幼児医療費助成制度についてであります。
少子化が深刻な本市において、乳幼児医療費助成制度の充実は不可欠です。通院医療費は段階的でなく就学前の全児童を無料とすべきであり、さらに初診料や往診料も無料にすべきだと思いますがご所見をお伺いします。また同制度を国の制度として実施するよう申し入れるべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。
質問の第四は、留守家庭子ども会についてであります。
市長は今年9月から従来の保護者負担に加え新たに3000円の利用料を導入するとしていますが、増加する倒産・失業世帯や母子家庭では、「ギリギリの生活。負担が増えれば預けられない」との悲痛な声があがっています。「放課後の事件が多発する今、なぜ子どもを追い出すのか」との不安と怒りは市民の中に広がり、短期間に6万近くの反対署名が集っています。さらにこの制度改悪が、保護者をはじめこれまで会の運営に尽力されてきたPTAや自治協等地域にも学校にも、さらには労働条件がまったく変わる指導員の合意も得ないままの暴挙であります。利用料導入を強行することは許されず、撤回すべきだと思いますが答弁を求めます。また、施設整備や制度の拡充は、従来どおり市の責任で行うべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
質問の第五は、児童館建設についてであります。
健全な遊びを通して、子どもの発達を援助する拠点施設である「児童館」の設置は国も推奨し、広島市や仙台市での小学校区ごとの配置をはじめ、ほとんどの政令市で、計画的な設置がすすめられております。まったく役割が違う公民館に押し付けて事足れりとする、本市の無策ぶりはまさに異常であります。市長はすでに世論となり、これまで市民から、32万筆以上の請願署名が寄せられている「専門職員のいる児童館」を小学校区ごとに早急に設置すべきだと思いますが所見をお伺いいたします。
質問の第六は、児童虐待を含む児童相談体制等についてであります。
児童虐待等深刻な相談は急増しているにもかかわらず、2003年以降増員されていないこども総合相談センターの児童福祉司など専門職員を大幅に増員し、相談事業の充実を図るべきだと思いますが答弁を求めます。
質問の第七は、教育行政についてであります。
第一点は、憲法と教育基本法に基づく教育を実現する問題についてであります。
今日、子どもの生命が奪われる事件、児童虐待が相次ぎ多くの国民が心を痛めております。生命の大切さ、真理に基づく社会的道義を確立し、一人ひとりが大事にされ、人格の個性的な開花を進めることは国民の共通の願いであります。教育基本法は前文で、「真理と平和を希求する人間の育成」をうたっており、平和で民主的な社会の実現を基調とする憲法と教育基本法を生かした教育が今ほど求められている時はありません。ところが政府は、今日の教育の矛盾と困難の原因を教育基本法に求め、その改悪を進めようとしており、まったく根拠も道理もないものであります。政府が長年にわたって、続けてきた異常な競争主義・管理主義の教育、更に小泉内閣の下で進められてきた人と人とを分断させる「構造改革」路線こそが今日の教育をめぐる矛盾と困難を作り出しているのであります。教育基本法改悪の狙いは、財界の求める「学力」のみを重視し、愛国心を強制し、憲法改悪とあわせアメリカとともに戦争できる国づくりを進めることにあります。市長は、教育をゆがめ、子どもの発達を脅かす教育基本法改悪にきっぱり反対するべきだと思いますが、所見を求めます。また、子どもの内心の自由をおかす「心のノート」などによる愛国心教育や、子どもたちを勉強のできる子とできない子に差別・選別する習熟度別授業の押し付け、固定化はやめるべきだと思いますが、教育長の所見を伺います。
山崎市長は、教育を軽視し、教育予算を年々削減し、そのため過大規模校の解消や学校のトイレなどの施設、設備改善は後回しにされ、学校ごとの教材購入もままならない等、教育活動に大きな支障が出ております。しかも、新年度は学校などの耐震対策、玄界小・中学校の復興、アスベスト対策等、緊急に求められる事業は山積しており、教育予算の大幅増額が求められております。ところが、新年度の教育費は、一般会計の6.2%と異常な低さに抑えられているのであります。市長は、これ以上子どもを犠牲にすることは許されず、教育予算を大幅に増額すべきだと思いますが答弁を求めます。
二点目は義務教育の指導内容と体制についてです。
