2006年6月議会
議案に対する反対討論
2006年6月21日 ひえじま俊和議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第124号並びに126号に反対し、討論を行います。
まず、議案第126号、建物の譲渡についてですが、本議案は、市立東住吉保育所の民営化に伴い、その建物を無償で社会福祉法人佳陽会に譲渡するものであります。公立保育所の民営化をめぐっては、このほど横浜地裁が同市の民営化が園児に悪影響を及ぼすとして行政の責任を厳しく問う判決を下しました。本市では東住吉保育所の民営化によって、これまでの正規の保育士は異動で全員いなくなり、それまでいた経験年数20年以上の保育士はゼロになりました。混乱を回避するために移管前の保育を知っている臨時職員をわずかに任用しましたが、保護者からは、これでどうやって今までの保育を継承していけるのかとの怒りの声が上がっています。昨年の板付保育所の民営化でも、今まで行われてきた家庭訪問がなくなるなど重大な影響が出ています。市は民営化による影響はないと強弁しましたが、子どもたちへの悪影響は明らかです。今、本市の保育水準を引き上げる大きな役割を担ってきた公立保育所の拡充こそ求められているのであって、それを廃止することは行政責任の放棄であります。したがって、本議案は我が党は容認できるものではありません。
次に、議案第124号、アイランドシティ地区平成18年度仮護岸築造工事請負契約の締結についてです。これは市3工区のC2地域を埋め立てるための仮護岸をつくる工事に8億円を投じるもので、15メーター水深の岸壁とコンテナヤードの整備を目指すためのものです。岸壁だけでなく航路のしゅんせつなどを含め、事業全体では399億円、うち本市負担は198億円にも上ります。しかしながら、博多港においては、3万トン以上の船舶も6万トン以上の船舶の入港数も半減しており、市長の言う船舶の大型化という整備理由は成り立ちません。今日、港湾物流の特徴として大量の商品が生産され、集まってから運ぶのではなく、小ロットの貨物を早く、安く消費地まで運ぶことが主流となっています。したがって、アジアの近い港から、小型のコンテナ船で背後に消費圏がある博多港への入港がふえており、こうした傾向は今後も続いていくのは確実です。 15メーターの大水深岸壁の整備を進めることは税金のむだ遣い以外の何物でもありません。また、人工島の収支計画についても、人工島の土地が売れず、莫大な起債をして採算を合わせようとしているのが実態です。まさに自転車操業であり、人工島単独で見れば収支が破綻しているのは明らかです。こうした中、人工島の直轄化に伴い、400億円もの起債が行われ、市は須崎ふ頭の再開発で港湾用地を売却してその償還に充てようとしているのであります。
以上のように、第1に、大水深の岸壁自身が必要ないこと、第2に、人工島事業の市工区の収支計画は破綻をしており、これ以上採算の見込みのない事業を続けていけば、果てしない税金投入の泥沼に陥ること、こうした点から我が党は本議案に強く反対するものであります。
そもそも1989年に人工島建設事業が計画され、94年に市が埋め立てを強行してきたときから、日本共産党はこの事業について、ゼネコンやマリコン、大銀行を喜ばせるだけの浪費である、と批判し、中止を求めてきました。むだな大型公共事業へ市が次々に税金投入をした結果、本市の財政は実質公債費比率が政令市最悪になるなど日本一の借金財政になっています。にもかかわらず、山崎市長は市民の反対を無視してオリンピック招致と、それを口実にした大型開発に突き進もうとしているのであります。先日、6月19日には、市長のオリンピック招致計画には市民の66%が反対を表明しているという冷厳な世論調査結果がKBCから発表され、もう山崎市長はやめてほしい、という声が多くの市民から上がっています。人工島やオリンピック招致など、むだな大型公共事業をきっぱりやめ、市民の暮らし、福祉を充実させるよう重ねて要求し、我が党の反対討論を終わります。