2006年9月議会
議案に対する反対討論
2006年9月15日 原田祥一議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第168号ないし171号、173号、175号、177号ないし179号、181号ないし183号、186号、188号に反対し、討論を行います。
まず議案第178号福岡市立心身障害福祉センター条例の一部を改正する条例案についてです。
本議案は、障害者自立支援法の施行にともない、これまで市が責任をもつ措置制度であった障害児の施設サービスを、利用契約制度に変え、応益負担を導入するものであります。
そもそも障害者支援費制度を導入するとき、障害児施設の場合は、“どの施設がその子にとって一番いいかという判断には、高度な専門性が必要であり、契約制度になじまない”として、措置制度を継続してきました。この専門性はまったくかわらないどころか、ますますその必要性を高めています。措置を契約制度に変えてしまうことは、障害児世帯にのみ責任を押しつけ、行政責任を放棄するものであります。また、応益負担の導入で「原則1割の定率負担や食費の実費負担」が押しつけられ、障害児の家庭に重い負担がおそいかかります。市は独自の軽減制度を設けましたが、この措置は本年度末までとされており、このままではすでに障害者施設で起きているように、お金が払えずにサービスを削る、施設を退所せざるをえないという悲劇が起きることは明白であります。さらに施設の運営についても、これまでの措置費から、通園日数に応じた日割りの報酬に変更されることにより、大幅な減収になります。これにより、施設の経営を悪化させ、人員削減、労働条件の劣悪化等をまねき、療育の質までも落とすおそれが強いものであります。以上のように本議案は、障害児と施設に重大な悪影響を及ぼすものであり、とうてい容認できないものであります。市当局はわが党の議案質疑に対し、「市の責任は変わるものではない」旨の答弁をしましたが、障害児の施設利用に市が責任を負い、障害児世帯の負担増にかかる軽減措置については来年度以降も継続することを要求するものであります。
同様の問題点を持つ議案179号、また障害者世帯に重い過料を課す177号についてもわが党は反対であります。
議案第182号国民健康保険条例の一部を改正する条例案については、出産育児一時金の増額には子育て支援の一環として賛成するものですが、他方で葬祭費の減額、および病院に高齢者が入院したさいの食費の負担増、新たな居住費のとりたてをふくむものとなっています。食費と居住費の標準負担額は、5万2000円にもなり、自民党・公明党によって高齢者に大増税がかぶせられている中、このような負担増は市民や高齢者の生活を破壊する暴挙だと言わねばなりません。
同様に、議案175号及び181号も母子家庭や重度の障害者に、入院のさいの居住費などを新たに押しつけるものであり、弱者をねらいうちするこのような議案を、認めるわけにはいきません。
次に、議案第168号、2006年度一般会計補正予算案についてです。
補正予算案中、港湾建設費として住宅市街地総合整備事業費2億円余が計上されております。本来、博多港開発工区の道路整備等は、博多港開発株式会社が自らの負担で行うのが当然であります。しかるに市長による事業計画変更で、博多港開発が受け持つべき道路整備等が市の事業へと取ってかわる事態がつくり出されたのであります。この結果、これまでに住宅市街地総合整備事業だけで、82億円もの税金が博多港開発工区の道路整備等に投じられることになります。これは税金による博多港開発株式会社の破綻救済そのものであり、断じて認められないものであります。
次に議案第186号福岡市立小学校設置条例の一部を改正する条例案についてであります。本議案は、人工島に来年4月に開校する小学校をつくるためのものであります。しかしながら、現在人工島内で小学校に通う児童は30数人しかいません。これまで生徒数が急増した学校で分離・新設の要望が寄せられても、市教委は「30クラスを超える過大規模にならない以上、分離新設は認められない」との対応に終始し、過大規模校が長く放置される事態も作り出されてきました。ところが人工島の小学校は、特例扱いで開校を急ぎ、用地費含め70億円をこえる税金を投入しようとしています。これは、人工島の破綻救済の一環といわざるをえません。山崎市長のもとで市の教育予算は大幅に減らされ、市内各地で校舎の老朽化や傷みが放置されたままになるなどしており、教育に格差を持ち込むこのようなやり方は、容認できません。
次に、議案第173号、福岡市特別職職員等退職金手当支給条例の一部を改正する議案についてです。
本議案が施行されれば、市長の4年間分の退職金4406万円が 3888万円に引き下げられることになります。引き下げの方向性は当然ですが、なお高額すぎるとの批判が寄せられています。いま、自民党・公明党政権がすすめる「構造改革」路線のもと、給与カットやリストラ、非正規雇用の増大によって、一人当たりの市民所得は小泉「改革」前とくらべ年24万円も落ち込んでいます。このような社会情勢のもとで、わずか4年間で4千万円近い退職金を手にするという事実は、市民感情から見て納得できないものと考えます。「自分たちはムダづかいしながら、市民にだけ痛みを押しつけるのか」「オリンピック招致の宣伝に使った税金は、市長の退職金で埋めろ」──こうした声が市民からあがるのは当然です。よってわが党は、市長等の退職金の抜本的な引き下げを求める立場から本議案に反対します。
最後に、わが党が賛成する議案のうち、第180号、乳幼児医療費助成条例の一部を改正する条例案について述べておきます。今回の条例改正は市民の切実な要求を具体化し、初診料の無料化にふみだすものであり、本議案に賛成するものです。しかしながら、今回の改定では依然として3歳以上は対象外とされたままになっております。子どもをもつ家庭の負担を減らし、子育て支援を充実させるためにも、初診料を含め、小学校入学前までの完全無料化を早急に行うことを、改めて要求するものであります。
以上で、わが党の反対討論を終わります。