子どもと教職員からゆとりを奪い、現場に困難をもたらしてきた新学習指導要領は、現在、中教審で改訂に向けての検討が行われております。指導要領の改訂にあたっては、憲法と教育基本法の精神に基づき、学校の教育課程編成権を尊重し、教職員の自主的権限が十分発揮できるものにすべきだと思いますが御所見をお伺いします。あわせて、本市「教育改革プログラム」は抜本的に見直すべきと思いますが、お尋ね致します。
また、来年度からの実施を計画されている「全市一斉学力テスト」は現場の自主性を奪い、競争に拍車をかけるものであり、やめるべきだと思いますが答弁を求めます。教職員の健康破壊は深刻であり、長時間・過密労働の是正、健康回復に向けた体制整備、教職員の大幅増員、病気休暇・休職の十分な代替措置等をとること。あわせて、今年度新たに実施され、教職員に新たな競争とストレスを増大させている「自己評価、実績評価」はやめるべきだと思うが、ご所見をお伺いします。
三点目は30人学級の実現についてです。
本市において今年度実施された小学1年生の35人以下学級は、関係者から歓迎され新年度2年生まで拡充される運びとなりました。しかし、教員の増員をしないままの拡充は、少人数での分割授業ができなくなるなど、新たな問題を生みかねず、必要な教員の増員を図るべきだと思いますがお尋ねいたします。また、市長は30人以下学級の即時実現を国・県に強く要求するとともに、本市の責任において、全ての学年での30人以下学級を計画的に実施すべきだと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。
四点目は教育を受ける権利の保障についてです。
長引く不況のもと、経済的理由による高校退学などの事態は引き続き深刻であります。県に授業料補助の大幅増額を求めるとともに高校奨学金の充実を図るべきだと思いますが、教育長の答弁を求めるものであります。就学援助については、申請があったものについて生活実態に合った認定をすること。あわせて、小中学校における不登校生徒の実態は深刻であり、自立の支援と教育を受ける権利を保障することが重要になっており、「学校適応指導教室」を各区に設置し・充実を図るとともに、フリースクール等への公的支援を図るべきだと思うが、ご所見をお伺いいたします。
五点目は、障害児教育についてであります。
今日、LDやADHDなど、多様化する障害に対応する支援体制の充実が求められております。普通学級に通う難聴等を含め、特別な教育を必要とする子どもたちへの支援を本格的に前進させるよう国へ要求するとともに、本市独自の介助員、加配制度の充実を図るべきだと思いますが所見を求めます。また、障害児の増加に対応し、障害児が安心して通学できるよう養護学校、障害児学級の増設を図り、エレベーターの設置など学校施設のバリアフリー化を早急に進めるべきだと思いますが、あわせて答弁を求めます。
質問の第八は、こどもの安全と快適な教育環境の実現についてであります。
登下校中や学校内での安全対策は教職員や地域住民に負担を押し付けるのでなく、学校警備員の配置や地域巡回員制度等実効性あるものにすべきだと思いますが所見を伺います。老朽校舎の改修・改築や耐震診断・補強は急務であり、抜本計画を早急につくり前倒しして取り組むべきだと思いますが、お尋ねします。生徒数急増校に対しては教室等、緊急に整備するとともに、早急な学校分離に取り組むべきであり、また、小中学校の教室冷暖房を実施すべきだと思いますが、あわせて所見をお伺いいたします。
質問の第九は、青年の文化・スポーツ要求についてであります。
本市の文化・スポーツ施設は不足しており、青年が安価で文化芸術・スポーツやサークル活動等に活用できる施設を身近なところに整備すること。あわせて、青年センターは青年の要望を反映したセンターへと建て替えるべきと思いますが、おたずねいたします。
次に都市づくりの諸問題についてお尋ねします。
質問の第一は、土地区画整理事業についてであります。
渡辺通駅北土地区画整理事業は約五十八億円の事業費のうち市の持ち出しが約26億円で、さらに80億円の演劇専用劇場計画をはじめ、多額の事業費を必要とする再開発事業が計画されています。九州電力と都市未来ふくおか、福岡地所に便宜を図る当事業はやめるべきと思いますが答弁を求めます。
また、香椎駅前の区画整理事業については、ずさんな土地利用計画や資金計画など様々な問題を引き起こしているにもかかわらず、強行されており、事業を中断し、まちづくり計画を白紙に戻して、住民参加で見直すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。
質問の第二は九大移転等についてであります。
市長は、整備が完了した工区など移転先の土地を協定どおり、早急に買い戻すよう、九大と国に要求すべきと思いますがお尋ねいたします。また、九大跡地を核とする六本松のまちづくりについては、いまだ住民等への情報は公開されておらず、住民の参加と合意を徹底するとともに、既存施設の活用や、災害避難場所等公的活用を中心に据えるべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。
質問の第三は、交通対策についてであります。
市長は、天神一極集中の是正、国道四九五号線の拡幅と国道三号博多バイパスの延伸を早急に行うとともに、西鉄宮地岳線と地下鉄との直通運転については人工島への鉄軌道と切り離して実現を急ぐべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。
質問の第四は水需給計画の見直しについてであります。
都市膨張政策に基づく現行水需給計画は、県が福岡都市圏の水需要について大幅な下方修正を行ったことや人口減少などの実態からすでに供給計画は破たんしており、五ヶ山ダムなどの建設は必要性ありません。従って、福岡県に対して過大な水需給計画に基づく五ヶ山ダム建設を中止するとともに、北福緊急連絡管事業のあり方を含めて水需給計画を見直すよう要求すること。また、本市の水需給計画を抜本的に見直すべきだと思いますが、併せて答弁を求めます。
質問の第五は、住環境を守る問題についてです。
開発誘導行政のもとで、中高層建築物の建築紛争が後を絶ちません。市民の住環境を守るために開発規制を強化する用途地域の見直しを行うとともに、住民の要求に基づいた建築協定、地区計画の積極的適用に努めるべきと思いますがご所見をお伺いします。また、建築紛争において建築主の住民に対する納得のいく説明や話し合いがなされないままの工事強行がまかりとおっています。市長は、建築主に「建築紛争の予防と調整に関する条例」を遵守するよう強く指導するとともに、紛争の未然防止へ向けた啓発をおこなうこと、あわせて、条例に事前説明の強化、関係住民の同意などを盛り込むべきと思いますが、ご所見を伺います。
市内各地でおこっている携帯電話鉄塔建設問題は、住民の納得なしの業者の建設強行は許されず話し合いを強く指導すべきと思いますが答弁を求めます。
質問の第六は、市営住宅の増設とマンション対策についてであります。
長引く不況、リストラ、倒産が相次ぐなか、市営住宅の公募倍率が過去最高の21倍にもなっているにもかかわらず、新年度、新規建設は一戸もありません。市長は建替中心の住宅政策を改め、新規市営住宅を大幅に増やすべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。さらに、高齢者向け借り上げ住宅の戸数の増加、母子世帯・心身障害者世帯の入居枠を増やすべきではありませんか、お尋ねをいたします。
また、マンション敷地内を公共性の強い空間と位置づけ、ごみ置き場や公園の固定資産税減免や維持管理費等の補助などを行うべきと思いますがご所見をお伺いします。
質問の第七は耐震偽装問題についてです。
本市では姉歯関連物件の中から偽装物件が発覚したのに続いて、サムシング株式会社が構造計算をおこなった三件について偽装が明らかになりました。サムシングは現在「構造計算書の偽造、耐震性能の不足」を理由に、損害賠償訴訟を起こされており、以前からわが党は警鐘を鳴らしてきました。同社が構造計算を手掛けた物件は約一万二千件に上ることから、相当数のデータ差し替えがあったとみられます。市長は直ちにこのサムシングが関与したすべての物件について、総点検調査をすべきだと思いますが、答弁を求めます。
また、偽装が確認された物件はすべて福岡市が建築確認をおこなっていました。新年度建築審査課の職員を一人増員しておりますがまったく不充分であり、構造計算ができる技術職員の大幅な配置をおこなうべきと思いますがご所見をお伺いします。さらに、民間確認検査機関については、建設業界から独立した公的な確認検査機関となるよう国に改善を求めるべきだと思うが、おたずねします。
あわせて、国に対して一定以上の規模の建築物については、専門家で構成する委員会の場で、設計者が直接説明して審査を受ける方法を取り入れるなど法の改正を求めるべきと思いますがご所見をお伺いします。
質問の第八は環境行政についてであります。
第一点は、市民本位のごみ行政の確立についてであります。
市長は、多くの市民の反対の声を押し切って、昨年十月から家庭ごみの有料化を強行し、一袋四十五円など総額二十七億円もの重い負担を市民に押し付けました。さらに、不法投棄や不適正排出等の後始末に地域住民がかり出されております。市長は、「負担の公平」などと称して行政責任を放棄し市民に新たな負担と犠牲を押しつけるごみ有料化はやめるとともに、本市の大量焼却主義を前提にしたごみ行政を改め、リデュース・リユース・リサイクルなど発生抑制や分別の徹底を図って、真のごみ減量施策を推進することこそ求められていると思いますが、所見をお伺い致します。
また、一般廃棄物は区域内処理が原則であり、「広域行政」を口実にした大野城・太宰府市など他都市からのごみ受け入れはやめるとともに、南部工場建て替えなどを進める都市圏南部環境事業組合はつくるべきではないと思いますが、お尋ねをします。併せて、株式会社福岡クリーンエナジーによる新東部工場の運営は、ごみ処理にかかる市の責任を曖昧にして九州電力の利益保障を行うものであり、直営で行うべきだと思うが市長の答弁を求めます。
さらに、国の「容器包装リサイクル法」は、拡大生産者責任を明確にした改正を要求するとともに、この四月から実施される中古家電販売禁止を強化する「電気用品安全法」は、消費者と中古家電業者に多大な犠牲を強いるものであり、市長は直ちに是正を求めるべきだと思いますが、所見のほどお伺いします。
二点目は、産業廃棄物問題とアスベスト対策についてです。
産廃物の広域不法投棄が大きな環境汚染問題となっており、排出業者等の責任強化や水源地などへの処分場設置規制を設けるなど法改正を国に要求するとともに、本市においても、実態調査と監視・指導体制を抜本的に強化すべきだと思うが、答弁を求めます。
また、アスベスト被害によって、命と健康に重大な影響がもたらされています。市長は、国の「石綿救済新法」による補償の拡充を求めるとともに、本市独自の助成制度を設けて、小・中学校をはじめ病院・特養ホーム等の社会福祉施設などのアスベストの撤去を急ぎ、不法投棄対策にも万全を期すべきだと思うが、市長の所見を求めます。
三点目は、地球温暖化対策など足元からの自然環境保護行政についてであります。
国が見直した「地球温暖化対策推進法」は、産業界の責任が放置されており、「京都議定書」の排出削減目標の達成が危ぶまれています。したがって、市長は、産業界の温暖化ガス削減目標設定の義務づけなどの実効ある措置を取るよう国に要求するとともに、本市の公共事業の無駄をなくし、市民参加のもとで生産・消費構造の転換を図るなど、本市の温暖化防止条例を制定すべきではありませんか。所見をお伺いします。
また、国際的に重要な湿地である博多湾和白干潟を国設鳥獣保護区特別保護地区に指定させ、早急に「ラムサール条約」の登録湿地とするよう、国に強く働きかけていくべきだと思いますが、市長の答弁を求めるものであります。
(七)
次に、汚職腐敗の一掃と、地方自治の確立、公正、平和の行政推進についてお尋ねいたします。
質問の第一は、ケヤキ・庭石事件など、汚職、腐敗の一掃についてであります。
ケヤキ・庭石事件の公判で判明した志岐元助役が庁舎内で多額の「育み料」を受け取り、不正な蓄財を重ねていた問題など、業界と市幹部との癒着の実態について、市長は責任を持って徹底した調査と事実解明を行い、厳正な処分を行なうべきと思いますが、ご所見をお伺いします。
こうした汚職・腐敗が繰り返される背景に市長の政治姿勢があるのであります。市長は百道浜の市有地の土地処分に関わって、自らの選挙母体の代表らに便宜をはかり、行政を私物化することは断じて許されないと思うが、明確な答弁を求めるものであります。
また、腐敗の根底にある政官業の癒着構造を断つために、本市の政治倫理条例に企業・団体献金や公共事業の受注企業への政治資金パーティ券の売却の禁止を盛り込むとともに、入札制度については、一定数の入札参加者の除外や予定価格の決定に抽せんくじを導入するなど、思い切った改革を進める必要があると思いますが、お尋ねいたします。
質問の第二は、外郭団体・第三セクター問題についてであります。
株式会社西日本環境エネルギーやサン・ピア博多など、第三セクターの破たんが相次ぎ、市民に莫大な損害を与えております。こうした中、市が行っている外郭団体改革実行計画は、抜本改革にはほど遠いものとなっております。
そこで、博多港開発や都市未来ふくおかなど無駄な開発を進める第三セクターは、積極的に廃止・縮小を行い、その他の団体についても運営、事業及び予算の執行について厳正な監査、指導を行い、情報公開を徹底するとともに、そのあり方について抜本的に見直すべきではないかと思いますが、お尋ねをいたします。また、退職幹部の三セクを含む外郭団体や利害関係のある民間企業への天下りや口きき、あっせんの規制措置を講ずるべきだと思いますが、答弁を求めます。
質問の第三は公の施設の指定管理者制度についてであります。
これまで、74件の公の施設に指定管理者制度が導入されてきましたが、労働者の大幅賃下げや利用者のサービス切り捨てなど、移行準備段階ですでに問題が起きています。
したがって、公の施設の指定管理者を営利を目的にした民間企業にするのはやめ、直営または、従来の委託先である公的団体に切り替えるべきと思いますがご所見をお伺いします。
質問の第四は、地方自治・住民自治に関してであります。
自治協議会発足以来、市は、地域支援の名で、住民自治に干渉を行っており、市民からは、「自治会は市の下請け業者になってしまった」などという意見が出されています。これは「住民自治」などとはまったく相反するものであります。したがって、行政の仕事を自治協に押し付けるべきではないと思いますが、市長のご所見をお伺い致します。
また、市長は、情報公開条例について非公開対象を縮小し、相手先、場所など全て公開すべきだと思いますが、答弁を求めます。併せて、住民基本台帳ネットワークについては、接続をやめるべきだと思いますがご所見のほどお尋ねいたします。
質問の第五は、国民保護法についてであります。
特定公共施設利用法と国民保護法は、有事の際に米軍・自衛隊による空港や港湾、電波などの優先使用を保障し、一方、「国民保護」の名で国民を統制、管理、動員するものです。同時に憲法に反して自治体や民間企業を戦争に備えさせる体制をつくるものであり、市長は法の廃止を要求し、本市の関係条例案と国民保護計画を撤回すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
質問の第六は、男女共同参画の推進についてであります。
男女共同参画の名で女性に対する時間外・休日・深夜労働が強要され、女性の健康・母性破壊が深刻化するなど、家庭や子育てとの両立はいっそう困難になっています。企業責任を明記し、苦情・不服を迅速に処理し、権利や利益の保護を図るための第三者機関を設置するなどを条例に盛り込むべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。さらに、市長は「雇用における平等」を率先して実現するため、女性職員の管理職への登用率や、各種審議会の女性の登用率を大きく引き上げるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、男女共同参画推進センターを各区に設置すべきだと思いますが答弁を求めます。
質問の第七は、同和問題についてであります。
全国の同和事業終息の流れに反し、新年度もまた、7億2759万円余もの予算を計上し、同和行政を継続しようとしております。このような異常な「部落差別」の温存、固定化政策はやめ、一般対策も含め「同和」を要件とする特別施策は直ちに終結するとともに、解同市協議会への団体補助金をはじめ、同和関係予算は全額削除すべきだと思いますが明確な答弁を求めるものであります。また、福岡県が県同和教育研究協議会に教諭派遣したのは違法だと判決が下された今、市同研等同和団体への教員の派遣は直ちに中止するとともに、同和教育行政はやめるべきだと思いますが、教育長の答弁を求めます。
質問の第八は、自主・平和外交への転換と、博多港・福岡空港の軍事利用についてです。
今や米国の一国覇権主義の道は、破綻と孤立を深め、イラクの軍事占領でも、泥沼化をまねいており、イラク派兵した「有志連合」は、撤退や削減を決めた国があいついでいます。市長は、政府に自衛隊のイラクからの即時撤退を強く要求するとともに、憲法九条を持つ国にふさわしい自主・平和外交に転換するよう要求すべきと思いますが、所見をお尋ねします。
また、「米軍再編」によって築城基地などが強化されれば、福岡空港にも重大な影響を及ぼすのは必至であり、市長は、米軍基地再編・強化に反対し、市民の願いである板付基地の全面返還を強く要求するとともに、博多港については「友好・親善」「休養」「補給」など、いかなる名目であれ、米軍による博多港・港湾施設の軍事利用を許さず、「非核神戸方式」を適用すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。
以上、私は市民の切実な要求である暮らし、福祉、教育などの問題について、市民のいのちと暮らしを守る自治体らしい自治体への転換を求めて、市長並びに教育長の所信をただしてまいりましたが、誠意あるかつ明確な答弁を求めるものであります。
長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質問を終わります。